■ Fathom(1967)


製作:1967年、脚本:ロレンツォ・センプル・Jr、監督:レスリー・H・マーティンソン   予告編   予告編  


■ あらすじのあらすじ

ファゾムはパラシュート降下競技で優勝した後、ダグラス・キャンベルとティモシー・ウェブに「水爆の起爆装置、炎の竜の回収に協力してほしい」と言われて、海岸の絶壁にある別荘にパラシュートで降下した。ピーター・メリウェザーがいたが、炎の竜はなかった。

二人にさらに「沖合のセラプキンの船に潜入してほしい」と言われ、セラプキンのバッグを回収した。ティモシーと車で走っていたが、ピーターに捕らえられた。

しかしバッグの中身はキャベツだった。逃げ出したが闘牛場に迷い込み、牛に追いかけられる事態となった。その後炎の竜は実は中国の宝物であると分かった。

ホテルの主人のマイクと海に出かけ、マイクは海の中から炎の竜を回収した。マイクの正体を知ったファゾムは、マイクに狙われるがモーターボートが近づいてきた。ここでファゾムは気を失う。

ホテルに戻ったが、自分バッグの中に炎の竜が隠されていた。列車に乗るとティモシー、ピーター、セラプキンが乗り込んできた。

ピーター、セラプキンを騙して、ダグラス、ティモシーとセスナに乗った。炎の竜をパリで中国政府に届けるためである。

しかしファゾムは拳銃を突き付けられた。パラシュートにも細工がしてあって、降下することもできない。

ピーターが乗ったセスナが近づいてきた。
 


■ はじめに

本作のターゲットは「炎の竜」。最初は「水素爆弾の起爆装置」と説明されるが、ほどなくして中国の国宝級の彫刻と判明する。一方、我々のターゲットは、もちろんラクエル・ウェルチ。

舞台は南スペインのマラガ。地中海に面している。パラシュート競技の大会が開かれている。ファゾムは、これに参加し優勝する。

全般をきわめてばっさりと要約すれば、我らのファゾムが慌てふためいて逃げ回り走り回るというストーリーであり、その合間にラクエル・ウェルチの魅力が我々に開示されるという仕掛けになっている。

◆ 登場人物(キャスト)
 ◇ ファゾム・ガーヴィル(ラクエル・ウェルチ)。
  ・水着も似合うパラシュート降下の達人。その正体はアメリカの歯科助手。
  ・名前が珍しいので、由来を何度か問われるが、そのたびに違う回答をする。
 ◇ ダグラス・キャンベル(ロナルド・フレイザー)、ティモシー・ウェブ(リチャード・ブライヤーズ)。
  ・自称、NATOの軍人、海中に沈んでいる「水爆の起爆装置・炎の竜」を探している。
  ・もう一つの自称、香港の探偵、「宝物の炎の竜」の捜索依頼を受けている。
  ・メリウェザーによれば、キャンベルは「宝物の炎の竜」を盗んだ泥棒。
 ◇ ピーター・メリウェザー(アンソニー・フランシオーサ)
  ・自称、香港の探偵、炎の竜の捜索依頼を受けている。
  ・キャンベルによれば、最初は中国の工作員、「水爆の起爆装置の炎の竜」を狙っている。次には「宝物の炎の竜」を盗んだ泥棒。
 ◇ ジョー・メイ・スーン(グレタ・チャイ)
  ・メリウェザーと一緒に行動している。中国人と白人の混血らしい。意外と水着が似合う。
  ・キャンベルによれば以前はKGB所属、今は中国の工作員。
 ◇ トリヴァーズ夫妻
  ・メリウェザーがいる別荘にいる。
  ・キャンベルによればスパイの一味。しかし子供も一緒だったりして悪人面はしていない。
 ◇ セラプキン(クライヴ・レヴィル)
  ・ロシア人。宝物の売買・収集家。金持ち。
  ・誰から見ても悪人かつスケベと確信できる風貌。
 ◇ マイク(トム・アダムス)
  ・マラガのホテルの主人。

本作はファゾム視点で描かれるが、ファゾムが気を失うところがある。ファゾムには、その間に誰が何をしたのか不明。我々にも分からない。後で明示はされないが、どうなっていたかが分かるようになっている。またキャンベルやメリウェザーやマイクの正体がファゾムには分からないので混乱する。
 


