ラクエル・ウェルチ(1940年9月5日~2023年2月15日:82歳)

「ラクエル・ウェルチ」で検索すると「20世紀最大のセックスシンボル」などと出てくるが、むしろパワフルな役が多い。本作もその通り。 「(1971)女ガンマン 皆殺しのメロディ/Hannie Caulder」「(1968)百挺のライフル/100 Rifles」「(1968)バンドレロ/Bandolero」。これらでは銃を撃ちまくる。 「(1967)空から赤いバラ/Fathom」ではパラシュート降下の達人。「(1966)恐竜百万年/One Million Years B.C.」では太古の荒野を放浪する。


Kansas City Bomber

シングルマザーのK.C.・カーはローラーゲームのスター選手。子供を母親に預けて競技をしている。
別ティームに移籍するが、そこで同じティームの選手と対立する。


製作年:1972、監督:Jerrold Freedman、脚本:Calvin Clements Sr.、Thomas Rickman、原作:Barry Sandler


■ はじめに

本作は英語版DVDも日本語版DVDもあるのだが、品切れ状態で手に入らなかった。やっとネットにアップされた。ハッピー。

◆ 登場人物(キャスト)

K.C.・カー(ラクエル・ウェルチ) 選手
リタ(ジョディ・フォスター) 娘
ベン(Shelly Novack) 息子
母親(?)

ビッグ・バーサ(?) (カンザスの)選手
バート・ヘンリー(ケヴィン・マッカーシー) プロモーター
ロビー(M・K・パス) 選手
ジャッキー・バーデット(ヘレナ・カリアニオテス) 選手
ハンク・ホプキンス(ノーマン・オールデン) 選手
佐々木陽子(本人) 選手
ヴィヴィアン(ジーン・クーパー) トレーナー
ジェン(Richard Lane) テレヴィ解説者

◆ 補足・感想

子供がいるので「娘」は不当表示である。娘のリタ役はなんとジョディ・フォスター。

東京ボンバーズの佐々木陽子選手が出演している。控室で話したり、K,C.・カーがデートしているところに顔を出したり、ファンにサインをする場面もあり、わりと出演場面は多い。

ローラーゲームについてはローラーゲームを参照。ごく簡単にいえばローラースケートの追い越しゲーム。

「カンサス」ではなく「カンザス」。本作の日本語版タイトルは「カンサス・シティの爆弾娘」となっているが「カンザス」が正しい。カンザス市はカンザス州とミズーリ州にあるが実は同じ都市で両州の境界にある。市の中を州境が通っている。もちろん行政区域としては別々。

「ボンバー」ではなく「ボマー」。Bomberの二番目のBは黙字である。従って日本語的には「ボマー」と発音するのが正しい。「東京ボンバーズ」と言うティームがあり、また「ゴールデンボンバー」と言うバンドがある。名前は非常に重要なものだが、決めるときに調べなかったのかが不思議である。いまさら変えられないが。
 


■ あらすじ

◆ K.C.・カー

カンザスのローラーゲーム場では、毎夜カンザスシティ・ランブラースとタルサ・トーピドーズとの試合が行われて、観客を熱狂させていた。

K.C.・カーはランブラースのスター選手である。子供が二人いるが、母親に預けて当地でゲームをしている。

◆ ローラーゲーム

ローラーゲームのティームは、男女5名ずつから構成されており、男性同士、女性同士で対戦する。

両ティーム合わせて10名がコースを周回しながらゲームを展開する。

5名のうち1~2名がジャマー(得点係)となり、ジャマーが相手ティームメンバーを追い抜いた回数が得点となる。

他のメンバーは自ティームのジャマーを助けたり、相手ティームのジャマーを妨害する。

男女が交代して何度もゲームが行われる。

ローラーゲームはプロレスのようにエンターテイメントとして行われる競技であって、時には意図的な乱闘などが発生する。

観客もそれを知ったうえでゲームを楽しんでいる。

◆ マッチレース

さてK.C.の移籍の話が持ち上がっている。K.C.は同じティームの女性選手ビッグ・バーサとは犬猿の仲である。

二人のマッチレースが行われることになった。

「二人の選手は犬猿の仲」。これは実は作り話であって、選手が移籍(あるいは引退)する時に「ライヴァル選手とマッチレースをして敗れたので立ち去る」というストーリーが作られる。

観客もそれを知ったうえで応援をし、去っていく選手を送る。

二人はコースを周回しながら争う。殴り合って足をかけるとか型どおりにマッチレースをした。

K.C.は「敗れて」ティームを去ることになった。

◆ 子供

K.C.はいったん故郷に帰る。母親が子供二人の面倒を見ている。

母親はいつものように「再婚して子供たちと一緒に暮らしなさい」と言う。

リタはローラースケートを教えてもらって楽しそうにしているが、ベンは少し反発しているようである。

◆ ポートランド・レニゲーズ

K.C.の移籍話を持ってきたのは、ポートランド・ロジャーズのオーナー、バート・ヘンリーである。

ポートランド・レニゲーズがK.C.への優先権を持っているのでK.C.はレニゲーズで属することになる。

選手のロビーはK.C.のためにボートハウスを探してくれた。K.C.はここに住むことになった。

一方、女子キャプテンのジャッキー・バーデットとは仲がうまくいかなかった。

先述したようにローラーゲームはエンターテイメントの競技である。

ここではカンザスの時にもまして過激な演出が行われた。相手を殴る、蹴る、足をひっかけて転倒させる。スピードがついているので、思わぬケガをしないとも限らない。

さらにトラックに折り畳みイスが投げ込まれたり、テーブルをトラックに突っ込んで、走行を妨害するなども行われた。

K.C.も男子ティーム走行中にモップを持って殴り込んだりした。

◆ バートの意図

さてバートはシカゴにもティームを持っている。本来はK.C.をシカゴに連れていきたい。

それとバートはK.C.に好意を寄せている。二人は付き合い始めた。

だがK.C.は必ずしも、この状況を受け入れていないようにも思われる。

◆ 再びマッチレース

さてジャッキーとの間はますます険悪となった。注、これも作られたストーリー。

二人はマッチレースを行うことになった。このレースに負けてK.C.はシカゴに移籍するという筋書きである。

二人はトラックに入って周回を始めた。

だが様子が違った。K.C.は本気で争った。ジャッキーも本気になった。観客は立ち上がり騒然。

タックル、首投げ、髪の毛を掴んで頭をバーに叩きつけた。さらに這いつくばって殴り合いから場外乱闘。まさにプロレス状態。会場は異様な雰囲気となった。

二人は最後まで戦った。そして勝ったのはK.C.。観客席からはK.C.コールが沸き上がった。

k.C.は勝者を示す三色テープを掲げてトラックを周回した。観客はK.C.が残ることになって喜んだ。
 


■ 出演作

ラクエル・ウェルチ
(1966)ミクロの決死圏/Fantastic Voyage
(1970)マイラ Myra Breckinridge
(1968)バンドレロ/Bandolero
(1973)三銃士/The Three Musketeers
(1977)王子と乞食/Crossed Swords
(1968)セメントの女 Lady in Cement
(1968)百挺のライフル/100 Rifles
(1971)女ガンマン 皆殺しのメロディ/Hannie Caulder
(1972)カンザスシティの爆弾娘/Kansas City Bomber
(1976)走れ走れ救急車/MOTHER, JUGS & SPEED
(1966)恐竜百万年/One Million Years B.C.
(1967)悪いことしましョ!/Bedazzled
(1967)空から赤いバラ/Fathom