日本以外の多くの国では、配車サービスUberの利用が一般的であるが、インドではUberと並んでインド資本のOLAがこの市場でシェアを二分している。

 

この配車サービスのOLAが南インドで巨大なEVスクーターの建設計画を発表した。これの一体何がすごいのか? OLAとは何者なのか?を見ていきたいと思います。

 

OLAのEV工場は何がすごいのか?

OLAとは何をやっている会社なのか?

OLAの狙いは何なのか?

 

<OLAのEV工場は何がすごいのか?>

OLAの発表によると、生産台数は

フェーズ1(2021年6月):年産200万台

フェーズ4(2022年度中):年産1000万台

 

インドの2輪マーケットは直近の2019年で約2100万台(2020年度はコロナのため大幅減)である。トップのHEROが約760万台、2位のホンダが550万台、3位のTVSが310万台であることを考えると、フェーズ1でトップ5に食い込み、翌年のフェーズ4まで拡張時には現在シェアトップHEROを上回るの規模を生産することになる。

(ちなみに同年の日本での自動二輪と原付の合計販売台数は約36万台)

 

インド2輪勢力図をわずか2年でOLAが完全に塗り替えることになる。

 

もっとも、最初からすぐに生産キャパいっぱいで作るわけではないだろうが、ポテンシャルはすさまじい。

 

OLAは前途の通り配車サービスの会社で製造業の経験は全くない。しかし、2019年にオランダのEVベンチャーであるEtergo BV社を買収したことと、生産ラインについてドイツのシーメンス社が支援したことで実現したとしている。

 

<OLAとは何をやっている会社なのか?>

OLAは正式な社名はANI Technologies Pvt. Ltd.となり、配車アプリの名前がOLA(オラ)である。だが、正式社名はほとんど知られておらず、通常はOLAと言われている。

 

今から約10年前の2010年に西インド最大の都市ムンバイで工科大学卒業生により開発されたオートリクシャー(3輪車のタクシー)の配車サービスとして創業、2014年に拠点をバンガロールに移しOLA Miniなど普通の乗用車を使った配車サービスも展開、さらにドライバーに車両をレンタルする制度を始める。

現在では、多くの主要空港ではOLA専用の乗り場があったり、6時間、12時間レンタルという時間制貸切車両提供のサービスがあるなど、ビジネス、観光あらゆる面の需要にこたえている。

 

インドでは、コルカタ、ムンバイなど古くからの都市では、アンバサダー(古くから生産されていたインド純国産車)によるタクシーを見かけるが、絶対数は多くない。さらに、グルガオン、バンガロールのような新興都市では、流しのタクシーそのものがない。その代わり、OLA、Uberといった配車サービスが充実している。

 

タイやベトナムなど東南アジアでは、トゥクトゥクと呼ばれる3輪タクシーから、経済発展によりセダンのタクシーになると言う流れがあったが、インドの場合はオートリクシャー(3輪タクシー)

から普通のタクシーの普及の段階を飛び越えていきなり配車サービスに移行した。

このように急速に普及したインドの配車サービス事業において、OLAの急成長というより業界全体をけん引してきたともいえよう。

 

<OLAの狙いは何なのか?>

わずか10年あまりで年間売上300億円以上! インドの多くの都市に加え、オーストラリア、ニュージーランド、そして旧宗主国のイギリスにも進出しているOLAは、このEVスクーター計画でいったい何をしようとしているのか?

 

正直言ってわからない! 

 

オランダのEVベンチャー買収から2年後にインドNo1の二輪車メーカーになるなど、大風呂敷を広げすぎなような気がする。しかし、スマホが出始めた頃に配車サービスを立ち上げ、わずか10年でここまで普及・充実するとも予想はつかなかったし、次の10年、インドさらには各国の交通状況がどのようになっているのだろうか、私には想像もつかないが、OLAにはそれが見えているのかもしれない。

 

まともな結論になってないが、筆者の頭はその程度ということで…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

インドのニュースサイトにて、デリーメトロ第4フェーズ、104㎞について日本のJICA(Japan International Cooperation Agency 独立行政法人国際協力機構)が資金提供するという記事が出ました。

JICAのHPによるとフェーズ2までの概要しか出てないのでタイムラグがあるのかと思いますが、あらためてJICAの役割とデリーメトロについて考察してみましょう。

 

・デリーメトロの概要

・JICAの資金提供・ODAとは

・日本が支援する意味(私の勝手な意見も含む)

 

<デリーメトロの概要>

 (参考までに東京メトロの概要)
開業:2002年 (1927年)
総延長:348㎞(195㎞)
路線数:10路線(9路線)
車両数:924両(フェーズ3まで)(2750両 2020年現在)

東京メトロ以外にも、JR(旧国鉄)や私鉄などがある日本(東京)と単純に比較はできないものの、最初の区間が開業してからわずか20年足らずで、東京メトロの1.5倍にあたる約350㎞の路線網を構築したのはかなり速いペースだと思います。

しかも、さらに100㎞以上の路線延長計画、周辺のグルガオンやノイダでも独自のメトロ計画があり、NCR(デリー首都圏)は広域にわたってメトロが走る都市と言えます。

 

<JICAの役割、ODAとは>
よくニュースで、「〇〇会議で日本は××国(あるいは地域)に何兆円の支援表明」といっ
たことが流れてきます。
こうしたニュースを聞くたびに「そんなに外国にあげるお金があるんだったら、困ってウ
チらに少しでも回してほしいわ!」と嘆く声が聞こえてくるのですが、、

現在、日本が行っている支援は、技術協力、無償資金協力、有償資金協力の3つがあります。
技術協力:専門家の派遣、実習生受入れ、青年海外協力隊など技術移転を支援
無償資金協力:返済義務のない援助、すなわちお金をあげるというもの、ユニセフ、世界
食糧機構などの国際機関へ資金援助や特に貧困がひどい国の医療・衛生状況支援のために行われる。
有償資金協力:インフラ整備など国の発展に関することに対して、返済義務のある援助、
すなわちローンを提供する。ただし、民間金融機関よりはるかに低利・長期にわたるもの
で、途上国の経済発展を後押しする。円借款ともいわれています。

デリーメトロは技術協力と有償資金協力になります。すなわち、建設や運行管理で専門家を派遣しつつ、膨大な費用になる建設費については、低利で長期間のローンを提供したわけで
す。
デリーメトロでは、第1期で1600億、第2期で1000億、第3期で536億、そして第4期1200億を円借款で支援しています。

 

<日本が支援する意味(私の勝手な意見も含む)>

私は、インドのような途上国への有償資金協力には積極的に進めるべきだと考えています。その理由は

・新興国の経済成長により、直接・間接的に日本企業の海外進出を支援することになる。

・インフラ企業など、高い技術力があっても、既に開発しつくされた日本では市場が少ない中、市場開拓によって売上を確保し、技術力の維持・継承が図られる。

・新興国の所得水準が上がり、貧困層の割合が減ることで治安の安定、政治的安定がなされ、安全保障上のメリットがある。

・経済発展による生活水準向上で人道的見地からも有意義

 

