トム・ハンクスが若いころになんで起用されたか、わかる気がするラブ・コメディーです。元々はMr. Blandings Builds His Dream House「ウチの亭主と夢の宿」という、ケーリー・グラント主演の映画のリメイクなんだそうで、日本では劇場未公開でしょうか。
若き弁護士ウォルターとオーケストラのヴィオラ奏者アンナはラブラブカップル。あんなの元夫の指揮者マックスの家に間借りしていたが急に出ることになり、知り合いの不動産屋を頼って田舎の屋敷を下見に。そこで元の持ち主のおばあさんの人情噺にほだされて、買うことを決心。
ところが、住み始めてすぐに、この屋敷はボロボロであることが判明。水は出ず、階段は崩壊し、床には穴があき、電線はショートして火事一歩手前。業者を頼むけれど、許可もすぐには下りず、いくら急かしても「あと2週間」の繰り返し。
途中で金策にそれぞれが走る中、アンナはマックスと食事の後、マックスの家で寝てしまう。起きて浮気したと聞かされてパニックに。ウォルターも何かおかしいと勘づき問いただし、大喧嘩。
職人たちの仕事の最中に大喧嘩で、屋敷が完成次第、売りに出して売り上げを折半する、と宣言。
やがて屋敷は完成、いざお互いに出よう、という瀬戸際に仲直り、オーケストラとバンドの祝福の中、結婚式をあげてめでたしめでたし、と思いきや、リオデジャネイロのウォルターの父親にも、件の婦人が掘り出し物件を売りつけようとしていた…。
やることなすことうまくいかない蟻地獄と、屋敷崩壊の様子をトム・ハンクスの表情芝居とフィジカルリアクションで見せよう、ということでかつてのモノクロ映画のスラップスティックやピタゴラスイッチ的なドミノ倒し演出で見せようとした心意気は買いたいと思います。ただ、それを成立させるためにウォルターとアンナの性格があまりにマヌケに見えてしまったり、二人の感情の噛み合わせが序盤から中盤にかけてはあまり共感できない物であった感じはします。
後半になって、アンナを取り戻したいあまり浮気のウソをつくマックス、案外イイ奴じゃないか!と見直したりしました。演じているのは「刑事ジョン・ブック/目撃者」でアーミッシュの若者を演じているアレクサンダー・ゴドノフです。シェリー・ロングはわりにコメディー中心に活躍してテレビのシットコム「チアーズ」で人気だったようです。
ケラン・ラッツは、「トワイライト」シリーズで人気が出た人なんですかね。ちょっとリアム・ヘムズワースかな、と思ったぐらいですが体は割に鍛えてアクションに臨んだ感じです。
伝説のエージェント、レナード・ターナーは、10年前、任務の途中で妻を殺され、危うく一人息子ハリーも失うところに。そしてそのハリーは成長し、CIAに勤めることに。赴任はプラハ。でもいくら鍛えて転属願いを出しても内勤にしかつけてもらえないと。
そんなころ、ニューヨークでレナードがコードネーム「コンドル」というアイテムを奪われて姿を消す。ハリーは現場に行きたいと志願し、却下されるが移送の途中で逃げ出して単独行動。
コンドルの捜索にあたったのはヴィクトリア。かつてハリーとつきあっていたことがある。現場でハリーと鉢合わせして、以後一緒に行動。
途中で二人で危ない目にあったりしながら犯人を追跡したら古い倉庫に。そこにはレナードがいたが、なんとコンドルを売り渡す側だった。なぜそんなことを?と、ハリーとレナードの目の前に現れたのは10年前に母を殺すことを命じたロシアン・マフィアだった。ハリーは初めて相手を射殺。コンドルを持って逃げようとしたCIAの先輩ケンからコンドルを取り戻し、銃で撃ち抜くハリー。レナードは銃撃戦で撃たれて殉職。
まあ、なんか大雑把な話でしたね。ひねりとしては、レナードが組織を裏切ったのかな、と思いつつ、でもそれはロシアン・マフィアへの復習のためで、結局は親友のケンの方が金に目がくらんで裏切った、という流れですか。
それでも多くの人と物を投入したこの作戦、ずいぶん勝手な話だし、命令をこうも公然と無視する新人ハリーはなんなんだろう。その割に有能かもしれないけど、無敵というほどでもない。ヴィクトリアも自信満々でいる割りにはへまばかりして殺されかけたり。
