第14話「光と闇の戦い」

 

天界の神々や天使達は、魔族が起こしたとされる新型ウィルステロによる混乱を抑えようと奔走していた。

 

 

彼らは担当を分け、天界と人間界の双方で同時に対応することになったのだ。

 

天界では医神と植物神の恊働により、治療や予防活動が行われ続け、感染拡大の危機を乗り越えていた。

医神アスクレピオス達は新型ウィルスのデータを日夜集め続け、安全なワクチン開発に邁進していた。

 

 

一方、植物神は植物を用いて、免疫力を高める試みをしていた。

 

このようにして2つのチームは協力しながら、それぞれの任務を全うしていたのだ。

 


そして、治験が行われ続け、遂に天界にもワクチンが完成したのである。

副作用が少ない安全なワクチンだ。

 

これで天界の未来は守られたのだ…!

 


(だが問題は人間界だな…)

 

神々や天使達は天界でワクチンの開発に成功したものの、人間界では未だワクチン投与による副作用や死亡例が多発していたのだったーー

 

***

 

 

その頃、魔界ではバエルから報告を受けていたルシファーが苛立ちを見せていた。

 

 

バエルの報告によれば、人間界は混乱しているものの、今のところ死者数は抑えられているということだった。

 

 

そして人間界を牛耳る闇の組織についても、勢力が弱まりつつあるというのだ。

 

「人間達の負の感情…不安、恐れ、怒りといったものは、我々にとっては好都合だ」
ルシファーは言った。

 

闇の組織、そしてその背後にいる魔族は、人間達の負の感情というエネルギーを吸収し力を蓄えていたのだ。

そしてルシファーはそれを利用しようと考えていたのである。


「このままではまずいな……」

 


魔王ルシファーは焦っていた。というのも彼の想定以上に人間の負の感情が集まらなかったからである。

 

このまま事態が膠着してしまうのは魔族にとって非常にマズイことだった。

 

なぜなら、天界の光側による、人間界の支配構造を崩して闇の組織を解体する計画は、ずっと前から進行していたからだった。

 

 

人間界は何世紀もの間、闇側に支配され、人間達は闇側の奴隷同様に搾取され続け、闇は深まる一方だった。


事態を重く見た天界の光側は、水面下で計画を慎重に進めていたのだ。

 

その計画は順調に進んでいたはずだったのだが、ここで想定外のことが起こってしまったのである。

 

 

それが今回の、「天界と人間界同時ウィルステロ」である。

 

魔族は追い詰められていたため、悪あがきをしたというわけだった。

 

 

彼らは人間界のみならず、天界の支配をもくろんでいたのだ。
そのために必要不可欠なのが、負のエネルギーを集めることだった。


「こうなったら、人間達の負の感情を増大させるしかないな……」

 


魔王ルシファーはそう言うと、配下の悪魔達に命じた。

 

 

「人間どもにさらなる恐怖と絶望を与えるのだ!」
かくして新たな計画が始まったのだったーー
 

第15話に続く・・・

 

 

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