端的に言うと「貧しい国の発展に力を貸すことで、結果的に日本人(企業)の利益にもなる」ということです。

 

さらにデリーメトロやインド他都市のメトロプロジェクトについては以下のメリットがあると思います。

・信号システムなど日系企業の技術が導入されることで、継続的な保守需要が見込める。

・渋滞緩和、大気汚染改善など現地の環境改善に貢献とそれに伴う日本への好感度上昇が期待できる。

・経済的にも軍事的にも重要な位置にあるインドと政治的なつながりの強化

といったことが考えられます。

 

一方で、信号システムは日本製ですが、車両がアルストムやボンバルディアなど欧米製の車両(またはそれをインドでライセンス生産)になっていることはとても残念です。

鉄道に限りませんが、せっかく日本のお金を低利融資するのですから、その事業に参加する企業は技術的に無理な場合など特別なことがなければ、日本企業に受託させるべきではないでしょうか?

競争入札の方が安くなるとはいっても、円借款である以上いずれは帰ってくるお金でもありますし、何より多少金額の上がることと、日本企業の増益による日本人へ還元するメリットを考えると、プロジェクトは日系企業優先にするべきではないかと思います。

 

いずれにせよ、

インドは世界最大の民主主義国家で、日本と価値観を共有できる国でもあり、

そうした重要なパートナー国へのODAは積極的に行ってほしいと思います。

 

 

 

 

デリーメトロが急速に延伸し、従来からある国鉄の通勤電車と合わせインドの首都デリーの鉄道網はどのくらいの規模があるのだろうか? 我が国の首都東京と比較しながら見てきたいと思います。

 

総延長世界第5位のインドの鉄道網でですが、主力である国鉄は中長距離の旅客・貨物輸送が中心で、通勤・通学に使うような列車は、デリー、ムンバイ、ハイデラバード、チェンナイ、コルカタの5都市を除いてほとんど走っていない。また、東急、近鉄など日本ではおなじみのいわゆる私鉄(民鉄)は存在しないという特徴があります。

 

インドにおいては、近距離輸送は長く、バス、オートリクシャーといった道路交通によって行われていたが、2002年にデリーメトロ・レッドラインが部分開業して以来、新しい都市交通の主力としてメトロの建設デリーをはじめ各地で進められています。

 

本編では

デリー首都圏(NCR)の通勤鉄道

デリー首都圏(NCR)と東京の鉄道網の比較

デリー首都圏(NCR)と東京の通勤電車を比較する(かなり主観です)

についてみていきたいと思います。

 

<デリー首都圏(NCR)の通勤鉄道>

デリーの通勤輸送はインド国鉄の通勤電車とデリーメトロの大きく2つに分けられます。

 インド国鉄の通勤電車

Delhi Suburban Railway と言われる郊外電車で、中長距離の旅客・貨物と同じ線路を走るが、全席自由席の普通電車で気軽に利用できるサービスです。首都デリーを中心に、衛星都市のファリダバード、ガジヤバード、パニパット、レワリといった周辺の衛星都市を結んでおり、またデリー市内を環状線のように走る列車もあります。

しかし、ムンバイやチェンナイなど他都市と異なり、ファリダバード方面以外は長距離列車と線路が分かれてないため、線路容量が少なく、各方面に30分から1時間間隔で来るという気軽に利用するには本数が少ない。

それでも朝夕のラッシュ時には多くの乗客に利用されています。

 車両はEMUと言われる電車で3両1ユニットが4本つながって12両編成、うち2両が女性専用車となっている。ドアは無く安全面の懸念も大きい。

インド国鉄の通勤電車

 

 デリーメトロ

インドでは1960年代から都市人口の増大にともなう交通改善が叫ばれていたものの、政治は民主主義、経済は社会主義という独特な統治体制を取っていたインドでは、官僚的な政治によって経済政策が一向に進まず、本格的に建設が始まったのは90年代後半からで、日本のODAも受けることにより、2002年の第1期のレッドラインのShahdara-Tis Hazari間8.3㎞が開通しました。

その後毎年のように路線が伸びて、現在は9路線、総延長347㎞となっています。

デリーメトロの高架駅

 

 

<デリー首都圏(NCR)と東京の鉄道網の比較>

デリー首都圏(NCR)と日本の首都であり最大の都市である東京を通勤電車、さらに交通事情について考えてみたいと思います。

まずは基本情報です。

 

人口

デリー:1678万人、デリー首都圏(NCR)4607万人

東京都:1396万人、一都三県(東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県)3682万人

※NCRはデリー準州とハリヤナ州、ウッタプラデッシュ州、ラジャスタン州でデリーに隣接して関係の深い地域(グルガオン、ファリダバード、ノイダ、アルワルなど)を合わせた地域

 

デリーの方が人口が多いが、両社とも世界有数の巨大都市と言えます。とくにNCRの人口はスペインの総人口4670万人にも匹敵して、いかにインドが人口大国かわかりますね。

 

通勤電車路線網

デリーNCR

Delhi Suburban Railway:250㎞

(明確な定義は無いが、通勤電車らしき車両が運行されている、Palwal, Gaziabad, Rewari, Panipat までの路線で計算した)

メトロ389㎞

(デリーメトロ:347㎞、ノイダメトロ:30km、グルガオン・ラピッドメトログルガオン:12km)

合計639㎞

 

東京(一都三県)

JR:1385km

地下鉄:348km

私鉄:1326km

モノレール等:118km

路面電車:17km

合計3194km

 

デリーメトロ(および周辺のメトロも含め)は2002年に8.3㎞が開業してから、わずか20年あまりの間に400㎞近い路線網を伸ばすに至り、現在も路線の延長、新規路線の建設計画があります。まさに発展途上ですね。

 

一方、東京圏(どこまでを東京圏と呼ぶかは議論が分かれますが、本編では東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県としました)については、今からおよそ150年前の1872年に日本初の鉄道が開通して以来、1930年代までに国鉄(現JR)の路線網はほぼ固まり、同時並行で日本独特の経営スタイルである民営鉄道(私鉄)が東京中心から郊外へ向けて建設され、戦後の高度成長期には住都公団(現UR)によるニュータウン開発とそれに付随した鉄道建設もあり、さらに都心部には国と東京都の出資による営団地下鉄(現東京メトロ)や都営による地下鉄網が伸びていきます。

東京は100年以上の歴史を掛けて、戦争中の中断を除いて、一貫して鉄道網を整備してきたことが分かります。

こうした歴史の重みから、総延長だけを見ても東京の鉄道網の凄さは圧倒的と言えるでしょう。

 

