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ポリヴェーガル理論では3階層の自律神経があり

 

生物の進化と深い繋がりがあることをお伝えしましたね。

 

これまでの記事はこちら。

右矢印自律神経は交感、副交感の2種類だけじゃない…ポリヴェーガル理論①

右矢印進化の過程で自律神経が3階層に…ポリヴェーガル理論②

 

 

 

 

 

 

この3階層の自律神経が

 

ストレス反応として働いた時にどうなるのかをみていきましょう。

 


人のストレス反応を考える

まずストレス反応で働くのは社会交流システム担当の腹側迷走神経複合体

 

この3階層の自律神経は

 

時と場合に応じて活性化し、人間の反応を司っていきます。

 

人間が危機的な出来事に遭遇した時に

 

まず働くネットワークは、腹側迷走神経複合体です。

 

社会交流システムが活性化し

 

人間関係を通して危機を乗り越えようとします。

 

例えば「助けてください。」と

 

周囲に助けを求める行動が分かりやすいでしょう。

 

 

 

 

 

次に登場するのはサバイバルモード担当の交感神経系

 

そのような社会性の対応で問題が解決できない時

 

次に目覚める自律神経が、「交感神経」です。

 

交感神経が活性化すると、大脳辺縁系の感情中枢が興奮し

 

怒りや恐怖などの強烈な感情が起こり、闘争や

 

逃走のサバイバルモードの具体的な行動を促します。

 

 

 

 

 

最後の砦は危機対応担当の背側迷走神経系

 

そして、そうしたサバイバルモードで対処しても

 

事態が解決できない時には

 

最後の砦となる最も原初的なネットワークが発動します。

 

つまり、背側迷走神経です。

 

 

 

 

 

 

背側迷走神経が危機対応で働くとき

 

「不動」「シャットダウン」という状況が起こります。

 

交感神経の働きで闘うも逃げるもできず

 

対処できない状態になった場合に

 

動かなくなる(動けなくなる)「不動」状態となったり

 

「シャットダウン」により

 

心拍数が低下し、呼吸が浅く最低限となり

 

擬死状態(死んだふり状態)となります。

 

 

 

 

 

 

ポージェス博士によると、この擬死(死んだふり)は

 

太古の脊椎動物の防衛機構だと考えられます。

 

不動については

 

爬虫類を観察するとこのことは良くわかると思います。

 

危機的状態の時には、じっとしてあまり動きません。

 

爬虫類にとっては

 

危機状況で発動した極度の交感神経系緊張(いつでも逃げ出せる、あるいは攻撃できる体勢をとる)に

 

背側迷走神経が強いブレーキをかけている状態と考えられています。

 

この不動状態が基本的な防衛体制なのです。

 

 

 

 

 

 

 

爬虫類の生き延びる戦略は

 

じっと動かず敵から隠れてやり過ごすことや

 

環境の悪化に対して、エネルギー消費を抑えてやり過ごすことも

 

また「不動」による対処と考えられます。

 

また、敵に襲われ、隠れようもない絶体絶命の状況下では

 

究極の反応として「シャットダウン」が発動されます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

不動やシャットダウンは、哺乳類においてもみられます。

 

例えば草食動物などが捕食者に襲われて倒れると

 

動かなくなりますよね。

 

運よく難を逃れた後も

 

しばらくはそのまま不動の状態にありますが

 

間もなく呪縛が解けたようにブルブルっと身震いし

 

その後、交感神経系の逃走モードとなり走って逃げていくのです。

 

 

 

 

 

 

 

こうしたシャットダウン(擬死状態)になるのには2つのメリットがあります。

 

1つは捕食される可能性が低下するということ。

 

死んで腐敗した食べ物を捕食者が嫌い

 

より活きのいいもの選ぶ可能性があるので

 

消極的ではあるものの生き残る可能性が高まるのでしょう。

 

 

 

 

 

 

2つ目は、たとえ捕食されたとしても

 

擬死による「無感覚」という変性意識状態(又は、解離状態)にあり

 

苦痛を感じなくて済むというメリットです。

 

切ないメリットではありますが

 

最悪の状態における慈悲の状態ともいえるでしょう。

 

 

 

 

 

 

新生児の生命を危険にさらす可能性のある

 

徐脈(脈が遅くなる)や無呼吸は

 

この背側迷走神経の危機対応反応が原因となっていると

 

ポージェス博士は考えたのです。

 

 

 

 

背側副交感神経の危機対応反応は古来からの生き延びる戦略

 

「不動」「徐脈」「無呼吸」は、魚類や爬虫類にとっては有効です。

 

先ほどの危機対応となると同時に

 

数分呼吸が停止しても十分に回復することが出来るからです。

 

ですが、哺乳類は酸素を大量に必要としており

 

この状態が長く続くことは危険です。

 

 

 

 

 

 

ですから、太古の防衛機構は

 

必ずしも哺乳類にとって適応しているとは言えないのですが

 

生命を脅かすような危険にさらされたときには

 

そうした反応が起こるのです。

 

 

 

 

 

 

新生児だけでなく、誰でも同様に

 

危機的状況にさらされたときには不動化の反応が起こると考えられます。

 

人間は、最新の社会交流システムという

 

進化した神経ネットワークと同時に

 

闘争逃走を司る動物的なシステム

 

更には太古の脊椎動物の防衛機構も同時に宿しているのです。

 

 

 

 

 

ポリヴェーガル理論では3階層の自律神経があり

 

ストレスに対して、どの自律神経が働くかで

 

現れる反応がそれぞれ違うことをお伝えしました。

 

続きは、こちら。

 

右矢印ストレス反応からの回復過程を考える…ポリヴェーガル理論④

 

 

 

ご興味ある方は、こちら。

 

 

 

 

 

 

ポリヴェーガル理論についてはこちらです。

8回シリーズです。長いですが、読み進めていただければより深く理解でき、生活する上での参考になると思います。

よろしければご覧くださいニコニコ

右矢印自律神経は交感、副交感の2種類だけじゃない…ポリヴェーガル理論①

右矢印進化の過程で自律神経が3階層に…ポリヴェーガル理論②

右矢印ストレス反応からの回復過程を考える…ポリヴェーガル理論④

右矢印自律神経は自律する神経…ポリヴェーガル理論⑤

右矢印自律神経を理解してストレスと向き合う…ポリヴェーガル理論⑥

右矢印PTSDについて考えてみる…ポリヴェーガル理論⑦

右矢印生きているだけで、素晴らしいんです。…ポリヴェーガル理論⑧

掲載時時点の内容です。ご了承ください。