八郎湖のアオコを除去するために八郎潟町が計画している高度浄水処理施設整備事業について、同町臨時議会は25日開き、同施設工事請負契約締結案を起立採決の結果、賛成1、反対8(定数12、欠席2、議長除く)の賛成少数で否決した。同町の懸案事業は白紙に戻り、上水道供給の在り方に関し、町は根本から見直しを迫られることになった。

 計画によると、施設は現在の町浄水場北側に建設、オゾン処理と粒状活性炭処理を組み合わせることでアオコ特有の色やカビ臭を除去した水道水を供給するもので、完成は8月29日を予定。水質悪化が進む八郎湖のアオコ被害に悩まされている町民にとって待望の施設として期待されていた。

 今回は12社による指名競争入札の予定だったが、うち9社が施設の特殊性から技術者確保が難しいことなどを理由に今月18日の入札を辞退。3社のうち仙台市に支社を置く業者(本社東京)が4億5864万円(税込み)で落札した。落札率は91・3%。

 議員からは「なぜ9社も辞退したのか」「辞退した業者に工事実績はあったのか」「厳しい財政事情の中で落札率が高い」など入札内容を疑問視する声が次々と上がった。
 環境、景観、経済などさまざまな観点から諏訪地域のまちづくりを考えていこうと、昨年12月に発足した「諏訪湖クラブ」(沖野外輝夫会長)は23日、第1回定期大会を諏訪市文化センターで開いた。会員ら約50人が参加。「諏訪湖環境保全研究」「諏訪圏のまちづくり」「諏訪圏域での新エネルギー活用計画」の3テーマで研究成果を発表した。

 諏訪湖クラブは、諏訪湖の環境保全や湖面利用を考えてきた「諏訪湖懇談会」の沖野会長が発起人となり、諏訪湖の問題にとどめず、諏訪地域の課題を住民主体で研究する市民学会的な組織として立ち上げられた。市民団体メンバーや研究者が参加し、同日現在の会員数は137人。

 信大山岳科学総合研究所の花里孝幸教授は「諏訪湖の水生植物の現況とヒシの制御」と題して発表。過去には見られなかったヒシの大量発生について「水質浄化が進み、アオコが減って湖底まで光が届くようになったが、湖底の質は変わっていないため、昔の水草は回復せず、ヘドロを好むヒシが増えた。生態系が元に戻る途中だが、そのまま逆に戻るわけではない」と解説した。

 ヒシの発生は昔の湖に近付いた結果だが、舟のスクリューに絡まったり、腐敗臭を発するといった新たな問題も発生。花里教授は「かつて水草は肥料として利用されたが、今はその必要がなくなった。昔の姿に戻してもわれわれの生活や社会システムが変わり、不都合なことも起きてくる」と指摘。「環境問題では『あちらを立てればこちらが立たず』ということがあることを住民は理解しておかないといけない」と強調した。

 大会に引き続き2008年度総会を開催。事業計画では定期大会、年次総会のほか、シンクタンク設立準備委員会の構想開始や、�諏訪湖保全研究�新エネルギー活用計画の推進�地産地消の現状と将来�環境保全型農業の推進�諏訪圏域まちづくり計画への支援�諏訪圏域産業の将来計画—の六つのプロジェクト活動などを決めた。
第1回日中水環境保全シンポジウム

 近年、中国は、急速な経済成長をしていますが、反面、環境に与える負荷は増大し、水環境においては、北部乾燥地域では水不足となり、南部の河川では水質汚染が進み、富栄養化によるアオコの発生や、悪臭を招き、生態系への影響も大きく、人体への健康被害も懸念されています。
 このような水環境悪化は、中国のみの問題でなく地球環境全体の問題であり、中国の水環境悪化は、日本の水環境にも影響を及ぼすものと考えられています。
 こうした状況を打開するためには、中国の水環境に対する政策、規制、市民意識の向上とともに、効果的かつ経済的な水環境保全技術を普及させる必要があります。
 ここに、中国における水環境改善を実現することにより、豊かな水辺と、健康的で清らかな水を取り戻し、併せて両国の発展と友好親善に寄与するため、シンポジウムを開催します。