<デリー首都圏(NCR)と東京の通勤電車を比較する(かなり主観です)>

路線延長の差以外にも、以下のような差異があると思われます。

・JR,私鉄、近年では地下鉄やモノレールまで、普通(各駅停車)の他に、快速、急行、特急といった列車種別があり、さらに主要駅で緩急(各駅停車と優等列車)が接続することで、広範囲に速達輸送を提供しています。

・JR、私鉄の多くの路線で地下鉄と直通運転をしており、都心部と郊外をスムースに結んでいます。

・複々線化工事や駅の改良により輸送力の増強が図られています。

・私鉄のロマンスカー、JRの通勤用特急のように追加料金を払うことでラッシュ時でも着席保証できるサービスがある。新幹線の通勤利用もあります。

・JR、私鉄、地下鉄に加え、バスやモノレールも利用可能なSuica、PASMOといったICカードサービスがあり、モバイルSuicaと言われる携帯電話アプリによるサービスもある。また、交通機関に限らずコンビニエンスストアなども利用できます。

など鉄道そのもののサービスでも多くの特色があるうえ、駅ナカ、鉄道と提携したクレカ、駅前保育園、系列ホテルや観光施設を利用した各種イベント、企画など、研究するだけで本が何冊も書けるくらい奥が深い

東京、というより日本の大都市の鉄道事業者は、世界でもトップレベルの安全・定時性・利便性の高い輸送はもとより、鉄道や交通という枠を超えてあらゆる面から地域住民へのサービスを提供している。

 

一方デリーNCRについては

・デリーメトロは最初の区間の開業からわずか20年弱で東京メトロを越える路線網を誇るまでに急成長している!

・国鉄線については、複々線区間が少なく、長距離列車、貨物列車と線路を共用するため、本数が少ない。

・行政区分がデリー準州、ハリヤナ州グルガオン、およびファリダバード、ウッタプラデッシュ州ノイダと複数に分かれるため、メトロネットワークが分断してしまっている。(デリーメトロ、ノイダメトロ、ラピッドメトロ)

・国鉄のメトロの連携の無さ、メトロ同士でも乗り換えが不便な駅の作り、輸送力増強に追われ、優等列車の運転など利便性向上策はほとんどない。

デリーというよりインド各地でメトロの建設が進む、国土が広く人口の多いインドは、数年後には同じく人口大国の中国と肩を並べるくらいのメトロ立国になると思われる。

しかし、他の新興国と同様、輸送サービスの面ではまだまだ発展途上であり、今後はいかに利用しやすい通勤電車にするか、ダイヤ・設備の増強・改善はもとより、周辺サービスなどまだまだ発展の余地がある。

 

日本のODAは巨大資本をようする鉄道というインフラ整備を資金面から、鉄道運営の立ち上げを技術面から支援してきました。

今後は、官ではなく民の力で、鉄道を軸とした総合サービスへ事業への転換を支援し、都市のさらなる発展を後押しすることが出来るのではないだろうかと思います。

 

 

参考サイト

 

 

 

 

 

 

 


 
 

 

小ネタ、先々週我が家の冷蔵庫が壊れました。こういう時、面倒なんですよね。。

 

画像が変ですが、古い冷蔵庫

 

2018年

12月、現在のアパートメントに入居、家具家電付きの契約で冷蔵庫も含まれていた。しかし、入居当日搬入された冷蔵庫を見て、見た目の古さに絶句する。

 

2019年

1月、入居から1か月で冷蔵庫が動かなくなる。地元の電気修理店に依頼してみてもらうと、配電関係の部品を交換することで動くようになった。

 

2020年

8月、暑い最中に再び動かなくなる。同じく地元の電気修理店に依頼してみてもらい、やはり後ろの配電関係の部品を交換して修理完了

 

2021年

2月中旬:朝起きて冷蔵庫を開けると冷えてないのにモーターが回っていない。氷がやや溶け出していた。しかし、プラグを抜いて入れなおすと再び動き出したので様子を見ることに

 

3月2日:朝起きて冷蔵庫を開けると、完全に動かなくなっており中の氷も溶けている。プラグ入れなおしてもダメ。とりあえず出勤して、仕事を早めに切り上げて修理店に行き、夕方から修理をしてもらう。

修理工曰く、後ろの配電の部品がダメだからということで交換、しかし直らない。さらに調べて、温度を検知している部品がおかしい、手元に部品がないから明日来るとの返事

 

3月3日:定時ギリギリで会社を出てソッコーで帰宅!まもなく修理の人がやってきて、温度センサーを交換する。するとコンプレッサーが動き出したものの、すぐに止まってしまう。

修理工いわく、コンプレッサー自体に問題がある。これを交換するには、部品代3800ルピー、作業料込みで4500ルピー(6800円ほど)が必要だ。

2013年製造で8年も経ってる冷蔵庫、てっきり新しいものに変えてくれるかと思いきや、

 

オーナー曰く「私は家電を提供する責任を負うが管理の責任はあなたにある」

 

といって聞かず、新品を買うどころか修理代も払ってくれない。。

 

交渉ののち、部品代3800ルピーの半分、1900ルピーをオーナーが負担(次回家賃から減額)となった。ちなみに作業料コミコミで4500ルピーなんでけど…

 

作業員いわく、明日部品(コンプレッサー)を買って午後4時には行けるとのこと、、、

 

3月4日

午前9時:作業員に今日来れるかどうか確認→OKとの返事

12時:コンプレッサーを入手したか確認→入手した。あとは金払うだけだ。

15時:再度確認、コンプレッサーは手に入れたか? 何時に来れるか?→午後4時に行く。

16時:まだ来ないので電話→アパートメントの入り口まで来た。あと10分で着く。

17時:まだ来ないので電話→アパートメントの入り口まで来た。あと5分で来る。(入口からここまでなんで1時間もかかるんや…)

17時30分:業者到着、交換工事開始!

19時過ぎ;作業完了、無事に冷えるようになり、4500ルピーと多少のチップを払って全て終了!