実際、悪役が普通の悪役なら、みんな途中で殺されてますよ。
ハリーハウゼンの時代ならともかく、いまの作品でこういう演出に出会うとは思っていませんでした。
主役のシンドバッドを演じたのはパトリック・マルドゥーン。途中から「レヴォリューション」のマイルズを演じたビリー・バークなのではないか疑惑が生まれましたがそこまで渋くもなかったです。ヒロインのロアはサラ・デサージ、あんまり有名な人ではないようですが、ちょっとオリヴィア・ワイルドに似た美人です。
ストーリーとしては、海運会社の経営者シンバッド社長が、海賊に乗っ取られたタンカーを取り戻しにヘリコプターで乗り込むけれど、嵐に巻き込まれ無人島に遭難、そのあと現地人?のロアや狂信者集団と出逢いながらも、地球を壊滅的に襲った災厄から救う、という感じ。
途中で、一人死に二人死に、と自分の責任で連れ出した社員たちを死なせてしまったり、次第に信頼関係を育てていた海賊を死なせてしまったり、と感情的な山場があり、ロアはロアで死んだと思っていた父親と束の間の再開とかもあったので、それなりにはイベントがあるのですが、どうも全体を通してのプロットがわからない。
本社を守っているはずのCEOも、中途半端な形で会社を乗っ取ろうとして、しかもタンカーのサルベージをサボタージュして逃げ出した末に竜巻に巻き込まれて悲惨な最期を遂げるとか、ちょっと意味わかりません。
全世界的に天変地異が襲うのも、本当は何が理由なのか、なんでおさまったのか、見て取れるような情報が提供されないのは残念。
シンドバッドみたいな物語的なアイコンを現代という舞台に持ってきたのは素直に評価したいのですが、その割に、追いかけているプロットはアラビアン・ナイトの下敷きをほとんどはみ出さず、再構築の努力をしていない感じ。ロアもものすごく泥臭い原住民かと思ったらすぐに流暢に英語を話しだすところ、シュールでした。
どうも、このTHE ASYLUMという会社自体、あまりそういう意味での本気の作りはしない会社らしく、ホームページの作品のポスターなどをチェックすると、ヒットしたSFやアクションのパロディーやパクリを粗製乱造するのが得意らしいです。傑作を作ろうとは最初から思っていない潔さは買いたいと思います。ただ、ポセイドンと言えるような存在はほとんどでてこないのでそこは詐欺です。
ノルウェー発のミステリーということで、今度は美術サギが絡んできました。
今度は見た目にはいま一つ自信がない美術サギで、本職は転職を勧めるヘッドハンターというロジャーのモノローグで始まる。妻ダイアナは美貌の画家、個展を開いたりパーティーを開いたり何かと物入り。で、高級美術品を盗んで売りさばくという裏の顔で収支を合わせていると。子どもがほしいとねだられるが、どうもその気にならない。
そんなある日、ダイアナのパーティーでホテというハイテク企業を引退して引っ越してきたクラスという男と出会う。こいつも商売になるかもと声をかけているうちに、家にナチスのお宝名画が眠っているとダイアナが聞きつけてきたので、それはおいしい、と仲間のオーヴェに複製を調達させて盗みを実行。妻に電話をかけると、なぜかクラスの家で妻の携帯が鳴る。なぜ?あとでダイアナに聞くと画廊に忘れたととぼけるが…。
そのうち、盗んだ絵の売りさばきでオーヴェと待ち合わせると様子がおかしい。毒を盛られている?彼の家で介抱するがパニックしたオーヴェと撃ち合いになり殺してしまう。
盗んだ絵を隠さねば、と田舎の小屋に持っていくが、そこになんとクラスが。このままでは見つかる、と肥だめに隠れて危機一髪。そのあとも犬にかまれたり、トラクターで逃げるけど、道端で遭難。
気がつくと病院。逃げ出そうとはするものの警察につかまり、護送の途中で巨大トラックに激突される。死んだフリをしてクラスをやり過ごし、死んだ警官と身分を入れ換えると同時に、髪に発信機をつけられたと気づき、スキンヘッドに。
その後愛人ロッテのところに一時的に身を寄せるが彼女もクラスとぐるで、会社の技術を盗みに転職にきたのだと判明。名画を持っている、というのもワナだった。ロッテにも殺されそうになったところを返り討ちに。