開会日時:2008年3月20日 午前9時より
開会場所:万寿賓舘(北京市海淀区万寿路12号)
主  催:炭素繊維水利用工法研究会(日本)
     JWGジャパン・ウォーター・ガード(日本)
     国際中国環境基金会(中国)   http://www.ifce.org/index.htm
     武漢市緑色環境保護中心(中国)http://www.chinaep.org/index.htm  
後  援:北京京陽環保工程有限公司
協  力:武漢昌宝環保工程有限公司

◇参加専門家
劉永定:中国科学院水生生物研究所 973プロジェクト主席科学家、国家環境重大プロジェクト“Dian Chi(雲南省にある湖)アオコ問題対策”主席技術担当科学家
小島昭:炭素繊維水利用工法研究会会長、群馬工業高等専門学校特任教授
白慶中:清華大学環境科学・工程学部教授、北京国環清華環境工程設計研究院院長、
    清華大学環境影響評価室主任、中国環保産業協会固体廃棄物処理、再利用委員会事務長、中国工程諮問協会環境保護専門委員会常務委員
張佐双:北京市園林局副総エンジニア、中国植物学会植物支部理事長、中国公園協会植物園
    委員会主任、中国生物多様性保護基金会植物園専門委員会主任
範良珍:国際中国環境基金会武漢支部主任、武漢市緑色環境保護中心主任
張成軍:北京市科学技術協会、朝陽区副主席

◇参加機関
国家環境保護総局、蘇州市水生態関連政府部門、廊坊市水生態関連政府部門、
覇州市水生態関連政府部門、国際中国環境基金会北京支部、中華環境保護連合会、
北京市給排水集団、中科集団、桑徳集団、環境保護に関心がある各界著名人

■お問い合わせ
日本側事務局:(特非)ジャパン・ウォーター・ガード 
       027-350-7351 info@npo-jwg.com
中国側事務局:北京京陽環保工程有限公司
+86-10-68163729
常識ハズレの中国ビジネス指南(4)-遠藤誠

  経済産業省中国経済産業局主催の「水環境ビジネスシンポジウムin広島-中国地域の技術でアジアの水をきれいに」が、2月29日(金)に「ホテルセンチュリー21広島」で行われる。そのプログラムにパネルディスカション「中国地域の水環境修復技術のアジア展開を目指して」があり、私もパネリストとして参加して、中国環境問題の現状と環境ビジネス分野における日本企業のアプローチ方法について解説することになっている。中国の環境ビジネスに関心のある方には足を運んでいただきたいのだが(入場無料)、今回はそこで発表予定のサワリの部分を以下に紹介したい。

◆中国水環境の現状

  07年12月、中国における水環境ビジネスの可能性を探るため、北京と上海を調査してきた。環境分野に関連する政府機関や日系企業のヒアリングを通して見えてきたことは、中国の水質汚染は予想していたよりはるかに深刻であることだ。その深刻さは国全体の経済成長や人々の日常生活にも大きな影響を与えるほどで、すでに限界に近づいているといってもいい。たしかに中国はこの10年ほどで飛躍的な経済発展を遂げた。しかしその反動、ツケは、地域格差や食品の安全のみならず、人が生きていくために絶対必要な水の安全にまで影響を及ぼしているのである。今後、中国政府は水環境改善のために莫大な資金と技術を投入せざるを得ないところまで追い詰められているといっていいだろう。

  また中国の環境汚染が直接日本に影響を与えることはご存知のとおりだ。水環境についても同様で、近年はとくに工場排水、廃棄物等による海洋汚染やエチゼンクラゲの大量発生など、日本の水環境や漁業への影響が深刻化している。日本にとっても他人事ではないのである。

  今年オリンピックが開催される北京。ここでも水に関する問題は深刻だ。中国環境保護産業協会によると、北京の78本の河川のうち56本は、飲料水として適さない汚染レベルだという。これまでに汚染の発生源になっている問題工場を4万社ほど閉鎖させてきたようだが、08年は汚水処理場では1日当り2400トンのヘドロが発生、年間80万トンになると予想されていることから、その無害化処理は緊急の課題になっている。さらに北京を含む中国北方は、汚染のほかに、絶対的な水量が不足しているという問題も抱えている。南水北調(南方の長江の水を西北、華北まで導水する)プロジェクトという大規模な灌漑工事が進められている所以だが、水を浄化するとともに量も確保し得る技術が求められているのである。

