異常犯罪の専門家である元CIA捜査官と、相棒を亡くした警察官がチームを組んで、猟奇犯罪を解決してゆくシリーズ。主役のラインハートがゲイである、というのは特徴のひとつになっているようです。
相棒のリジーは、セルビア系オーストラリア人だそうで、ちょっと「羊たちの沈黙」のクラリスを思わせる風貌。恋愛感情は持ち得ない男女のバディ・ムービーというのは、ひとつの可能性なのかもしれません。
とりあえず2話を見終わったところなのですが、まだノッてきた感じはないです。ラインハートの専門性や鋭さ、というのがもう一つハッキリ打ち出されてこないのがキレのなさにつながっているような。大学教授としての分析眼も、現実の犯罪の前にはいま一つ利いていない感じで、次の犯罪を予測することも、現場を分析することも、能力的には中途半端で、「メンタリスト」のジェーンや「エレメンタリー」のホームズには見劣りする感じ。2シーズンで打ち切りになったのは知っているので、とりあえず最後までみてみようかなと。
LOSTのレギュラーだった一人ナヴィーン・アンドリースが、CIA時代のツテとして登場します。あと、ラインハートが作家として一作だけヒットを飛ばしていて、でも二作目がイマイチだと酷評している編集者がウーピー・ゴールドバーグ。
原題のNight on Earthを、「ナイト・オン・ザ・プラネット」とすると、ちょっとニュアンスがズレてしまうのは惜しいなと思っています。宇宙的なスケールよりは、より「地上」にこだわった原題をそのまま読んだ方がよかったのでは。
細かいことですが、各ストーリーの地域が切り替わるときの時計、わざわざ逆回転して、すべてのストーリーが並行して同じ時間にスタートしている、ということを強調しているんですね。
公開当時はウィノナ・ライダーの初々しくもふてぶてしい演技が新鮮で、彼女にとってもやりがいのある仕事だったんだろうな、と思ったりしたのですが、改めてみるとジーナ・ロウランズの、ゆとりをもった確かな演技があってのシーンだなぁと思いました。
ローマ編のロベルト・ベニーニ、公開時はものすごく笑ったんですが、今見るとすこしはしゃぎすぎのようにも見えて、「ジョニーの事情」の方が作品としては好きだなぁ、とか思ったりしました。ヘルシンキ編のおかしくも悲しい物語に、人生の悲喜こもごもという感じです。
ムービープラスで放送していた「クリムゾン・リバー」のテレビシリーズを録ってあったので見始めました。
元々はジャン・レノ主演で2本映画がありましたが、原作は小説のようです。
いまシーズン3まで作ってあるみたいですが、さらに続くのかどうかはわかりません。1シーズン8話で、2話で前/後編の物語という作り方のようです。ニーマンス警視の犬嫌い設定はやはり生きていて、その理由についても説明があったりします。相方のカミーユ、ちょっと知り合いの映画監督に似てる赤毛の美女。少しソフィー・ホフラックにも似てるかも。
主題は貴族の広大な敷地だったり、カルト教団だったり、ヨーロッパの森の深い陰鬱な空気が濃厚で、アメリカのテレビドラマとは全然違います。展開する事件も、海外に舞台を移した、横溝正史ものっぽくて、あまり論理的に緻密な推理はないのですが、引き込まれる部分はありますね。
話としては、ナルシスト男のワンマンショーであった「メンタリスト」とは対極にある、女性によってドライブされる物語。シーズン1では育児がらみの話も少し出てきたけれど、シーズン2は、刑事部長の地位を失った元夫のジェイクと、今の恋人のイケメン料理人トニーとの関係が中心になっている感じ。
多少の粗さは目立つにしても、題材はなかなか面白くて、基本はコメディーのノリだけど、時々しんみりする。容疑者が次から次へと入れ替わるんだけど、捜査の作法は結構行き当たりばったりな感じで、「メンタリスト」のような奇想天外な手法は取らないので、ものすごく勘が冴えている刑事ローラの凄さ、という点はあまり際立っていない。
元々はスペインでヒットしたテレビシリーズのリメイクらしい。企画も脚本も実は男性。このあたり、女性からするとワーキングママの現実や、夫に対して言いたいこと、のリアリティーについては限界があるのかも。
ついに見終わりました。シーズン7。シーズン6の終わりがちょっとベタでも盛り上がって終わったので、どうなるかな、と思ったら、ちょっと健全になった二人の関係から、FBIのチーム全体がジェーンの立案に乗って作戦を遂行する形に変わってきて、これはこれで安定した作りになったかなと思います。途中からヴェガ捜査官が新人として加わって、シーズン6の途中で抜擢されたワイリー捜査官との関係性も含めて、楽しみのひとつになりました。ヴェガ捜査官の退場の仕方は少し惜しいなと思いました。
