「幸せな老人」と「不幸せな老人」。その違いは！？

先日、高級老人ホームに住む知人を訪ねた。

「老人ホーム」といっても、そんな雰囲気はなく

海沿いにあるタワーマンションという感じだ。

〝さすが三井不動産″やることが違う。

エントランスは、三井不動産のタワーマンションに匹敵するもので

入口にはコンシェルジェがいる。

共用部は広々し、ほとんど使われないであろう空間にソファが並ぶ。

カラオケ、麻雀、ビリヤードの部屋、会議室、図書室、露天風呂、プール、ジムもあり、

レストランも。。

スタッフの対応もよく、やたら人数も多い。

　
　
　
　
　
　
　

まさに、至れり尽くせりの〝終のすみか″だ。

「こんな老後も悪くないなぁ」と一瞬思ったが

「ここにいたらボケそう」とも。。

すべてが揃っている上に、やたらに広い空間。

バリアフリーで広いと、他者との関わる必要がなく、

不便さがないからアレコレ考える必要もない。

居心地の良い空間だ。

「ちなみに、いくらするんですか？」

さらっと聞いてみると、５０００万円ほどとのこと。

おかしい。。

この物件が５０００万円というのは安すぎる。

突っ込んで聞いてみると、所有権ではなく賃貸で、５０００万というのは入居する際の１人あたりの一時金。

それ以外に月額賃料、月額サービス料があり、食事代はレストランと同じで都度かかる。

ご夫婦で入居されているから「×２」。

価格も〝さすが三井不動産″。。

「お金は墓場まで持っていけないからな」

と言うが、株や不動産、現金など〝それなり″以上の資産は持っている。

お金は持っているが、足が不自由になり億劫だから出かけることもしないわけで

歳を取ってお金があることの無意味さを感じた。

幸せなのだろうか。

２年前「終のすみか」として都内にエレベーター付の２世帯住宅を新築した。

娘さん家族に面倒を看てもらう老後を期待してのことだ。

それなのに、、自分たちが出ていくことになるとは考えもしなかったろう。

なんだかなあ。。

元気なうちに、お金なんて使ってしまえばよかったのに。

娘の家族を支えたことが幸せだったのかもしれないが。。

「幸せな老人」と「不幸せな老人」がいる。

僕があれこれ思うのは僭越なことだが、この違いは何だろうか。

若い頃は、仕事で成功し資産を持る幸せになること思っていた。

しかし今は違う。

カネと地位があっても、不幸せに見える老人を多く見たからだ。

仕事によって得られる金や地位は、必ずしも人を幸せにしない。

なぜだろう？

仕事で成功し、お金や地位を得ることは嬉しい。

しかし、その幸福感は長続きしない。

人は「地位財」を得ると、その瞬間は満たされるが、すぎに当たり前のものになり

さらなる「地位財」を求める。

それを繰り返しては、いつまでも満たされない。

仕事人として生きているうちは、それでもいい。

常に「地位財」を求め続け、勝ち続けていれば幸せになるからだ。

しかし、誰もがいつか、仕事人ではなくなる。

その時「地位財」は無意味なものとなる。

求め続けて仕事人でなくなり、気がつけば老人になった時、どうなるのか。

そんな人は意外と多い。

僕がそんなことを漠然と思うようになったのは、バリ島の不動産、ヴィラに関わり、

余裕資金を持つ年配者とつき合うようになってからだ。

お遊びで数千万～億のヴィラを買う人なのに「あれっ？」と思うことがある。

こんなにお金を持っているのにどうして？という人は多い。

人は本能的に地位財を求めるもの。

目の前にあるニンジンだから、つい取り続けてしまう。

そうやっていつの間にか歳を取り、それでも気がつかずに、また歳を取る。

何か違う。

歳を取っても気がつかずに、そのまま死ねれば幸せかもしれない。

でも僕は違う。

では、どうしたらいいのか。

地位財という分かりやすく短期的なものではなく、長期的に満たされるものを見つけることだ。

例えば、人とのつながり。

誰かの役に立つことで満たされることは、長期的だ。

あるいは、自分らしく生きて、自己実現をする。

こちらは地位財とは無関係に満たされるものだ。

この点については、確固とした答えを見つけたわけではない。

でも、漠然とではあるが、最近少しずつ分かってきた気がする。

僕は不完全な人間。

だからこそ、自分なりにしか生きられなかった。

それでよかったのかな。