  一方、上海は北京と違って、基本的に水量は豊富だ。しかし水質の汚染はやはり深刻で、昨年5月には、上海近郊の観光地である江蘇省無錫市の太湖でアオコが異常発生したために100万戸の家庭で水道水が飲めなるという騒ぎがあった。こうした淡水湖における富栄養化問題は深刻になる一方で、上海地域のどの湖沼、ダム、河川でも発生する可能性があるという。

◆瀬戸内海の知恵

  ところで、日本の中国地方には、瀬戸内海という閉鎖性海域がある。日本を代表する美しい景色と澄んだ海で知られるが、実は30-40年ほど前の高度経済成長時代には汚染が進み、その改善が大きな課題だった。そこで「水質汚濁防止法」や「瀬戸内海環境保全特別措置法」などによる排水規制が行われ、さらに中国地方の産業界による水環境修復のための努力が重ねられたのである。その結果、瀬戸内海は見事に甦ったわけだが、瀬戸内にはこのときから蓄積されてきた水環境修復に関する高い技術力と知恵がある。

  実は経済産業省の中国経済産業局では、この高い技術力を活用した環境産業を創出するために循環・環境型社会形成プロジェクトを実施中だ。その一環として「中国地域の水質浄化技術のアジア展開可能性調査」が検討され、その対象国の一つに中国が選ばれている。私はその検討委員会のメンバーとして中国を担当することになったが、日本企業が進出するためには課題も多いことが分かった。

  欧米企業は国を挙げて補助金も出しながら環境関連企業を中国に送り込んでおり、中国の環境改善ビジネスに積極的だ。ところが水環境分野で実用的な改善技術を有している日本企業の進出は少ない。整理すると次のような問題を抱えているからである。

  (1)情報収集と交流の不足。
  (2)海外で活動するための初期投資資金不足。
  (3)技術流出を恐れ、技術移転に消極的。
  (4)中国での経営と現地人材の活用に不慣れ。

  中国側からのヒアリングによると、日本企業は技術力は高いが、中国に適用できる技術かどうかを見極めているうちに、技術流出を恐れて途中で引き上げてしまうケースが多いという。したがって、日本企業の知的財産権をどのように保護・サポートしていくかが、今後の中国進出の最大の課題だと考えていいのである。「水環境ビジネスシンポジウムin広島」では、その具体的な方策を発表するつもりだ。
環境用語

富栄養化の進んだ湖沼で、初夏から秋にかけて藻類が異常増殖して、湖沼水を緑色に変色させることがある。この緑色の粉をまいたような現象はアオコと呼ばれ、ペンキを流したようなマット状になることもある。この異常発生する藻類はミクロキスティス属やアナベナ属等の微小の藍藻類や時として緑藻類の場合がある。
アオコが発生すると、透明度が低下するばかりでなく、藻類が死滅してカビ臭を発したり、更には肝臓毒、神経毒などの有害な化学物質が作られることがあり上水道への利用が不適当となる。また、水中の溶存酸素が奪われるため、水生生物や魚類が死亡するなど、水産や観光上の被害をもたらしてきた。
対策としては富栄養化を防止することが根本であるが、アオコを捕食する鞭毛虫類等の動物プランクトン等を利用することなども考えられている。

ろ過装置開発の近大と県


県と近畿大が浄化作戦に乗り出す猿沢池(奈良市で) 2010年の平城遷都1300年記念事業に向け、県と近畿大は今年3月から、奈良市の観光名所・猿沢池の水質浄化作戦をスタートさせる。両者が昨年9月に結んだ観光振興協定に基づく池の魅力アップの共同事業第1弾。池周辺での植樹や雑木の伐採も行う。「興福寺五重塔が水面に美しく映える猿沢池をよみがえらせたい」としている。

 猿沢池は、観光客らが与えるえさや、雨水とともに流入するシカのふんなどで富栄養化が進み、夏になるとアオコが大量発生。県は10年以上前から池に酸素を送り込み、夜間に増水するなどの対策を施してきたが、観光客らから「汚い」などの苦情が絶えなかった。

 猿沢池は古来より「澄まず、濁らず……」と言い伝えられ、県観光課は「アオコをすべて取り除き、澄んだ水にすると、イメージに合わなくなる」と、適度な濁りを求めており、ろ過の程度を調節できる装置を開発した近畿大短大部の岩村淳一教授(製品開発専攻)と共同で浄化に取り組む。

