第12話「反ワクチンと情報戦争の始まり」
解放された捕虜と共に天界に戻ってきた救助隊は、すぐさま最高神や主神達に報告した。
敵の情報、そして敵の目的が入手できた事は大きな収穫だったが、それと同時に脅威も増すことになった。
なぜなら、敵は恐ろしい計画を企んでいたからである。
「やはりそうだったのか……」
報告を受けた神々が言った。
「あの計画は以前から懸念されていたことだ……」
北欧最高神オーディンは深刻な表情で語り始めた。
「あれは禁断の計画なのだ…。いずれ人類を滅ぼすことになるだろう……。一刻も早く手を打たなければならん!」
それを聞いて救助隊のメンバー達は驚きを隠せなかった。まさかそのような事態になっていたとは思っていなかったからだ。
だがそれも無理はないことだろう。今までずっと平和だったのだから。
「しかし、なぜ敵は企みを我々に明かしたのか…まだ何か裏があるはずだ…」
神妙な面持ちで呟いたのはミカエルだった。
確かにその通りだとシヴァは思った。むしろこれからの方が危険なのかもしれない。
神々は魔族の思惑を阻止するべく、すぐに対策を講じることにしたのだった。
***
一方、人間界では新型ウィルス対策のワクチン接種が邁進されていた。
だが、医神アスクレピオスが案じていたように、このワクチンには重篤な副作用もあったのだった。
その症状は多岐にわたり、中には命を落とす者もいたのだ。
アスクレピオスは部下と共に調査を進めていたが、その結果、思いもよらぬ事実が発覚した。
(まさか、こんな仕掛けが用意されていたとは…)
アスクレピオスは戦慄した。一部のワクチンの中に抗ウイルスではないものが混入していたのである。
それはなんと植物の種だったのである!しかも新種の植物だ!
魔族は、新種の植物を使いワクチンにまで細工を施していたのだ。
そしてそれは、ワクチンを使った人口削減という単純明快なものではなかったのだったーー
人間界では、ワクチン接種による副作用や死亡者が出ていることが問題提起されていた。
そしてワクチンは危険だという情報、陰謀論がネットやインフルエンサーを通じて、一気に拡散された。
そして「反ワクチン」を唱える集団が続々と現れ始め、流行するようになった。
こうして人類は、ワクチンを巡りさらに分裂し、争う方向に向かっていった。
ワクチンの有効性を主張する者、危険視する者は対立する一方で、ついに「情報戦争」が巻き起こったのだった。
人々は何を信じればいいかわからず、情報に翻弄されていった。
その仕掛けを作ったのは四魔貴族の一人、バエルであったのだ!
彼はメディアを利用し、人々の不安を煽るような言動を繰り返していた。まるで扇動者のようであった。
(全く、人間というのは弱い生き物だな……)
バエルは嘲笑っていた。所詮人間など操り人形にすぎないのだと……。
彼は人々を煽動し、対立を煽りながら、ある計画を進めようとしていたのである。
第13話に続く・・・
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