「メンタリスト」の連続視聴も佳境に入ってきて、いまシーズン5の真ん中へんです。
シーズン2以降から俄然盛り上がってきた感じがしていて、特にパトリック・ジェーンとリズポン捜査官の関係性に成熟が見えてきたのが回によっては非常に楽しめるので、その視点から考えたキーポイントをエピソードごとに。
まず、最初に文句なしに引き込まれたのはシーズン2の16話「コード・レッド」。ここで、ジェーンは研究所にいる全員が致死性のウイルスにさらされたので確実に死ぬ、と信じ込ませて、リズポンも巻き添えに。リズポンがチョウに感動的な告別を述べるのを聞いて、それをおもむろに誉めてから真相を明かす。翻弄されてからジェーンをグーで殴るリズポンの豹変する表情も見事ですが、「僕には連絡をとる相手は誰もいない」と話すジェーンが「連絡をとるなら君だけど、ここにいるから」と聞いたときの眼のきらめきの表現がステキです。
シーズン3の20話「ジェーンに赤信号」は、普段とは逆にジェーンの苦境をリズポンが迷いない行為で解決する、という話。あれをやってもこれをやってもうまくいかない、というジェーンの小細工が少し稚拙なのには眼をつぶるとして、ラストに容疑者をぶん殴って釈放せざるを得ない状況を作り出すリズポンの頭の回転と肝の据わり方に、改めてほれ直した感じです。結果としてリズボンは1週間の停職を食らって、アンガーマネジメントを半年も受講する羽目になるので、だいぶ損な役回り。ラストで珍しく素直にジェーンが「ありがとう」と言うのも当然かと思います。
シーズン3の23話「ストロベリー・クリーム:パート1」では、自爆ベストを着せられたリズポンをジェーンがギリギリのところで救うのが、やはりお互いを決して見捨てない二人の関係性を感じさせます。
シーズン4の3話「赤いバルーン」は、ジェーンの霊能者時代の顧客が相手であることを知り、複雑なリズポンの表情が見られます。
シーズン4の6話「カーマインの行方」では、以前にリズポンの遺言に登場した弟トミーが娘とともに登場。幼いときから面倒を見てきた弟をいつまでも一人前として認めてあげられない過干渉な姉、としてのリズボンの一面を見せます。ジェーンの相手が務まるのも、この育ちが大きいんでしょうね。トミーもジェーンと姉テレサの関係をほほえましく感じ取っているように思えます。
シーズン4の7話「点滅するレッドランプ」は、毒を盛って毒を制す、の例えのように、シリアルキラーを止めるためにシリアルキラーの親玉「レッド・ジョン」をジェーンが利用する、という異例の展開。ある意味尻尾を捉えられなかったジェーンの失敗とも言える話で、リズボンはこういう手を使うことでレッド・ジョンを無意味に刺激しているのではないか、と心配。加速度的にレッド・ジョンにのめり込んでいるジェーンから陽気さが次第に消えていっているシリーズを象徴するエピソードです。
シーズン4の10話「赤のフーガ」は、真犯人に溺死させられかけて一時的に記憶を失ったジェーンが、霊能者として振る舞い始める例外的な話で、序盤に意識不明のジェーンを見つけて半狂乱になるリズボンの取り乱し方、普段よりも能天気で無責任なジェーンに振り回される様子とともに、ジェーンを自宅に連れ帰るリズボンの表情から目が離せません。最後のセリフがリズボンのI'm sorry.で、字幕だと「つらいわね」なのですが、これはちょっと違うと思っていて、「(つらい記憶を思い出させて)ごめんね」なのだろうと思っています。放っておけば、妻子をレッド・ジョンに殺された記憶は失ったまま、本人にとっては幸せな日々が送れるのかもしれないけれど、本来のジェーンにとってそれが幸せなのか、リズボンは最後まで悩んだはずで、彼に記憶を取り戻させるからには、最後まで自分も責任をもってつきあう、と覚悟したはずだと思っています。
シーズン4の18話「赤いお茶」は、本筋とはあんまり関係ないですが、冒頭のシーンでトラが1頭逃げ出したのに落ち着いているジェーンが「君より速く走ればいいんだから」と、急に本気モードで走り出すところが見物です。
シーズン4の21話「ルビー色の魔法の靴」は、普段は法律を曲げずに筋を通すべき、とするリズポンが、珍しくラストで迷いなく真実を明かさずに済ませるようになる回で、ショーを見ながら涙を流すリズボンを茶化すジェーンが楽しいです。
シーズン4の22話「さようなら、今まで赤魚をありがとう」は、珍しくリズボンの過去が語られて、かつて婚約者だった男が容疑者にもなる回なのですが、リズボンはあくまでもリズボンらしく、ジェーンもあまりジェラシーを見せず、オトナの対応を見せます。
シーズン4のフィナーレ「赤い制服のウェイトレス」は、前回の終わりでCBIをクビになったジェーンが行方をくらまし、リズボンは捜査に追われる日々。ある日祈りに来た教会に、神様のフリをしてジェーンが語りかける、という始まり方。安心するやら腹が立つやらで振り回されるリズボンですが、リズボンの身の安全のためとは言え、ここまで秘密主義を通すのはかわいそうな感じもあります。そして、チーム全体もジェーンのため、というよりも「ボスのためにやってる」と言うくらい、ジェーンの暴走ぶりにはあきれている感じがあって、ぎくしゃく感も少なからず感じる回です。
シーズン5の2話「血染めのダイヤ」も珍しい展開で、普段は頭脳明晰なジェーンが幻覚を見る回。病院に運ばれたジェーンをリズボンが心配するのもいいシーンですが、幼くして殺された娘、シャーロットの幻影を追うジェーンを心配そうに見守るリズボン。もう一度娘に会いたい一心で、毒物入りの紅茶を再度試そうとするジェーンのシーンで終わるのが印象的です。
シーズン5の5話「赤い朝焼け」は、いつか来るかな、と思っていたリズボンとジェーンの出会いを描いています。ファッションやメイクも少しずつ変わってきたんだな、ということを感じさせる見事な再限度。リズポンのジェーンへの接し方も非常に節度を感じさせるもので、彼らの過ごした年月が伝わります。