やっと終わっりました。お疲れさまでした。

 

新しいコンプレッサーは順調に回っているものの、騒音が大きくなり動いているときはやや気になるレベル。まあ、この程度は仕方ないと思っていますが、、

 

3年間で3度の修理、しかも最後の1回は7千円近い出費というインドのポンコツ冷蔵庫、なにより、修理のために早退したり、作業員が来るかどうか何度も確認の電話を入れたりとそうした手間が大変です。

 

以上どうでもいいインド在住者の苦労話でした。。。

 

最近、自動車産業ではLCA(ライフサイクルアセスメント)というキーワードが注目されています。

LCAとは何か、そして例によってLCAがインドに及ぼす影響をやや乱暴に!?考察してみたいと思います。

 

参考「真剣にヤバイ日本経済の行方」

 

 

 

 

・LCAとは、LCAが日本に与える影響

・インドにおけるLCAの影響

・インドはこうすればいい!(独断と偏見)

 

 

<LCAとは、LCA導入が及ぼす影響>

LCA とはライフ・サイクル・アセスメントの略で、自動車の環境負荷を測定するにあたり、従来の走行中の燃費やCO2排出量だけでなく、生産段階で発生するCO2も計算するというものだ。

現状では、純ガソリン車(ディーゼル車)>HV(ハイブリット)車>EV(電気自動車)の順に環境に良いとされているが、LCAの概念が導入されると、製造時のCO2排出量も組み込んで計算する。ここで、国の電源構成が重要となってくる。

 

ガソリン車であれHV車であれ、自動車を製造するには多くの電気を使う。その電力が、CO2排出量の多い火力(特に石炭火力)発電が多い国で生産した場合、仮にどんなに燃費のいい車でも、生産時のCO2排出量が高くなり、LCAの評価では低評価となる。

とくに、EVになると基幹部品であるバッテリーの製造には多大な電力を使用するため、走行中のCO2排出はゼロでも、火力発電比率が高い国で生産すると、LCA基準では「環境に悪いクルマ」とされてしまうのである。

 

EUはこれを見越して、VWやメルセデスベンツが主導でCO2排出の低い電源(原子力、水力)が大半のスウェーデンにノースボルトというバッテリー製造会社を設立し、最も電力使用量の多いバッテリーを低CO2電力で生産して、LCA基準での製造時のCO2を下げようとしている。

 

一方、日本は火力発電の割合が7割を超えており、LCA基準ではどんなに低燃費あるいはゼロエミッションのEVを生産しても、製造時CO2排出量が大きくなりLCA基準ではEUの製品と比べ大きく劣る評価となってしまう。最悪の場合日本で自動車を生産できなくなる。

 

トヨタ自動車の豊田会長も3月に入ってから、LCAを見越して電源構成の見直しを提言しており、現状のままだと最大100万人の雇用が日本から失われるとしている。

 

LCAに対応して日本が取れる選択肢は

・大急ぎで原子力発電所を増設し、電源構成を低CO2排出にする。

・日本での自動車生産を諦め、日本の工場を原発比率の高いフランスなど電源構成のいい国へ移行させ、国内の産業停滞、大量失業を受け入れる。

 このどちらかしかないと言われている。

 

記事ではHV車に対抗する技術がEV以外にない欧州が仕掛けた日本を貶めるための施策のように書かれているが、実際そんな陰謀があるかどうかはともかく、現状を見ていると、豊田社長の言うように危機的状況であることは理解できる。もはや、EVを広めればいい。という単純なレベルの議論ではない。

 

<インドの置けるLCVの影響>

日本は火力発電の割合が高く、製造時CO2の排出が高いため、LCAで計算すると日本での自動車生産が難しくなるという。

 

ではインドはどうか? 結論からいうと日本とまったく同じ、いやそれ以上に深刻である。インドは産油国ではないが、自国の石炭を使った火力発電が主流で75%程度を石炭火力発電で供給している。

 

さらに、経済発展により現状でも発電能力が追い付いてなくて頻繁に停電している状態で、急増する電力をどうやって安定供給するかが喫緊の課題である。さらに、EVの普及となれば、いったいどうなってしまうのかと思ってしまう。

 

インドも再生可能エネルギーとして太陽光や風力使われているが、そもそもこうした自然エネルギーは天候に左右されるうえ効率が悪いことで知られている。原発も稼働しているがシェアは10%程度で、今から増やしたとしても電力需要の伸びも大きいため、一気に電力構成を塗り替えるのは難しそうだ。

 

その結果、現状の電源構成のままでは、インド製の自動車を欧州や中国に輸出しようとした場合、高額な炭素税ないしは罰金が科せられる可能性が高い。メイクインディア(インドで作ろう!)とインドへの製造業誘致を進めてきたモディ政権には打撃となりそうだ。

 

<インドはこうすればいい(独断と偏見)>

欧州が進めるLCA基準によって、HVを含むガソリン・ディーゼル車の排除され、EVについても生産国の電源構成により一部の原発大国か北欧のように水力に恵まれた国以外での生産が難しくなる。

しかし、裏を返せばこの基準に従えば、原発大国であるフランス、中国(目下急ピッチで増設中)、アメリカの一部、および水力中心のノルウェー、スウェーデンくらいでしか自動車は作れなくなるともいえる。

 

これがレポートにあるような欧州が自分たちに都合のいいように策定したルールなのだろうか?

 

インドはどうするべきか?

私は

「欧州、中国を無視して独自路線を進めてはどうか?」

と思う。

 

現状、インドからの完成車輸出先は、上位はメキシコ、アメリカ、南アフリカ、サウジアラビア、アラブ首長国連邦、商用車だとバングラデシュ、インドネシア、ネパール、2輪ではナイジェリア、カンボジア、バングラデシュ

南米、北米、アジア、アフリカが中心で、欧州への輸出はほとんどない。

さらに

インド1国でEUの2.5倍の人口を有する巨大マーケットである。

今後注目されるアフリカ大陸もEUの2倍の人口を有する。

 

つまり、欧州のトレンドに無理に合わせる必要はないのではないか?

 

 

アフリカ諸国を旅行した人は気づいたと思うが、多くの国で欧州の中古車が大量に走っている。余談だが旧車ファンが好きな往年の名車が普通にタクシーに使われたりして、趣味的にも楽しめる。同様に南アジアの国々では、日本製の中古車が多く走る。

 

エジプトで見かけたVWビートル

 

今後、欧州でEVが広まり内燃機関車(ガソリン・ディーゼル車)が走行禁止になれば、こうした国々に中古車が流れていくであろう。

 

こうした途上国において「EV以外全て禁止」という欧州基準を厳格に適用することは、すなわち充電設備のある都市部のお金持ち以外は自動車が持てなくなることを意味する。

(しかも途上国ほど電力供給が不安定で、EV普及は今以上に生活環境を悪化させる恐れもある)

つまり、今後の有望マーケットであるアフリカ、南アジアの新興国では、今後も内燃機関車が必要になると思われる。

 

さらに言えば、すでにある内燃機関用の給油インフラ、メンテ体制を活かしながら、よりよい内燃機関(環境性能、安全性の高い自動車)を安価に提供していくことではないだろうか?

 

つまり、インドの自動車産業に求められていることは、安価で高品質な内燃機関車を大量に供給し、新興国の成長を後押しすることではないかと思う。

 

現在、インド自動車業界シェアトップのマルチスズキは、同車の人気小型車バレーノをトヨタに供給し、トヨタの販売網でスターレットという名前でアフリカ各国へ輸出する計画がある。

いすゞは同社のSUVであるD-MAXシリーズを中東への輸出しようとしている。

これこそ、今後のインドメーカーに求められる姿ではないだろうか?

