インドのニュースサイトにて、デリーメトロ第4フェーズ、104㎞について日本のJICA(Japan International Cooperation Agency 独立行政法人国際協力機構)が資金提供するという記事が出ました。

JICAのHPによるとフェーズ2までの概要しか出てないのでタイムラグがあるのかと思いますが、あらためてJICAの役割とデリーメトロについて考察してみましょう。

 

・デリーメトロの概要

・JICAの資金提供・ODAとは

・日本が支援する意味(私の勝手な意見も含む)

 

<デリーメトロの概要>

 (参考までに東京メトロの概要)
開業:2002年 (1927年)
総延長:348㎞(195㎞)
路線数:10路線(9路線)
車両数:924両(フェーズ3まで)(2750両 2020年現在)

東京メトロ以外にも、JR(旧国鉄)や私鉄などがある日本(東京)と単純に比較はできないものの、最初の区間が開業してからわずか20年足らずで、東京メトロの1.5倍にあたる約350㎞の路線網を構築したのはかなり速いペースだと思います。

しかも、さらに100㎞以上の路線延長計画、周辺のグルガオンやノイダでも独自のメトロ計画があり、NCR(デリー首都圏)は広域にわたってメトロが走る都市と言えます。

 

<JICAの役割、ODAとは>
よくニュースで、「〇〇会議で日本は××国(あるいは地域)に何兆円の支援表明」といっ
たことが流れてきます。
こうしたニュースを聞くたびに「そんなに外国にあげるお金があるんだったら、困ってウ
チらに少しでも回してほしいわ!」と嘆く声が聞こえてくるのですが、、

現在、日本が行っている支援は、技術協力、無償資金協力、有償資金協力の3つがあります。
技術協力:専門家の派遣、実習生受入れ、青年海外協力隊など技術移転を支援
無償資金協力:返済義務のない援助、すなわちお金をあげるというもの、ユニセフ、世界
食糧機構などの国際機関へ資金援助や特に貧困がひどい国の医療・衛生状況支援のために行われる。
有償資金協力:インフラ整備など国の発展に関することに対して、返済義務のある援助、
すなわちローンを提供する。ただし、民間金融機関よりはるかに低利・長期にわたるもの
で、途上国の経済発展を後押しする。円借款ともいわれています。

デリーメトロは技術協力と有償資金協力になります。すなわち、建設や運行管理で専門家を派遣しつつ、膨大な費用になる建設費については、低利で長期間のローンを提供したわけで
す。
デリーメトロでは、第1期で1600億、第2期で1000億、第3期で536億、そして第4期1200億を円借款で支援しています。

 

<日本が支援する意味(私の勝手な意見も含む)>

私は、インドのような途上国への有償資金協力には積極的に進めるべきだと考えています。その理由は

・新興国の経済成長により、直接・間接的に日本企業の海外進出を支援することになる。

・インフラ企業など、高い技術力があっても、既に開発しつくされた日本では市場が少ない中、市場開拓によって売上を確保し、技術力の維持・継承が図られる。

・新興国の所得水準が上がり、貧困層の割合が減ることで治安の安定、政治的安定がなされ、安全保障上のメリットがある。

・経済発展による生活水準向上で人道的見地からも有意義

 

端的に言うと「貧しい国の発展に力を貸すことで、結果的に日本人(企業)の利益にもなる」ということです。

 

さらにデリーメトロやインド他都市のメトロプロジェクトについては以下のメリットがあると思います。

・信号システムなど日系企業の技術が導入されることで、継続的な保守需要が見込める。

・渋滞緩和、大気汚染改善など現地の環境改善に貢献とそれに伴う日本への好感度上昇が期待できる。

・経済的にも軍事的にも重要な位置にあるインドと政治的なつながりの強化

といったことが考えられます。

 

一方で、信号システムは日本製ですが、車両がアルストムやボンバルディアなど欧米製の車両(またはそれをインドでライセンス生産)になっていることはとても残念です。

鉄道に限りませんが、せっかく日本のお金を低利融資するのですから、その事業に参加する企業は技術的に無理な場合など特別なことがなければ、日本企業に受託させるべきではないでしょうか?

競争入札の方が安くなるとはいっても、円借款である以上いずれは帰ってくるお金でもありますし、何より多少金額の上がることと、日本企業の増益による日本人へ還元するメリットを考えると、プロジェクトは日系企業優先にするべきではないかと思います。

 

いずれにせよ、

インドは世界最大の民主主義国家で、日本と価値観を共有できる国でもあり、

そうした重要なパートナー国へのODAは積極的に行ってほしいと思います。