衝撃的な終わり方を迎えたシーズン2。ジェーンをおちょくるように犯行を重ねるレッド・ジョンの狙いは?

このシーズンでは、チームとしての活躍ぶりよりは、その周辺の状況が変わっていく、その様子を楽しむのかなと思います。ヴァンペルトが新しい彼氏を作ったり、ジェーンの能力に対抗するようなライバルが現れたり、レッド・ジョンの内通者がCBIにいるらしいとわかったり。

ラスト2話は連続もので、その伏線を回収してまさかの大団円?と思わせましたが、そうは問屋が卸さないのでしょうね。

個人的に印象に残ったのは、20話で、事件そのものは大したことないんですが、ジェーンに頼まれてラローシュの秘密を探ろうとしたコソ泥が捕まってしまい全てを白状しようとする回。ジェーンの奇策がいつもと違って全然ハマらないというコメディー仕立てなのですが、最後にリズボンがかっこよく決めてくれる感じで、二人の信頼感がよく伝わってきました。

チョウとリグズビーの関係もより強固に、そしてヴァンペルトはやはり若さゆえか危なっかしいところを見せつつ、これを薬に成長していくんだろうな、と思わせました。

 

「メンタリスト」で見たばかりのリズボン捜査官役ロビン・タニーの若いこと。そして「NCIS:LA」のカレン捜査官役クリス・オドネルなので、捜査官兄妹ということになりますね。

父といっしょに山登りを学んだ兄妹、滑落事故で父を亡くし、その時に父のロープを切った兄はわだかまりを抱えて生きている。かたや妹は女性登山家として注目を浴びているという状態。そこに航空会社を持つ資産家の登山計画が飛び込み、無理なスケジュールで登頂スケジュール。当然の如く遭難、ということで救出作戦に兄が乗り出す。

ニトログリセリンが今どき「恐怖の報酬」まがいの登場の仕方でびっくり。そしてろくろく扱いかたも知らずに次々に爆発させて雪崩を起こすのでびっくり。

助けられるかどうか、の縦軸は、そんなにうまくいくの?とか、こんなにたくさん犠牲を出して、最終的に助けられたのは…、とか、いろいろとツッコミどころはあるでしょうが、いちおう収まった感じ。他に、スコット・グレン演じる山オヤジの、数年前に奥さんを亡くした事故の事情が絡んで、復讐話になりかけたり、というひねり。ハッピーエンドでありますが、山の中で起きた事件個別は不問に付す、ということでしょうかね。

リーダーとして参加する名登山家役に「Xファイル」のクライチェック捜査官も登場してるので、この映画捜査官だらけです。考えたらスコット・グレンも「羊たちの沈黙」では捜査官でしたか。ビル・パクストンもなにかで捜査官をやっていそう。

いくつか安っぽい合成のシーンがあったりしますが、山の映像は昨今のCGでなんでもやります、という感じよりはリアルな実景もあって、見応えある映像もあります。陥る危機のタイプがあまりバリエーションないのですが、山は怖い、というのはよくわかりました。山をなめちゃいけない!

 

「メンタリスト」のシーズン2を見始めていて、1話40分なのでサクサクと見進めていて、ヴァン・ペルトとリグズビーの関係が進んだりチョウの過去が少しわかったりとして、かたやレッド・ジョンのストーリーはボスコ捜査官に引き継がれておあずけを食らったり、ボスコがチーム丸ごと標的になったりとドラマチックではあるのですが、ちょっとありがちな展開だなぁと思いながら見ていたわけです。

 

で、一番気になっていたのは、ジェーンとリズボン捜査官の関係なわけで、特にシーズン2に入ってから、ロビン・タニーの髪が伸びて、ヘアスタイルもすこしフェミニンな感じになったり、メイクが濃くなったりした気がして、シーズン1の溌剌ぶりが感じられないのが残念だなぁ、と思ったりしていたわけです。

 

そこに来て、この16話「コード・レッド」。これは大逆転、奇跡の1話と言ってもいいような出色の出来で、終盤を何度も見直してしまいました。このシーンが好きな人もいるようで、YouTubeに上げている人もいるので、やはり人気だったのでしょう。

 

ストーリーとしても最初に被害者が死んでいない、というパターン破りの事件。途中で母親が死ぬのを目撃した娘に対してパソコン越しでカウンセリングを施すジェーンのやさしさなど、見るべきポイントが一杯。

 

