文章を書くとき、最もハードルが高いのはどの段階だと思いますか?
文章全体の結論でしょうか?もしくは、途中の具体例でしょうか?
実は、文章を書くときに多くの人が悩んでしまうのは「書き出し」です。
文章を書くとき、書き出しには相当気を配るべきだとよく言われます。
なぜなら、読み手は「この文章は面白いのだろうか?」「読むと役立つのだろうか?」と冒頭部分を読んでまず判断するからです。
書き出しがいかにも退屈そうな内容だと、その時点で読むことを放棄してしまう読み手が大半でしょう。
たいていの人は、文章を頭から順に書いていこうとします。
まずは書き出しを考えて、それから中盤を考え、最後に結論を書こうとするのです。
しかし、これがとてもハードルの高い書き方だということは、ここまで読んでいただければ理解できるはずです。
まだ自分の中で全体像があやふやな文章について、「これから何を述べるのか」「読むとどんなことが分かるのか」「なぜ書こうと思ったのか」を書かなくてはならないからです。
よほど書き慣れたプロのライターや作家でもない限り、文章の構成は書いているうちに流動的に変化していきます。
「思っていたよりも具体例が長くなった」とか、「予想よりも経緯に力を入れて書いてしまった」といった経験がある人もいるはずです。
料理に慣れていない人は、作っているうちに想定とちがう味に仕上がってしまうのと同じように、文章も書いているうちに変遷していくのはよくあることです。
書き出しの部分で手が止まり、「どう書き始めたらいいだろう?」と悩んでいる状態は、「これから作る料理は、こんな味と見た目に必ず仕上がります」と断言しようと試みるのとよく似ています。
実際は、作りながら味見をしていき、結果的においしくできあがることだっていくらでもあるのです。
文章を冒頭から順に書くのは、実はけっこう難しいことだと知っておきましょう。
もし具体例のほうが書きやすければ、先に具体例のセクションから書いてしまっても構わないでしょう。
結論を先に書くほうがスムーズなら、最初に結論を書いてから残りの部分を考えても問題ありません。
文章は冒頭から書き始める必要はありません。
書き出しで手が止まってしまい、時間だけが過ぎていくような苦い経験を、今後はもうしなくて済むようになるはずです。