状況分析『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』〈その3〉 | アディクトリポート

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デアゴスティーニ・ジャパン (2018-07-10)

三部作の完結です!

状況分析『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』〈その3〉

 

実は、

『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』を、

MX4D吹替版で、もう一度観てしまいました。


TOHOシネマズ西新井 2018/7/5 SCREEN8 D6

 

専用3Dメガネは1回しか使わずに、

“つる”部分が破損。

他シアターのリアル3D用メガネが使えるかも知れなかったが、

そうでない場合に備え、

やむなく新品を購入。

 

エンドタイトルでかけかえて、

どちらも3D効果は同じと判明した。

 

MX4Dは4DXに比べて、

どうにも効果が中途半端。

TOHOシネマイレージカードのために、

どうしてもMX4Dになりがちだが、

1回だけ体験した、

イオンシネマの『ジャスティス・リーグ』の効果バツグンが忘れられない。
4dx

 

さて、再びの『ハン・ソロ』鑑賞記に移れば、

1回目ほどは寝落ちせず、

自分が知らなかった映画『ハン・ソロ』が、ところどころにあった。

 

 

吹き替えなので、

セリフの抜け(欠落)もなく、

わかりやすくはなったが、

それでも自然な体の反応で、アクビはしきりに出るは、

どうしても二度ほど寝入ってしまった。

 

きっと何度観ても、最後まで見とおせないんじゃないだろうか。

 

再見で明らかになったのは、

「ケッセル・ランを12パーセク」

の件だが、

この映画の独自解釈ではなく、

元来はある小説に基づいている。

 

そもそも「ケッセルランを12パーセクかけずに飛んだ船さ」は、

1作目『スター・ウォーズ』(1977・日本公開1978 エピソード4 新たなる希望)で、

ハン・ソロがベン・ケノービにミレニアム・ファルコンの速さを売り込む時のセリフだが、

オビ=ワン(ベン老人)は、「どうせマユツバだろ」と信用せず、

当時のルーカスはパーセクは距離の単位でなく、

時間の単位と勘違いしていた。

 

ルーカスはうんと後年のDVD(2004/11?)オーディオコメントで見苦しく言い訳してるが、

この矛盾をきちんと説明したのが、

「ジェダイアカデミー三部作」のケヴィン・J・アンダーソンで、

  • ケッセル航路ラン
  • ブラックホールを内包するモー星団
  • 危険すぎるため、近道のこのルートを避け、迂回するので20パーセクかかるのが普通

——等々の元ネタは、全てこの小説にあり、

映画『ハン・ソロ』は、それをストーリーで消化しただけ。

 

なので、本当にここに感心した人は、

ジェダイアカデミー三部作(第一巻の『ジェダイの末裔』)を既読で、

今もそれを覚えている人と言うことになるが、

そんな地味すぎる超SWオタクが、どれだけいるのか?

 

同じことは、

最後のアレについても言える。

 

【ここからネタバレ ※赤字部分】

 

 

 

キーラ(エミリア・クラーク)の真のマスターは、

ドライデン・ヴォス(ポール・ベタニー)よりさらに上位に君臨する

ダース・モールだった。

 

おそらくは『ローグ・ワン』でのダース・ベイダー再登場が好評だったので、

『ハン・ソロ』では、ベイダー以外の悪役を再登場させようという話の流れだったんだろう。

 

とにかく、これに混乱している人が実に多い

 

モールはSW映画には『エピソード1 ファントム・メナス』(1999)に一度登場したきりで、

そこでオビ=ワンに胴体を真っ二つに斬り倒されたのだから、

『ハン・ソロ』に元通りの肉体で登場すると言うことは、

時代は『エピソード1』より前じゃないのかという混乱。

 

しかし本作では、

『エピソード4 新たなる希望』〈ヤヴィンの戦い〉で200歳のチューバッカが190歳なので、

10年前の話であり、

『4』の32年前の『エピソード1』の、22年後の話になる。

時系列順の作品鑑賞ガイドはこちら

 

モールは、

実はオビ=ワン(パダワン=弟子時代:ユアン・マクレガー)との〈ナブーの戦い〉の後も生き延びていた。

 

 

『新たなる希望』=〈ヤヴィンの戦い〉の22年〜19年前を描いた、

CGアニメ『クローン・ウォーズ』では、

クモ足に、

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〈ヤヴィンの戦い〉の5〜1年前を描いた、

『反乱者たち』では、サイボーグ二本脚に復活、

 

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これが、『ハン・ソロ』の終盤に出てきた二本脚のモールである。

