『シン・ウルトラマン』2回目鑑賞 | アディクトリポート

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『シン・ウルトラマン』2回目鑑賞

2022/5/19 イオンシネマ浦和美園 スクリーン3 G列13席

 

みその

その

misono

公開から約1週間が経過し、

ネタバレにもおびえなくなったため、

さらなる深掘りをすべく、2回目の鑑賞を通常スクリーンで決行。

 

また世間でも(主にYouTube動画で)本作の感想が一通り出そろったので、

このブログでも総括感想としておきたい。

 

そんなこんなで、ガッツリとネタバレしまくるのは不可避なため、

映画本編を未見の方は、鑑賞後にお読み下さい。

 

それと今回の独自解説は、あくまでも映画本編を鑑賞して私が読み取った完全独自内容なため、「その件については、○○(文献例)に書いてあります」とかの流れには乗りませんので悪しからず。

  • 冒頭で“東宝映画作品”という青バックに明朝体のタイトルは、最初の『ウルトラマン』映画、『長篇怪獣映画 ウルトラマン』の頃のもの。
  • その後、渦巻き模様に宮内國郎の“例の音楽”が流れるため、「ウルトラQ」のタイトルを破って「シン・ウルトラマン 空想特撮映画」のタイトルが登場か…と誰もが予想するが、この時点では東宝映画作品に「ウルトラQ」が存在しないため、『シン・ゴジラ』(2016)のタイトルが代用されている。
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  • そのため、本作と『シン・ゴジラ』をつなぐ役割として巨大不明生物ゴメスが登場。オリジナルのゴメスは当時の東宝と円谷プロの関係からも、ゴジラの着ぐるみの改造だったことを踏まえ、本作のゴメスはシン・ゴジラCG像に手を加えた姿である。
  • その後の出現“怪獣”(巨大不明生物→敵性大型生物→禍威獣)は、①ゴメス②マンモスフラワー③ペギラ④ラルゲユウス⑤カイゲル⑥パゴスと並び、最後のパゴスが禍威獣1号ネロンガと2号ガボラにつながっていく。④はオリジナル「Q」第12話「鳥を見た」がファンタジー作で、別表記“ラルゲリュース”が何処(いずこ)かへ飛び去ったことへの「退治されてないやんけ!」と言う皮肉。⑤の名前がゴーガでないのは→「太古から甦った貝の怪獣」というコンセプトは、NG脚本の「化石の城」のアーム貝を継承。「化石の城」の原型となったサンプルストーリー「生きている化石」では怪獣の名前はカイゲルだった。ガラモンやセミ人間が登場しない時点で『シン・ウルトラマン』本編には、延長上のバルタン星人が登場しないことが確定。バルタン星人の版権/許諾権は円谷プロと別に飯島敏宏氏(2021年10月17日没)にもあったことも要因だろう。
  • 本作での“かとくたい”=禍特対が、オリジナルの元祖・防衛チーム科特隊に比して弱小なのは、外星人リピアが禍特対メンバーの神永新二(かみなが・しんじ 演:斎藤工)と融合することで、各組織団体からのせめぎ合いに苦しむメンバーとの間に絆が生まれ、彼らを捨て置けなくなるための布石。
この記事(2022ー5新ウルトラマン)へのコメント。
 
はなのほほえみ 
 
いつもありがとうございます🤗🍀
お名前が判明して嬉しかったなあ✨でした。
誠実、絆、そして私を思ってなら、、思いますよ貴方様を😉💫
ゼットンさんがあらまあ~え~の展開で、、。
アメリカへの報告っていうのが、悲しいかなの現実マッチでしたね。
 
