枚方市議会議員 ばんしょう映仁です。
2021年12月17日に行いました令和3年12月定例月議会の一般質問の項目1をまとめました。
不登校は予断を許さない状況。教育委員会はICTを活用した新しい選択肢を!
「ハイブリッド型授業」とは、名前の狙いは?名前と実態は合っていたのか?
本市では2学期の始業式よりハイブリッド型授業を開始しました。「ハイブリッド」と聞くとオンラインでも、従来の対面授業とが何となく同じ教育効果があるように思えるネーミングです。ただ、辞書で調べてみると「ハイブリッド」とは「異種のものの組み合わせ・掛け合わせによって生み出されたもの」とのことです。「ハイブリッド」とは、どのような狙いがあって付けられた名前なのか?また、名前と実態は合っていたのか?そしてなぜ「ハイブリッド型授業」を行うことになったのか?
対面授業とオンライン学習とを組み合わせ、同時に行うことを表した
本市におきましては、8月の急激な新型コロナウイルス感染症拡大により、保護者等から登校への不安の声が多数届くなどしたことから、「ハイブリッド型授業」の実施を決めた。「ハイブリッド型」という名前には2つの意味がある。1つは、「安全・安心を提供すること」と「学びを止めないこと」の両者をめざしたものであること、もう1つは、教室での対面授業と家庭でのオンライン学習を組み合わせ同時に行うことを表した。このことをより保護者・市民の方々に理解していただくため、イメージをしやすい単語を用いて「ハイブリッド型授業」という名称とした。
6月議会では「臨時休業に備えた万全の準備を教育委員会として行っている」と答弁があったが?
「ハイブリッド型授業」とは対面授業とオンライン学習を同時に行うことだったとのことでした。いいネーミング過ぎて私のように勘違いしてしまう方もおられたのではないか。
さて、もう1つ勘違いがあった。私は6月の定例月議会において、「実際に学校が臨時休業になった場合のICT機器活用を中心とした取組の状況と、教育委員会の支援」について確認したところ、臨時休業に備えた万全の準備を教育委員会として行っている旨、答弁があった。私はハイブリッド授業はてっきり万全だと思っていたのですが、実際は物品購入の予算まで必要になるなど、現場の実態とかけ離れていたように思う。このことについては、どのように考えているのか?
6月時点の学校臨時休業時の対応はオンライン学習などを想定。「ハイブリッド型授業」は異なる
6月の定例月議会では、学校が臨時休業となり、全員が一律にオンラインで学習する状況を想定して、朝の挨拶や健康観察、また授業支援ソフトを利用した課題の送付や解説等、学びを止めない取り組みの準備を行っている旨を答えた。
これまで準備してきたことを活かし、「ハイブリッド型授業」として、さらに質の高い授業を実現するために、タブレット三脚やスピーカー、ピンマイク等の備品等を購入することとした。
ハイブリッド型授業について、学校側の準備ができていなかった?
6月の時点では全員が家庭からオンラインで学習する状況を想定されていたということで、「ハイブリッド型授業」とは状況が異なったということでした。私としてはてっきり準備万端だったと思っていたが、そのリスクを覚悟の上で決断し進んだということです。教育長も市長もそのリスクを十分理解されていたのでしょうか。
実際に学校では、6月の想定とは違う準備が必要となったことで現場が混乱した訳です。教育委員会と学校には、全員がオンラインで参加する臨時休業の対応からハイブリッド型授業に方針転換するにあたって、準備に必要な時間や必要となる機器等の認識について、大きなギャップがあったように感じる。このことについて、教育委員会の見解を伺う。
今後感染拡大が起こった場合に備え、現段階から準備をしている
ハイブリッド型授業を実施するにあたり、学校では対面授業とオンライン授業両方の準備に時間を要し、また普段の授業とは異なった対応が必要であったことを認識している。
教育委員会としましては、学校へアンケートを実施し、「ハイブリッド型授業」の振り返りを行っており、今後感染拡大が起こった場合に備え、よりよい取り組みが行えるよう現段階から準備をしているところ。
令和2年度の本市の不登校児童・生徒は698人、言うならば、1つの学校を作らなければならない児童生徒数
専門スタッフを配置した双方向のオンライン教室を開設しては?
