「ホット・ファズ」のチームなので、どんなテイストなのかなと思ったらまた違うスケールでやらかしてくれました。

サイモン・ペッグ演じるゲーリー・キングはアル中のドロップアウト。生まれ故郷のニュートン・ヘイヴンでパプ12軒制覇にチャレンジして挫折したときの記憶を引きずっている。ある日、思い立って彼が同級生に声をかけ、当時挫折した酒場巡りにもう一度チャレンジしようと持ちかける。

最初はなんとなくいやいや付き合っていた友人たち、次第に久しぶりにもどった故郷の町の様子が変わっていることに気づく。そしてトイレでからんだ若者とけんかになったことから、町の住人が得体のしれないロボットに入れ代わっていることを知る。

そこからは、その陰謀はなんなのか、と酒場巡りを完遂できるのか、という2本の柱で話が進行。途中で親友の何人かも身体を乗っ取られていたことがわかったり、次第に「ボディ・スナッチャーズ」の世界に。

最終的にたどり着いた最後のパブ「ワールズ・エンド」の地下で敵の正体がわかる。これは宇宙全体の中で地球が民度が低く文明が自滅を繰り返してきたから、友好的に乗っ取りを進める、銀河のネットワークだった。しかしゲーリーとの会話でいくら話しても地球人は埒があかない、とさじを投げられ、街は壊滅、地球上のほとんどの文明は通信網を遮断され、終末を迎える、というストーリー。

初めは青春時代の思い出を巡って、じつはあの時語れなかった真相を明かしていく青春ものなのかな、と思っていたらトイレでのロボットとの乱闘から全然違う方に発展して行って、それはうれしい驚きでした。予備知識なしに見る楽しみってこういうところにありますね。

宇宙人との交信で相手を言い負かしてしまうところとかも面白いし、昔の飲み仲間とのギャップが初めはぎくしゃくしていたのが次第に昔通りの関係性を取り戻していくあたり、中学の同級生と久しぶりに飲む感覚とか、共感できるポイントはたくさんありました。

ラストで、地球に残された“ブランク”達が生身の人間たちには差別されるような社会になって、逆にゲーリーが彼らの代弁者として立ち向かうあたり、テーマ性は感じさせたのだけど、やや唐突でとってつけた感はありましたかね。

オープニングのサントラから、イギリスの幼児番組「The Magic Roundabout」のテーマを流用していて、複数の方向から車が進入して旋回しながら行きたい方向を選ぶ独特の交通システム、「ラウンドアバウト」が象徴的に使われているあたり、イギリスに行ったことがある人だけがわかるギャグだなぁ、と思ったりしていました。

ロザムンド・パイクは「ジョニー・イングリッシュ」の2本目や「アウトロー」「ゴーン・ガール」など魅力ある作品にたくさんでていますね。そして元ジェームス・ボンドのピアース・ブロスナンが先生役。「ホット・ファズ」ではティモシー・ダルトン出ていたし、制作者が007シリーズとか好きなんでしょうね。