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外来診療をしていると

 

頭痛や肩・筋肉の痛み・凝りで悩むようになった。

 

朝起きると体がだるく、重たい感じがする。

 

睡眠が以前よりぐっすり眠りづらくなり、不定期になった。

 

手に汗が出たり、動悸が出たりする。

 

憂鬱な気持ちが続いたり、突然イライラしやすくなったりする。

 

そんな風に

 

体調不良を訴えて受診される方がいらっしゃいます。

 

いろいろ検査しても大きな異常はなく

 

詳しくお話をうかがっていくと

 

自律神経の働きが上手くいっていないのかもと

 

思われるような患者さんです。

 

 

 

 

 

 

生活指導に加えて、症状に合わせた処方をすることもありますが

 

基本的には心療内科や精神科への受診をオススメしています。

 

これは、大人に限らず若い方にもみられるんですよね。

 

自律神経の働きを

 

うまく上手く整えるには、なにか方法があるのかしら?

 

と思って調べてみたんです。

 

 

 

 

 

 

すると、これまで学んできた自律神経について

 

新たな展開を見せていて

 

ポリヴェーガル理論という

 

全く知らなかった理論が提唱されていることを知りました。

 

ひとつの理論としてお考えいただけたらと思います。

 

 

 

 

 

 

10月10日は世界メンタルヘルスデーですので

 

ご紹介していきたいなと思います。

 

かなりの長文になりますので

 

8回に分けて掲載します(それでも長文かも)。

 

 

 

 

 

出来るだけわかりやすくと心がけますが

 

難解な部分もあるかと思います。

 

同じような内容の繰り返しの部分もあります。

 

何度も目にしていただくことで

 

理解の助けになればと考え、掲載しています。

 

では、ポリヴェーガル理論を通して

 

自律神経を知る旅に出かけましょう。

 

ポリヴェーガル理論ってご存知ですか?

 

もともと自律神経系には

 

交感神経と副交感神経があるというのは良く知られていて

 

緊張状態の時には交感神経が

 

リラックス状態の時は副交感神経が優位になって

 

バランスをとるという話を聞いたことがあるかと思います。

 

 

 

 

交感神経

交感神経とは、覚醒、緊張、興奮、闘争と逃走など

 

ストレスや脅威に対抗するために

 

必要な働きをつかさどる神経ネットワークです。


 

 

 

 

副交感神経

副交感神経とは、交感神経とは逆に

 

鎮静、消化吸収、生殖、睡眠、など

 

休息や回復と関わる神経ネットワークです。

 

副交感神経を代表する神経に

 

迷走神経というのがあるのですが

 

実はこの迷走神経には

 

背側迷走神経と腹側迷走神経の2種類がある

 

というのがポイントになります。

 

 

 

 

 

3種類の自律神経がストレス反応として働く

 

ストレスに直面したときに

 

これらと交感神経を合わせた

 

3つの神経のうちのどれが活性化して対応を担うかは

 

そのときのストレスの脅威度によって変わる、ということが

 

ポージェス博士が提唱したポリヴェーガル理論の概要です。

 

Polyvegal(ポリヴェーガル)理論

Poly=複数の

vegal=迷走神経

 

ポリヴェーガル理論は

 

人類の進化の過程と深くかかわっていて

 

3つの神経系による階層的なストレス反応を明らかにしたのです。

 

 

 

【腹側迷走神経(複合体)】…「社会的関わりシステム」

哺乳類以降、社会性が発達することに伴って進化した

腹側迷走神経が担っているのは

 

とりわけ、人間がたった一人では

 

自然界で生き抜くことが出来ないからこそ、発達させてきた

 

いわば集団で守り合い他者と支え合いながら

 

生き抜く対処策であり「社会的関わりシステム」と呼ばれるものです。

 

 

 

 

 

これは哺乳類全般で見られる特徴で

 

それが極端に表れているのが人間と言われています。

 

次にご紹介する交感神経系の「闘争逃走反応」に見られるように

 

他者が近づき過ぎるのは

 

危険と反応するのが動物の本能で

 

別の個体が近づくと交感神経が働き、緊張するものなのですが

 

社会的関わりシステムは

 

別の個体が近づいた時に生じる

 

交感神経の興奮を抑制する働きがあるといわれます。

 

 

 

 

 

他人が近づいた時に、緊張を和らげなければ

 

逃げるか闘うかの二択になってしまいます。

 

他人が近づいても「安心しても大丈夫」と自分に思わせ

 

相手に対してもそう思わせるような働きをすると言うことです。

 

緊張を和らげる仕組みは

 

身体の緊張を緩める腹側迷走神経と

 

人と人との関わりを司る

 

脳神経系(顔を向ける、表情を作る、声を出す、聴く…)が

 

協調して成り立っているため、「複合体」といわれています。

 

 

 

【交感神経系】…「闘争逃走反応」

爬虫類以降に進化したシステム

ストレスへの対処策の一つは

 

いわゆる「闘争逃走反応」と呼ばれるもので

 

敵が目前に現れた時に、生存率を上げるために

 

敵から一目散に逃げて距離をとるか

 

向き合って攻撃することで

 

脅威に対処しようと言う反応です。

 

これを担っているのが交感神経です。

 

 

 

【背側迷走神経系】…「不動」「シャットダウン」

太古の脊椎動物の防衛機構

これよりもさらに差し迫った

 

命の危険が生じた際に生じるのが

 

背側迷走神経の担う「不動」「シャットダウン」です。

 

「不動(フリーズ)」は逃げるも闘うも出来ない状態の時に

 

緊張が高まりすぎて動けなるという状況を言います。

 

「シャットダウン」は動物であれば仮死状態とも言えるもので

 

あまりにも圧倒的な脅威にさらされた際に

 

死んだふりをすることで少しでも生存率を上げるために

 

生じる反応だとされています。

 

 

 

 

 

 

あまりにも驚異的で

 

対処のしようの無い状況に曝された時には

 

人でも、どうすることもできずに

 

身体が凍り付いたように動けなくなることがありますよね。

 

その反応が「不動(フリーズ)」。

 

また、血圧や心拍数が下がるなどして失神してしまうことについては

 

「シャットダウン」だと考えられます。

 

 

 

 

 

 

自律神経が

 

進化の過程で3階層に発達したことについての詳細は、こちら。

 

右矢印進化の過程で自律神経が3階層に…ポリヴェーガル理論②

 

 

 

 

ご興味のある方は、こちら。

 

 

 

 

ポリヴェーガル理論についてはこちらです。

8回シリーズです。長いですが、読み進めていただければより深く理解でき、生活する上での参考になると思います。

よろしければご覧くださいニコニコ

右矢印進化の過程で自律神経が3階層に…ポリヴェーガル理論②

右矢印ストレスと自律神経の関わり…ポリヴェーガル理論③

右矢印ストレス反応からの回復過程を考える…ポリヴェーガル理論④

右矢印自律神経は自律する神経…ポリヴェーガル理論⑤

右矢印自律神経を理解してストレスと向き合う…ポリヴェーガル理論⑥

右矢印PTSDについて考えてみる…ポリヴェーガル理論⑦

右矢印生きているだけで、素晴らしいんです。…ポリヴェーガル理論⑧

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