あとは、いつのまにか立派な「ボス」になって、すっかり信頼関係を築いたアボット。かつてジェーンを引き抜いたときの、あの「リスト」の扱いはなかったかのように忘れられて、途中で昇進・異動が決まるとか、シーズン6の悪役ぶりがウソのようです。たぶん、あのリストの暗号を解くのに時間をかけても、「レッド・ジョン」をスケールダウンした繰り返しにかならない、という大局的な判断だったんでしょうね。
あれだけ苦労して取り戻したリズボンをまた途中で手放しかけるジェーン、ちょっと理屈が身勝手すぎて、共感しづらい部分もありましたが、最後は大団円でよかったなぁと思います。
「メンタリスト」のシーズン6を観てます。シーズン7で完結するのを知っていたので、シーズン6の序盤にこんなに大きな山場が来るとは思ってなくて、びっくりしました。で、リグズビーとヴァンペルトもフェードアウトしてしまうのか、と思わせて、実は次の大きな流れの準備に使っていたとは。
捜査の舞台がCBIからFBIに移ったことで、建物のデザインや映像の色使いがより無機質になり、青を基調とするようになりました。それが少し堅苦しさを思わせたりします。
ジェーンとリズポンの関係で言うと、FBIのフィッシャー捜査官が初期のリズボンのようにジェーンをコントロールしようとしては裏をかかれて苛立つ立場に置かれるので、リズボンはこれまでと違って少し高みの見物をする気楽さがありますね。ジェーンにとっても上司ではなく、同僚の立場なので、責任がないのですが、その分、捜査における存在感も少し薄れて、ジェーンのソロプレイが増えている感じがします。過去のシリーズのフォーマットに囚われないよさもあるのでしょうが、事件にすんなり入れないデメリットと半々、という感じでしょうか。
あとは、シリーズ完結が近づいているので、これまでにCBIで関わってきた準レギュラーキャストや捜査の仲間たちが、少しずつ消されたりし始めています。愛嬌のあるキャラクターも少なくなかったので、それは残念でもありますね。
「メンタリスト」の連続視聴も佳境に入ってきて、いまシーズン5の真ん中へんです。
シーズン2以降から俄然盛り上がってきた感じがしていて、特にパトリック・ジェーンとリズポン捜査官の関係性に成熟が見えてきたのが回によっては非常に楽しめるので、その視点から考えたキーポイントをエピソードごとに。
まず、最初に文句なしに引き込まれたのはシーズン2の16話「コード・レッド」。ここで、ジェーンは研究所にいる全員が致死性のウイルスにさらされたので確実に死ぬ、と信じ込ませて、リズポンも巻き添えに。リズポンがチョウに感動的な告別を述べるのを聞いて、それをおもむろに誉めてから真相を明かす。翻弄されてからジェーンをグーで殴るリズポンの豹変する表情も見事ですが、「僕には連絡をとる相手は誰もいない」と話すジェーンが「連絡をとるなら君だけど、ここにいるから」と聞いたときの眼のきらめきの表現がステキです。
シーズン3の20話「ジェーンに赤信号」は、普段とは逆にジェーンの苦境をリズポンが迷いない行為で解決する、という話。あれをやってもこれをやってもうまくいかない、というジェーンの小細工が少し稚拙なのには眼をつぶるとして、ラストに容疑者をぶん殴って釈放せざるを得ない状況を作り出すリズポンの頭の回転と肝の据わり方に、改めてほれ直した感じです。結果としてリズボンは1週間の停職を食らって、アンガーマネジメントを半年も受講する羽目になるので、だいぶ損な役回り。ラストで珍しく素直にジェーンが「ありがとう」と言うのも当然かと思います。
シーズン3の23話「ストロベリー・クリーム:パート1」では、自爆ベストを着せられたリズポンをジェーンがギリギリのところで救うのが、やはりお互いを決して見捨てない二人の関係性を感じさせます。
シーズン4の3話「赤いバルーン」は、ジェーンの霊能者時代の顧客が相手であることを知り、複雑なリズポンの表情が見られます。
シーズン4の6話「カーマインの行方」では、以前にリズポンの遺言に登場した弟トミーが娘とともに登場。幼いときから面倒を見てきた弟をいつまでも一人前として認めてあげられない過干渉な姉、としてのリズボンの一面を見せます。ジェーンの相手が務まるのも、この育ちが大きいんでしょうね。トミーもジェーンと姉テレサの関係をほほえましく感じ取っているように思えます。
シーズン4の7話「点滅するレッドランプ」は、毒を盛って毒を制す、の例えのように、シリアルキラーを止めるためにシリアルキラーの親玉「レッド・ジョン」をジェーンが利用する、という異例の展開。ある意味尻尾を捉えられなかったジェーンの失敗とも言える話で、リズボンはこういう手を使うことでレッド・ジョンを無意味に刺激しているのではないか、と心配。加速度的にレッド・ジョンにのめり込んでいるジェーンから陽気さが次第に消えていっているシリーズを象徴するエピソードです。
