インドとも鉄道とも関係ないですが、たまたまいただいた東野圭吾先生のマスカレード3部作を読んでみました。
3冊、最終作のマスカレードナイトだけ単行本…
結論
面白かった。
一応各巻の感想を書きますと
「マスカレードホテル」
シリーズ最初の作品、殺人予告を受けた警視庁は、都内の高級ホテルコルテシア東京に刑事を潜入捜査させることになった。ここで、主役であるホテルクラーク(受付係)の山岸尚美と警視庁捜査1課の新田刑事がであう。
新田刑事はホテルの顔ともいえるクラーク(受付)に立つことになった。指導役の尚美に何度となく叱られながらも一通りの実務を覚え、ホテルに溶け込んで予告殺人の犯人を迎え撃つ。
ホテルマンとして、そして刑事としての考え方、プロ意識があり、対立していた両者だが、長く時間を過ごし、時に機密事項をこっそり教えあう内に打ち解けていく。
そして事件は、意外な展開に…
ホテルで働いたことはないが、プロ意識の高さゆえ新入社員にとって先輩がとても厳しい人に思えるのはくあること、だが、指導役としても、新入社員ならいざしらず、刑事としてそれなりの職業意識、プライドのある人をホテルマンとして指導するのは並大抵ではないだろう。お客様の前でこんな態度で接しられてトラブルになったらと思うと冷や汗もののはずだ。
ホテルの客は仮面をかぶっているというが、実際にホテルの客にこんな秘密を抱えているのかどうかわからない。しかし、お客様の秘密をここまで守るためにがんばっているのだとしたらそれはそれで凄いと思う。
前半は職業ドラマ的な要素が多く、「重さ」を感じることもある。しかし、その一つ一つの出来事が後半に意外な形でつながる。半分を過ぎたあたりからクライマックスへ一気に駆け抜けるミステリーといった感じである。
「マスカレードイブ」
設定はマスカレードホテルより数年前で新田刑事も山岸浩美も新人という設定、前作ではプロ意識の対立が見ものの一つだったが、今回は若さゆえに積極的に動き、時として先輩な上司に叱られながらも、結果を出していく。
しかし、頑張って解決しました。おしまい!という単純なものではなく、うまく犯人をそそのかして自分が安全なところに居ながら目的を達成する狡猾な奴を前に悔しい思いをするなど、一筋縄ではいかない。
そういったことが、その後のマスカレードホテル/ナイトでの強い使命感にもつながっていくと推測される。
前作と打って変わって、新人・若手がやる気と勢いで突き進み、結果を何とかつかんでいく痛快ストーリー的な要素がある。
「マスカレードナイト」
新田、尚美ペアが再びホテルを舞台に活躍する。尚美はコンシェルジュに異動し、お客様のさまざまな要望を受けるよろず屋をやりながら、後輩たちを指導する役も担っているようだ。冒頭の新人が苦戦しているところを華麗に乗り切るシーンは鮮やかだ。
今回も匿名電話からホテルに犯人が現れると予想して潜入捜査が始まるのだが、今回フロントに潜入する新田とコンビを組むのは氏原というベテラン男性スタッフである。この男も尚美に負けず劣らずプロ意識の高く仕事に厳しいうえに、警察の潜入に大反対ということで新田には厳しく当たる。しかし、一切新田にホテルの仕事をさせないということで新田はやりやすそうだ。
今回も相変わらず、奇想天外な要求をしてくる客がコンシェルジュの尚美へ押しかけてくる。この中に犯人につながる人物がいるのだが、正直言って誰が犯人なのかさっぱり見当がつかない。しかし、それ故に客の背景を考えると興味深い
これも前半はプロ職業人による思いドラマが続くが、最後の100ページくらいで一気に進んでいく。張り巡らされた伏線が回収されていくわけだが、決して単純ではない。
ホテルの客がかぶっている仮面、この仮面の裏を暴くことは本当に興味深い。読後感もいい!
続編が出るかどうか分かりませんが、もしお読みになるなら上記順番で読んでいかれることをお勧めします。
文庫本も出てますのでお気軽にどうぞ
「マスカレードホテル」
「マスカレードイブ」
「マスカレードナイト」
集英社文庫さん表紙のデザインがいいですね。あと、ブックカバーがツルツルで高級感があるのも好きです。