日本以外の多くの国では、配車サービスUberの利用が一般的であるが、インドではUberと並んでインド資本のOLAがこの市場でシェアを二分している。

 

この配車サービスのOLAが南インドで巨大なEVスクーターの建設計画を発表した。これの一体何がすごいのか? OLAとは何者なのか?を見ていきたいと思います。

 

OLAのEV工場は何がすごいのか?

OLAとは何をやっている会社なのか?

OLAの狙いは何なのか?

 

<OLAのEV工場は何がすごいのか?>

OLAの発表によると、生産台数は

フェーズ1(2021年6月):年産200万台

フェーズ4(2022年度中):年産1000万台

 

インドの2輪マーケットは直近の2019年で約2100万台(2020年度はコロナのため大幅減)である。トップのHEROが約760万台、2位のホンダが550万台、3位のTVSが310万台であることを考えると、フェーズ1でトップ5に食い込み、翌年のフェーズ4まで拡張時には現在シェアトップHEROを上回るの規模を生産することになる。

(ちなみに同年の日本での自動二輪と原付の合計販売台数は約36万台)

 

インド2輪勢力図をわずか2年でOLAが完全に塗り替えることになる。

 

もっとも、最初からすぐに生産キャパいっぱいで作るわけではないだろうが、ポテンシャルはすさまじい。

 

OLAは前途の通り配車サービスの会社で製造業の経験は全くない。しかし、2019年にオランダのEVベンチャーであるEtergo BV社を買収したことと、生産ラインについてドイツのシーメンス社が支援したことで実現したとしている。

 

<OLAとは何をやっている会社なのか?>

OLAは正式な社名はANI Technologies Pvt. Ltd.となり、配車アプリの名前がOLA(オラ)である。だが、正式社名はほとんど知られておらず、通常はOLAと言われている。

 

今から約10年前の2010年に西インド最大の都市ムンバイで工科大学卒業生により開発されたオートリクシャー(3輪車のタクシー)の配車サービスとして創業、2014年に拠点をバンガロールに移しOLA Miniなど普通の乗用車を使った配車サービスも展開、さらにドライバーに車両をレンタルする制度を始める。

現在では、多くの主要空港ではOLA専用の乗り場があったり、6時間、12時間レンタルという時間制貸切車両提供のサービスがあるなど、ビジネス、観光あらゆる面の需要にこたえている。

 

インドでは、コルカタ、ムンバイなど古くからの都市では、アンバサダー(古くから生産されていたインド純国産車)によるタクシーを見かけるが、絶対数は多くない。さらに、グルガオン、バンガロールのような新興都市では、流しのタクシーそのものがない。その代わり、OLA、Uberといった配車サービスが充実している。

 

タイやベトナムなど東南アジアでは、トゥクトゥクと呼ばれる3輪タクシーから、経済発展によりセダンのタクシーになると言う流れがあったが、インドの場合はオートリクシャー(3輪タクシー)

から普通のタクシーの普及の段階を飛び越えていきなり配車サービスに移行した。

このように急速に普及したインドの配車サービス事業において、OLAの急成長というより業界全体をけん引してきたともいえよう。

 

<OLAの狙いは何なのか?>

わずか10年あまりで年間売上300億円以上! インドの多くの都市に加え、オーストラリア、ニュージーランド、そして旧宗主国のイギリスにも進出しているOLAは、このEVスクーター計画でいったい何をしようとしているのか?

 

正直言ってわからない! 

 

オランダのEVベンチャー買収から2年後にインドNo1の二輪車メーカーになるなど、大風呂敷を広げすぎなような気がする。しかし、スマホが出始めた頃に配車サービスを立ち上げ、わずか10年でここまで普及・充実するとも予想はつかなかったし、次の10年、インドさらには各国の交通状況がどのようになっているのだろうか、私には想像もつかないが、OLAにはそれが見えているのかもしれない。

 

まともな結論になってないが、筆者の頭はその程度ということで…