 

さらに言えば、日本もアメリカと一緒にインドと連携し、EUの自分達に都合のいい規制を無視して、現実的なHV、マイルドハイブリッド技術を提供するなどして、途上国への環境と成長の両立を後押しして欲しいと思う。

 

 

インドとも鉄道とも関係ないですが、たまたまいただいた東野圭吾先生のマスカレード3部作を読んでみました。

 

3冊、最終作のマスカレードナイトだけ単行本…

 

結論

 

面白かった。

 

一応各巻の感想を書きますと

「マスカレードホテル」

シリーズ最初の作品、殺人予告を受けた警視庁は、都内の高級ホテルコルテシア東京に刑事を潜入捜査させることになった。ここで、主役であるホテルクラーク(受付係)の山岸尚美と警視庁捜査1課の新田刑事がであう。

新田刑事はホテルの顔ともいえるクラーク(受付)に立つことになった。指導役の尚美に何度となく叱られながらも一通りの実務を覚え、ホテルに溶け込んで予告殺人の犯人を迎え撃つ。

ホテルマンとして、そして刑事としての考え方、プロ意識があり、対立していた両者だが、長く時間を過ごし、時に機密事項をこっそり教えあう内に打ち解けていく。

 

そして事件は、意外な展開に…

 

ホテルで働いたことはないが、プロ意識の高さゆえ新入社員にとって先輩がとても厳しい人に思えるのはくあること、だが、指導役としても、新入社員ならいざしらず、刑事としてそれなりの職業意識、プライドのある人をホテルマンとして指導するのは並大抵ではないだろう。お客様の前でこんな態度で接しられてトラブルになったらと思うと冷や汗もののはずだ。

 

ホテルの客は仮面をかぶっているというが、実際にホテルの客にこんな秘密を抱えているのかどうかわからない。しかし、お客様の秘密をここまで守るためにがんばっているのだとしたらそれはそれで凄いと思う。

 

前半は職業ドラマ的な要素が多く、「重さ」を感じることもある。しかし、その一つ一つの出来事が後半に意外な形でつながる。半分を過ぎたあたりからクライマックスへ一気に駆け抜けるミステリーといった感じである。

 

「マスカレードイブ」

設定はマスカレードホテルより数年前で新田刑事も山岸浩美も新人という設定、前作ではプロ意識の対立が見ものの一つだったが、今回は若さゆえに積極的に動き、時として先輩な上司に叱られながらも、結果を出していく。

しかし、頑張って解決しました。おしまい!という単純なものではなく、うまく犯人をそそのかして自分が安全なところに居ながら目的を達成する狡猾な奴を前に悔しい思いをするなど、一筋縄ではいかない。

そういったことが、その後のマスカレードホテル/ナイトでの強い使命感にもつながっていくと推測される。

前作と打って変わって、新人・若手がやる気と勢いで突き進み、結果を何とかつかんでいく痛快ストーリー的な要素がある。

 

 

「マスカレードナイト」

新田、尚美ペアが再びホテルを舞台に活躍する。尚美はコンシェルジュに異動し、お客様のさまざまな要望を受けるよろず屋をやりながら、後輩たちを指導する役も担っているようだ。冒頭の新人が苦戦しているところを華麗に乗り切るシーンは鮮やかだ。

 

今回も匿名電話からホテルに犯人が現れると予想して潜入捜査が始まるのだが、今回フロントに潜入する新田とコンビを組むのは氏原というベテラン男性スタッフである。この男も尚美に負けず劣らずプロ意識の高く仕事に厳しいうえに、警察の潜入に大反対ということで新田には厳しく当たる。しかし、一切新田にホテルの仕事をさせないということで新田はやりやすそうだ。

今回も相変わらず、奇想天外な要求をしてくる客がコンシェルジュの尚美へ押しかけてくる。この中に犯人につながる人物がいるのだが、正直言って誰が犯人なのかさっぱり見当がつかない。しかし、それ故に客の背景を考えると興味深い

 

これも前半はプロ職業人による思いドラマが続くが、最後の100ページくらいで一気に進んでいく。張り巡らされた伏線が回収されていくわけだが、決して単純ではない。

ホテルの客がかぶっている仮面、この仮面の裏を暴くことは本当に興味深い。読後感もいい!

 

続編が出るかどうか分かりませんが、もしお読みになるなら上記順番で読んでいかれることをお勧めします。

 

文庫本も出てますのでお気軽にどうぞ

「マスカレードホテル」

 

 

「マスカレードイブ」

 

 

「マスカレードナイト」

 

 

集英社文庫さん表紙のデザインがいいですね。あと、ブックカバーがツルツルで高級感があるのも好きです。

 

 

 

 

インドのEV政策や今後について、インドの事情を交えて考察したいと思います。なお、近
年の技術革新や世論、政治動向で今後の動きは大きく変わる可能性もありますが、ひとま
ず現状において考察したいと思います。


<インドにおける最近の動き>
インド政府は2030年に新車販売100%EVの看板を下ろし、30%程度をEVにするとしている
一方、2025年までに全てのオートリクシャー(オート)の新車販売をEVに限定する
との方針も示し、柔軟かつできるところからやって行こうという姿勢がうかがえる。また民間企業でもいろいろな動きが出ている。

 

OLA
配車サービスのOLA(Uberの競合)は、南部タミル・ナードゥ州にEV2輪車の工場を建設す
ると表明した。生産開始時期は未定だが初期ロットは年間200万台のスクーターを生産で
きるという。これは、シェア1位のヒーローが7-800万台のキャパであることを考えてもか
なり強気の数字である。

 

テスラ
米国に本社のある世界最大のEVメーカーであるテスラは、南インドカルナータカ州に同社5番目の工場を建設するとの情報、
詳細は州政府と協議中の模様(2021年2月末現在)


アマゾン

世界最大のEコマース企業アマゾンは、配送用EVオートリクシャーを2025年までに1万台導入と発表。ラストワンマイルの配送に使用するとのこと


このように、インドのEV関連の報道は、配車サービス、通販など他の業種による動き、あ
るいは、テスラ、テラモーターなど他国の新興企業からの参入例が多い。


 一方でインドで生産・販売している主要自動車メーカーの動きについては
マルチスズキ

2020年8月の日経のインタビューで、インドではEVの価格はあまりに高く、現実的でないと発言、むしろ、割安なHV,マイルドHVの拡充を目指すと表明


ヒュンダイ

2021年2月に地元メディアMintのインタビューで、ローコストのEVを開発中
と表明、具体的な車種、時期などは未定、同社はすでにEVのSUV KONAを販売中


タタ

同社の人気SUVモデル NexonにEVモデルを追加、将来の具体的な完全EV化につ
いては言及していないものの、傘下の英ジャガーは2025年以降完全EVメーカーに、同じ
く傘下のランドローバーも2035年までにガソリン・ディーゼルモデルを全廃するとしてい
る。


