ときめき制作工房Story Songへ

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タイトル:甘い香り


目次

♣︎王子様彼編

1.知らない君に恋をする。

2.恋に変わる、その時に。

3.引き込まれる、気配-前編-

4.引き込まれる気配。-後編←今♪


♠︎俺様彼編

1.満たされる、心。

2.彼side.君の知らない想い。

3.見ている世界の中で。-前編-

4.見ている世界の中で。-後編-

5.深夜2時のワンダーランド


 


続きになります。

それでは、スタート〜!






「今夜、ドライブにでも行かない?」




彼から、突然の提案。




…ドライブ!!!


…私、夜のドライブ大好きなんだ! 


 行く!!と即答すると、彼も嬉しそうに頷いていた。 






〜〜〜〜〜〜〜







「着いたよ!」 



隣で運転していた彼の言葉で、車から降りると、もう辺りは暗くなっていた。  



「あの坂道を上がっていった先に展望台があるんだ。」 



「外灯が全然なくてかなり暗くなってるから、足元気をつけてね。さぁ行こうか。」 



さっき車の中で、どこに行くのか聞いてみたんだけど、景色が綺麗に見える展望台があるみたいで、久しぶりに見に来たくなったらしい。 



彼の案内で、木に囲まれた坂道を歩いていくと、少し先に木造の展望台があった。 



結構な階段を登った気がする。 

息を荒げながら最後の階段を登り終えて、 

顔を上げた瞬間、、、 




わぁ… 




綺麗… 




夜空に散りばめられた星たちが、まるで宝石のようにキラキラと光り輝いていた。  



あまりの美しさに、さっきまでの疲れはどこかにいってしまった。 




…こんな綺麗な星空、見たことない




あ!オリオン座だ!はっきり見える! 

久しぶりに見た気がして何だか嬉しくなり、隣にいる彼にオリオン座を指差しながら、この感動を伝える。 




「本当だ、綺麗だね。」




私の指差すオリオン座を見た後、私に振り向き優しくふんわり微笑む彼に、またしてもドキッとする。 



それからしばらく星空を眺めていた。 



さっきまで憂鬱だった自分がまるで遠い昔のことのように感じられて。 ある意味、切り替えが早いのかもしれない。笑 



少し肌寒くなってきたところで、そろそろ帰ろうかと先程の坂道を歩いている時だった。




「来週か再来週って空いてるかな?もし良ければ、今度はイルミネーション見に行かない??」 




彼から、また新たなお誘いが。

イルミネーション!!!行きたい!!! 

またもや、はしゃぎながら即答する私。 



イルミネーションかぁ!久々だなぁ! 

楽しみだなぁ!! 



…この前の映画も、今日の星空ドライブもそう。


どれも私の好きなことだから、楽しいのはもちろんなんだけど、


それ以上に、こんなに楽しく思えるのは、彼だからだ。 


 

彼といると楽しくて嬉しくて幸せな気持ちになる。 



…だから、つまり、私は彼のことが、、、 



そんなことを考えながら歩いていると

ふと、少し前を歩く彼の左手が目に入った。



…手、繋ぎたいな。 



ぽつりとつぶやくようにそんな思いが出てきて。


まるで吸い寄せられるように彼の左隣に近寄ろうとしたその瞬間だった。






!!!!!!





私は、派手に転んだ。 





ぃぃぃいったああああああああ!!!!! 





「ええ?!大丈夫??」  

「ほら、捕まって。」 



 差し出された手を掴んで、立ち上がる。



「ケガはない?」 



慌てたように聞いてくる彼に、大丈夫だよと伝えると、少し安心したようで彼が繋いだ手を離そうとした、、 


その時だった。 



私は、離れそうになった彼の手を握り返した。 



突然の私の行動に、少し驚いた表情をしている彼。 



 

…えっと、、、 



…えっと、、、 



…今しかない! 



私、彼のこと、大好きなんだ!  



私の気持ちを伝えなければ!!! 




そう決心した時だった。






「もしかして、足挫いた??…心配だな、このまま手を繋いでいこう。歩けそう?」 






え???? 




予想外の発言に固まる私をよそに、彼は甲斐甲斐しく私を介抱しようとしてくるのだけど…





違う。 




違う。 




ちっがーーーーーう!!!!! 





あのまま勢いで気持ちを伝えたかった! 

そしたら恥ずかしさも感じなくて済んだのに。 

なんでこんな時に転ぶのよ、私ってば!!

せっかくのタイミングだったのに!

次いつ言えばいいんだろう…! 



