面通しの人違いだけで逮捕されてしまう、恐ろしい事態が現実に起きていた、という話。追い込まれていく平凡な男の心理を真綿で首を締めるように描いてゆきます。ただ一人の味方と思っていた妻まで…。

当時の警察なんてこんなものなんでしょうか。ずさんというか、狡猾というか。そして裁判もストーリー的にはキレがない。実話通りに作ったからでしょうか。

ヘンリー・フォンダが話の中で38歳、と申告しているんですが、実際は公開の時点で49歳くらい。さすがに「うそつけ!」といいたくなりました。もっと言うべきときに反論すればいいのに警官の言いなりになるから、蟻地獄のように落ちてゆく恐ろしさはリアルでした。

 

 

1シーズン8話なので、あっと言う間に見終わってしまいました。シーズン3。これで打ち切りになったので、残念、という感じはありますが、世紀末ディストピアは続けるほど苦しい部分もあり、仕方ないのかな、と思ったりします。

 

打ち切りが決まってから大急ぎで片づけに走ったのか、推しのキャラクターが唐突に死んでしまったりしたのが残念。ラスト数話、ニスカを巡る物語、マティを巡る物語、そしてミア。そして、サム。それぞれが拡散して終わった感じ。人間側にも救いはなく、確定的な結論はない、宙に浮いた未来。

 

でも、それでも寓話的にはよくできていたと思います。スウェーデンの原作の方も途中で終わってしまったようですが、中国版のリメイクも進行中だとか。それって、解放運動をどう描くんだろう、と疑問に思ったりします。まさに、思想統制と反差別の闘いなわけで。

 

まあ、見てしまうんですが、ドウェイン・ジョンソンの普段の明るさがなりをひそめて、悲壮感がそんなにはまってない感じはあります。

全体のプロットとしては、高層ビルの放火犯とその動機がなにか、が縦軸ですが、驚くほどのことはなし。しかもセキュリティーの専門家としてお墨付きを与えたあとに、カンタンにそれが突破されてしまう形になるわけで、それはちょっと無理があるのでは。「タワリング・インフェルノ」と「ダイ・ハード」を足して2で割った感じをあまり緻密でなく作った感じ。

あと、火があれだけ燃えたら最後の消火は無理なんじゃないか、とか、リアリティーにはちょっと問題あり。

まあ、でも終わりよければすべてよし、なのかな。

  

 

ジャッキー・チェンを見たくて見たわけではなく、あらすじからの興味で見たので、カンフーじゃなくてもいいんです。「魔法拳」なんてタイトルはつけなくてよかったのに、と思いながら見ました。

 

考えたら、影の騎士、というのはジャッキー・チェンのことではなかったですね。

 

ちょっと合成はテレビ的。でもアクションはよく出来ていて、鏡との合成のドタバタ感は面白かったです。刑事ものと妖怪もの、そして王宮ものの混合で、けっこう楽しめました。

ただ、ラストにかけて、煉獄みたいなところで、また地球滅亡の危機、みたいな展開で引き延ばしたのはちょっと既視感があって、それまでの地に足のついたアクションに比べると魅力が薄かったかなと思います。

アニメ的な手法で過去エピソードを振り返ったりするのは、なかなかうまくやっていて、ジュブナイルのドラマとしては、そんなに酷い出来ではなかったと思います。

 

シーズン2を見終わったので、いったんまとめます。実はこの上の画像に出ているシンスたちが主役ではありません。そして、人間側として新たに登場する博士がキャリー・アン・モス。重要なキャラクターですが、この人もまた主役ではなく、重要なシンスが二人。終盤の第7話・第8話が特に秀逸だなと思いました。

 

基本、前回は社会や設定を描くことを主眼にしたので、どちらかというと人間ドラマの方が大きな要素だったのですが、今回はシンスたちの静かな叛乱を追っていきます。前シリーズのラストで明らかになった、汎用モデルに意識を植えつけることができるプログラム。これをネットで公開したことがきっかけで起きる混乱、そして様々に別れるシンスたちの行方を描いていきます。

 

終盤にまさかのあの人が死んでしまう!このシーンはまさに「慟哭」。そして最強シンス同士の対決が最後の最後に。

 

シンスがなぜか自殺を志向する、その理由は。「人の役に立ちたい」という欲求を満たせない、というシンスたちのジレンマは、そのまま現代の人々が「生産性」を問われるようになって、生きづらさを抱える呪いと同一軸上にあるものだなぁと感じました。

 

FOXでやっていたイギリス発のドラマを録りだめてから毎日見てます。

 

Humansというから人間のことかと思いますが、Synths(シンス)と呼ばれる、ロボットのこと。Synthetic Beingというわけで、日本語でいったら「合成人間」ですかね。

 