現在はハイブリッド型授業は準備万端だというような答弁です。しかしながら、実際の教育現場には課題がたくさんあるはずです。本当にくみ取れているのか、私としては逆に不安になります。ぜひ上司には都合の悪い情報ほど早く伝えるということを徹底して下さい。
ところで、その一方で、以前から実施されていた、不登校児童・生徒に対する学習支援としてのオンライン授業もある。これは「学習」ではなく「授業」です。学校に行きたくても行けない子どもたちへの支援や学びの保障という点においては、ハイブリッド型授業と同じ考え方だと理解している。令和2年度の本市の不登校児童・生徒は698人と報告されており、単純に1クラス35人と考えると20クラスに相当し、言うならば、1つの学校を作らなければならない児童生徒数となっている。
そこで、例えば、ICT活用が進んでいる熊本市や北九州市では、不登校児童・生徒を対象に、専門スタッフを配置し、個別に双方向でやり取りできるオンライン教室を開いているとのことだが、本市では、そのような支援や対応を、考えておられるのか?
上記記事より引用
九州大大学院の増田健太郎教授(臨床心理学)は「授業を中継するよりも、北九州、熊本両市の取り組みの方が子どもに合った支援がしやすい。両市とも所属校の出席扱いにしており、登校しない罪悪感が軽減できる。比較的すぐに始められる取り組みであり、多くの自治体が見習うべきだ」と指摘した。
現在、不登校児童生徒のオンライン授業は学校からの配信を行っている
本市における不登校児童・生徒への対応について、児童・生徒及び保護者の心情に寄り添った上での学校とのつながりを大切に考えており、現在、オンライン授業についても学校からの配信を行っている。
また、学校とのつながりに困難さ等を感じている児童・生徒は、枚方市適応指導教室「ルポ」において、登録している児童・生徒を対象にタブレット端末を活用して、オンラインによる「ルポ」の朝の会や始業式、終業式等に参加するといった対応も行っている。
不登校は予断を許さない状況。教育委員会はICTを活用した新しい選択肢をつくるチャレンジを!
「誰一人取り残すことなく一人ひとりの能力を最大限に伸ばす教育」を目指し、ICT機器を活用してほしいと思っています
また、私が言うまでもなく、不登校は予断を許さない状況です。私からも、教育委員会には、新しい選択肢をつくることへのチャレンジを求めました。今後も訴えていきます。
適応指導教室「ルポ」:適応するべきは大人や学校の方だ。名前の変更を!
本市には適応指導教室「ルポ」が設置されています。この教室、不登校児童に対してどのような「適応指導」をしているのでしょうか。本来、適応するべきは大人、学校の方ではないか。「教育支援センター」という名前にしている自治体もあるようです。名前を見直して頂きたいと要望しました。
児童生徒の気持ちを可視化するツールの導入し、児童生徒と教師との信頼関係の構築を!
加えて、先日、文部科学省の「不登校に関する調査研究 協力者会議」の第1回で公開された不登校生が答えたアンケートの結果をぜひ見て頂きたいと思います。休んでいる間、「ほっとした」という多くの回答と同時に、勉強の遅れを不安に思っているなど様々な回答結果がありました。その中で、「学校に行きづらいと感じ始めた時に相談した相手」という項目では、学校の先生が1割強となっており、先生や学校との信頼関係の問題が伺えます。教師が児童生徒の変化に気づくきっかけを得るためにも、以前から要望している児童生徒の気持ちを可視化するツールの導入についても再度要望しました。
児童生徒の気持ちを可視化するツールなどの報告
2学期始業式から始まった「ハイブリッド型授業」。私の思っていた疑問はある程度解消されましたが、学習効果がどれだけ対面と違ったのか、しかし対面とオンラインを同時に行うことでは不登校児童生徒への今までにない選択肢を得ることはできないのか。一人ひとり子どもたちの今も未来も笑顔に!との思いでICT機器の活用を模索してほしいと質問に臨みました。
教育へのICT活用は、「誰一人取り残すことなく」、「一人ひとりの能力を最大限に伸ばす」ことを主眼に!
タブレット活用の姿でなく、本質的な教育にどのように結びつけているのか、その試行錯誤の姿の発信を!
学校教育でのICT活用は「授業外でも」効果的な活用を!
学校教育でのICT活用は「誰ひとり取り残さない」思いで推進を!
取り残すことのない、個別最適化された学びの早期実現を目指して!
・ICTによる誰一人取り残さない見守りツールの追求を!
・不登校から守るという大人側の発想でなく、子どもたちが自ら考える力、生きる力を身につけていくことに対する支援を!
・不登校はあってはならないことではない!大丈夫です!
「不登校」になっても、本人や保護者が傷つかずに、子どもの今を支える支援体制づくりにむしろ注力するべきだ!
一人でも多くの子どもが、「社会から認められている」と感じられる社会環境を作りたい!