行き場を失ったロジャーは、ダイアナのところに。どうやら彼女だけはぐるではない様子。今までのウソを告白し、最後の大勝負に。
探知機を逆に利用してクラスをオーヴェの家に誘い出し、一対一。ダイアナがクラスの銃に空砲を詰めておき、射殺する模様を警備会社のカメラに映し出す。オーヴェが撃ったように偽装することですべての辻褄を合わせたのだった。
そしてダイアナとの間にはめでたく子どもができ、ヘッドハンターとしての本職に邁進するロジャーで終わり。
最後に向けてどう逆転劇を演出するかは面白かったんですが、途中の仕立てでロジャーが無策でパニックに陥る時間が長いのはちょっといらいらします。盗みのテクニックはどうもたいしたことなくて拍子抜けで、そのあとでクラスがロジャーを追い詰めるあたり、どうも動機がハッキリしない。転職をじゃまされそうになったから始末しよう、では済まない感じ。浮気相手のロッテの絡み方も、なんだか中途半端で残念。
それでも、後半に妻の愛情をつなぎ止めるために金に頼らざるを得なかったロジャーのコンプレックス、そんな彼を信じて共に生きようとするダイアナの関係にはちょっと救いがありましたね。
途中からスキンヘッドになってロジャーを熱演したアクセル・ヘニー。ちょっとクリストファー・ウォーケンとかウィリアム・フィクナー系の顔だちで、親しみが沸く、というよりはちょっと酷薄に見えるタイプ。対してクラスはピアース・ブロスナンにちょっと似た正統派イケメンタイプで、その彼が偏執狂的にロジャーを殺そうと追い回す、その辺はいい意味で期待を裏切ったのかもしれません。
ちなみに、公開時点ではノルウェーの映画史上最大のヒットとなったようです。
清新な文体で綴られた自閉症スペクトラム障害の青年の物語。
主人公マーティンはプルーストの「失われた時を求めて」になぞらえることで自分と世界の折り合いをつけている。そんな彼が一夏、映画監督の母親と姉とともにフランスの田舎町で過ごす。そこで経験する出会い、友人、恋がマーティンの独特な視点で語られる。
自他の区別は?普通とは?これが全ての自閉症スペクトラム人の感じ方とは言えないだろうし、わかったつもりになることは危険かも知れないけれど、目が開かれるような体験。
なんらかの生きづらさを抱える人も、生きづらさの原因を知らずに作っているかもしれない人にも勧めたい。
林真紀さんの訳も、注釈を脚注や文末でなく、本文中にさりげなくカッコで挿入する読みやすさがうれしいです。

第二弾ですが、また狙いはアメリカ大統領。
悪徳武器商人の娘の結婚式がドローン爆撃された2年後。マイク・バニングの奥さんに子どもができて2週間後には出産。そんなある日イギリス首相が死去する。世界中の首脳が葬儀に集まる。マイクも辞表を提出しようか迷っているさなか、ロンドンへお供に。
さて、いざ葬儀が始まろうかというとき、世界各国の首脳をターゲットにした大規模テロが。停電、爆破、銃撃戦、なんでもござれ。結局生き延びたのは英米の首脳だけ。マイクと大統領はヘリコプターで脱出するけれど、ロケット砲で撃墜され、シークレット・サービスのリンは殉職。マイクと大統領は徒歩でMI6捜査官ジャクリーンの隠れ家に。
ところが、間もなく敵襲。これは明らかに情報が漏れている!必死で逃げるけれども大統領を連れ去られてしまう。遅れて駆けつけたSASのメンバーとアジトを急襲。ネット処刑される寸前で大統領を助け出す。
MI5の長官が敵に寝返っていたとしったジャクリーンは駐車場で対決。武器商人も改めてドローン攻撃でアジトを殲滅、一件落着。マイクは生まれたばかりの娘を可愛がりつつ、リンと名付け、退職願は削除しておしまい。
これだけ大規模なテロを計画されてしまうスコットランド・ヤードやばい、としか言いようがありませんね。首相も結局は毒殺だったと判明、ダメダメすぎでしょう。今回の話は大統領とマイクが二人で孤立して、誰とも連携できずに大半の時間がすぎるので、アメリカ政府側を副大統領のモーガン・フリーマンがずっと指揮していて、なんだか刑事みたいな役割を負ってしまったのが不自然に見えました。