インドのメーカーも少しずつEVモデルを販売しているものの、現状は様子見の段階であり
、具体的なガソリン・ディーゼルの生産終了時期などは明示していない。とくに日系のマ
ルチスズキについては、得意とするマイルドハイブリッド車の拡充や、トヨタとの提携に
よりトHV車の導入など、既存の内燃機関の技術を活かした電動化の道を模索している。


主要自動車メーカーのインド戦略については、EVについては様子見の状況、一方、他業種からの参入や、EV専門メーカーは大胆な投資を打ち出すなど、積極的な印象がある。

 


<インドのEVひいては環境問題に関する考察>
・インドのCO2排出量
インドのCO2排出量は中国、米国に次いで世界第3位である。(2019年)

 

 

しかし、1人当たり排出量でみると、100位(トップはカタール、米国10位、日本23位、ド
イツ25位、中国35位)

 


つまり人口が多いため総排出量は多いものの、国全体がまだまだ貧しいために、一人当たりの排出量は低くなっている。実際、未だ開発途上国であり、自動車の普及率が低い、冷暖房設備の普及が遅い(いまだに非冷房の列車、バスが大半、住宅でもエアコンなしの人も多い)


しかし、今後、経済成長に伴い生活が豊かになっていくと、今以上にCO2排出は増えるの
は確実である。現在でも、都市部を中心に自動車の増加や産業の活発化で大気汚染が問題となっており、野焼きシーズンと重なる9,10月頃の首都周辺では、大気汚染がひどすぎて数十メートル先が見えなくなる。


現状ではインドの一人当たりのCO2排出量は決して多くはないが、これまでの延長で経済発展を続けると、CO2排出はもとより大気・河川の汚染をはじめ、大きな環境破壊につながる恐れがあり、持続可能な成長を模索しなくてはならない状況にあると言える。


<インドの交通事情から環境問題について考察>
ここからは、EVだけでなく広く交通全般から環境対策に何ができるか考えてみたい。


 1,物流におけるモーダルシフトの可能性
インドの国土は世界第7位、人口は世界第2位、文字通り大国である。
物流の世界では、輸送距離が長くなるほどに、トラック輸送ではなく鉄道や船舶といった
大量輸送機関がコスト、エネルギー効率の両面で有利となる。日本でも500㎞(東京-京都
間に相当)を超えたくらいからJR貨物の利用が増えて、1000㎞超(東京-北九州間に相当
)以上では鉄道貨物輸送のシェアは25%になる。
国土の広いアメリカも旅客では自動車・航空機が主流でアメリカを横断する鉄道など観光
列車しかない。しかし、物流では50%近くを鉄道輸送している。広いアメリカ大陸を横断
するにはトラックでは非効率で、全長数百メートルの貨物列車が1週間近くかけて西海岸
と東海岸の間を往復している。
一方インドの鉄道貨物輸送のシェアは30%程度、内陸に多くの人口・工業生産があり、国土に広く分布しているにも関わらず、自動車輸送に依存している現状がある。

現在、インドは全長1万キロ以上におよぶ貨物専用鉄道の建設を進めており、輸送キャパシティ不足解消とスピードアップによってモーダルシフトが進むことが期待さ
れている。


 2,深刻な電力不足
先日(2月下旬)米・テキサス州で寒波による風力発電停止によって十数時間にわたって
停電が起きてニュースになった。しかし、インドでは停電は日常茶飯事であり、中流以上
の集合住宅、工場、オフィスでは日常的にディーゼルエンジンによる自家発電設備が備わ
っている。

↑黒い排ガスを発生させる工場のディーゼル自家発電


これら自家発電で使われているディーゼルエンジンの発電機は、機動性はいいのだがエネ
ルギー効率が悪いという欠点がある。また排ガス規制も緩いため大気汚染の原因ともなっ
ている。

現状でも電力不足なのに今後EVが復旧すると、深刻な電力不足になることは確実である。しかし、最新の火力発電など効率的な発電所による電力供給が増えれば、非効率な自家発電が減ってCO2削減が期待出る。

 

 3,廃棄資源の3R

近年、3R(リユース、リデュース、リサイクル)という言葉をよく聞く。廃棄してしまうものについて、ただ捨てるのではなく、中古品として再利用するリユース(フリマ、フリマアプリ、使える部品の再販など)、なるべく廃棄物を出さないような設計・販売方法にするリデュース(詰替え洗剤、分解しやすい家電など)、素材を再利用または熱として回収する(アルミ缶の再利用、プラスチックごみを焼却処理する際に発生する熱を温水プールなどで再利用)

 

 環境意識の高い欧州や日本では、これら3Rを推進するために、ごみの分別回収や不法投棄防止のための法整備が進んでいる。

 しかし、インドでは、携帯電話の電池、電気機器や自動車の部品や希少金属、そういった価値のあるものについては、リユース、リサイクルが民間企業によって行われている。

しかし、大半のゴミについては、単に「埋める」だけである。

 

国民の意識も、ゴミは道に捨てると言うのが当たり前で、鉄道線路の周辺や幹線道路脇はポイ捨てしたお菓子の袋、ペットボトル、タバコの吸い殻などゴミだらけである。

 

今のままで完全EV化をすると、廃バッテリー処理による環境負荷が懸念される。逆に言えば、これまで分別もされずただ埋められていたものが、分別回収され、マテリアルあるいはサーマルリサイクルされることで製造や発電(熱エネルギー源)のCO2排出を節約することが出来るし、街もきれいになる。

 

 このように、インドは問題だらけの国ではあるが、逆に可能性も宝庫ともいえる。

EV普及ありきではなく、交通問題、環境問題は国ごとに違う。地域の特性に合った環境と経済成長を両立させる方法を模索する。ありふれた考えではあるが、それが大事なのではないかと思う。

インドのEV事情について考えてみたいと思います。

 

昨年末から欧州を中心に急速にガソリン・ディーゼル禁止、カーボンニュートラルといったニュースが飛び交い、日本でも菅総理が所信表明演説の中で、2050年カーボンニュートラルを目指すと表明された。

「世界はガソリン禁止、完全EVが常識」という印象の報道見かける。しかし、人口世界第2位(EUの2.5倍)、自動車販売台数世界5位(2019年、1位中国、2位米国、3位日本、4位ドイツ)

のインドでは本当に「完全EVが常識」なのだろうか?

 

前編

主要国(欧州,米国、中国、日本)におけるEV化の動き

インドのEV政策と現状

 

後編

インドにおけるEV化展望

そもそもなぜEVなのか?

