自分にとって、出向には良い面も悪い面もあった。色々な人に出会ったり、色々な会社の内側を見たりすることは、よい人生経験になったと思う。しかし、自宅から通えないような遠隔地へ長期的に出向させられた場合など、個人生活に大きな影響が出ることもあった。
会社によっても違うとは思うが、この業界に就職を考えている人は、そのあたりの事情もよく知っておいたほうがいいだろう。
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社員を出向させれば簡単に儲けが出せるから、会社としては「おいしい」のだろうと言う人もいる。しかし、必ずしもそうではない。人材派遣業としてやっているのなら別だが、システム開発を主とする会社にとって、技術者を他社に出向させることは、あまり良いことではない。
まず、社内のプロジェクトで要員が不足したときに困る。社内に人がいなければ、結局、別の会社から人を派遣してもらうことになるだろう。つまり、他社に人を派遣しておきながら、自社も別の会社から人を派遣してもらう、という不自然な状態になってしまうのである。
また、自社が以前に開発したシステムについて、トラブルが発生したり、バージョンアップの依頼が来たときにも困ることがある。そのシステムについて詳しい人が、全員社内に残っていないということがあるのだ。
他にも、社内で働く人と社外で働く人の条件の違いが不公平感を生むようなこともあるし、社員の教育・育成の面でも、情報セキュリティの面でもよくないだろう。
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では、なぜシステム開発会社は社員を出向させるのだろうか。
システムの受託開発では、仕事の受注に応じて、プロジェクトがいくつも立ち上がっては、終わっていく。このため、良く言えば「柔軟」に、悪く言えば「場当たり的」に技術者を異動することになる。
こうした要員の異動は部署内、会社内にとどめるのが理想だ。しかし、実際には会社全体の仕事の量が過不足になるようなことも多いのだ。営業力の弱い中小企業ではよくある話だろう。また、大手は大手で、大規模なプロジェクトを動かすため、やはり要員過不足の波は大きい。
人が足りない場合は、システムの一部の機能や一部の工程を下請けに出す方法もあるし、フリーの技術者や人材派遣会社から集めるという方法もある(スキルが要求されるので、アルバイトでは難しいのだが)。
しかし、人が余っているという場合にできることは案外少ない。そこで、人手不足の同業他社に出向させるわけだ。受け入れる側としても、他社の技術者を入れる方がフリーの技術者を集めるよりも簡単だし、契約面や能力面での安心感もあるだろう。
要するに、出向の大きな原因は、個々の会社が受注する仕事の量が安定しないということなのである。巨視的にみれば、システム開発業界全体が、出向という手段を使って要員調整を行っているとも言えるだろう。
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このように、プログラマという職業も、意外と人との出会い(そして別れ)が多いのだ。たまに、「人と接することが苦手だから」という理由でプログラマを志望するような人がいるが、それはあまり正しい判断とは言えないだろう。
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