環境緑化製品製造販売の日本植生(津山市高尾)は、コーヒーかすを使った水質浄化材を開発した。河川や湖の富栄養化の原因となる硝酸性窒素を取り込み、使用後は植物の肥料に利用できる。来春にも家庭の水槽用に販売する予定で、将来は河川浄化への活用なども検討する。

 コーヒーかすを塩化カルシウムの溶液に浸した後、蒸し焼きにして炭化した。水中で塩化物イオンが硝酸性窒素と入れ替わる「イオン交換」と呼ばれる働きで吸着する。炭にすることで塩化カルシウムの定着がよくなり、1グラム当たり約20ミリグラムの処理能力があるという。

 イオン交換は海水の飲料化プラントや工場排水の処理などで活用されている。通常は触媒に合成樹脂を用いるが、半額程度のコストで同等の効果が見込める上、土にまけば窒素が植物の肥料になるという。特許取得済み。

 水槽用は、飲料メーカーからコーヒーかすを仕入れ、1キロ500円程度で売り出す予定で、販売ルートなどを詰めている。また河川浄化用としての効果を確認する試験を6月から滋賀県草津市の専門施設で行っている。

 硝酸性窒素は過剰な農業肥料や生活排水などが原因とされ、河川や湖沼で藻やアオコが繁殖して水質が悪化したり、人体へ多量に取り込むと酸素欠乏症になるため、国が1リットル当たり10ミリグラム以下の水質基準を設けている。

 日本植生はヒノキの間伐材から木炭を作り、道路斜面の緑化資材などに活用しており、水質浄化材は炭を使った新製品開発の一環。「コーヒーかすは飲料メーカーが廃棄処分しており、原料の調達コストも安く済む」としている。

湖沼法は正式には湖沼水質保全特別措置法といい、1984(昭和59)年にできました。

 湖や沼、ため池などは川のように水が流れないため、汚れがたまりやすいのが悩みです。湖や沼の水は水道や農業用水などに使われます。また、さまざまな動植物がすみ、自然環境を守る上でも重要なところ。汚したままにしておくわけにはいきません。ですから国は、特に水をきれいにする必要がある湖や沼とその周辺地域を指定し、対策を強化してきました。

 湖沼法ができた翌年、滋賀県の琵琶湖、茨城県の霞ケ浦、千葉県の印旛沼と手賀沼、岡山県の児島湖が指定されました。その後、長野県の諏訪湖、宮城県の釜房ダム、島根県と鳥取県にまたがる中海、島根県の宍道湖、長野県の野尻湖が指定湖沼となり、八郎湖は11カ所目です。

 もともと八郎湖は「八郎潟」という大きな湖でした。琵琶湖に次ぎ、日本で2番目に広い面積を誇りましたが、1957年から20年かけて干拓工事が行われ、残ったところを八郎湖と呼ぶようになりました。干拓というのは湖の水をくみ出し、新たに農地などを造ること。干拓によってできたのが大潟村です。

 八郎湖には三種川や馬場目川、馬踏川など20以上の川が注ぎ、家庭や工場の排水、農業などに使われた水が流れ込みます。こうした水には植物プランクトンの栄養になる窒素やリンが含まれます。昨年夏にアオコが大量発生したのはこのため。アオコは植物プランクトンの一種で、悪臭を放つので困ります。

 国は今回、八郎湖と周辺の9市町村(秋田、能代、男鹿、潟上、三種、五城目、八郎潟、井川、大潟)を湖沼法に基づいて指定しました。県は窒素やリン、水の汚れ具合を示す化学的酸素要求量(COD)をどのくらい減らすか目標を示した計画を国に提出し、下水道の整備や排水規制の強化などに取り組みます。国の指定によって補助事業に選ばれやすくなる一方、目標を達成する義務も負います。
滋賀県守山市内を流れる中小の河川に含まれる窒素やリンの濃度が10年前と比べて全体的に低下し、水質がやや改善していることが、同市のNPO法人(特定非営利活動法人)「びわこ豊穣(ほうじょう)の郷(さと)」の調査で分かった。調査結果を基に10年間の変化を図表で示した「水環境マップⅢ」も発行、近く市役所や自治会などに配布する。

 調査は、琵琶湖・赤野井湾の水質浄化を目指して結成された同郷の前身の「豊穣の郷赤野井湾流域協議会」が1997年に始めた。調査は年6回行い、会員約30人が市内の8河川、約100地点でCOD(化学的酸素要求量)、窒素、リンの各濃度、透視度を計測した。

 結果は、アオコなど植物プランクトン発生の要因になる窒素とリンの濃度の年平均値が、2006年までの10年間で、おおむね窒素は1リットル中1-3ミリグラムが同1ミリグラム未満に、リンも1リットル中0・1-0・3ミリグラムが同0・05-0・1ミリグラムに減り、改善傾向がみられた。CODと透視度の数値は、ほぼ横ばいだった。