 装置は、内部の表面が網の目状になったフィルター式のステンレス製回転式ドラム(直径約60センチ、長さ約80センチ)。円筒形ドラムの内部に水を通し、その傾斜によってろ過の程度を調節する。

 岩村教授は昨年11月から、研究室で池の水を使って予備実験を行い、ドラムを5度に傾けることで50%程度のアオコを除去する成果が得られた。今年3月から池のほとりに装置を設置して稼働させれば、10月には、現在水面から8センチ程度の透視度が、10~15センチに改善できるとみている。

 岩村教授は「池の底が見えないようにしながら、コイやカメが水面で泳いでいる姿を眺めることができる濁りを実現できるはず」と話す。

 また、池周辺で雑木が成長し、観光業者などから「以前は見えていた興福寺五重塔が、今は見えなくなった」との指摘があるため、県観光課は雑木の刈り込みを行うとともに、サクラなどを植樹する計画だ。

 同課は「猿沢池は奈良を訪れた観光客の玄関口。大学の知恵を借りながら、2010年に観光客を気持ち良く迎えられる準備を進めたい」としている。

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原風景の回復を夢見て
 かつて、琵琶湖に次ぐ全国2位の広さを誇った八郎湖(八郎潟)。国策の干拓事業が1957年に始まったのを機に湖の風景はがらりと変わった。澄んだ湖水は周辺からの排水で全国有数の汚染度を記録している。県など自治体の水質改善策が強化されるなか、かつての湖の原風景を懐かしみ、復活を夢見る人たちの取り組みが続けられている。(五十嵐英樹)

◇愛着



消波堤を築いた八郎湖の湖畔でヨシなどの水草を再生する取り組みを続ける三浦さん 子供のころ、自宅から60メートル先に広がる八郎潟は格好の遊び場だった。ヨシやマコモが茂る湖畔の「潟」で泳ぎ、船に乗った。冬に氷が張ればスケートを楽しんだ。釣り糸も垂れた。毎日のように袋いっぱいのシジミを採り、みそ汁の具にした。少し塩気がある湖水でジャガイモを煮て味わったこともある。

 「潟を抜きにしては自分の生活は考えられなかった。潟の方に向いて立ち小便は決してしなかった。神聖な場所でもあった」

 潟上市天王大崎の県職員三浦新七(59)の潟への愛着は深い。

 1995年、かつての湖を知る地元の人たちで作る「潟船保存会」を作った。打ち捨ててあった古い木製の船を集めて保存する活動を始め、2004年から県の助成金を得て、市内の子供たちに湖畔に水草を植えてもらい、潟の原風景を再現する活動を始めた。今のところ、植生できたのは100メートル足らずだが、将来的に湖の南半分に植える構想で、「100年後の子供たちへの贈り物」が合言葉だ。

 潟には空きペットボトルなどのゴミが漂着。夏はアオコが発生し、異臭を放つ。「だども、子供たちに昔の潟はこんな風だったと見せたい」。脳梗塞(こうそく)の後遺症で少し不自由になった言葉を絞り出すように話す。

 妻の祐子(46)は「潟は、あの人の人生そのもの。自分ももう一度見てみたいんだと思う」と夫を思いやる。

◇危機感



桜庭さん 「まだまだダメだ」

 アオコが発生する夏、ワカサギを買い付ける加工業者が難色を示す。アオコのにおいが付いているためだ。湖水の水温が下がり、においが消えるのを待つしかないのだ。

 「本当に悲しくなる。異臭がない湖に戻してもらいたい」

 八郎湖増殖漁業協同組合組合長桜庭長治郎(75)はそう訴える。

 湖畔の半農半漁の家庭に育った。10代から漁業一筋。干拓前は、湖底にハゼの仲間がゆっくりと泳いでいるのが見えた。「水1升に魚7合」と言われたほど漁業資源が豊かだった。