頭の中でぐるぐる回る私の声。 

 


そんな中だった。

 

どうしてなのかは、わからない。 


ただその時、私の中で突如、異質な感覚の声が聞こえたのを私は見逃さなかった。




〝どうしてそう思うの??〟 




その感覚の声を掴んだ瞬間、頭の中をぐるぐる回っていた私の声が遥か遠くにいるような感覚になり、 



今度はその異質な感覚が私の中で

存在感を増し始めた。 



あんなにうるさかった頭の中が、

突然、静かになる。 



そして、さっきまでぐるぐる回っていた私の声に、妙な引っ掛かりを感じ始めた。 





… 


…勢いで伝える? 



…恥ずかしい? 



私の心に落ちてきた微かな問いかけが、まるで波紋が広がるように私の心に大きく広がっていく。 



私は今、私の中の何に対して問いかけているのかわからないままに、自問自答が始まった。 





勢いで伝えるようなことなの? 


恥ずかしいって、何が? 




だって。

私、女の子らしさの欠片もないのに。



…それが、何?



手を繋ぎたいって、そもそも女の子らしい子が思うようなことじゃない? 


それなのに、ここにきて

急に女の子らしくなっちゃうなんて、

変じゃない?笑っちゃうでしょ? 



…変?笑う?なんで?



手を繋ぎたいと思うんだったら

まずはその言葉にふさわしい私にならなきゃダメでしょ。

今の私、そんなキャラじゃないでしょ?



…ふさわしい私になる?



今の私が女の子みたいに甘えるようなことするなんて、似合わないって言ってるの。

何でわからないの?



…似合わない?



どうしてそんな、

嘲笑うように言ってくるの?



問いかけの返事に

心が締め付けられる気分になる。 



なんで私はこんなに苦しくなるの?? 



自分の言葉なのに、なんで

自分が苦しめられているの?? 




考えれば考えるほど、疑問は増すばかり。 





…思うことも、だめなの??





考えを巡らせる中で、ふわっと、

楽しくて嬉しくて幸せな記憶が脳裏をよぎる。



そこにはいつも彼がいた。 



この人ともっと一緒にいたいって思った。 



大好きだって思った。 



手を繋ぎたいって思った。 





この気持ちを、否定するなんて、、 


そんなこと、できるわけない








ほんの一瞬だった。


色んな思いが錯綜する思考の渦の中で、

静かに舞い降りるひとつの灯りが、

見てごらんよと私の心を照らす。





…あぁ。





私は、もう窮屈なんだ。



そんな自分でいることが、苦しくなるくらいに。








何のために、いつまで

〝そこの私〟でいるつもりなの?



彼を想うと幸せを感じて、

彼のことが大好きで、

彼と手を繋ぎたいと思った私こそ、



〝私なんじゃないの?〟







… 



「本当に痛いところはない?」 



ゆっくりゆっくり歩きながら私を心配そうに見てくる彼の手をぎゅっと握って立ち止まると 



私は彼に話し始めた。 



手を握り返したのは、足が痛いからじゃなくてあなたと手を繋ぎたいと思ったから、 



そもそもは、手を繋ぎたいなと思って近寄っていったところで転んだんだってこと。 



そして、あなたと一緒にいると、とても楽しくて嬉しくて幸せな気持ちになること、 



いつもあなたのことを想うと心が幸せになること



あなたのことが、大好きなんだっていうこと。 




こんな風に誰かに自分の気持ちを伝えるのは初めてだった。 



途中で言葉が詰まりながらも、何でかわからないまま流れてくる涙も、そのままに、 



頭の中でごちゃごちゃまた何かが言ってきてる気がする。きっと私の中にはまだ、いくつもの〝こういう私でいるべき私〟がいるんだと思う。



でも、いいんだ、もう。

私はこの気持ちを大切にしたかったから。 



あなたのことが大好きだってこと、あなたに知ってほしかったから。 



それを伝えられる人が、あなたであることがたまらなく嬉しいんだ。 




これが、私なんだもん。






気持ちを伝え終わった後。 


しんと静まり返る空気の中。 






「ありがとう。俺も君のこと大好きだよ。」 





そう言って微笑みながら、私の頬を伝う涙を優しく拭ってくれた。 




彼の私を見つめる眼差しに、私もまた彼を見つめ返す。   




彼と心が通じ合った瞬間だった。 




そして、彼の両手に抱き寄せられ、優しく温かく包まれる。



心が満ちていくような感覚に、たまらなく愛おしさを感じた。 



 


私、今すごく幸せだな… 




 


光り輝く星空の下、

2人の新たな物語が動き始めた。









はい、カット!



ついに、、恋人同士になりました。


いやもう、本当、、おめでとう!!!!!


書き上げて、感無量だったよ。笑

嬉しいよ、私は!!!!!笑



これで、心置きなく工房に篭ることができる!


ぼや〜っと漂ってたデザインがやっと姿を現し始めてね。


そのデザインを思い浮かべながら、さて、どうやって作ろうか♪とキラキラした目で材料を漁っています。笑


次の記事も、たぶん物語な気がします!!



ではまた!

お読みいただきありがとうございましたベル