ラストの武器商人への報復シーンが、なんか残虐で正当化しづらく見えました。民間人を巻き添えにしているようにみえますけどねぇ。
ポール・ウォーカーとヴィン・ディーゼルが第1作以来に揃い踏みした第4弾。キャラクターが落ち着いて自分のキャラクターを把握した分だけ、テンポもよくわかりやすく進んだ感じはありますが、謎解き・復讐譚の人間ドラマとしてはちょっと軽すぎるかも、という感じです。
ドムとレティは石油トラックをねらった強盗を続けていたけれど、そろそろ追手が迫ってきたので別れようと。レティの安全を願ってドムは単身姿を消す。ところがパナマ潜入中のドムのところに妹のミアから連絡が入り、レティが殺されたと。
一方オコナーは潜入捜査が買われてFBIに入っているけれども麻薬の捜査がなかなか進まず、フラストレーションが。しかし麻薬組織のボスを追っていくとそれがレティを殺した犯人と同じ捜査線上に。容疑者を問い詰める過程でドムとオコナーが鉢合わせに。
結果的にオコナーもドムもロードレースを主催しているブラガの組織に潜入して、ブラガの運び屋を引き受けると。その過程でレティの殺人犯もフェニックスとわかり、現場は大混乱。麻薬をかっぱらって逃げるドムとオコナー。作戦を立て直して麻薬を返すことを条件にブラガ本人が現金を持ってこさせようと。
現場に現れた男と、証拠品のグラスの指紋を照合すると、やはりこれは偽物、本物のブラガは子分を演じていたカンポスだった。FBIの突入が一瞬早すぎ、ブラガを取り逃がす。
こうなったらと、メキシコに潜入して教会でブラガを拉致、国境を越えようとするが、子分たちと猛烈なカーチェイス。トンネルを抜けたところでオコナーが負傷、フェニックスに始末されるか、というところでドムが駆けつけレティの仇もとる。
裁判の結果、オコナーの嘆願虚しくドムは懲役25年の判決。刑務所に移送中のトラックをオコナーとミアたちの車が襲うところで終わり。ようするにドムを脱獄させるんでしょうか。
前作で登場したハンも冒頭で活躍したり、レティもちょい役だけど活躍したりと少しずつおいしいポイントはあったのですが、レティ殺しに関しては、ちょっと単純で、ブラガの正体も意表をつく、というほどではなく。最初はよくからんでくる美女がブラガなのかな、と思わせたのですが、そっちがダミーですか、とちょっとがっかり。カンポスもワルとしての迫力がなく、最後も教会に莫大な寄付をする、案外信心深い奴じゃないか、と同情してしまいたくなるところが。
FBIの中の足の引っ張り合いも、中途半端で裏切り者がいるのかなと思ったらそうではなくただ無能なだけだった、とか、脚本もっとしかけられるところあったんじゃないですかね。
でも、ポール・ウォーカーとヴィン・ディーゼルの揃い踏みで妹ミアとの関係性は確立したのがポイントですかね。
物量は投入されたアクション・スリラーだとはわかっているので、もうそれを楽しめるかどうかなんでしょうが。
主人公のマイクは大統領のシークレット・サービス。信頼も厚く、こどものコナーもなついている。しかし雪の日、車の事故で大統領は助けたものの、妻は死なせてしまう。そのことがあって、大統領付を離れて財務省の地味な事務職についている。仕事にも身が入らず、妻のリアともぎくしゃくしている。
そんなある日、韓国首相との会談の途中でホワイトハウスが襲撃される。あわてて地下の核シェルターに退避したのも束の間、韓国側のボディーガードにテロリストが潜んでいた。元シークレット・サービスの裏切りもあって簡単にホワイトハウスは制圧され、大統領は人質にとられてしまう。
その様子を外から眺めて駆けつけたマイクは、単身もぐり込み、少しずつ敵を倒してゆく。大統領執務室の様子も知り尽くしているので緊急用の衛星電話を使って政府内部とも連絡。
一方大統領を人質にとったのはテロリストのカン。大統領を人質に韓国周辺の米軍を退けと要求。その一方で首脳3人が知っている「ケルベロス・コード」を拷問で入手する。このケルベロス・コードは、発射された核弾頭を自爆させるコード。大統領が言うまいと、息子のコナーを人質にしようとするけれども、隠れていたコナーを先に保護したのはマイクだった。通風口から無事に逃がすことに成功する。