 採っていたのは主にワカサギとシラウオ。捕まえた魚の大部分はつくだ煮になり、地域の人たちは、秋田市に行商に出かけた。

 ところが、干拓で激変した。干拓前に約3000人いた漁師は、今では、250人に減った。桜庭の子供たちも、八郎湖の漁業に見切りを付け、別の職業に就いている。

 漁協では、水を汚しているリンなどを体内に含むブラックバスやコイなどを捕獲し、肥料に転用する県などの取り組みに協力している。

 「何とかして水をきれいにしたい」

 桜庭の危機感は大きい。

◇実験



小林さん 干拓された後、大潟村に入植した人たちも八郎湖の汚染に心を痛めている。水田からの泥水が湖の汚染の一因になっているからだ。

 1969年に五城目町から入植し、10ヘクタール以上の水田を耕してきた小林信雄(66)もその一人。米を宅配している小林は、安心、安全な食品を望んでいる消費者心理も感じていた。

 高知県の四万十川の水を、木炭を使って浄化している取り組みをヒントに、2004年3月、農家の仲間とともに「大潟村木炭水質浄化研究会」を設立。村から土地の提供と補助金を受けて、炭焼き小屋を作った。木炭の材料は松食い虫の被害を受けた松などだ。

 これまでに、作りためた木炭は約6トン、1000袋分に上る。それを使って、今年3月ごろ、初めての浄化実験を大潟村の排水路で行う。100袋余りの木炭をつるしたいかだを8か所に浮かべ、水の汚れを木炭に吸着させる仕組みだ。

 実験の成否は未知数だが、小林は意気込む。

 「30年かけて汚したので、30年かけて戻したい。夢のようだが、前向きに取り組んでいきたい」
記事

 栄養分に富む排水が流入する湖沼やダムで大発生し、水道事業や農林水産業に被害を与えるアオコの原因微生物のうち、代表的な有毒藍藻(らんそう)「ミクロシスティス・エルギノーサ」の全遺伝情報(ゲノム)を解読したと、かずさDNA研究所(千葉県木更津市)と筑波大、国立環境研究所が11日までに、発表した。アオコの大発生は世界的な問題で、増殖や毒素生産のメカニズム解明と抑制技術の開発に役立つと期待される。
鳥取 寒ブナ漁に影響


魚のカビ臭の原因となるオシラトリアが異常発生した湖山池 鳥取市の湖山池で、湖水や魚にカビ臭が付く原因となる植物プランクトン「オシラトリア」が異常発生し、漁業者が旬を迎えた寒ブナの漁を見合わせるなどの影響が出ている。琵琶湖(滋賀県)や霞ヶ浦(茨城県)など全国の湖沼でも1980年代後半から増加傾向にあるが、異常発生の詳しいメカニズムはわかっておらず、県は近く本格的な調査に乗り出す。

 2006年8月に湖山池漁協から「魚がカビ臭い」との相談が寄せられ、県衛生環境研究所が湖水を調査。1リットル中に360万~4万個のオシラトリアが繁殖しているのを確認した。昨年8月には同池西側で2100万個を記録。その後、水温が下がるにつれて減少したが、11月9日の調査でも65万~15万個あった。



オシラトリアの顕微鏡写真。琵琶湖などでも急増した時期も(滋賀県琵琶湖環境科学研究センター提供) 「においがあれば出荷できない」と漁を見合わせる漁業者が相次ぎ、漁協は昨年12月22日に予定していたコイやフナなどを即売する「おさかな市」を中止。大寒(21日)のころ、石組みの漁礁で行われる伝統の「石がま漁」への影響を心配する声も出ている。

 オシラトリアはらん藻類の一種で、霞ヶ浦や琵琶湖、宍道湖(島根県)など全国の湖沼や水源のダム湖で発生し、水道水がかび臭くなるなどの問題を引き起こしている。

 原因には、湖水の滞留や生活排水などの流入による富栄養化など諸説あり、はっきりしていない。県衛生環境研究所が73年から続けている湖山池の水質調査では、汚れの指標となる化学的酸素要求量(COD)などの値は横ばいか、やや改善傾向にあるという。

 ただ、茨城県内水面水産試験場によると、緑色のペンキを流したような「アオコ」を引き起こす植物プランクトン「ミクロキスティス」などが減ったころに、オシラトリアが増える傾向がある。

 湖山池でもアオコは95年に大発生してからはあまり見られず、県衛生環境研究所の若林健二・水環境室長は「何かの要素がプランクトンの生存競争に影響し、優勢な種が交代したのではないか」とみて、調査を急ぐ方針だ。