History does not repeat itself, as the saying goes, but it does often rhyme.
Today, as Ukraine fights not just for its sovereignty but for the principles that underpin the democratic world, we are confronted with echoes of that fateful year. Once again, there are voices urging compromise, suggesting that stability can be purchased by sacrificing justice. Once again, there are those who believe appeasement can satisfy a dictator’s ambitions.
But as Czechs, we know too well the cost of such thinking. Munich did not bring peace. It ushered in occupation, destruction, and one of the darkest chapters of the 20th century.
(Jan Lipavský, Czech Foreigh Minister)
(訳)
諺にあるように、歴史は繰り返さないが、韻を踏むことはよくある。
今日、ウクライナが自国の主権だけでなく、民主主義世界を支える原則のために戦う中、私たちはあの運命の年が残したものに直面している。再び、妥協を促し、正義を犠牲にすることで安定が得られると示唆する声が上がっている。再び、宥和政策で独裁者の野望を満たすことができると考える人たちがいる。
しかしチェコ人として、私たちはそのような考えがもたらす代償をあまりにもよく知っています。ミュンヘンは平和をもたらさなかった。それは占領、破壊、そして20世紀の最も暗い章の一つをもたらしたのです。
(ヤン・リパフスキー、チェコスロバキア外務大臣)
2/4ヨーロピアン・プラウダ寄稿
新大統領トランプが就任し、和平交渉の協議が始まったが、今のところこの協議はロシア寄りで、ゼレンスキーが除け者にされている理由は就任(2019年)から6年の彼はすでに任期切れで、ウクライナを代表して交渉する資格なく、協議は最高議会議長(2021年就任)相手に行うべきだというプーチンの主張をトランプや周囲のBAKAな国務長官たちが真に受けていることにあるとされる。
ただこのレトリック、戒厳下で選挙が行えないことがあるし、行ったら行ったで投票所にミサイルが撃ち込まれることが確実なのであるから、ゼレンスキーが表見大統領として現職にとどまるのはやむを得ないといえ、ウクライナ国内ではこの問題はすでに解決されている。ここで私の見る所、ゼレンスキーの正当性に関するプーチンの主張は概ね以下の三つがある。
1.ゼレンスキーは賞味期限切れ
先にも述べた通りゼレンスキーがウクライナ大統領に就任したのは2019年5月20日で、大統領の任期は5年なので、彼の任期は2024年5月20日に終了し、5月の最終日曜日または90日以内に選挙も行われていないので、5年以上の任期の例外を認めないウクライナ最高裁の判例、戒厳中の権限の維持に関する§83のような経過規定が大統領にないことから、2025年の現在では自称大統領は法的に国家元首ではないという主張。
2.現在のウクライナ政府は非合法政府
2014年のマイダン革命で当時のヤヌコーヴィチ大統領がロシアに亡命し、ポロシェンコ政権が成立したが、当時EUと共に紛争の仲裁に当たっていたロシアによると、これは西側工作によるクーデターで非合法政権だという主張。当然、ポロシェンコの後を襲ったゼレンスキーも非合法大統領である。
3.CISみかじめ料
上記二つとは理由が異なるが、現在のウクライナは1922年にレーニン、1939年と45年にスターリン、1954年にフルシチョフが繰り入れた領域を含むモザイク国家で、非合法政権は認めるにしろ、旧ソ連で取得した領土は返せという主張。ルーマニアで極右の大統領候補がリヴィヴを含む旧ルーマニア王国領を編入せよという主張をしているのも同様の文脈による。
※ あと、日本でも一部の国際政治学者が主張しているが、2000年以降のNATOの東方拡大はネオコンの陰謀という説もある。トランプはコンサバであってもネオコンではないので、ブレジンスキー(故人)などネオコンの親玉に義理立てする必要はあまりないが、このネオコンというもの、現在では諸派に分派し、著名な政治家、官僚、学者がみんな何某かのネオコンに類別されるようなものになっており、おそらくオバマやトランプも含み、ネオコンの現在は「ザ・リベラリスト」など、独立戦争時代からある概念で、現在は希釈されてしまったリベラルとあまり変わらないものになり果てている。日本でも良くテレビに出る小泉某などは東京ネオコン、石破茂は山陰ネオコン、山口二郎は左翼ネオコンなどとしておけば、当たらずといえども遠からずで、それで問題ないようなものである。
というわけで、選挙の件で説得できても、ロシアが他の二つあるいはそれ以上の主張を繰り出してくることは確実であることから、事情を知らない新大統領とその取り巻きは交渉するつもりでロシアに説得されてしまうかもしれない。1922年と54年の領域についてはすでにロシア占領下にあることもある。
何とも呆れた話だが、ロシアのこれらの主張は手前勝手な理屈で、何が何でも侵略を正当化したいとしか見えないものでもある。トランプとの協議にしても、一方当事者の頭越しに和平など実現するはずはない。どうなるかはやってみれば分かるが、やってみなくても分かるものを深謀遠慮、または知恵という。
トランプはメキシコ、カナダ、中国に15~25%の関税を課したが、中国以外は撤回しており、今後も同様の手段に頼ることが予想できることから、EUではロシアを除くウクライナ、エジプトと地中海沿岸国および西アジア、トルコ、イスラエルを加えたブロック経済圏の動きがある。現在のEUよりは緩い枠組みで、トランプの横暴に対する緩衝材とする様子である。この枠組みでは食糧自給国のウクライナは一角を占める。
歴史は繰り返さないが、トランプの歴史はすでに韻を踏んでおり、この先どうなるかはたぶん、これあるを予測していた者が少なくなかったこともあり、彼の予想とは大きく違ったものになるだろう。
Do we really want to live in a world where the aggressors and war criminals escape accountability while we, the democratic world, foot the bill for reconstruction? Do we really want to live in a world where Russia's frozen assets are returned, as if nothing ever happened?
This is not peace — it is surrender dressed up as diplomacy.
(訳)侵略者や戦争犯罪者が責任を逃れ、我々民主主義国が復興費用を負担する世界に我々は本当に住みたいのか? ロシアの凍結資産が、まるで何もなかったかのように返還される世界に我々は本当に住みたいのか?
これは平和ではない、外交の装いをした降伏だ。
(ヤン・リパフスキー、2/4ヨーロピアン・プラウダ)