そしてなんといっても、終盤のジェーンとリズボンの長丁場に、二人の演技の神髄が見られました。リズボンの部下二人への遺言に始まって、ジェーンのリズボンへの告白とも取れる、「電話をかけるとしたら君だけだけど、ここにいるし」。言い方にひっかかってから、ジェーンのトリックを知り激怒するリズボン、ジェーンの説明を聞きながら、事件の真相を知りたいと懸命に頭を働かせるリズボン、真犯人がわかるか、期待しながら待つけれども我慢しきれずに顔面グーで殴るリズボン…。いつもジェーンのペースに振り回されてストレスが多いリズボンの解放されたポテンシャルをこんなに見られてなんとも幸せになりました。

 

 

 

 

前作の悲惨な終わり方から、ちゃんとストーリーに継続性をもたせた続編。

エリック・ストルツのまだ少年ぽい若さと、ダフネ・ズニーガーの素朴さがいいマッチングを見せて、しかも前作のラストのジーナ・デイヴィスのややエゴイスティックな突き放し方と対照的なエンディングで、続編にしてはちゃんと「。」がついた感じがあります。

母親役のジーナ・デイヴィスは、冒頭の出産シーンだけで死ぬならいやだと、出演を断ったようで、別な女優さんがちょっとだけ演じています。

途中の人間ドラマはなかなか魅力的に描かれているのだけど、特殊メイクとアクション中心のシーンになってから、どうも人物の行動原理やリスク管理能力に疑問符がつく展開になってしまい、ちょっと残虐なスプラッターシーンもあるので、好みが分かれるかもしれません。

半分父親のようなつもりで主人公マーティンに接するバルトーク社長、実は技術開発のために実験動物のようにマーティンを扱っていたとわかるところが心理的なミソでしょうか。マーティンの早熟な才能で改善した物質移転のプログラミングのパスワードがなにか、というところで意外に泣かせる作りになってました。




前から録ってあった「メンタリスト」を見始めた。元インチキ霊能者が心理学を応用して関係者のウソを暴いていく、というのは特別に新しくもないけど、チームの人間関係がよくできているのでストレスなく見られる。

大きな縦軸としては主人公パトリック・ジェーンが被害者でもあること。シリアルキラーのレッド・ジョンに妻と娘を殺された過去があり、その犯人に復讐することを生きがいにしている。シーズン1では冒頭と、中盤、そして終盤だけレッド・ジョンに関係した事件が起きてる。シーズンラストで関係者を逮捕して大きく前進したかと思ったところで残念な結果に。

相棒として組んでいる捜査官リズボンを演じるロビン・タニーは「プリズン・ブレイク」でマイケルとリンカンの弁護士を演じた人。誰もが惚れる超美人という感じではないのが逆に魅力。

「エレメンタリー」「ライ・トゥ・ミー」の前に見ていればもっと素直に楽しめたかも。

 

CIAの監視業務がいつのまにか子守になり、その母親との関係になり、というドタバタコメディー。デイヴ・バウティスタのタフなキャラクターを逆手にとった作品ですね。

派手な大立ち回りは得意だけどスパイとしての繊細な情報戦は苦手、という主人公が、潜入捜査をしているうちに監視対象の娘に気づかれてしまい、弱みにつけこまれて学校や家の中のことをやらされていく感じはなかなか楽しかったです。娘の生意気だけど繊細なキャラクターにノーとは言えない感じ、巧妙に演じていたと思います。

サスペンス的には終盤になるまでそれらしい事件が起きないので、スパイものとしてはやや空振り感も。そもそも何のための任務なんだっけ?という感じがするほどにじらされた感じはあります。

戦地で特殊な任務をしている間に人として心を閉ざしてしまった男が、母子家庭とのふれあいを通じて人間としてリハビリをしていく話、と捉えるとまあ納得でしょうか。相棒のIT担当のジェラシーや共感がいい味になっています。

BS4Kで放送したので見直しました。

さすが画質の追い込みが丁寧なのか、シーンごとの赤と青の使い分けが見事。特殊メイクも含めて映画体験に近い映像で楽しめました。DVDで見た時に気になったスタジオセットのチャチさを感じなかったのは、黒の締まりとコントラストがいいからか。

話としても作り物の記憶を植え付けられて偽りの人生を送ってきた主人公が、状況に翻弄されながらも主体的な選択をしていくところや、「人を決めるのは記憶ではない、何をするかだ」というセリフなど、少しお説教くさいけど、比喩的なメッセージとも受け取れて面白いです。

