不法移民を巡るアメリカとコロンビアのドツキ合戦はトランプの勝利に終わったが、小さな成功体験でもないよりはマシであり、また彼の単純な思考は80年続いたパレスチナ問題などなかったかのようであり、ガザ地区の住民を追い出して跡地にイスラエルと合弁の「トランプタウン」を建設するという計画らしい。まあ、日本でも北方四島の住民はほぼ同じ期間根室に移住したままだから。
で、ウクライナはというと、国務長官の言では軍事援助には影響ないという話であるが眉唾で、民間援助はほぼ切られ、ディールな大統領令は全世界で滞りなく執行されているようである。ついでにチャシフ・ヤールとヴァリカ・ノボシルカが陥ちた。これも昨年にウクライナ軍が奪回した時から廃墟だったからどちらでも良いか。死人はたぶん出ているが、考えるのを止めよう。
今回はそういった話ではなく、前回紹介した当事国の軍歌に二三付け加えたいと思う。ロシアはほとんどないが、ウクライナは2022年の侵攻以降、士気高揚にいくつかの軍歌を発表しており、結構良い曲が多い。「新軍の行進」は前回紹介したが、今回はそれ以外の曲。なお「チェルノバイカ」も前回紹介したが、マイナーなのでもう一度載せておく。
1.ウクライナ軍歌・愛国歌
「ウラジミールはダメだ」
戦争1年目に公表された軍歌、説明通りフィンランド軍歌「モロトフはダメだ」の替え歌。この頃はバイラクタルがまだ有効だった。
「チェルノバイカ」
前回に引き続き再掲、ヘルソン郊外のチェルノバイカでウクライナ軍が勝利したことを祝した歌。なお、この戦いでモルドヴィチェフ将軍が負傷し、現在は中央管区軍司令官(結構長続きしている)の彼のトラウマになっている。
「ウクライナが勝つ(ウクライナ・ペレモケ)」
2022年5月に発表された愛国歌、ウクライナ軍参謀本部軍楽隊共演、歌手のうちМихайло Хома(DZIDZIO)とЄвген Кошовийはドラマ「国民の僕」に出演している。コンサートでは「勝利(ペレモケ)」の部分をあえて歌わずに観客に唱和させる演出が用いられている。
※ ウクライナ軍では軍楽隊は参謀本部の所属。なお、スペルではж(zh)があるので「ペレモジェ」だが、こなれていないので、演奏時の発音に近い「ペレモケ」とした。演奏により「ジェ」と聞こえる場面もある。細かく言う人もいるが、公的見解で統一された訳がない限り、外国語の音や訳をどう当てるかはこちらの自由である。
「地上に、空に、海に」
2022年8月に発表された愛国歌、同じく参謀本部軍楽隊の共演なので、行進している軍人にペレモケと同じ面子が登場する。Михайло Хома(DZIDZIO)も引き続き登場。
2.その他
「コサックの忠誠」
コサック民謡だが「国民の僕」ではEU委員との折衝の場面にユーモラスに用いられている。
「コサックの夜明け」
ウクライナの歌手NAVKAによるコサック民謡
「隼よ」
ウクライナの歌手Eileenによるコサック民謡
「鯨取りの歌」
ウクライナの歌ではないが、アイリーンの一人演奏が面白い
ウクライナの士気高揚の歌は他にもあるが、戦闘の長期化、膠着化により最近はあまり見られなくなっており、2022年頃の歌がメインである。ロシアでは同様の曲は既存の軍歌以外見られないが、これはロシアではこの戦争は「特別軍事作戦」で、戦争ではないことから、戦意高揚の歌は作られなかったものと思われる。
目的はともかく、音楽性はどの曲も高いように見えるが、その背景としてコサック音楽の伝統があるだろうことを考慮して、その他ではコサック民謡をいくつか取り上げた。