システム的にはコンピューターのプログラムだけれどもとても精巧に作られている。アシモフのロボット三原則的なことはちゃんと守って、人間が嫌がる家事や肉体労働などを従順にこなす、「奴隷」のような存在。社会もそれを当たり前に受け入れ始めているけれど、そういう3Kの仕事を嫌がらずにやるので、仕事を奪われる人間も出てくる。彼らの存在なくして暮らしていけない人たちはより依存度を高めて感情的にも結びついていくし、逆にそういうのを嫌う人はどんどん嫌っていく、そういう分断も描かれていきます。

 

話の主な縦軸は、ごく一部のシンスは、意識らしきものを持っていること。それはなぜなのか、そしてそういう一体をたまたま購入した家族が経験する事件、家族の軋轢を主軸に描いていきます。

 

完璧なヒーローは誰もいなくて、ちょっとウェットで素朴なイギリスの家庭だからあるリアリティーというものをうまく捉えているなと思います。アメリカだとただひたすら有能な人が正しいことを言って、事件が起きたら解決に向けての推進力になっていくのですが、この話はそうではなく、実は「壊れている」のは人間やその社会の方ではないのか、ということを突きつけていくところがあります。

 

途中で、起きた事件を捜査する男性の刑事と、その相棒の女性刑事の関係も描かれていき、意外な展開を見せていったり。このシンスたちを開発したデイヴィッド・エルスターが残したものは一体?というところで引っ張っていきます。

 

1シーズン8話なので、あっという間でしたが、役者のコンビネーションとキャラクターの魅力が秀逸で、子どもたちも含めての群像劇としてよく出来ているなぁと思いました。

RAMPAGEというタイトルだと「ランページ/裁かれた狂気」という、マイケル・ビーンのサイコスリラーを見たことがありましたが、これはドウェイン・ジョンソンらしい、ノーテンキなエンタテインメントですね。ジュラシック・パークを現代の動物でやったらこんな感じ、というところでしょうか。

 

最初が宇宙から始まってどうなるのかなと思ったら、自然保護区に実験中の薬品が落下して、動物たちを汚染する、という話でした。調べてみると、アーケードゲームが先にあって、それの映画化権を買ったようなのですが、元のゲームは人間が動物に変異する、という話らしく、いろんなプロットの中から、むしろ怪獣ものへのオマージュ的な脚本に落ち着いたそうです。

影響を受けた動物の数がそれだけ?という根本的な疑問があったり、解毒剤少なすぎじゃ?とか、悪役の行動原理が雑すぎる!とか、いろいろツッコミどころはありますが、最後のオチも含めて、プロレス的な楽しみ方はできたかなと。

ラッセル役がちょっとロバート・ダウニー・ジュニアかな、いやコリン・ファレル?と思っていたらジェフリー・ディーン・モーガンという人で、「ウォッチメン」とか「ウォーキング・デッド」に出てる人ですね。ヒロインは「007」でマネーペニー役の人でした。悪役の製薬会社のボスの姉役も「ウォッチメン」に出ていた人で、いま「Billions」というドラマシリーズのレギュラーもやっています。 

 

ムービープラスで放送しているのを録って見ました。

エイリアンといえるのかわからない宇宙モンスターと戦う話ですが、ストーリーよりも、障害者が精神力で戦闘機をコントロールする、というコンセプトに面白さがありました。

途中で父と娘のケンカとかあったのですが、そのへんは演技力の限界を多少感じさせる部分もあり。

モンスターの造形がなかなかチャチで、撮影できるシチュエーションが限られているのも低予算ならではなのかなと。

 

何か特別なことがあるかな、と思いながらつい最後まで見ちゃいましたが、間違いなく駄作です。

作りがとにかく雑というか、個人のモチベーションも、謎解きも、説得力なし。悪役も、本来ならためらいなく相手を殺すところを意味なく生かしているので反撃してくれと言わんばかり。途中でタイトルのSearch and Destroyを繰り返す歌詞の歌が流れて、そこまでのアクションを振り返ったりするんですが、勘違いしたヒロイズムに作り手側まで酔ってるのかな、とおかしくなったりしました。

こんなにカンタンに騙される人間が隊長だったら、チーム全滅もやむなしでしょうね。

 

ケーブルのCSチャンネルで放送していたのを録って見たのですが、けっこう楽しみました。「2012」よりはずっといい。CGに任せてあらっぽく作ればいくらでも大作にはなるのでしょうが、しっかりした演技があれば、ちゃんと見られるものができるんだなぁと。

ストーリー自体は、地磁気が消えてしまって大気が消失の危機。政府関係に勤めている夫婦が喧嘩別れしたり、地球が滅亡の危機に陥って仲直りしてボートで世界を漂流したり。たぶん「ノアの方舟」の現代版をやろうということ立ったんでしょうね。ラストではお決まりの虹が。

とはいっても、見ていて「あれ?」と思うようなシーンの飛び方や映像の具体性のなさも弱点としてはあって、もう少し予算があれば、もう少し映像的にがんばってればなぁ、という感じがします。

なので、同じキャストでリメイクして、もう少し予算をかけたら、けっこう感動作になると思いますよ。