 水環境マップの製作は調査1年目と5年目に続く3回目で、今回初めて7つの学区別に調査結果を収録。写真やグラフを挿入し、一目で変化が分かるように工夫した。

 調査に当たった辻ひとみさん(60)=同市吉身2丁目=は「窒素やリン濃度の低下は、農作物栽培での減農薬など農業者の努力が大きいと思う。マップを見て身近な川への関心を高めてほしい」と話している。マップはA4判、22ページ。2000部発行し、図書館や小中学校などにも配る予定という。
 中国江蘇省の蘇州市は上海ガニの本場、陽澄湖の養殖面積を来年から大幅に縮小することを決めた。今春、隣の太湖でアオコが異常発生したことを受けた水質改善策の一環。上海ガニの象徴的存在の陽澄湖産の高騰は必至だ。



緑色の網に入った上海ガニが並ぶ上海市内の銅川水産市場

 上海ガニは中国各地に生息するが、陽澄湖産は脂がのって美味とされ、日本にも輸出される。10~12月ごろが旬。小売価格は一般に1キロ70元(約1100円)前後だが、陽澄湖産は約350元と5倍。養殖削減で来年はさらに2割近く値上がりするとみられている。

 蘇州市陽澄湖大閘蟹行業協会によると、養殖面積は01年に約9000ヘクタールあったが、過剰養殖による小型化などで品質が落ちたため、すでに約5000ヘクタールに削減。来年は2000ヘクタールまで減らし、最盛期の5分の1となる。漁獲量も今年の2200トンから千数百トンに減る見通しだ。

 太湖では5月にアオコが異常発生、近くの無錫市の飲料水が悪臭で長期間飲めなくなり、温家宝(ウェン・チアパオ)首相は「太湖の水質汚染を高度に重視する」と原因究明と改善を指示。主な原因は工業廃水や生活排水などとされるが、養殖場で大量にまかれる餌などによる富栄養化や、養殖場が湖水の流動性を妨げることによる水質悪化なども指摘された。陽澄湖ではアオコの発生はないが、太湖と同水系のため改善対象とされた。

 養殖で生計を立てる湖畔の清水村の村長は「村民の収入は2割は減る。民宿や家畜の飼育などに力を入れないと」と危機感を強める。蘇州市政府は養殖業者に補助金を出し、転職も促す方針だ。蘇州市陽澄湖大閘蟹行業協会の楊維竜会長は「養殖密度が減れば個体が大きくなるなど品質は上がる。収穫減を価格向上で補いたい」と話す。
中国、排水総量規制を強化 減産する現地染料メーカー
 2008年の北京オリンピックまであと1年を切った中国。飛躍的な経済成長を遂げる半面、様々な問題が噴出している。そのなかでも、最近とくに取り上げられるのが環境問題だ。
 染料や中間体メーカーの多くは江蘇省南部にある太湖周辺に存在するが、その太湖は年々汚染がひどくなり続け、深刻な状況にある。今年6月にはアオコが大量発生し、飲料水が臭気で飲めないという事態が起こった。中国政府は排水総量規制を強めたことで、処理施設が不十分な染料メーカーは減産を強いられるケースが急増し、操業停止に追い込まれる工場も少なくない。
 そのため染料メーカーでは「生産委託先から供給を受けるのが難しくなっている」(ハンツマン・ジャパンの増永昌弘テキスタイル機能材事業部長)状況が続くことから、供給安定のため7月から8月に掛けて、ハンツマンやダイスター、ニッカファインテクノなどが一斉に価格改定に踏み切った。
 価格改定の背景には環境問題以外に、原燃料高や人民元高、7月1日から実施された増値税還付率の廃止など、様々なコスト上昇要因も含まれる。ダイスタージャパンによると、原油高騰を背景に染料の原料であるベンゼンやPSA、トルエンの市況は03年9月を100とした場合、07年6月にはそれぞれ255、190、200に上昇した。
 シルケット加工などに欠かせないカセイソーダの価格も2倍に、還元洗浄時などに多用するハイドロサルファイトも異常な高騰を見せ、ダイスタージャパンの高瀬耕志社長は「これ以上、自社では吸収できない」と、値上げに対する理解を求める。
 ニッカファインテクノ(東京都千代田区)の中川亘取締役色材事業部長は、黒を含めた染料の供給について「現状では混乱は起きていないが、今後供給不足になる可能性がある」と懸念を表明。中国の染料、染料中間体(半製品)メーカーの環境規制への設備投資に時間が掛かることから「染料供給の不安定感は1年くらい続く」との見通しを示す。


