宮本武蔵 一乗寺の決斗(二十二)伽羅の香
『宮本武蔵 一乗寺の決斗』
映画 トーキー 128分
イーストマンカラー 白黒映像あり
東映スコープ
昭和三十九年(1964年)一月一日公開
製作国 日本
制作 東映京都
製作 大川博
企画 辻野公晴
小川貴也
翁長孝雄
原作 吉川英治
脚本 鈴木尚之
内田吐夢
撮影 吉田貞次
照明 和多田弘
録音 渡部芳史
美術 鈴木孝俊
音楽 小杉太一郎
編集 宮本信太郎
助監督 鎌田房夫
記録 国定淑孝
装置 館清士
装飾 宮川俊夫
美粧 林政信
結髪 桜井文子
衣裳 三上剛
擬斗 足立伶二郎
進行主任 神先頌尚
出演
中村錦之助(宮本武蔵)
岩崎加根子(吉野太夫)
竹内満(城太郎)
小野慶子(りん弥)
監督 内田吐夢
☆☆☆
小川貴也=小川三喜雄=初代中村獅童=小川三喜雄
中村錦之助=初代中村錦之助→初代萬屋錦之介
鈴木金哉→鈴木康弘
☆☆☆
画像・台詞出典 『宮本武蔵 一乗寺の決斗』DVD
☆☆☆
台詞の引用・シークエンスの考察は、研究・
学習の為です。
東映様にはおかれましては、ご理解・ご寛
恕を賜りますようお願い申し上げます。
☆☆☆
平成十一年(1999年)九月十一日福原国際東映
平成十二年(2000年)九月八日高槻松竹
平成十五年(2003年)五月二十二日京都文化博物館
にて鑑賞
☆☆☆
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扇屋の少女りん弥は「お客様。これ、太夫さんから」
と語り、武蔵に一通の手紙を渡す。
武蔵が手紙を開き、文字を読もうとすると、伽羅(き
ゃら)の香が匂った。
ちぎりてはちる
夜のあだ花の
数々よりも
樹の間過ぎ行く
月のおん影こそ
忘れ得ざらめ
しみじみ
語ろういとまもなく
雲間のおわかれ
よその杯に
嘆けばと
わらい候わめど
ただ一筆のみを
吉野太夫が優しい心を書いた。
手紙を読む武蔵。
銀幕に太夫の声が響く。
☆伽羅の香☆
吉野太夫は沢山の夜のあだ花よりも、樹の間(このま)
過ぎ行く月のおん影こそ忘れ得ざらめと書き、武蔵と語
り合った、短い時の感動を確かめる。
初代中村錦之助の武蔵が手紙を読む。
岩崎加根子の吉野太夫の声が銀幕に響く。
男女の心の交流をこれほど美しく語る場面を、他に
知らない。
伽羅の香は、観客の心まで包み込む。
岩崎加根子の声が美しい。
手紙を持つ初代中村錦之助の手も美しい。
内田吐夢の演出は完璧な美を産みだしている。
平成三十一年四月二十五日
合掌