十一月二十七日 リーガロイヤルホテル小倉「活動写真への誘い 小倉昭和館」『忠次旅日記』上映 | 俺の命はウルトラ・アイ
2022-11-03 03:12:31

十一月二十七日 リーガロイヤルホテル小倉「活動写真への誘い 小倉昭和館」『忠次旅日記』上映

テーマ:伊藤大輔(伊藤葭 呉路也)

 令和四年(2022年)十一月二十七日(日曜日)

 十三時 リーガロイヤルホテル4階ロイヤルホール

 澤登翠 デビュー50周年九州ツアー

 「活動写真への誘い 小倉昭和館」

 『忠次旅日記』

 『チャップリンの番頭』

  活動弁士 澤登翠  

 

 
 お知らせを書いていますが、わたくしはス
ケジュールの都合でリーガロイヤルホテル小倉
4階ロイヤルホール上映に参加出来ません。   
 
 『チャップリンの番頭』は未見です。近畿で

の再上映を祈っています。今冬のチャップリン

特集で上映して欲しいなあ。

  
 残念無念で悔しいですが、心の底から声援を
送ります。
 
 
 

忠次旅日記 信州血笑篇

忠次旅日記 御用篇

(こちらの記事は結末まで言及しています

ので閲覧御注意下さい)

 

 伊藤大輔監督の敗北の美学が鮮やかに示され

ます。

 

 『忠次旅日記』『幕末剣史 長恨』のブルー

レイは令和五年(2023年)二月三日に発売され

ます。

 

 『忠次旅日記 信州血笑篇』

 『忠次旅日記 御用篇』

 映画 無声 111分版のみ現存

 『信州血笑篇』公開日

  昭和二年(1927年)八月十四日

  

    『御用篇』公開日

     昭和二年(1927年)十二月二十七日

 制作  日活太秦

 原作・脚本 伊藤大輔

 撮影 唐沢弘光

 

 出演

 

 

 大河内傳次郎(国定忠次こと長岡忠次郎)

 

 中村英雄(勘太郎)

 磯川元春(沢田屋喜兵衛)

 沢蘭子(お粂)

 

 

 村上英ニ(銀次郎)

 秋月信子(信夫)

 尾上華丈(鷲津の音蔵)

 中村紅果(清水の岩鉄)

 市川百之助(重吉)

 浅見勝太郎(穂積の卯之助)

 尾上卯多五郎(お釈迦の源次)

 

 

 中村吉次(壁安左衛門)

 中村梅之助(捕手勇作)

 中村時五郎(老僕嘉十)

 尾上多摩蔵(横川の勘八)

 市川左雁次(乾分野呂松)

 岡崎晴天(板割の浅太郎)

 本田繁太郎(松井田の喜蔵)

 市川正之助(足利の権蔵)

 石井貫治(成塚の三代太郎)

 市川百之助(高崎の重吉)

 浅尾与昇(野々村宗兵衛)

 阪本清之助(三ツ木の文蔵)

 嵐亀三郎(老人)

 嵐璃左衛門(中山精一郎)


 

 伏見直江(お品)

 

 監督 伊藤大輔 

 

 ◎

 忠次=国定忠次=国定忠治

   =長岡忠次郎

 

 大邊男=正親町勇=西方弥陀六

     =室町次郎=大河内傳二郎

     =大河内傳二郎→大河内傳次郎

     =大河内伝二郎

 

 

 澤靜子=松本静子=松本志づ子

    =泉蘭子=泉らん子=澤らん子

    =澤蘭子

 

 伏見直枝=藤間照子=霧島尚子

     =伏見直江

 

 伊藤大輔=伊藤葭=呉路也

 ◎

 

 

 

 

 『忠次旅日記 甲州殺陣篇』は伊藤大輔

が妥協で撮った企画として自らフィルムを

破棄しました。

 現存断片は『ちゃんばらグラフティー!