黒が染まらなくなる? アルギン不足の懸念も
 染色業界で一番使われる色は黒色だ。染料総使用量の60%を占め、反応、分散染料のいずれも原料にH酸を使用する。東海染工の八代芳明社長によると、反応染料の年間使用量8000トンのうち、約半分が黒色で、分散染料も同1万トンのうち、6000トンが黒色(ネイビーも含む)だという。
 そのH酸も中国での排水総量規制を受け、減産を余儀なくされている。H酸の価格は2006年初頭、1キロ3ドルだったものが、今年7月には同8ドルと2・7倍にまで上昇。もともと黒色染料は大量に使われるだけに価格が安く抑えられてきたが、今回一気に30~40%も値上がりした。染料メーカーは「供給の環境は良くない。値段によって供給先を決める」としており、値上げ要請は一段と厳しくなりつつある。
 また、天然繊維系のプリントで必ず使われる染料のりに混ぜるアルギン不足も懸念材料だ。原料となるワカメの多くが中国の大連周辺で養殖されているが、その養殖場一帯をリゾート地にする計画があり、養殖業者が移動や廃業に追い込まれるなどで、今後の生産量が30%減ることは必至といわれる。価格も1年前に比べ2倍に高騰、将来的には現状の4倍ぐらいにまで値上がりする可能性もある。


染色協会、値上げ影響を試算 染色事業の純利益吹き飛ぶ
 この1年間、原燃料の高騰などで染工場はどのくらいの影響を受けているのだろうか。
 染色協会では仮に年間1000万メートル規模の加工量を持つ中堅クラスの染工場の場合、重油や染料など原燃料高の影響で1年前と比べ約1000万円コストが上昇していると試算する。税金(石油石炭税)も今年4月から引き上げられ、2003年と比べると天然ガス・石油は1トン当たり240円、石炭は同530円上昇した。
 生地を巻く紙管や覆うビニールなどの副資材も値上げ要請が激しい。むしろ「値上がりしていないものを見つけることのほうが難しい」(染工場関係者)ほどだ。
 染料の値上げの場合、昨年10月や今年3月にも見られたが、今回のように染工場がメーンで使うような染料までもが値上げの対象となるのは異例だ。染料の国内市場規模が年間約180億円であることから換算すると、市場への影響は約30億円と試算。助剤の値上がりも含め、業界全体のコスト上昇分は約50億円と推定され、これは「染色業界すべての染色事業部門の純利益を超えてしまう」(八代社長)計算となる。


加工料金10%引き上げへ 繊維業界存続のために
 危機感を抱く染色業界では、日本染色協会が8、9月に2度にわたる会見を実施、日本毛整理協会もマスコミ向けに加工料金改定を表明した。原燃料高で厳しい状況が続く2年前から見ると、価格転嫁の達成率は業界全体で3~4割ほど(染色協会の推定)で、実態はそれより少ないとも言われる。
 さらに染料の値上げという追い打ちが掛かるなか、下期に入る10月をめどに各染色企業は加工料金の引き上げを実施したい考えだ。今回の業界全体の値上げへの理解を求めるのは、染料メーカーが収支バランスではなく、製造コストそのものが上がっているうえでの値上げ要請に対し、受けざるを得ない状況のためだ。
 大和染工の古田道生社長は、商品・技術開発と人材育成に対して「ただでさえ投資しにくい環境のなか、さらに投資が困難になる」と、業界の窮状を訴える。加工料金の改定は、染色業界そのものの存続のためだけではない。染色業界の声を無視することは、日本の繊維産業崩壊につながる危険性をはらんでいるのだ。


ビーカー代金請求へ 1色当たり1000円
 日本染色協会は、全般的な染料の値上げを受け、染料ロスの大きいビーカーの料金設定も要請していく考えを示している。ビーカーとは、本染色に入る前に染料による染め具合を確認するため行われる試験染色のこと。ビーカー依頼は業界全体で月5万件に上ると言われるが、ほとんどの染色企業が無料で受けているのが実態だ。
 しかし、ビーカー染色の場合、高浴比(素材の重量に対して必要処理液量)となり、1回当たり染料の約80%が無駄になるという。東海染工の八代芳明社長は「染料がこれだけ値上がりすると、(ビーカー料金が)ゼロでは難しい」と訴える。業界ではビーカー1色当たり1000円を基本に料金を請求し、取引先に理解を求める方針を打ち出したが、現状各社の足並みは「ぶれている」と明かす。
 「ある程度の生産規模にならない場合は、ビーカー代金を支払っている」(生地企画卸)と言うように、それなりに改善の方向には向かいつつある。だが、多くの企画卸をはじめとした発注側は「理解はするが、応じることは難しい」(別の生地企画卸)との見解を示し、染色企業自身も「力関係がものをいう世界。小規模なコンバーターから代金をもらうのみ」(染工場関係者)と、一律に請求していくのは難しいとの見方を示す。
 もちろん、サービスだと割り切っている企業もあり、ビーカー代金は各企業の判断で請求していくことになる。ただ、染色企業の多くがビーカーで負担を強いられているのは確かだ。“無料”ということで、無駄な試験を依頼する企業やデザイナーも多く、発注側の意識に問題がないとはいえない。
 ある染色企業の経営者は「大手コンバーターが支払ってくれれば、一気に問題が解決する」と思わず本音を漏らす。