Satan Never Sleeps

1949年、オバニオン神父は共産党軍が支配を広げる中で広東省のカトリック伝道所に赴任した。
まもなく共産党軍が来て伝道所を支配した。指揮官のホー・サンは両親がカトリックで、一応彼らに理解を示した。
だがホー・サンは突然豹変し、伝道所を強権で支配し、また伝道所にいた中国人女性を強姦した。女性はホー・サンをナイフで刺した。


映画関連目次(闇雲映画館)

製作年:1962,監督:Leo McCarey,脚本:Claude Binyon,原作:Pearl S. Buck


■ はじめに

◆ 登場人物(キャスト)

オバニオン神父(ウィリアム・ホールデン)
ボヴァード神父(クリフトン・ウェッブ)
アグネス(アシーン・セイラー) 修道女
テレサ(エディス・シャープ) 修道女
ジュスティーヌ(ノエル・フッド) 修道女
シウ・ラン(フランス・ニュイエン)
ホー・サン大佐(ウィーバー・レヴィ)
クズネツォフ(マーティン・ベンソン) ソ連共産党の顧問

◆ 補足

ボヴァード神父がクリフトン・ウェッブとはキャストを見るまで気がつかなかった。原題の「サタンは眠らない」が意味不明。原作者は宣教師の父と一緒に中国に渡ったパール・バック。彼女はプロテスタント。

同じ時代を背景にして中国共産党軍に追われた人々を助ける映画にロナルド・レーガンロンダ・フレミング共演の「(1952)楽園の死闘/Hong Kong」がある。

本作とは無関係で、私はカトリックではないので無関係なのだが、現在の中国には政府に公認されたカトリック教会と、非合法化されて地下に潜っているカトリック教会がある。

そしてバチカンと中国政府が近づこうとしている。これは複雑な問題と双方の利害が絡むので簡単な話ではないが、ともかくそのような方向性。

もしこれが実現すれは、どうなるか?中国政府は国内のカトリック教会を支配できる。バチカンは中国国内で大手を振って布教できる。

そして地下教会はどうなるか?これは明白であろう。カトリック内部でも、このようなバチカンの動きを批判する声が上がっている。
 


■ あらすじ

◆ カトリックの伝道所へ

1949年、中国広東省。共産党軍が勢力を伸ばしている。

アメリカ人のオバニオン神父は、前任のボヴァード神父と交代するために伝道所に向かっていた。

途中、洪水で家と家族を失った、まだ若いシウ・ランという女性を救って、一緒に連れていた。

途中でシウ・ランを預けて、伝道所に向かった。

◆ シウ・ランが伝道所に現れた

戦乱で壊れかけた伝道所では、ボヴァードと数人の修道女が働いていた。

さっそくボヴァードは帰任するために出発する。

そして入れ替わりにシウ・ランがオバニオンを追いかけてきて、伝道所に住みつく。

シウ・ランはオバニオンに対してストレートに愛情を表現した。だがカトリックの聖職者は、恋愛も結婚も許されない。

オバニオンは相手にしないが、シウ・ランは怯まない。彼女には嫌味はなく、伝道所の日常の光景となった。シウ・ランは料理を作って働いた。

◆ 共産党軍が来た

帰任したはずのボヴァードが共産党軍に捕らえられて伝道所に戻ってきた。

そしてホー・サン大佐が率いる共産党軍が現れた。彼らはとりあえず、伝道所の存在を許すが、常に緊張に包まれた状態となる。

実はホー・サンの両親はキリスト教徒であって、彼も本来はキリスト教を伝える道に進むはずだったのが、共産党軍に入ってしまった。

それゆえにホー・サンの元である程度の秩序が保たれた。

◆ ホー・サンが豹変した

だがホー・サンは突然豹変する。部下に命じて伝道所の内部や建物を破壊した。

十字架に架けられたイエス像が運び出されて炎に投げ込まれた。修道女たちはオロオロしながら抱き合った。

補足。プロテスタントの十字架は単なる十字架であるが、カトリックの十字架はイエスが張り付けられた十字架である。

ホー・サンは自分の生い立ちと、現在の任務の間でバランスを保てなくなったようである。

そしてなんとシウ・ランを犯した。対してシウ・ランはホー・サンを背後からナイフで刺した。

◆ シウ・ランは男児を生んだ

ホー・サンの傷は悪化・化膿した。彼はオバニオンにペニシリンを調達してくるように命じた。

オバニオンは故郷に帰るというシウ・ランをパスに乗せて、さらにペニシリンを手に入れて伝道所に戻った。

戻ったオバニオンはボヴァードと共に捕らえられ、背教の署名を要求した。

二人は署名を拒否した。ホー・サンは二人を処刑するのは忍びなかったのか二人を解放した。

しばらくたってお腹が大きくなったシウ・ランが戻ってきて男児を生んだ。ホー・サンの子供である。

ホー・サンは相変わらず伝道所を支配していたが、赤ん坊には笑顔を見せるようになった。

◆ ソ連共産党の顧問

村にソ連共産党の顧問クズネツォフが派遣されてきた。中国共産党軍を指揮する立場である。

クズネツォフは容赦がなかった。伝道所を徹底的に破壊した。

すでに村人たちの多くはキリスト教を信仰している。

村人たちを連行してきて反抗する者を容赦なく処刑した。神父や修道女たちを助けようとした村人も処刑した。

だがその中にホー・サンの両親がいた。

◆ 村を脱出した

ここにいたってホー・サンは、神父、修道女、シウ・ランと男児を連れて香港に向けて脱出する。彼らの車を共産党軍のヘリが追跡した。

ボヴァードはホー・サンの軍服に着替え、他のメンバーを置いて車を飛ばした。車は銃撃され、ボヴァードは死亡した。

◆ 香港で結婚式

彼らは無事に香港に辿り着いた。香港はイギリスが管理している。

オバニオン神父はホー・サンとシウ・ランの結婚式、息子の洗礼式を執り行った。
 


■ 出演作

ウィリアム・ホールデン
(1941)掠奪の町/TEXAS
(1950)サンセット大通り/Sunset Boulevard
(1953)月蒼くして/The Moon Is Blue
(1949)テキサス決死隊/Streets of Laredo
(1949)Dear Wife
(1952)黒い街:ターニングポイント/The Turning Point
(1948)ペギーのアパート/Apartment For Peggy
(1947)恋文騒動/Dear Ruth/
(1950)詐欺師と孤児と女性教師/Father Is a Bachelor
(1950)ユニオン駅:武装市街/Union Station
(1950)ボーン・イエスタデイ:生まれ変わった富豪の愛人/Born Yesterday