そして裏切り者のフォーブスがマイクを始末に出てきたところを返り討ちに。ケルベロス・コードを解析されて起動されてしまったけど、ぎりぎりでカンを倒して解除、めでたしめでたし。
見ながら、「ああ、これはダイ・ハードをやりたかったんだな」というのが露骨にわかる作風でした。ただ、プロットの絡み具合や、本当の狙いはなんなのか、というところがちょっと見え見えすぎてしまって、ハッとさせるところは少なかったですね。息子のコナーをめぐるやりとりも単純だし、奥さんが死んだ経緯も何か陰謀があるのかなと思ったら特に触れないし、フォーブスもつまらないところで口を滑らして自分が手先であることを白状してしまうし。そもそも、韓国側に簡単にこんなテロリストが忍び込める、というのはリアリティーないし、北朝鮮と韓国の関係自体、こんな単純なものではない。
妻との関係も、そもそもがなんでけんかしているのかよくわからず、事件が解決してから仲直りしても、別に気にしてなかったし、みたいな感じ。カンの側が妻のことを調べていたのなら、あとで人質にとるとか知恵を使えばいいのに、と犯人側の無策にやきもきしてしまいました。
だいたい、ホワイトハウスからこの距離に近づくまで撃墜しないでゆるゆる警告してるってどこまでお花畑なのか。軍用機で重装備なのは見てわかるんだから海の上で撃ち落としてないとおかしいでしょう。
犯人側の動機や意図も、最初に予測したものと大して変わらないし、けっこう重装備をこんな簡単に持ち込めた、ということ自体、諜報機関が怠けてたとしか思えないんですよね、このスパイの時代においては。
ジェラルド・バトラー本人がプロデュースしてるから、きっとやりたい放題できるんでしょうが、そういう環境にあると、あんまりいい作品にはなりませんよね。
モーガン・フリーマンが「マダム・セクレタリー」かと思うような役柄で出るし、アンジェラ・バセットが少し賢い官邸スタッフで、単純な軍のトップをいさめたり、という役割はありますが、そこまで。裏切る元シークレット・サービスのフォーブス役ディラン・マクダーモットはイーストウッドの「シークレット・サービス」では、テロリストにやられてしまう後輩役だったのに、20年経ってこれでは変節しすぎでしょう、と思ってしまいました。
「ホット・ファズ」のチームなので、どんなテイストなのかなと思ったらまた違うスケールでやらかしてくれました。
サイモン・ペッグ演じるゲーリー・キングはアル中のドロップアウト。生まれ故郷のニュートン・ヘイヴンでパプ12軒制覇にチャレンジして挫折したときの記憶を引きずっている。ある日、思い立って彼が同級生に声をかけ、当時挫折した酒場巡りにもう一度チャレンジしようと持ちかける。
最初はなんとなくいやいや付き合っていた友人たち、次第に久しぶりにもどった故郷の町の様子が変わっていることに気づく。そしてトイレでからんだ若者とけんかになったことから、町の住人が得体のしれないロボットに入れ代わっていることを知る。
そこからは、その陰謀はなんなのか、と酒場巡りを完遂できるのか、という2本の柱で話が進行。途中で親友の何人かも身体を乗っ取られていたことがわかったり、次第に「ボディ・スナッチャーズ」の世界に。
最終的にたどり着いた最後のパブ「ワールズ・エンド」の地下で敵の正体がわかる。これは宇宙全体の中で地球が民度が低く文明が自滅を繰り返してきたから、友好的に乗っ取りを進める、銀河のネットワークだった。しかしゲーリーとの会話でいくら話しても地球人は埒があかない、とさじを投げられ、街は壊滅、地球上のほとんどの文明は通信網を遮断され、終末を迎える、というストーリー。
初めは青春時代の思い出を巡って、じつはあの時語れなかった真相を明かしていく青春ものなのかな、と思っていたらトイレでのロボットとの乱闘から全然違う方に発展して行って、それはうれしい驚きでした。予備知識なしに見る楽しみってこういうところにありますね。