■ あらすじ

◆ 別荘、パラシュート降下

ファゾムは、パラシュート競技で優勝した後、キャンベルとティモシーに誘われて、ある場所に到着する。そこで「水爆の起爆装置(=炎の竜)の回収に協力してくれ」と言われ、周囲からは近寄りがたい海岸の別荘にパラシュート降下する。ヘルメットの中の盗聴器のスイッチを入れる。

別荘の中に入っていくが無人。しかしある扉を開けると死体があった。そこでメリウェザーとジョーが現れて、犯人と疑われる。しかしさほど強くは追及されない。ファゾムとメリウェザーは馬でマラガの町に行く。注、途中で死体を捨てる。死体が何者であるかは後で判明する。

競技の時は赤と白で色分けされたパラシュートを使うが、別荘に降下する時は真っ赤なパラシュートを使う。これが邦題の由来だろう。


◆ セラプキンの船

マラガのホテルに到着すると部屋にはティモシーがいた。ティモシーは、やっと戻ってきたファゾムをまたこき使おうとする。注、メリウェザーとは別れている。

沖合の船にいるセラプキンが炎の竜をもっている(らしい)ので、船に行くように指示する。イヤリングに仕込んだ爆弾(威力はたいしてものではない)を爆発させて、セラプキンが炎の竜を持ち出すところを掠め取ろうとする作戦。

ファゾムはボートで出発するが、それをメリウェザーとジョーが監視している。

若干の手違いは省略して、ファゾムはイヤリング外して爆発させる、セラプキンはバッグを持ってファゾムとボートで出発。そのボートをティモシーがボートで追撃する。ボートアクションが展開される。上空からヘリでメリウェザーが見ている。

ティモシーのボートと衝突しそうになってセラプキンはバッグを落としてしまう。ファゾムは海に飛び込んでバッグを追う。ティモシーがバッグを回収する。ファゾムもボートに乗る。しかしセラプキンは、なぜか慌てている様子はない。


◆ 崖から転落

二人は車で走っていくが、上空からメリウェザーがヘリで追跡。メリウェザーは先回りして崖のそばの曲がり角で待ち受ける。すでに夜になっている。

二人の車が来たところで強力な投光器で照らして目くらましをする。車は崖下に転落。ここでファゾムは気を失う。注、転落したもののケガはしてない(笑)。

気がつくと例の別荘。一応捕えられているようであるが、近くには拳銃を持ったトリヴァーズ妻が居眠りをしている。拳銃を奪い取ろうとするが争いになる。拳銃が暴発しトリヴァーズ妻は死亡。注、実は死亡してない。後でのんびりと日光浴をしている。

事件に気づいたメリウェザーとジョー、トリヴァーズに追及される。ジョーがセラプキンのバッグを開けると中にはキャベツ!。「どこに隠した!?」と追及される。


◆ 闘牛場事件

ファゾムは逃げ出す。メリウェザー、ジョー、トリヴァーズが追いかけてくる。

ファゾムは闘牛場に逃げ込む。周りは壁なので外に出られない。牛に追いかけまわされる展開となる。ここのところが、わりとしつこく続く。

倒れて牛にやられそうになったところで三人に助け出される。ここでメリウェザーはファゾムが「炎の竜=水爆の起爆装置」と認識していたことを知る。

その後は、なぜか仲睦まじくメリウェザーとカフェでコーヒーを飲んでいる。ここでの話でファゾムは炎の竜が起爆装置ではなく、中国の彫刻であることと、別荘でファゾムが見つけた死者が炎の竜を発見したダイヴァーであることを知る。闘牛場では赤いワンピースであるが、ここでは青の服なので時間経過があったようである。注、本作ではわりと唐突な時間経過が何度かある。

さらにファゾムの服が変わって、メリウェザーとドライヴしている。「後ろから追跡されている」とメリウェザーが言う。二人は車を下りて隠れる。しかし誰も来ないので「追跡されてたって嘘でしょ」と言い争う。が、なぜかここでメリウェザーはファゾムにキス。それは確かに嘘でメリウェザーがキスの機会を作るためであったことを白状する。


