第6話「ワクチンの疑惑」

 

人間界では新種の植物が発見されてから数日後のこと、世界各地で奇妙な現象が起こり始めていた。

その異変に最初に気付いたのは、植物神達だった。

彼らの働きにより、新種の花が次々と見つかり新種の植物による被害の拡大を防ぐことができたのだ。


新種の花が発見された場所を地図上に示していくと、不思議なことにそのほとんどが天界のある場所に近い場所ばかりだったのだ。

それを知った植物神達は驚きを隠せなかった。

何故ならその場所こそ、天界で現在起こっている緊急事態の原因がある場所だったからだ。

そこで調査隊は、新たに見つかった新種の花の調査をすると同時に天界の様子を探ることにした。

だが、そこにもまた思わぬ障害が立ち塞がっていた。

調査隊の一部が行方不明になったのだ。どうやら調査中に敵に捕らえられたようだ。

(そんな…!調査隊にはアドニスもいる……!)

親友である植物神アドニスも行方不明になってしまい、ヒュアキントスは大きなショックを受けた。

(無事でいてくれ……!)

 


そしてヒュアキントスはすぐに捜索隊の派遣を要請した。


またしても天界に問題が没発してしまったのである。
***

一方、人間界もさらなる混乱が起きていた。

新型ウィルスの感染拡大を防ぐため、世界中に緊急事態宣言が出されたのだ。

それにより各地で外出禁止令が出されていた。


これにより経済活動が停止してしまい、多くの企業が倒産に追い込まれたり失業者が増加するなど社会情勢に大きな影響を与えていたのだった。

経済においても混乱が生じ、また新型ウィルスへの恐怖と行動制限のストレスにより、人々は精神的に追い詰められていったのだったーーー 


さらに追い打ちをかけるように、感染者は日に日に増していき、医療現場はパンク状態で疲弊しきっていた。


感染拡大を抑えるため、人間界でも新型ウィルス用のワクチンが開発され投与が開始され始めたーー

***

天界では、医神アスクレピオスが部下から人間界の状況について報告を受けていた。

ワクチンの投与が世界中で開始されたと聞き、彼は眉をひそめた。

 



(おかしいぞ…。ワクチンの開発があまりに早すぎないか…?)

アスクレピオスは不審に思っていた。

(新型ウィルスとなればワクチンの開発は時間がかかるはずだ。早急に進めたのだろうがそれにしても完成が早い。待てよ…?まさか…)

彼は思わず机を叩いて立ち上がった。

(予めワクチンが開発されていたのではないか!?人為的なウィルスと共に…。人類へのワクチン投与も計画されていたということなのか…)

アスクレピオスは自分の考えが正しいと思い始めてきた。

 



やはりこれはウィルスを使ったテロなのだーー

(もしそうだとすれば…人間達の中にも敵が紛れ込んでいるということになる!まずい……早く手を打たなければ!!)

こうして、神々は人間達の中にいるであろう敵を探し始めることになったのだーー

 

第7話に続く・・・

 

 

※この小説は架空の物語であり、新型コロナウィルス等とは無関係です。

 

小説は本来、白黒表記のみですが、掲載媒体がブログなので、あえてブログに寄せて文字装飾をしてます。読みやすさの方を優先してます。

 

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