ノルウェー発のミステリーということで、今度は美術サギが絡んできました。
今度は見た目にはいま一つ自信がない美術サギで、本職は転職を勧めるヘッドハンターというロジャーのモノローグで始まる。妻ダイアナは美貌の画家、個展を開いたりパーティーを開いたり何かと物入り。で、高級美術品を盗んで売りさばくという裏の顔で収支を合わせていると。子どもがほしいとねだられるが、どうもその気にならない。
そんなある日、ダイアナのパーティーでホテというハイテク企業を引退して引っ越してきたクラスという男と出会う。こいつも商売になるかもと声をかけているうちに、家にナチスのお宝名画が眠っているとダイアナが聞きつけてきたので、それはおいしい、と仲間のオーヴェに複製を調達させて盗みを実行。妻に電話をかけると、なぜかクラスの家で妻の携帯が鳴る。なぜ?あとでダイアナに聞くと画廊に忘れたととぼけるが…。
そのうち、盗んだ絵の売りさばきでオーヴェと待ち合わせると様子がおかしい。毒を盛られている?彼の家で介抱するがパニックしたオーヴェと撃ち合いになり殺してしまう。
盗んだ絵を隠さねば、と田舎の小屋に持っていくが、そこになんとクラスが。このままでは見つかる、と肥だめに隠れて危機一髪。そのあとも犬にかまれたり、トラクターで逃げるけど、道端で遭難。
気がつくと病院。逃げ出そうとはするものの警察につかまり、護送の途中で巨大トラックに激突される。死んだフリをしてクラスをやり過ごし、死んだ警官と身分を入れ換えると同時に、髪に発信機をつけられたと気づき、スキンヘッドに。
その後愛人ロッテのところに一時的に身を寄せるが彼女もクラスとぐるで、会社の技術を盗みに転職にきたのだと判明。名画を持っている、というのもワナだった。ロッテにも殺されそうになったところを返り討ちに。
行き場を失ったロジャーは、ダイアナのところに。どうやら彼女だけはぐるではない様子。今までのウソを告白し、最後の大勝負に。
探知機を逆に利用してクラスをオーヴェの家に誘い出し、一対一。ダイアナがクラスの銃に空砲を詰めておき、射殺する模様を警備会社のカメラに映し出す。オーヴェが撃ったように偽装することですべての辻褄を合わせたのだった。
そしてダイアナとの間にはめでたく子どもができ、ヘッドハンターとしての本職に邁進するロジャーで終わり。
最後に向けてどう逆転劇を演出するかは面白かったんですが、途中の仕立てでロジャーが無策でパニックに陥る時間が長いのはちょっといらいらします。盗みのテクニックはどうもたいしたことなくて拍子抜けで、そのあとでクラスがロジャーを追い詰めるあたり、どうも動機がハッキリしない。転職をじゃまされそうになったから始末しよう、では済まない感じ。浮気相手のロッテの絡み方も、なんだか中途半端で残念。
それでも、後半に妻の愛情をつなぎ止めるために金に頼らざるを得なかったロジャーのコンプレックス、そんな彼を信じて共に生きようとするダイアナの関係にはちょっと救いがありましたね。
途中からスキンヘッドになってロジャーを熱演したアクセル・ヘニー。ちょっとクリストファー・ウォーケンとかウィリアム・フィクナー系の顔だちで、親しみが沸く、というよりはちょっと酷薄に見えるタイプ。対してクラスはピアース・ブロスナンにちょっと似た正統派イケメンタイプで、その彼が偏執狂的にロジャーを殺そうと追い回す、その辺はいい意味で期待を裏切ったのかもしれません。
ちなみに、公開時点ではノルウェーの映画史上最大のヒットとなったようです。
