北関東の某所のラブホテルを内見した。
仲介人からは
「売主の希望価格は３０００万ですが、２０００でまとまります」
と言われている。
「２０００ですか。。もう少し早く決断すればよかったですね」
実はこの物件、２年ほど前に売却の相談を受けている。
その時の希望売却価格は５０００万円だったが、４０００万までは指値を受けるとのことだった。
「この物件、駆け引きしないほうがいいですよ。収支からすると３５００なら御の字。
指値を入れられるのを想定して高めの価格で出すと、検討もされないですよ」
その時、せめて４０００万円で売りに出していれば、３５００の指値で決まったかもしれない。
しかし、オーナーの踏ん切りがつかず５０００万円で売りに出したから内見も入らない。
買い手としては、５０００万の話に３５００の指値はぶつけにくい。
そこまで乖離があると喧嘩になりかねないからだ。
その後、ズルズルと売上は落ち、希望価格を下げてきた。
しかしその価格は、今の収支からすると高い。
そうやってホテルの価値を下げ、どうにもならなくなるケースは多い。
赤字ラインまで売上が下がると、地方物件の売却は難しくなる。
土地として価値のある東京都心などのエリアであれば、不動産として売却は可能だが
地方で土地の価値がない場合、ホテルの収益価値で売却することになる。
そこで収益をなくなったら、価値がなくなるのだ。
先月も、売上がズルズル下がっていったホテルが１軒、閉鎖された。
閉鎖したら設備が劣化し使えなくなるので、ホテルとしては売れなくなる。
オーナーとしてはギリギリまで営業したかったが、赤字続きでどうにもならなかった。
この物件も売り時を間違えたケースだ。
では、ホテルはどのタイミングが売り時なのか。
結論から言うと「売却を考え始めた時」だ。
１．業績が良い、事業意欲が減退
⇒ 今が売り時
２．業績が悪い、事業意欲が減退
⇒ 売れる時に売るべき
ホテルは「売却を考え始めたら、売上を落とす」場合がほとんどだ。
数十店舗を運営するホテルグループの場合、管理するシステムができているから
オーナーが売却を考えても、運営は変わらずやることもあるが、
数店舗規模のオーナー企業の場合、オーナーの意欲がなくなったら、売上を落とす。
「売るかもしれないから。。」と思うと、新しいイベントをやらなくなり、
新規フードメニューを考えなくなり、POPを変えず、設備を新しくせず、
スタッフの採用を控え、とすべてが消極的になる。
「勢い」「やる気」は、お役さんに伝わるもの。
そうなると売上が落ちるのは、あっという間だ。
これはホテルだけの話ではなく、会社売却（事業売却）も同じだろう。
経営陣の事業意欲が下がれば、業績も下がる。
それならば、能力と意欲のある経営者に委ねたほうがいい。
業績が落ちているなら、売却可能な時に売らないと、会社に価値がつかなくなり、
いずれは倒産・廃業に追い込まれてしまう。
引き際は難しい。
他人事ではないとつくづく思う。
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