ときめき制作工房Story Songへ
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タイトル:甘い香り
目次
♣︎王子様彼編
♠︎俺様彼編
1.満たされる、心。
波乱の予感…!!!
書きながら何だか緊張感が走る…!笑
それではどうぞ♪
彼の家に着き私はソファに座る。
それでもなお無言の私に対し
「それにしても沢山お菓子買ったんだね。笑。」
そう言いながらテーブルにホットココアを2つ置くと私の方に体を向けて隣に座る。
いつもの彼だ。
「さて、何があったのか教えてくれる?さっきのペアリングって何のこと?私のことどうでもいいって…どういうこと?」
そう言って私の方をじっと見てきた。
「…」
「話してくれないとわからないよ?」
そういってあやすように私の頭を撫でる。
こんな時いつもは彼の問いかけに素直に答えるんだけど…
今回はムスッとした態度で応戦。
「…別に話すことなんてないもん。」
「…それは話したくないってこと?それなら話せる範囲でいいから教えてくれる?」
「…だから話すことないんだもん。」
…彼が話しやすい状況を作ってくれているのにどうしても素直になれなかった。
そしてシーンとした空気の中、彼が口を開いた。
「…はぁ…一体何があったの?」
ため息をつきながら私の頭から手を離す。
…ズキっと胸が痛む。
彼にため息つかれたことなんてなかったから。
私のこんな態度だって嫌になっちゃったんだ…
…ああ、もう…やだ。
こんな私、もう本当にやだ。。
意地を張ることもできなくなった今、何とか絞り出して出てきた言葉は
「…本当に私のこと好きだったの?」
そんな何の脈絡もない質問だった。
「…好きだった??」
「写真、見たよ。ペアリングで楽しそうにしてて…2人ともすごくお似合いのカップルだった。」
「…写真?…あ、、もしかしてそれって、、」
私の言ってることに気づいたのか彼が話し出そうとした時だった。
「あのね!!!私はね!!!」
必死に抑えていたはずだったのに抑えきれなくなってしまった。
彼が話すのを遮るように私はずっと溜め込んでいた言葉を彼に投げつけた。
「その写真を見た時、周りのみんなもお似合いのカップルだねって言ってたの。私もそう思った。
だってあの人すっごく可愛いし素敵だしあなたにぴったりだもん。
私なんかあなたに釣り合わないもん。
大した取り柄もないし見た目だってこんなんだし。
なんであなたみたいな人が私のどこを好きになってくれたのか全然わからない。
…でも、それでも私、、、
あなたのことがどんどん大好きになっちゃったの。
どんな時だっていつも私の中にあなたがいて大好きで大好きでたまらなくてもうどうしようもないくらいに大好きなの。
でもね、こんな私にこんなに思われるなんてただの重荷でしかないって…
あの人みたいに誰からも可愛くて素敵な人だって思われる人だったら、こんなに大好きでいてくれたら嬉しいって思うと思う。
でも、私はあの人じゃない…!
私はあなたに好きになってもらえる程、相応しい人じゃない。
でも、こんなこと、、本当は思いたくない…」
いくら好きでいてほしいと思っていても私はそう願ってはいけない人だと思っていた。
私は人を好きになることが嫌だった。
こんな私に好かれて誰が嬉しがるんだろうってそう思ってしまうから。
好きになることは私にとっては苦しくなることと同じだった。
好きであればあるほどに苦しみは増していくから、それに耐えられなくて自分から関係を壊しに行くこともあったと思う。
今がまさにそうだ。
それが私の黒い雲の正体だった。
私の心の深く深くに眠っていたもの。起きてしまうと私では手に負えないから、起こさずにずーっと眠り続けてもらっていたもの。
それを今、起こしてしまったんだ。
「それでも、、、私、あなたのこと本当に本当に大好きで…」
取り留めのない話だったと思う、彼もびっくりしただろし…きっと失望したと思う。
でも、これが私なんだ…
私なんだよ。
まだ話の途中だった。
そんな私を彼は力強く抱きしめた。
「…離してよ。」
何で私の口からこんな言葉が出たのかわからない。
彼が好きだと言いながらここから逃げ出したかった。頭と心がそれぞれに暴走していて自分でも何がしたいのかわからなくなっていた。
そんな中、騒がしい空気を静めるように彼の言葉が私を囲う。
「離さないよ。
ちゃんと聞いて欲しい。」
そう言うと体を離して私の両腕に手を添えて私の目を真っ直ぐ見つめてこう言った。
「君が見た写真、俺は見てないからどう映ってるのかわからないけれど、あの指輪は現地の方が歓迎品として俺たち全員にプレゼントしてくれたもので、たまたまみんなで付けていた時に撮った写真なんだよ。
滞在先の伝統的な指輪で日本でいうところのお守りのようなものとしてみんな日常的に身につけているものなんだ。
そして一緒に写真に写っていた人は俺の友人の1人で彼女とはそれ以上のことは何もない。学生時代からの友人なんだ。
…
何度も言ってるとおり俺の好きな人は君だけだ。」
はっきりとした力強い言葉が、私の心を揺らした。
「それに俺も同じだよ。いつだって君のことを想ってる。俺の中にはいつも君がいるんだ。」
…私と同じ?
ペアリングの件は理由がわかってホッとするはずなのにもうこれで苦しまなくていいはずなのに
それでも疑問が拭えないままだった。
「…もう何もわからなくなっちゃったの。何を信じていいのかも。
いつも不安なの。自分に自信がなくてちょっとしたことでも不安でたまらなくなる。
そう思っちゃう自分も嫌だし、でも自分を嫌だって思うのも辛い。
今回もそう。
本当は…何だか私1人だけが取り残されたように感じちゃって怖かった。
また1人になっちゃうって。
もうこれ以上こんな思いをしたくなくて変に強がったりもして、結局気持ちがぐちゃぐちゃになってさっきみたいにあなたにぶつけた。
こんな私だよ?
…こんな私の、どこがいいの?」
そう言いながらポロポロ落ちる涙を彼が優しく指で拭い私の頭をまた撫でる。
優しく慈しむような眼差しで私を見つめると、
「じゃあ俺が君のことをどれだけ大好きか、たくさん教えてあげる。」
そう言うと私をふわっと優しく抱き上げた。