『シン・ウルトラマン』+ゼットン登場回【その2】 | アディクトリポート

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『シン・ウルトラマン』+ゼットン登場回【その2】
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どうも庵野秀明氏は神格化されて、
「彼ほど原作作品を知り尽くし、『シン』へと昇華させる人は他にいない」から(それは確かだが)と、
彼のやることなすこと全て正しく、
疑問に感じる観客の理解度が未熟なだけって構図が出来上がっちゃってますよね。
 
ですけど都合5回鑑賞して、やはりあちこち矛盾や不備があるよな、と思わざるを得ませんでした。
 
——からの続きで、『シン・ウルトラマン』を5回観て感じた疑問を挙げていきます。
  1. 「Q」禍威獣の倒し方
  2. リピアー(※後述)初登場時とそれ以降の姿の変化
  3. 浅見弘子の前歴
  4. 融合後の神永の変化ぶり
  5. パゴスとガボラ
  6. 外星人ザラブの秘密
  7. 神永のウルトラマン適性
  8. メフィラスの状況把握
  9. ゾーフィとの邂逅
まずは、①「Q」禍威獣の倒し方だが、第1号ゴメスは既存の自衛隊の総攻撃で、第2号マンモスフラワー(ジュラン)は官・民・学の総力を挙げ、炭酸ガスと火炎放射の両面攻撃で倒したが、第3号ペギラの駆除には女性生物科学者が弱点を発見したとあり、それはおそらく文科省出身で汎用生物学者の船縁由美(演:早見あかり)のことなんだろう。第4号ラルゲユウスは、原典のラストで何処かへ飛び去ったファンタジー色を皮肉り、「行方を見失って退治不可」とされ、未解決の事態を重く見た事後対策の結果、防災庁の下部組織として禍特対が編成される。
防衛省防衛政策局から出向している田村君男(演:西島秀俊)班長、警察庁警備局公安課から出向している神永新二(演:斎藤工)、先述の船縁由美、第5号禍威獣カイゲル退治に貢献したであろう、城北大学理学研究科で非粒子物理学を専攻していて、禍特対メンバー中で唯一の研究機関から出向したオタク学者の滝明久(演:有岡大貴)の4人が実働部隊として在籍。
カイゲル(ゴーガ)が禍特対が自衛隊と連携して退治した禍威獣の第1号で、禍特対は世間の称賛を勝ち取り、次の「放射性物質を捕食し、激ヤバ光線を口から放つ」超厄介な第6号禍威獣パゴスも、何らかの凍結処理で全身にヒビ割れを生じさせて死に至らしめている。パゴスはどうやって倒したのか?これがこの後の劇中展開でも重要になってくる。
 
2022/05/30
 
次に×リピアリピアー初登場時とそれ以降の姿の変化だが、
↓初登場時のマスクが初代Aタイプに準じ、
↑体の模様はシルバーの濃淡なのは、「原典(および初登場時の子供たちの視聴環境=白黒テレビ)に準じたから」以外に理由が見いだせないままだった。
しかしリピアーと神永の融合の具体例として、
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ラストにゾーフィがベータカプセルを点灯させて、神永との融合を解除する時、小さくなるウルトラマンは、最後赤がなくなり銀の体に戻っています。
これには4度鑑賞しても気づきませんでした。
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分離した際に最後銀色に戻るのに気付いたのは、これまで5回鑑賞しましたが4回目以降でした。
ですが、分からなかったという事でしたら、私の思い込みかもしれません。もしそうでしたらすみません。それでもネロンガ戦の後に融合済みという事には変わりはないと思っています。
ということで、5回目の鑑賞で、ようやく確認しましたよ!
ゾーフィの「二人の体を分離するぞ」の合図で、彼が手にするベーターカプセルを点火起動、
昔ながらの変身グングンポーズを逆再生した感じの映像で、
小さく縮んでいくリピアーの体色が、赤から銀へと変化していきました!
5回目の鑑賞で、思わずここだけ、「おおっ!」と声を上げてしまいましたよ。
 
となると、Aタイプの顔とシルバー濃淡の体色こそリピアーの素顔と本来の姿で、
かなりの高年齢を表す初老のシワ顔、
融合後のB/Cタイプ折衷のマスクは、
神永の表情と若さの象徴で、幅広の口とくっきりと彫りの深い顔立ち、
ラインが赤いのは、人間の血を表しているのだろう。
エメルギー消耗時に彩度の低いグリーンに模様が変化するのは、
どんな地球人の形質を受け継いだ結果なのか…はさておき(※後述)、
「なんだ、マスクのAタイプからB/Cタイプへの変化、シルバーからレッドへのライン変更は、リピアーと人間の融合の結果か。だったらもう少しわかりやすく示してくれよ!」と思ったし、
それがわかれば、浅見弘子がガボラ戦でリピアーを目の当たりにし、
↑赤いラインに彫りの深い顔立ちを
↓「きれい」と感じ、
↓去り際の振り向きざまのアイコンタクトから
「意思の疎通が図れそう」と直感したのは、
彼女が事前に融合元の神永新二と、デスクで向かい合っていた深層心理の為せる技だろう。
(※私の解釈が絶対の正解という保証はありません!)
 
なのになぜ、それをわかりやすく示さないのか?
庵野秀明が、単に伝え下手ってだけでなく、
Aタイプがリピアーの素顔で、B/Cタイプは別星人との融合の結果とすると、
なにか都合の悪いことでもあるのか?
 