宇宙人との交信で相手を言い負かしてしまうところとかも面白いし、昔の飲み仲間とのギャップが初めはぎくしゃくしていたのが次第に昔通りの関係性を取り戻していくあたり、中学の同級生と久しぶりに飲む感覚とか、共感できるポイントはたくさんありました。
ラストで、地球に残された“ブランク”達が生身の人間たちには差別されるような社会になって、逆にゲーリーが彼らの代弁者として立ち向かうあたり、テーマ性は感じさせたのだけど、やや唐突でとってつけた感はありましたかね。
オープニングのサントラから、イギリスの幼児番組「The Magic Roundabout」のテーマを流用していて、複数の方向から車が進入して旋回しながら行きたい方向を選ぶ独特の交通システム、「ラウンドアバウト」が象徴的に使われているあたり、イギリスに行ったことがある人だけがわかるギャグだなぁ、と思ったりしていました。
ロザムンド・パイクは「ジョニー・イングリッシュ」の2本目や「アウトロー」「ゴーン・ガール」など魅力ある作品にたくさんでていますね。そして元ジェームス・ボンドのピアース・ブロスナンが先生役。「ホット・ファズ」ではティモシー・ダルトン出ていたし、制作者が007シリーズとか好きなんでしょうね。
「テラビシアにかける橋」「パンズ・ラビリンス」と並ぶファンタジーの傑作といってもいいんじゃないでしょうか。
冒頭から不穏な始まり方なので何が始まるかと思ってしまうのですが、ジュゼッペ少年に恋してラブレターを手渡そうとする少女ルナ。森の中で追っかけっこしたり、野犬に追われて一緒に逃げたり。そして少年の原付に乗って牧場に。少年が乗馬の練習をしたところで初キス。しかしその後彼は忽然と姿を消してしまう。
ルナの両親、特に母親は厳格なスイス人で、ジュゼッペの家と付き合うのをよしとしない。とにかく受験、勉強のことばかりを言う教育ママ。そして学校を休んだジュゼッペのことを学校でもあまり話題にしない。
実はジュゼッペ、父親が元マフィアのメンバーで、内幕を証言するとしていたために、彼を黙らせたいマフィアの連中が人質にさらっていたのだった。
ジュゼッペを見つけたいルナの行動は過激になり、髪を青く染め、ジュゼッペの席に座った同級生を殴り、いろいろと問題行動を。理解してくれるのは親友のロレダーナだけ。
さらわれたジュゼッペの方はルナにもらった手紙だけを心のよすがにしているが、次第に衰弱。
時はたち、少し落ち着きを取り戻し高校進学も決まったルナだが、父親と釣りに行った時に幻影を見て、水の中に入っていったのがきっかけでしばらく精神病院に。
環境を変えようと引っ越す前の晩、ルナはこっそりと家を抜け出し、わずかな手がかりを頼りに一人ジュゼッペを探しに行く。
結果的に、ルナはジュゼッペの居所まで突き止め、二人で逃げ出したかに思われたのだけどそれは幻影で、ジュゼッペは絞殺され、遺体は酸で溶かされ、湖に捨てられていたのだった。
ロレダーナはルナの合図を知り、自殺を止めに自宅に。一命をとりとめたルナ。やがて時が傷を癒やし、新しい友人たちと海を眺めるのだった。
もう序盤から「ツイン・ピークス」か、と言わんばかりの何かが起きる予兆を感じさせ、誰かがルナを見ている、という感じがバリバリするので胸が痛いのですが、思春期ならではの親への反発といちずな恋心にきゅんきゅんしてしまいます。最後の家出ではビートルズの「シーズ・リービング・ホーム」を彷彿とさせるシーンがあり、気持ち的にはなんとかジュゼッペ助かってほしいと思いつつ、幽体離脱して自分を眺めるシーンとかがあって、もうこれはダメなんだろうな、と思ってしまうという。残虐シーンとかはほとんどないのですが、現実だけは突きつけられるという、ちょっと「パンズ・ラビリンス」のラストの絶望感に似たものを感じました。
それでも、彼の捜索を手伝ってくれたロレダーノの彼氏とその友達と、最後に若者らしいシーンがあるのは、生命の回復力への希望があるからなんでしょうね。
ルナ役のユリア・イェドリコフスカ、まだ幼さの残る中、意志の強さと聡明さを兼ね備えた適役でしたね。ただ美しいだけのキャストだと、これは成功しなかったでしょう。



