私も含め、現在プログラマという仕事をしている世代は、そのような環境では育っていない。だから、今の子供は恵まれていると思うし、羨ましく思う。そして、今後は若いプログラマのスキルはどんどん上がってくだろうと期待したりもする。
しかし、本当にそうなるのだろうか?
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考えてみれば、家電にしろ自動車にしろ、製品が世間に普及したからといって、その製品の開発技術が一般の人にまで普及するわけではない。
むしろ、ユーザーが増えるということは、その裏側にある技術が隠され、仕組みを知らなくても簡単に使えるようなったということだろう。例えば、AT車が普及してドライバー人口は増えたかもしれないが、「ギア」の仕組みを理解している人はむしろ少なくなったのではないだろうか。
ソフトウェアも同じだ。ソフトウェアの種類が増え、上手く使いこなせるユーザーが増えたからといって、プログラミングできる人が増えるというわけではないだろう。
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また、学校教育についても、必ずしも期待できるものではない。中学校から英語を習っていても、実用的に使える人がいかに少ないことか。
これではダメだということで、小学校から英語を教えようという動きもあるようだが、私はたいして変わらないと思う。語学の習得には、豊富な実践経験が必要だが、学校の限られた時間割の中にそれを求めるのは無理な話ではないか。
経験が必要だという点では、プログラミングも同じである。学校でプログラミングが教えられるようになったとしても、それだけで実用的なプログラムが作れるようになるとは思えない(※)。
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コンピュータの普及や情報教育によって、多くの人がソフトウェアに触れるようになったことは確かである。プログラマが何をする仕事か、ということを理解する人も増えているだろう。
しかし、それと同時に、必要とされるプログラマの数も増えているのだ。いかにして優れたプログラマを育てて行くか、ということは、この業界にとって依然として大きな課題のままである。
※yasuhoの隠れ家さん『「情報」を学習する前に 』によると、情報学習はプログラミングを重要視していないということだから、なおさらである(専門学校なら話は別だろうが)。
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posted with amazlet
on 06.04.09
戸塚 滝登
小学館 (2005/12)
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