ある!
↑ゾーフィのマスクは、
↓原典ゾフィのマスク変遷過程から、
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帰ってきたウルトラマンのマスク造形に準じているそうだが、
この基本初代のCタイプ、ハッキリクッキリ顔がゾーフィの素顔なら、
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彼もまた、母星である光の星の禁忌を破り、
他星人との融合を果たさなければ、あんな若くて張りのある顔つきにはならないはずだ。
 
なんだ、ゾーフィの野郎、
リピアーには散々、他星人との融合を禁じておきながら、
自分だって融合したからこその、若くて張りのある顔立ちなんじゃないか!
融合した他星人の血が黒いから、お前のボディラインは黒いんだろ、
見損なったぜ!
 
——ってことにならないように、リピアーのマスク+体色変遷の理由はボカされてしまったのでしょう。
(※私の解釈が絶対の正解という保証はありません!)
 
次は浅見弘子の前歴について。
ネロンガ戦後、“突如現れた銀色の巨人”調査担当要員として、途中加入のアナリストという形で公安調査庁から禍特対へ都合5人目の出向、神永新二とバディを組むことになる。
今作における「ウルトラマン」の名付け親であり、かつて研修を受けた組織で使用されていた符牒(ふちょう)から命名した。
——とのことなんだが、彼女はウルトラマンという言葉(用語)と過去に因縁があるだけでなく、なにかと神永新二と運命づけられた存在と言える。
 
つくづく庵野秀明が伝えベタだと思うのは、
「脚本を推敲しない」点にも、いや「推敲しない」点にこそあって、
『バック・トゥ・ザ・フューチャー』とか『アベンジャーズ』なら、相手が難解な言葉遣いをしていればたちまち、
“English!”(わかりやすく!)と問いかけるものだが、
『シン・ウルトラマン』を観ていると、「どうしてそんな、わかりにくくて不自然な言い回しをするかな?」
と、理解と思考が中断することがしばしばで、これにはヘキエキした。
たとえば船縁はどうして「全裸なのか、着衣なのか?」と言い、「全裸なのか、服を着ているのか?」と言わないのか理解に苦しむ。
 
ここで④融合後の神永の変化ぶりも絡んでくるが、浅見が対面する神永は、すでにリピアーと融合済みなので、それまでの人間神永とは様子が変化しているはずなのに、船縁はどうして「子どもの救出に向かって、ヒーロー飛来で爆風を受けるも無傷で生還、運の良い男」なんてことより、神永はネロンガ騒動から無事に帰還してからなぜか突然、「手当たり次第に本を読みあさるようになった」と言う変化を浅見に告げないのか?
リピアーと融合した神永は瞬(まばた)きをしない。仏頂面(ぶっちょうづら)、無表情がほとんどだが、ガボラ戦を終えて帰投した禍特対一行を手を振って迎えた時の白い簡易防護服姿では誇らしげに、滝にUSBメモリを託した時のたった2回だけ、かすかな笑顔を浮かべている。
 
浅見との対話でリピアー融合体の神永は、「人間は単独では生きられず、共同作業で助け合いながら生き抜いていく生命体だ」と学んでいく。
ということはリピアーやゾーフィたち、光の星の対禍威獣/対外星人のヒーローたちは、誰の力も借りず独力で任務完了できる、単独自己完結型の存在なのだとわかる。M87星雲光の星のウルトラ兄弟共闘の図式などありえないのだ。
リピアー融合神永は、禍特対という集団や浅見弘子とのバディという関係の意味を次第に覚えていく。
 
結局、最終的な物語の解決は、禍特対全員の力の合わせ技でもたらされたし、神永と浅見のバディの絆で切り抜けた局面も多かった。となると過去の仕事がらみでウルトラマンの命名を担った浅見弘子は、リピアーに人間の社会性を教える存在としても欠かせず、禍特対への出向も神永とのバディも必然=始めから決まっていたと言えた。
 
ここで話題を⑤パゴスとガボラに移すが、ガボラは放射線をまき散らし、パゴスとの頭部の類似性からも激ヤバ光線を放つと予想され、まだザラブから光波熱線の原理がスペシウム133だと教えてもらう前なため、ウルトラマンがネロンガ戦と同様に光線でとどめを刺したら、どんな核融合反応が起きるかわからないと禍特対一同は心配するが、まずは汚染物質の出にくいクリーンな核融合反応ではなく、放射能汚染の深刻な核分裂反応ではないか?
 
でもってガボラとクッキリ顔で赤ラインのウルトラマンの戦いは、緊迫感が高まりハラハラドキドキ、
マンはガボラの激ヤバ光線を全身で受け止めて放射能汚染を浄化、
光線は使わずパンチ(正拳突き)でとどめを刺して、
ガボラの死体を抱え上げ、自分共々虚空に姿を消して、
厄介な残留物を残さず、めでたしめでたし。
 
ちなみに、エネルギー消耗で体色がレッドからグリーンに変わるのは、
ミラーマンがらみらしいが、
maaaaaan
これについては、改めて詳しく述べます。
 
…はいいけど、5回も観ると、全然ハラハラしないのはなぜか?
今回のガボラによる放射能汚染危機は回避できたが、
似た前例のパゴスの時には、ウルトラマン抜きの禍特対+自衛隊だけで、
どうやって危機を乗り越えたのか???
 
ゴメスからの「Q」禍威獣解説テロップの切り替え速度がどんどん早まり、
最後のパゴスの時点ではほとんど追いきれなくなるのは、
そこをごまかすつもりなんでは?
 
というところまででだいぶ長くなったので、
ここまで読まずに離脱した人もいてしまうだろうから【その2】はここまで。
 
近日公開の『その3』で締めくくる予定ですのでお待ちください。