 

<主要国(欧州、米国、中国、日本)におけるEV化の動き>

2025年:ノルウェーでガソリン・ディーゼル、HV車販売禁止

2030年:イギリス、ドイツ、オランダ、スウェーデン、アイルランド等でガソリン・ディーゼル、HV車販売禁止

2035年:カナダ・ケベック州、米カリフォルニア州でガソリン・ディーゼル、HV車も販売禁止、中国はHV車以外のガソリン・ディーゼル販売禁止

2040年:フランス、スペインでガソリン・ディーゼル、HV車も販売禁止

このほかにも、都市・州レベルで目標を早めてガソリン・ディーゼル販売禁止に加え、走行禁止としてる場合もある。

例 パリ市は2025年からディーゼル車通行禁止、ロンドン市は2030年以降市内のガソリン・ディーゼル車走行禁止

 

日本ではトヨタ・プリウスをはじめとしたHV車が多く、電動化と言っても基本はガソリン車がベースで、電動アシストがつくことで燃費が良くなる(=CO2排出が減る)というものが多い。一方、欧州ではHV車を含め、ガソリン・軽油を燃料に使う乗り物は一切禁止にしてしまうという方針である。

 これを受けて、メルセデス・ベンツやGMといった主要メーカーは、HV車も含む一切の内燃同車を2030年代半ばまでに廃止し、EVのみの完全電動化にすると表明している。

 

長い歴史のある内燃機関をこんなに簡単に捨て去っていいのかという気もするが、それほどまでに欧州の完全電動化への意欲は強い。

 

参照

 

 

 

日本では2019年の菅総理による所信表明演説で、2050年までのカーボンニュートラルという目標が示された。具体的なガソリン・ディーゼル販売禁止時期こそ明示してないが、2050年にすべてのガソリン・ディーゼル車を公道から追放するには、遅くとも2035年頃までに販売禁止にする必要があると言われている。

だが、この動きに対してトヨタ自動車の豊田社長が異議を唱え、電動化=EVではないとして、HV車による電動化への理解を求めた。

一方で東京都の小池知事は独自に2030年以降東京都ではガソリン・ディーゼル車販売禁止を表明しているなど、議論の余地が残っている状態である。

 

<インドのEV政策>

EU加盟国合計の2.5倍の人口を誇り、新車販売台数世界第5位のインドのEV政策はどうなっているのだろうか?

 

インドでも世界の脱ガソリン・デイーゼルの流れを受け、政府は2017年に「2030年に道路を走る車を全てEVにする」と表明した。

EVどころかHVすらほとんど走っていない、生産もしていない状況で唐突な発表だけにインドで事業を行っている自動車メーカーを困惑させた。というより、誰もこんなの無理に決まっていると思っていた。

 

実際その通りで翌2018年には交通大臣が「必ずしも100%EVにこだわらない」など修正の発言をするなど迷走しており、現時点では、2030年までに販売台数の30~40%をEV化にするのが目標としている。

 

実際、インドでのEV比率はどうなのだろうか? 2019年度のデータを見ると以下のようになる。

2019年度 インドEVシェア    
  総販売台数 EV台数 EV比率
乗用車 2773575 3400 0.1%
商用車 717688 600 0.1%
オート3輪 726569 90000 12.4%
2輪車 17417616 152000 0.9%

 

乗用車、商用車のEV比率は0.1%、同年、ノルウェーでは新車販売の42%がEVであった。(日本は1%程度)また、HV車のラインナップもない、つまりほぼ100%従来からのガソリン・ディーゼル車ということになる。

 

セダン、ワゴンなどいわゆる乗用車でのEVは皆無と言っていい。トラック・バスも同様だ。しかし、オート3輪ではシェアが12.4%、2輪車も1%弱とシェアは低いが、販売台数は15万台以上を記録した。

 

欧州各国ではEV化促進のために1台につき100万円前後の購入補助金と数年後のガソリン・ディーゼル車生産禁止、市内乗り入れ禁止という強力な飴と鞭の政策でEV化を進めているが、インドでは消費税にあたるGST優遇(一般車28%、EV5%)のみであり、とてもガソリン車との価格差を埋められるものではない。また充電インフラも皆無に近い。

インドではそもそも自家用車を購入できる中間層がまだまだ育っておらず、とにかくコストを削った安いモデルがよく売れている。実際、パワーウィンドウや集中ドアロックなど日本なら数十年前から当たり前にあった装備が省略されていたり、新車価格・メンテ費用の安いマニュアル車の比率が高いなど、EV化、自動化より遥か手前の段階、いかに安くして庶民に届けるかが自動車メーカーにおけるインド市場での戦略の中心となっている。

 

一方、インドを旅行された方は、膨大な数の3輪タクシーであるオートリクシャー(オートと呼ばれている)が走っているのを見たことがあると思うが、このオートについてはEV化が急速に進んでいる。既存メーカーのみならず、日本人が起業したテラモーターズなど新興企業も参入している。小型軽量のオートリクシャーはEVとも相性がよく、限られた地域だけを走るのであれば、充電インフラの不足も気にならない。

 

グルガオンのEVオートリクシャー

 

 

また、自家用車までは手が出ないけど、バイクの普及率は高く、多くの成人男女が自分用のバイクを持っているインドでは、静かでメンテの楽なEVスクーターが徐々に増えている。

 

このように、インドのEV化は乗用車・商用車においては欧州や北米に大きく後れを取っているが、2輪、3輪車のマーケットで徐々に進みつつあり、政府の進める2030年EV化30%も実現可能な勢いである。

 

次回はそんなインドのEV化、さらにはエネルギー事情を交えて考察してみたい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

インドと関係ないのですが、2月13日に東北地方を襲った最大震度6強の地震で東北新幹線は那須塩原-一ノ関間で運休しています。先ほどのニュースよると24日に全面復旧とのことですが、その間、JR,航空会社はいろいろな方法で体替え交通手段を提供しています。

 

東北新幹線の主力E5系(Wikipediaより)

 

航空会社

JAL,ANAは東北方面のフライトを増便、機材の大型化、通常は運行していない羽田-福島間、羽田-仙台間にも運行します。

 

 

 

ジェイアールバス東北 宮城交通、会津交通、京王電鉄他バス各社

東京と福島、仙台方面で増便

 

 

 

 

在来線

上野-那須塩原間の臨時快速、仙台-一ノ関間で臨時快速、常磐線の特急ひたち号のいわき駅どまりの一部を仙台まで延長運転、羽越本線の特急いなほ号の酒田止まりの列車を一部秋田まで延長運転(東北・秋田新幹線が使えない代わりに新潟経由で秋田へ行ける)

など

 

 

JR東日本 代替え交通機関の案内

2月21日まで

https://www.jreast.co.jp/aas/20210219_o_daitaiyusou_21.pdf

 

2月22日以降

https://www.jreast.co.jp/aas/20210219_o_daitaiyusou_22_23.pdf

 

詳細は各ニュースサイトや上記JR東日本のサイトを見ていただきたいのですが、こうしたニュースを見て思ったのは

 

現場の多大な負担がかかるにも関わらず、迅速かつ効果的な対策を打っていることの凄さ!