◆ 炎の竜発見

ファゾムはホテルに帰った。しかし部屋にはセラプキンが待っていた。ここでセラプキンは炎の竜の写真を見せる。セラプキンにナイフで脅されるが、ホテルの主人のマイクが助けに来る。

ホテルのフロントに飾ってあるいくつもの写真に傷があるのを発見する。マイクによればカメラのレンズがいかれているとのこと。先ほどの炎の竜の写真にも同様の傷があった。ファゾムは少しは真相が分かってきた。

マイクに魚釣りに誘われてボートで沖に出る。マイクは海に潜ってケースを引き上げてきた。それを開けると炎の竜である。ここでマイクはダイヴァーを殺したことを告白。注、マイクが海に潜る時にファゾムを連れて行く必然性はないが、そこが映画。

マイクの正体が分かりファゾムは水中銃をマイクに向けるが逆にやられそうになり海に飛び込む。マイクは水中銃でファゾムを狙う。ファゾムは海に潜って逃げる。マイクが追いかけファゾムが逃げる。かなり危ない展開が続く。

他のボートが近づいてくる。ここでファゾムは気を失う。注、近づいてくるボートが誰であるかは明らかにされない。後の展開を見ると誰であるかは分かる。

ファゾムは海岸に打ち上げられて気がつく。誰もいない。ボートがあって、炎の竜が入っていたケースがあるが空である。

海岸から道路に出ると、キャンベルとティモシーの車に出会った。キャンベルは香港に探偵事務所持っていて、そしてメリウェザーこそが、泥棒であると言う。


◆ 列車の中

さてファゾムは、何事もなかったかのようにホテルに帰って、何事もなかったかのように出発の準備をする。もともとの予定であるフランスでの次の競技に参加するためである。

しかし自分のバッグの中に炎の竜が隠されているのを発見する。そのバッグを持って列車に乗る。

列車にはメリウェザーが乗り込んでくる。ティモシーも乗っている。そしてセラプキンも乗っている。

ちょっと展開はあるが、ファゾムは三人を前にして向かいの席に座る。そしてバッグを取り上げ窓際に置いて三人に話しかける。

ここでファゾムはバッグを間違って外に落としてしまう。慌ててメリウェザーが列車から飛び降りる。

実は「間違って落とした」のではなく、ファゾムはバッグを意図的に落としたのである。もう一つのバッグを開けて炎の竜を二人に見せる。この時の笑顔を見れば彼女を好きになるのは間違いない。

ここで推察を入れると、ファゾムはバッグに炎の竜を入れたのはメリウェザーと分かっており、この時点ではティモシーを信用している。

ファゾムとティモシーは非常停止のヒモを引っ張って列車から降りる。二人は「ヒモを引っ張ったのは、この人」と係員に言って、セラプキンは置いてきぼり。


◆ 飛行機

二人はキャンベルのところへ行って三人でセスナに乗る。パリへ行って炎の竜を戻すためである。ファゾムはパラシュートを背負っている。

しかし離陸するとキャンベルは行き先はアンカラであるという。そして拳銃を取り出してファゾムに突き付ける。注、セスナでアンカラまでは無理だろう。パリでも無理かも?

ファゾムはパラシュートで降りようとするが、パラシュートは開かないように細工がしてあって降りれない。絶体絶命の状態である。

そしてもう一つのセスナが近寄ってきた。メリウェザーが乗っている。
 


■ 蛇足

クライヴ・レヴィル。「唇からナイフ/Modesty Blaise(1966)」。
 

ラクエル・ウェルチ
(1966)ミクロの決死圏/Fantastic Voyage
(1970)マイラ Myra Breckinridge
(1968)バンドレロ/Bandolero
(1973)三銃士/The Three Musketeers
(1977)王子と乞食/Crossed Swords
(1968)セメントの女 Lady in Cement
(1968)百挺のライフル/100 Rifles
(1971)女ガンマン 皆殺しのメロディ/Hannie Caulder
(1972)カンサスシティの爆弾娘/Kansas City Bomber
(1976)走れ走れ救急車/MOTHER, JUGS & SPEED
(1966)恐竜百万年/One Million Years B.C.