ご訪問ありがとうございます
自律神経をより深く知ることで、ストレスと向き合いたい。
この思いからたどり着いた考え方が
ご紹介しているポリヴェーガル理論。
前回の記事はこちら。
始まりの記事はこちら。
自律神経は交感、副交感の2種類だけじゃない…ポリヴェーガル理論①
PTSDで見られる症状を
ポリヴェーガル理論の視点から考えていきましょう。
人がその人らしく生きられないとき…トラウマの呪縛
悲惨な体験は
体験した時だけで終わるのではなく
その後も何度も何度も反芻するたびに
思い出すたびにその時と同様な苦痛を体験することになるのです。
心理学的には
こうしたいつまでも繰り返し体験する苦悩を
トラウマ(心的外傷)と呼んでいて
トラウマの厄介なところは
苦痛は体験した時だけにとどまらないということです。
その時に感じていた匂い、ふと目にした光景やアイテム
聞こえた音、雰囲気は、記憶の中にしっかりと残っており
それ以降に、それらの記憶のかけら
断片をふと体験した瞬間にフラッシュバックがやってきて
悲劇を体験した時のまったく同様な生理的反応が起こってしまいます。
つまり心拍数、血圧が上がり、ものを考えられなくなり
言葉がつかえなくなり、激怒し、恐怖におびえ
嘆き悲しみ、正気を失うのです。
トラウマに浸食されていない状況では
人は通常の社会交流モードで
日常生活を人としての幸せを感じながら営むことが出来ますが
トラウマを背負っている場合は、そうはいきません。
ある時には、常に脅威にさらされているような
不安と危機感が、脳内の雑音のように流れており
どのような恵まれた環境であっても臨戦態勢となります。
つまり闘争・逃走モードとなるのです。
闘争・逃走モードになると
ものを考えづらくなると同時に、感情脳が活性化しており
怒りや恐怖、悲しみなどの感情が高ぶり
感情にすっぽりと支配されている状態となります。
さらにトラウマが深刻化した場合は
最後の砦となる背側迷走神経系が目覚め
絶体絶命モードが常態モードとなります。
心拍数や血圧が低下し、動かなくなる
またはのろのろの不活性の状態になると同時に
感覚遮断という特別な変性意識状態となり
痛みを感じづらくなるのです。
解離状態とも言われ、自分を自分自身から解離させて
自分を自分とは思えなくなる状態となります。
ですので、解離状態にある場合は
人は鏡で自分を見ても、自分とは思えない違和感を感じたり
過去の痛みを思い浮かべても
それを体験した人は自分ではなく他者であると認識するのです。
ストレス反応は生き残り戦略
人が人らしく生きていこうと考えた考えた場合は
まずは、こうしたトラウマの働きをしっかりと見つめ
理解し、癒していく必要があります。
場合によっては、人の乱暴なふるまい、怠惰な態度は
責められたり矯正を迫られることあるかもしれません。
ですが、ポリヴェーガル理論に言うと
そんなに簡単にはいきません。
もう少し理解を深めて
優しく受け入れてもらう必要があると考えます。
場合によっては、自分のどうにもならない感情を責めたり
意欲がわかずにふさぎ込んでしまう自分の弱さを嘆き、否定し
自責や自虐の念に駆られるかもしれません。
それもポリヴェーガル理論的には
自分に対してずいぶん暴力的で
無理難題を言っていることになるのです。
自分がそのような状況になるのには
太古の時代から伝わってきている深い理由があるのです。
そのような太古の昔からの
危機対応方法として学んできた生命の叡智を
裁き、責めてはいけないのです。
「闘い、逃げること」や
「ふさぎ込み、動けなくなり、感じなくなること」
それは、決して弱さではなく、むしろ誇らしいこと
サバイバルの叡智の結果として起こっていることで
受け入れて、逆に感謝して
尊重するべきものなのだということなのでしょう。
今日は、ここまでとします。
明日、最終回はポリヴェーガル理論の視点から
私がお伝えしたいことを綴っていきます。
ご興味ある方はこちら。