シーズン4の10話「赤のフーガ」は、真犯人に溺死させられかけて一時的に記憶を失ったジェーンが、霊能者として振る舞い始める例外的な話で、序盤に意識不明のジェーンを見つけて半狂乱になるリズボンの取り乱し方、普段よりも能天気で無責任なジェーンに振り回される様子とともに、ジェーンを自宅に連れ帰るリズボンの表情から目が離せません。最後のセリフがリズボンのI'm sorry.で、字幕だと「つらいわね」なのですが、これはちょっと違うと思っていて、「(つらい記憶を思い出させて)ごめんね」なのだろうと思っています。放っておけば、妻子をレッド・ジョンに殺された記憶は失ったまま、本人にとっては幸せな日々が送れるのかもしれないけれど、本来のジェーンにとってそれが幸せなのか、リズボンは最後まで悩んだはずで、彼に記憶を取り戻させるからには、最後まで自分も責任をもってつきあう、と覚悟したはずだと思っています。
シーズン4の18話「赤いお茶」は、本筋とはあんまり関係ないですが、冒頭のシーンでトラが1頭逃げ出したのに落ち着いているジェーンが「君より速く走ればいいんだから」と、急に本気モードで走り出すところが見物です。
シーズン4の21話「ルビー色の魔法の靴」は、普段は法律を曲げずに筋を通すべき、とするリズポンが、珍しくラストで迷いなく真実を明かさずに済ませるようになる回で、ショーを見ながら涙を流すリズボンを茶化すジェーンが楽しいです。
シーズン4の22話「さようなら、今まで赤魚をありがとう」は、珍しくリズボンの過去が語られて、かつて婚約者だった男が容疑者にもなる回なのですが、リズボンはあくまでもリズボンらしく、ジェーンもあまりジェラシーを見せず、オトナの対応を見せます。
シーズン4のフィナーレ「赤い制服のウェイトレス」は、前回の終わりでCBIをクビになったジェーンが行方をくらまし、リズボンは捜査に追われる日々。ある日祈りに来た教会に、神様のフリをしてジェーンが語りかける、という始まり方。安心するやら腹が立つやらで振り回されるリズボンですが、リズボンの身の安全のためとは言え、ここまで秘密主義を通すのはかわいそうな感じもあります。そして、チーム全体もジェーンのため、というよりも「ボスのためにやってる」と言うくらい、ジェーンの暴走ぶりにはあきれている感じがあって、ぎくしゃく感も少なからず感じる回です。
シーズン5の2話「血染めのダイヤ」も珍しい展開で、普段は頭脳明晰なジェーンが幻覚を見る回。病院に運ばれたジェーンをリズボンが心配するのもいいシーンですが、幼くして殺された娘、シャーロットの幻影を追うジェーンを心配そうに見守るリズボン。もう一度娘に会いたい一心で、毒物入りの紅茶を再度試そうとするジェーンのシーンで終わるのが印象的です。
シーズン5の5話「赤い朝焼け」は、いつか来るかな、と思っていたリズボンとジェーンの出会いを描いています。ファッションやメイクも少しずつ変わってきたんだな、ということを感じさせる見事な再限度。リズポンのジェーンへの接し方も非常に節度を感じさせるもので、彼らの過ごした年月が伝わります。
パトリック・ジェーンの過去がフラッシュバックされてインチキ霊媒師の姿を何度か見たことはありますが、記憶喪失によりそれが現代に甦るのは初めてのこと。そしてその姿を見るのが、苦楽を共にしたチームにとっては苦痛でしかない、というのが初めはコミカルに、そして次第にやるせない話になって伝わります。
ジェーン自身は、家族を殺されたという悲劇を思い出したくないという意識の抑圧が働いていて、振る舞いは若々しく、幸せそう。でもその無責任な詐欺師のままで放置していいのか、という問題。それを誰よりも親身になって悩むリズボン。
ジェーンが意識不明になった直後の取り乱し方、記憶を取り戻した直後の二人のやりとり、そしてラストで辛い記憶を取り戻させるという重い決断を下すリズボン、彼女がジェーンと共に生きていくことを暗黙のうちに決意して責任をとる覚悟を決めているからこそのエンディングは、シリーズの今後を決定づけるものでしょう。
https://m.imdb.com/title/tt2086716/?ref_=ext_shr_lnk
陪審員制度だと白昼真っ昼間の復讐殺人が無罪になるのかな、とか脚本には無理があるような気がしますが、その辺は思い切りよく割り切ったんですかね。
第7話まで見たところですが犯人を自白させられないでイライラしたところでテレビの生放送にジェーンが出演して犯人を挑発。結末が、なんとも「こう来たか!」という展開で。監督はパトリック・ジェーンを演じるサイモン・ベイカー本人なんですね。
https://m.imdb.com/title/tt2069566/?ref_=ext_shr_lnk