ラストの天変地異なども、ただ荒唐無稽に思えていたのが、映像が魅力的になると、ちょっと宗教画を思わせる説得力が出てくるあたり、やはり画質はいいに越したことはないなと思いました。

 
「ゾーイの超イケてるプレイリスト」のシーズン1を見終わった。
 
原題Zoey's Extraordinary Playlist の extraordinaryは、「想像を絶する」とか、「ものすごい」とか、いろいろ訳し方はあるのだろうけど、「超イケてる」と訳したのは少し邦題としてミスリーディングではなかったかな、という気もする。本人の意図に反して人の気持ちが歌になって聞こえてきてしまう、という不条理さが少し薄れて伝わる感じがある。
 
基本コメディだし、ミュージカル仕立てで進行する楽しい話ではあるのだけど、終盤に向かうにつれて進行性麻痺の父親が衰えていく姿が、14年前に咽頭がんで亡くなった父の闘病生活と重なっていろんな感覚が蘇った。同時にシナリオにも、実際に肉親の死を経験しているからこそ書けるリアリティというものを感じた。
 
第11話で主人公たちが訪ねる、テンションの高い葬儀屋がものすごくおかしくて、顔に見覚えがあったのでもしやと思ったらやはり制作で参加しているポール・フェイグがノンクレジットで出演しているのだった。この人の監督した映画では「ブライズメイズ」「デンジャラス・バディ」「ゴーストバスターズ(2016)」などがあるけど一番好きなのは「SPY/スパイ」で、メイキングを見るとこの人の才人ぶりが如実にわかる。

 

ケーブルでやっていたのを録ってからしばらく見る決心がつかなかったのですがやっと見ました。

説明には「脱獄を繰り返す男の生き様」とあるのだけど、そこから想像するのとは全然違う話だと思いました。

原題はCool Hand Luke と、途中でついたあだ名をそのままタイトルにしているだけ。邦題に付いた“暴力”は内容には全然関係なくて、これは戦争(朝鮮戦争かな)を通じて「神」を失った主人公と、彼に逆に「神」を見出した者たちの物語なのだと思いました。

映像的にも主人公ルークをキリストに見立てた撮り方をしているところがいくつかあるようです。

最初はジョージ・ケネディがビフ的ないじめっ子キャラなのかなと思っていたけど、話が進むにつれて全然違う愛おしいキャラクターに変わっていきました。

他にもチラホラ見た顔があって、ハリー・ディーン・スタントン、デニス・ホッパー、ジョー・ドン・ベイカーのほか、J.D.キャノンという、「警部マクロード」でマクロードの上司役をやっていた人にも気づきました。声を当てていたのが加藤武さんだったのでよく覚えていたというか。

 

原題のDial M for Murderは、「廻せ!」というほど強い命令形じゃなくて、「Mは殺しのダイヤル」ぐらいの意味だろうと思います。実際にストーリーの中でも、犯行シーンで一度出てくるだけで、あんまり映画の内容をまとめた象徴的な意味はないかなと思いました。

レイ・ミランドは中期の「X線の眼を持つ男」をイギリスのテレビで見て知って、そのあと「刑事コロンボ」の「悪の温室」で晩年を知ったので、あまりイケメン俳優というイメージがなかったのですが、この作品では元テニス選手、という役柄。美しくて資産家の妻の浮気をしって殺しを企てる悪役です。

殺人事件の計画が途中から軌道を外れて、回復不能になったかな、と思ったところで犯人のアドリブ力がすさまじく、妻は無実の罪を着せられてあわや死刑か?ということになるわけですが、後半は「刑事コロンボ」のような罠があり、なかなか倒叙形式のミステリーとしての王道です。

序盤、妻殺しの代行を依頼するシーンがすごくまどろっこしくて寝そうになったのと、時計が止まっていて電話が遅れるとか、いろいろ緻密に考えていたはずなのに信じられないようなポカをするのでちぐはぐ感があったり、裁判であっと言う間に死刑になるのが納得いかなかったり、死刑の前日にフラフラと釈放されるのってどうなのと思ったり、イギリスなのにすべてがアメリカチックに進むのはなぜ、とかあるのですが、それでも傑作ではあります。

3D映画として公開されたけれど、あまりに不評で途中で2Dに切り換えたら興行成績が上がったそうです。今となっては3Dも見てみたいですね。