斬る』に収録されている映像と思われます。

忠治旅日記 二

 

 平成十五年(2003年)十月三十一日 

 京都文化博物館にて『御用篇』初鑑賞

です。

 

 平成二十四年(2012年)十月七日京都文化

博物館において見聞した版はデジタル復元・

活弁上映版でした。2012年10月7日は『信州

血笑篇』の数分版も上映されました。

 

 令和四年(2022年)十月二十八日十六時

シネ・ヌ―ヴォにおいて「時代劇が前衛だっ

た」特集で『忠次旅日記』デジタル復元111

分完全無音無声版を鑑賞しました。

 

 

 国定忠次は仲間浅太郎の遺児勘太郎を友人

壁安左衛門に託します。安左衛門は義の刃で

お上と戦いお尋ね者になった忠次どんの頼み

ならば引き受けるが押し込み強盗の忠次どん

の頼みならばお断りすると厳しい意見を語り

ます。

 

 忠次の乾分は強盗ではございませんと重

ねて誓約する言葉を聞き安左衛門は金を別

室で用意しますが、そこでは忠次の乾分三人

壁家に押込み強盗に入り忠次の名を騙り、安

左衛門に金品を要求します。安左衛門は三人

に金を与えます。

 

 不審を感じた忠次はその光景を見て愕然と

して乾分三人を叱ります。安左衛門は何処ま

でも乾分を愛する親分忠次の心に感動し贋者

と知っていても乾分衆に金を渡したのでした。

 

 忠次はその心に申し訳なさを感じ勘太郎養

育依頼を諦めますが、安左衛門は引き受けま

す。

 

 沢田屋で番頭定吉として暮らす忠次は美し

いお嬢様お粂から恋を告白されます。嬉しい

気持で一杯になりますが、やくざの自身が堅

気のお嬢様を幸に出来る筈はなく、涙を飲んで

断ります。お粂の恋は振られて益々激しくな

ります。

 

 こどもたちがかごめごめを歌い忠次は勘太郎

を想い起します。

 

 お粂の兄銀次郎の恋を応援する忠次は恋を

妨害し自身を狙う鷲頭の音蔵親分に掛け合い、

威圧し銀次郎を助け逃がします。

 

 音蔵は役人を引き連れ沢田屋を襲います。

 

 お粂は忠次の刀を取って走りだします。

 

 父喜兵衛は恩義ある忠次の刀を奪還する

為哀しい決断を為します。

 

 流離う忠次は壁家の前で子供達が遊び

捕り物ごっこをする光景を観ます。

 

 勘太郎が遊んでいました。

 

 忠次は笠で顔を隠します。

 

 勘太郎は忠次とも知らず、「杖を貸して」

と頼み、杖の男忠次と手を合わせます。

 

 『忠次旅日記』は忠次が善意と義理を重
んじて為した事が全て裏目に出て自己の苦
悩の深まりを痛感する物語です。

 

 2003年10月31日は活弁が無くて伊藤大輔

の字幕が早くて中々ドラマについて行けなか

った。佐伯知紀が復元した現存版シナリオが

あります。字幕のスピードが速かったので

シナリオを読み直すとカットを思い出しま

したが凄まじい速度の記憶がありました。

 

 しかし、2012年10月7日井上章一の活弁

を聞い感激しました。

 

 忠次の悲しみ、勘太郎坊やを堅気にしよう

とする愛情、お粂の切なさからの刀取りと父

親から受ける罰の悲劇、お品の母性愛に心の

底から感動しました。

 

 

 2012年10月7日京都文化博物館客席は立ち

見が出る程の大盛況でした。

 

 2022年10月28日シネ・ヌ―ヴォの三回目

鑑賞は、生意気な物言いになるかもしれませ

んが、字幕にも慣れ無音でもついて行けまし

た。

 

 尾上華丈の鷲頭の音蔵がワルで憎めない味を

鮮やかに出します。

 

 音蔵が乾分に命じ番頭定吉実は忠次を隣室

の襖の背後から竹槍で刺殺しようと狙います。

乾分が竹槍を突くと忠次は前屈みになって鮮

やかに交わします。

 

