トム・ハンクスが若いころになんで起用されたか、わかる気がするラブ・コメディーです。元々はMr. Blandings Builds His Dream House「ウチの亭主と夢の宿」という、ケーリー・グラント主演の映画のリメイクなんだそうで、日本では劇場未公開でしょうか。
若き弁護士ウォルターとオーケストラのヴィオラ奏者アンナはラブラブカップル。あんなの元夫の指揮者マックスの家に間借りしていたが急に出ることになり、知り合いの不動産屋を頼って田舎の屋敷を下見に。そこで元の持ち主のおばあさんの人情噺にほだされて、買うことを決心。
ところが、住み始めてすぐに、この屋敷はボロボロであることが判明。水は出ず、階段は崩壊し、床には穴があき、電線はショートして火事一歩手前。業者を頼むけれど、許可もすぐには下りず、いくら急かしても「あと2週間」の繰り返し。
途中で金策にそれぞれが走る中、アンナはマックスと食事の後、マックスの家で寝てしまう。起きて浮気したと聞かされてパニックに。ウォルターも何かおかしいと勘づき問いただし、大喧嘩。
職人たちの仕事の最中に大喧嘩で、屋敷が完成次第、売りに出して売り上げを折半する、と宣言。
やがて屋敷は完成、いざお互いに出よう、という瀬戸際に仲直り、オーケストラとバンドの祝福の中、結婚式をあげてめでたしめでたし、と思いきや、リオデジャネイロのウォルターの父親にも、件の婦人が掘り出し物件を売りつけようとしていた…。
やることなすことうまくいかない蟻地獄と、屋敷崩壊の様子をトム・ハンクスの表情芝居とフィジカルリアクションで見せよう、ということでかつてのモノクロ映画のスラップスティックやピタゴラスイッチ的なドミノ倒し演出で見せようとした心意気は買いたいと思います。ただ、それを成立させるためにウォルターとアンナの性格があまりにマヌケに見えてしまったり、二人の感情の噛み合わせが序盤から中盤にかけてはあまり共感できない物であった感じはします。
後半になって、アンナを取り戻したいあまり浮気のウソをつくマックス、案外イイ奴じゃないか!と見直したりしました。演じているのは「刑事ジョン・ブック/目撃者」でアーミッシュの若者を演じているアレクサンダー・ゴドノフです。シェリー・ロングはわりにコメディー中心に活躍してテレビのシットコム「チアーズ」で人気だったようです。