  • 外星人ザラブと日本政府との初交渉で、すでに日本語でやり取りしている相手に、改めて言語を解する能力があるのかを問うのは愚問。「どうやって日本語を覚えたのか?」と言うセリフに変えないところに、いつもながらの庵野脚本の、「一度書き上げればそれで終わり」の、吟味・推敲の不在ぶりが読み取れる。ザラブはスマホの翻訳機能を応用しており、浅見弘子(演:長澤まさみ)が発した、いかにもの“カタカナ・ロシア語”の問いかけを即座に解することで言語能力の高さを証明している。長澤まさみは中国語は堪能だそうだから、ここはロシア語でなく中国語にすれば良かっただろうに…
  • 巨大長澤まさみについては、その撮影アングルや描き方に「セクハラだ」「気持ち悪くて不快」等の意見も散見したが、だったらここをあっさり流したら流したで、「物足りない」「せっかくの機会を台無し」等の真逆の批判があったに違いない。作家性を建前にオタク性やヘンタイ性を売りにしてきた庵野作品に、ここだけ急に良識人を装って「けしからん」としかめ面で善人・おりこうさんぶるのはまったく賛同できない。本作で一番面白い部分だったし。
  • 続く「体臭ネタ」も、それこそ『シン・ゴジラ』の時からあったし、今回の方があの時よりも面白く、ドラマの中で有効に生きていた。長澤まさみもデビュー作『世界の中心で、愛をさけぶ』(2004)当時の少女などではなく、『コンティデンスマンJP』(2019・2020・2022)『MOTHER マザー』(2020)『すばらしき世界』(2021)等で汚れ役も経てきただけに、この程度の扱いで騒ぐ方が「けしからん」
  • 同一体の巨体バージョンを別空間(プランクブレーン?)に保管しておいて、ベーターカプセルもしくはベーターボックスを点火して現空間に呼び寄せるという仕組みは、メフィラスが地球支配を目論む原理にもなり、本作の最終局面にも結びつくので、なるほどよく思いついたよなとは感心。
  • YouTube動画の感想でよく見られるのは「さすがに『シン・ゴジラ』(2016)には及ばない」ってヤツだが、どっこいまともな実写映画の体裁が整っていなかった同作に本能的な拒否反応を抱く自分としては、「まだあの怪作を崇(あが)め奉(たてまつ)る人たちがいるんだな」とガクゼン。「二度と見たくない」と拒絶の理由の最たるものは、市川実日子に代表される出演俳優の日本語セリフのひどさ=セリフの意味がわからず、ただよどみなく早口でしゃべればそれでオーケーだった撮影現場の妥協のつるべ打ちと、石原さとみの英語セリフのつたなさ、ぶざまさに起因する。今だったら石原の役は、英語を話す時は英語脳に切り替わる、帰国子女の乃木坂46・4期生、北川悠理とか清宮レイ黒見明香に代えた方がよほどましだと信じてる。
  • こうした役者のつたなさ状況は『〜ウルトラマン』では「激減」したとは書いたけど、「解消」したとは言ってない。ジャニタレには遠慮と忖度が芸能界の鉄則らしいが、滝明久役の有岡大貴の、非粒子物理学者という役柄にふさわしくないデタラメなセリフ回しに『シン・ゴジラ』の悪夢が甦って戦慄。そしたら最後の方で、こいつがVRゴーグル越しに世界中の学者と英語でやり取りするシーンがあってますます戦慄。案の定、石原さとみほどではないにせよ、なかなかトホホな英語で「やっぱり!」
  • 2回目鑑賞では有岡のつたなさは初回ほど悪目立ちはしなかったものの、ここでは改善案を提案したい。ザラブの高度な知性ぶりを多言語のやり取りで示したのに続き、メフィラス(山本耕史)の知性ぶりを誇示するためベーターボックスが持ち出されて使用された。しかしここはメフィラスがせっかく数式に囲まれた部屋に突如出現するのだから、メフィラスが式の一部に目を向け間違いを指摘する形にすれば、オタク学者の滝のプライドが傷つき、この後の対ゼットン戦略立案の際も、実相寺アングルや由緒正しいゼットン階段、滝のオタク趣味のマイティ号だとかエンタープライズ号をしつこく映し出さず、この数式訂正のカットをインサートすれば、彼の葛藤が浮き彫りにされて、ずっと効果的だったろうに。
  • 東宝怪獣バラゴンをベースに、パゴス→ネロンガ→マグラー→ガボラと変遷を重ねたことが元ネタの、禍威獣ガボラの顔がパゴスと同じという船縁由美(ふなべり・ゆみ 演:早見あかり)の発言時にも、実相寺カットなんかにこだわらず、もう一度パゴスのインサートショットを挟むべき。
  • これと重ねて、公園のブランコでメフィラスと神永が会話するシーンでも、「たび重なる禍威獣出現はウルトラマンを誘き出すため地球に放置されていた生物兵器を目覚めさせたもの」のくだりで、だからネロンガとガボラは体軀が共通しているんだと、2体を並べて映し出した方がどれだけ効果的か。
  • リピアが地球人と禁じられた融合を果たしたペナルティとして、ゾーフィが最終兵器ゼットンで全人類を殲滅しようとする論理の飛躍。オリジナル最終回「さらばウルトラマン」の内容があまりにも急展開で、児童誌にまとめ記事を書くライター(大伴昌司)が誤解した捉え方を記したものを今回はあえて採用した結果とは言え、その屁理屈には、「地球人はいずれ光の星の住人(リピアやゾーフィ)と同じ進化を遂げる可能性があり、それは自分たちにとって脅威だから今のうちに滅ぼしておく」なんて、ゾーフィはどれほど悪魔的なのかとおののいてしまう。メフィラスがウルトラマンとの対戦を途中で切り上げて退散したのは、ゾーフィの出現を察知してのことだった点まで含め、あまりにも支離滅裂である。
  • このように、ウルトラマンと禍特対に対立する無数の勢力が次から次に現れるくせに、ゾーフィにせよ政府の男(竹野内豊)にせよ、やけに物分かりが良く、あっさりと引き際を心得て譲歩するのも、「そんなんだったらはじめから立ちはだからなきゃいいのに」と思わざるを得ない。
 
——とまあ、ここまでダラダラネチネチと問題点を指摘してきましたが、根本の問題は、庵野秀明の個人作品で他者の意向が、音楽以外は全く盛り込まれていないところにある。
 
 
庵野としては、「宇宙戦艦ヤマト」のリメイクを手がけられなかった反省から、「自分が手がける以上は、他の誰にも譲れないし、自分の編み出したシン・路線を誰にもマネさせない」と言う意気込みの表れなんだろうが、一度見た限りではとうてい全体を理解できず、映画が放り投げた作品説明を、廃れて久しい映画パンフレットをネタバレ解説書に変貌させて、とにかくシン・商法は大成功。路線は続くよ、どこまでもの絶好調ぶりには、眉をひそめるアンチが増えるのもやむなかろうという気はします。