旅行記第2回は、インドが誇る新型特急列車に試乗してきました。

 

 

今年1月から運航開始したばかりのインド国鉄の新型特急列車 Varanasi Vande Bharat Express インドの首都デリーから聖地バラナシまで 769キロを約8時間で結びます。表定速度96キロは新幹線には遠く及びませんが、日本の在来線特急とくらべてもかなり速いレベルにあります。

この車両の主要諸元は以下の通りです。

営業最高速度 130km(将来は160㎞の予定)

設計最高速度 180㎞

運行本数 1往復

車体 普通銅

編成 16両編成 8M8T (電車タイプ)

電圧 交流2万5千ボルト(新幹線と同じ)

軌間 1676㎜ (インド標準軌間)

 

 この車両の主な特徴として

・インド初の動力分散式(電車タイプ)の長距離用車両

 インドでは地下鉄や一部都市圏の通勤電車を除き、基本的に全て機関車けん引による客車列車です。日本人にとっては往年のブルートレインや長距離列車を思い起こさせるレトロなものですが、加速・高速性能では当然劣ります。日本の特急を思い起こさせる流線形の電車特急はインド国鉄のイメージを大きく変えるものです。

 

・先進国基準(?)のテクノロジー

VVVFインバーター制御、回生ブレーキ、空気ばね、電気指令式空気ブレーキなど、日本の車両でおなじみのものがついています。それに加えて、すべての車両に監視カメラを装着、全ての車両がエアコン付き、すべてのドアが自動ドア(インド国鉄の車両はドアが手動な上に走行中に自由に開けることができる)など、インドらしい適当感がなく、日本など先進国の特急列車に乗っているような感じです。すくなくとも、日本の少し古い在来線特急くらいの性能はあると考えてよさそうです。

とくに、ドアが自動ドアで走行中は開かない、窓が開かないということは、ゴミを外へポイ捨てできず、慣れるまでインド人にとってはそうとうフラストレーションがたまるような気がします。

 

・インドの威信をかけた独自開発

日本の東北新幹線E2系やドイツICE3にそっくりな車両で、パクリではないと独自技術を標榜する国がありますが(笑)、こちらは、インドの鉄道車両メーカー が中心に開発されたとされています。2月の運行開始の日にはモディ首相みずから、出発合図の旗を振るなど、国を挙げて作り上げたという気合が伝わってきます。

 

自分が生まれるはるか昔の話ですが、1950年代後半から60年代にかけて、機関車けん引やSLも多数残っていた日本の国鉄で、特急こだま号(151系電車)、はつかり号(キハ80系気動車)に代表される、動力分散式(電車・気動車)による近代的列車が走り始めたころもこんな感じだったのかなあと想像しております。

さらにインド版新幹線も2023年ごろの開業に向けて目下建設中です。

 

広いインドですから、日本の国鉄が行ったような急速な変化は起きないでしょうが、この車両の成功がインド国鉄のカルチャーを変える可能性もあるのではないかと思います。

 

インド国鉄近代化を象徴する列車、次回は車内や車窓について書いてみたいと思います。