夜ふる雪
太郎を眠らせ 太郎の屋根に雪降りつむ
次郎を眠らせ 次郎の屋根に雪降りつむ
三好達治の詩です。
雪国で育ったので、積もる雪か、溶ける雪かは、雪の降り方で分かります。細かい雪がシンシンと降り注いで、あたりに金属的な音が鳴るような雰囲気が満ちるときの雪は積もるのでした。
上の詩は、夜降る雪のそんな情景を、眠る二人の少年を配してうたったものでしょう。作品としては三好の他のものよりいいとも思えませんが、若いころに読んで心に残っています。
北原白秋の「夜ふる雪」は次のようなもの。
蛇の目の傘にふる雪は
むらさきうすくふりしきる。
空を仰げば松の葉に
忍びがへしにふりしきる。
酒に酔ひたる足もとの
薄い光にふりしきる。
以下、「ふりしきる」で結ぶ詩句が8節続きます。この詩もまた、シンシンと降る雪の風情を、恋心を重ねながら歌うものです。
明日から、その、降りしきる雪の国へ帰ります。ことしは雪の降り始めるのが早く、積雪の量も多いのだそうです。寒いのは平気ですが、交通が遮断されたりしないか、それが心配です。
この日記は 1月5日 から再開する予定です。
みなさま、どうぞよいお年を!
リンクを張る
ブログのなかで過去の記事や、他の方のブログへ参照する仕掛けをリンクというのは、知っていましたが、実際のやり方をどうするのか知らないでいました。つなげたい箇所を反転させて、専用ボタンを押せばよかったのでした。またもや、IIZUKA さんに教えていただきました。
そのようにして、最近のこの日記にも、下線を引いた字句が出てきているはずです。そこをクリックすると、過去の記事などへ跳んでいけますから、ご興味のある方はどうぞ。ご存じの方には、何を今さらでしょうが、こんなこともひとつずつ覚えて行くほかないのです。
こういうやり方で、アマゾンへ飛ばしたり、Wikipedia へジャンプしたりできるわけですね。だんだんに、そういうことへもチャレンジしていきます。
3月末に書き始めて、なんとかここまでたどり着きました。お立ち寄りくださったみなさんに心から御礼申し上げます。コメントを寄せてくださった方々にも感謝いたします。
美空ひばりの録画ダイジェストを聞きながらこれを書いています。つくづくうまい歌手ですねえ。
今年の収穫
個人的に、ランダムに、今年の収穫を並べて見ます。順位を付けるわけではないことをお断りしておきます。
【舞台】
①まず何はともあれ、「グルベローヴァ・リサイタル 」。こんなに上手なソプラノを東京にいて聴くことのできる幸せ。
②ついこの間のことですが、熊川哲也演出の『くるみ割り人形 』。いい夢を見させてもらいました。
③この夏、ニューヨークで観たミュージカル『マンマ ミーア!』
【本】
①福岡伸一『生物と無生物の間』(中公新書)
②池田信夫 『過剰と破壊の経済学―「ムーアの法則」で何が変るのか?』(アスキー新書):現在最強のブロガーと衆目の認める、もとNHKプロデューサー、いま上武大学教授の著者による問題作。
お二人とも、おそろしくアタマのよい人たちであることは、数ページ読めば分かります。
【CD・DVD】
①ヨハン・シュトラウス『こうもり』(TDK、2005年発売、DVD)。1980年のウィーン国立歌劇場のライブ。アデーレがグルベローヴァ、ロザリンデがルチア・ポップという、スロヴァキア出身の二人が大活躍します。たのしいことこの上ない舞台でした。
②ジョルジュ・ビゼー『カルメン』(TDK、2004年発売、DVD)。エレーナ・オブラスツォワガカルメン、ドン・ホセがドミンゴ。1978年の、やはり、ウィーン国立歌劇場のライブ。指揮は、カルロス・クライバー。
③ショパン『ピアノ協奏曲、1、2番』(EMI、CD)。アルゲリッチ のピアノ。デュトワ指揮。
今年は、夏過ぎからおそろしく忙しくなってしまって、映画館にあんまり行けなかったのが残念。
面白い本も他にたくさんあったはずですが、いま思い出せない。ミステリのおもしろいのに出会わなかったのはたしかです。
落合博満
今年の日本シリーズは中日ドラゴンズが制しました。最近プロ野球を見なくなったので、遠い噂として聞くだけでした。それでも、第5戦、完全試合を成し遂げそうになっていた山井大介投手を、9回に交代させたというので、落合博満・中日監督が囂囂たる非難を浴びたことは知っています。玉木正之さんでも、落合のワルクチを書いていました。
今出ている『週刊文春』で、落合が説明しているのを読むと、交代は山井のほうから言い出したことのようです。指から血を流しながらそれまで投球していたのだそうです。
ふつう、完全試合目前のピッチャーに、降板を命じるようなことはしません。落合非難の声のなかに「落合はピッチャーの気持が分かっていない」というものがあったそうで、それに対して、「分からないよ、そんなもん」と応じています。記憶に残すべき名言です。
今年の流行語のなかに「KY」というのがあって、「空気が読めない」ということを指すらしい。そんなものを読んでどうしようというのだろう、と私はかねて思っています。そんなことだからあんたはKYなんだ、と言う声が聞こえてきそうですが、かまうことはない。
山本七平に『空気の研究』という本がありました。「空気」に押されて、ずるずる戦争を拡大していった昭和10年代の日本の様子を描いたものだった。その本を読んだせいもあって、「空気」に鈍感になろうとしたのかも知れません。
惚れて通えば
前に斎藤秀三郎 の『熟語本位 英和中辞典』(岩波書店)のことを書きました。その中の例文、
Love laughs at distance. 惚れて通えば千里も一里
の訳文は、おそらく都々逸から採ったものだろうとは、前から気がついてはいましたが、下の句(というのかな)が何であるかは知らないで来ました。やっとネットで見つけたのでご報告。
惚れて通えば千里も一里 逢えずに帰ればまた千里
というのでした。ちょっと理に落ちたキライもあります。
都々逸というのも語呂がいいので、記憶に残ります。有名なものでは、
三千世界の鴉を殺し ぬしと朝寝がしてみたい
があります。高杉晋作の作と伝えられる。「夜が明けないようにして朝まで」ということなのでしょうね。
浮名立ちゃ それも困るが世間の人に 知らせないのも惜しい仲
などというのもあるそうです。色っぽいせりふが似合う音数です。
昔、柳家三亀松という落語家が、三味線を爪弾きながら、ごくつまんなさそうな声色で、むやみに色っぽい歌詞を吟じていました。みんな忘れてしまったけれど。CDにもなっているはずですから、こんど見つけたら聞いて、お知らせしますね。
今出しても季節はずれですが、ときどき思い出す都々逸はこういうの。
女房にゃ言えない仏ができて 秋の彼岸の遠回り