であります。

 

そもそも、今回の運休は自然災害によるものであり、誰が悪いというようなものではありません。にも関わらず、当事者のJR東日本をはじめ、各社が迅速にフォローアップを行っています。

読者のみなさんも、社員やバイトが休んでシフトが乱れたみたいな記憶もあると思いますが、鉄道やバスなど交通機関については

・乗務員の手配

・車両・機材の使用計画の変更

・メンテナンススケジュールの調整

など多様な要因があり、急な運行計画の変更は現場に多大な負担をかけるものです。

 

例えば鉄道なら電車の運転が出来る人は限られてます。パイロット、バス運転手も同様です。車両・機材も予備はあるとはいえ、大量に余っているわけではないし、さらに車両によって走行可能な区間、不可能な区間があります。そうした制約条件の中、既存の定期運行を確保しながら、それに追加して(予定を変更して)臨時列車にあてがいます。

車両は点検のスケジュールがあり、点検無視して走らせることはできません。乗務員も長時間残業や連続出勤させるわけにもいきません。特に安全にかかわるため規則を遵守する必要があります。

システム面でも各種手続きから利用者への案内のためHPを作ったり、臨時運行のチケット販売のプログラムを追加したり、駅や空港で案内をしたり、新幹線の払い戻しの手続きもあるでしょう。

 

「電車が止まったら別のルートで迂回ルートや他の交通機関がサポートがある」日本では当たり前に行われていることですが、これは、裏方には相当な負担をかけるものです。

ニュースの裏にある、現場の方の苦労も忘れないようにしたいと思います。

 

 

 

 

JR貨物の新座貨物ターミナル駅でコンテナ積替えステーションというものがオープンしました。トラックで持ち込まれた貨物を貨物駅内の積替ステーションで鉄道コンテナに積替え、コンテナ貨物列車で各地へ発送するというものです。

JR貨物としても試験的な取り組みであり、大きなニュースになっていないですが、これは鉄道輸送の可能性を広げ、トラック事業者にとってもメリットがあると思われるものです。

 

 

 

今回は

・鉄道コンテナ輸送の仕組み

・柔軟性のないコンテナ輸送

・求められる鉄道コンテナ輸送(繁忙期にも使える鉄道を!)

 

<鉄道コンテナ輸送の仕組み>

鉄道コンテナ輸送は、ドアツードアともいわれ、一つのコンテナがトラック-鉄道-トラックを利用して集荷先からお届け先まで一貫輸送するものです。

 

鉄道コンテナ輸送の流れ(公益社団法人 全国通運連盟HPより引用)

鉄道コンテナ輸送では、まず左上、空コンテナを積んだ専用トラックが集荷先に赴き貨物を積み込みます。貨物を積み込まれたコンテナは最寄り貨物駅に運ばれ、貨物列車に乗って目的地最寄り駅まで輸送されます。

目的地最寄り駅で列車から降ろされたコンテナは、やはり専用トラックに載せられ配達先へ向かいます。

 

コンテナ自体をトラック→列車→トラックと積み替えていくので、駅での貨物そのものの積み替えがなく、非常に効率的です。

コンテナ列車のスケジュール(ダイヤ)も決まっており、あたかも新幹線の指定席を予約するように、コンテナの積む区間・個数を予約するシステムも出来ています。

 

短距離輸送ではあまり使われませんが、長距離輸送(概ね500㎞を越える区間)から鉄道輸送のシェアが伸びてきており、1000㎞を越える輸送では25%が鉄道で輸送されています。

 

 

<柔軟性のないコンテナ輸送>

一見効率的な鉄道コンテナ輸送ですが、いくつかデメリットもあります。その一つに、柔軟性がないということ、具体的に言うとコンテナを運ぶための専用トラックというのが非常に少ないので、繁忙期に使えないということです。

 

どんな貨物にも繁忙期・閑散期があります。季節によって果物や野菜の出荷が増えたり、冷暖房など季節家電、防虫剤やカイロなど年間通してではなく一時期にだけ大量出荷されるものもあります。

また12月は社会全体で物量が多くなり、2月は少ないと言われます。

 

運送会社、倉庫会社各社は、こうした繁忙期に対して、自社のトラックだけではなく、庸車と言われる下請けのトラックや臨時従業員の雇用、残業・休日出勤などいろいろな方法で乗り切るようにしています。

 

中でも、やはりトラックが不足することが一番痛いです。とくに中・長距離を走る場合、各事業者は横のつながりでトラックを探しますが、繁忙期になると多くの会社で取り合いになります。特に近年、若年労働者の不足でドライバー不足も重なり厳しい状況です。

 

現状ですとコンテナを運ぶトラックが少ないので、鉄道はあまり選択肢に入りません。しかし、通常のトラックで貨物駅まで貨物を運べばいいなら、鉄道輸送のネックである末端部分のコンテナ専用車両不足というデメリットをカバーできます。

 

繁忙期の運送会社は車両の確保に必死です。特に、中・長距離のトラックを探すことが難しくなります。しかし、長距離トラックの確保が出来なくても、昼間近距離を集配しているトラック(およびドライバー)に残業してもらい、貨物駅へ長距離荷物を落としてもらうということもできます。あとは貨物列車が着駅まで運んでくれます。着駅でコンテナ専用トラックがなくても、近距離トラックなら確保しやすいので貨物駅まで貨物をとりに行くことは可能でしょう。

 

<求められる鉄道コンテナ輸送(繁忙期にも使える輸送を)>

現在、鉄道コンテナ輸送は宅配便や工場から倉庫といった通年で一定の需要があるものを中心にモーダルシフトの呼びかけが行われています。逆に言うと、一定数は鉄道で運び、それ以上の物量の増減を輸送力に柔軟性のあるトラックで確保している面もあります。

 

しかし、繁閑の激しく、過酷な労働条件ゆえに慢性的な人手不足、ひいては物流危機ともいえる中、いつまでもトラックドライバーの過酷な労働条件頼みでいいわけありません。

 

ドアーツードアのコンテナ輸送を基本としつつ、繁忙期には普通のトラックで持ち込んでくる貨物の受け入れ、さらにはそうした繁忙期に対応できるような輸送力増強など、まだまだ鉄道が出来ることはあると思います。

 

今回のコンテナ積替えステーションは、記事にあるような鉄道コンテナの間口を広げるのはもちろん、繁忙期輸送に鉄道が積極的に貢献するための入り口になる可能性も秘めていると思います。

 

この試みに注目していきたいと思います。