 伊藤大輔が大河内傅次郎の竹槍よけのシーン

を自然なムードで撮っていることに驚嘆しまし

た。

 

 澤蘭子のお粂の華やか美しさに驚嘆しました。

 

 十月十五日に久々に『雄呂血』をシネ・ヌ―ヴ

ォで鑑賞しました。

 

雄呂血

 

 赤城治郎三役で中村吉松が冷酷さを光らせ

震えました。

 

 『信州血笑篇』では優しい安左衛門の寛大さ

を見せます。

 

 伏見直江のお品の妖艶さに感嘆します。

 

 裏切り者焙りだしのシーンは迫力満点です。

 

 ジュリアン・デュヴィヴィエ監督が『忠次

旅日記』を見聞したかどうかは分からないの

ですが、『自殺への契約書』クライマックス

は似ていると感じました。

 

 

自殺への契約書

 

 『忠次旅日記』のシナリオは残っていません。

現存シナリオは佐伯知紀がフィルムから起こし

たものです。

 

 撮影現場では伊藤大輔が口述し伊丹万作が

藁半紙に書き留めたと言われています。

 

 奈良県で水道代・ガス代・電気代が払えず

木の実を食べて飢えを凌いだ大輔の苦闘時代 

が忠次の苦悶表現に反映していることは間違

いないでしょう。

 

 

 2023年2月3日に発売されるブルーレイは

『御用篇』現存版で無声版と活弁版が収録さ

れるそうです。

jidaigeki

 伊藤大輔著・加藤泰編『時代劇映画の

詩と真実』は昭和五十一年(1976年)四

月十四日キネマ旬報社より発行されました。

 

 加藤泰は松田春翠に『忠次旅日記』フィ

ルムは現存していないかどうかを尋ね、春

翠氏より探求したが見つからずの返事を受

けたことを記しています。

 

 滝沢一ら伊藤大輔ファンと相談し本の中で

『忠次旅日記』を再現できないかと提案し無

理と言われたことを述べています。

 

 昭和五十年(1975年)七月三日京都府立

文化芸術会館で幻の作品と言われていた『御

誂次郎吉格子(御誂治郎吉格子)』のフィル

ムの発見上映が為され伊藤大輔も来館し自作

に再会しました。

 

 その京都府立文化芸術会館が令和四年(20

22年)の現在廃止の危機にあります。

 

 京都府は北山に商業施設を建てて植物園

を廃止するという乱暴な計画を立てています。

 

 怒りを通り越して悲しみを覚えます。

 

 京都文化博物館映像ホール後のフィルム

シアターが成り立つ前は、京都府立文化芸

術会館で京都府所蔵の日本映画を上映して

いました。

梶 三千子

 昭和六十年(1985年)三月十三・十四日 

『人間の件』全六部作上映がありました。

 十三日に第一部・第二部、十四日に第三部・

第四部・第五部・第六部の上映でした。

 

 仲代達矢が平和主義者梶を体当たりで演じ

ました。

 

 京都府立文化芸術会館ではデュヴィヴィエ

監督『わが青春のマリアンヌ』、クロード=

オータン・ララ監督『赤と黒』上映もあり

感動しました。

 

 仲谷昇主演の名舞台『リア王』を鑑賞した

劇場は京都府立文化芸術会館です。

 

 2009年3月15日憲法九条ミュージカル『時

間旅行はいかが?』を鑑賞し平和の大切さと

管理社会の冷厳さを感じました。

 

 

 

時間旅行はいかが!?

 

 小倉昭和館の再スタート応援と京都府立文化

芸術会館存続希望は自分の心に熱く燃えていま

す。

 

 奈良岡朋子・仲代達矢も京都府立文化芸術

会館存続希望メッセージを語ってくれました。

 

 伊藤大輔が自作と再会した場京都府立文化

藝術会館を守ろう。

 

 

 

                  合掌