『エピソード1 ファントム・メナス』のダース・モールでないことを示すため、

ライトセーバーも、柄本に弓形のヒレがある最新型。

話の必然ではないのに、ホログラムのモールがセーバーを見せびらかした理由はこれ。

 

シス二人制の原則があり、

この時代には、

かつてのモールの師ダース・シディアス=銀河皇帝シーヴ・パルパティーンと

新たな弟子ダース・ベイダー=アナキン・スカイウォーカーがいるため、

モールはシスの暗黒卿=ダースの称号を捨てており、

「モール」とだけクレジットされている。

演じているのは、『エピソード1』(1999)以来、19年ぶりのレイ・パーク。

姿のみで、声は別の男性(Sam Witwer)の吹き替え。

 

だがしかし、

これまた、よほどのファンでなけりゃ、

特に日本ではCGアニメは全話放送されてないので、わかるはずがない。

 

なので、

映画『ハン・ソロ』って、

限られたよほどのSWマニアにしか、

完全には理解できない内容になっている。

 

などとエラソーに書いたが、

モール登場で、

「どうせMCU(マーベルシネマティックユニバース)のエンディングのオマケ、

サノスをまねたんだろ。

続きは『ハン・ソロ』の続編『ハン・ソロ2』『ハン・ソロ3』かも知れないが、

ウワサのオビ=ワン映画にモールが出て来るのかも」

と予想した私も甘かった。

 

モールは、タトゥイーンのオビ=ワン(声と顔つきはアレック・ギネス風)の元を訪れ、

二人の決着はもうついている。

 

とにかくこちらは、

MCUのエンディングオチに慣れっこなので、

キーラとモールの会話で、映画『ハン・ソロ』が終了と勘違い。

 

「いやいや、サイコロの前フリが未回収でしょ」

と思ったら、

ちゃんとその後で回収されていた。

 

 

【ネタバレ終わり】

 

さて、今回は「状況分析」ということで、

どうして『ハン・ソロ』という映画が作られたのかをふり返る。

 

2012年11月に、ジョージ・ルーカスがルーカスフィルムをディズニーに売却

とら

世間は、『エピソード1〜6』で完結していたはずのSW映画が復活するということで、

2015年公開の『エピソード7』に大いに期待した。

 

しかしディズニーとしては、

せっかくSWという「金のなる木」を手に入れたのに、

『エピソード7・8・9』のたった3本で終わらせるわけにはいかない。

 

また、旧三部作(1977・1980・1983)や、

新三部作(1999・2002・2005)のように、

3年ごとの公開ペースも、この現代ではのんびりすぎる。

 

そこで、各エピソード三部作は2年ごとの公開に早め、

そうするとたった6年で終了になってしまうため、

間をスピンオフ作品で埋めて、

毎年SWが公開されるようにした。

 

このペースが定着するには、

エピソード三部作

と、

スピンオフ

の路線確立が欠かせない。

 

お知恵を拝借のはずの御大ジョージ・ルーカスの三部作構想はしかし、

さすがに「もうやらない宣言」をしただけあって、

完全に枯渇。

 

ミディ=クロリアンウィルズ(ホイルス Whills)を探究するという、

新三部作よりもさらにシケた話に、

ルーカスフィルム新社長のキャスリーン・ケネディ(KK)は青ざめ、
kenedexi

ジョージとの顧問契約をあっさり打ち切った。

 

さいわい、

エピソード第1弾の『フォースの覚醒』も、

スピンオフ第1弾の『ローグ・ワン』も大ヒット。

 

ここでファンが好意的かつ大目に見てくれたのに、

KKは、「自分たちの選択は全て正しかった」

と勘違いして、調子に乗った。

 

エピソード三部作路線を続けるのなら、

ジョージ・ルーカス流からの脱却と別路線展開が必至。

 

それをやれると言い切る自信家、

ライアン・ジョンソンに、ためしに『エピソード8』を任せてみたら、

これまでファンが大切にしてきたものを、無残に踏みにじる乱暴作になってしまった。

 

ジョージ・ルーカスはしかし、

『最後のジェダイ』を、「見事にやり遂げた=beautifully made」と、

新展開と脱路線を評価していた。

 

かくしてライアン・ジョンソンの口車に乗ったKKは、

次の新三部作からはジョンソンに任せると、

『最後のジェダイ』公開前に勝手に決定、宣言。

 

これで旧来からのファンが一斉反発。

すさまじい逆風の中、

公開ペース加速化で、

『最後のジェダイ』からたった半年で公開された『ハン・ソロ』に対し、

世間は一斉にそっぽをむいた。

 

話を少し戻して、

『フォースの覚醒』肯定派で、

『ローグ・ワン』否定派という、

私(『7・フォース』否定『ローグ・ワン』絶賛)とは正反対の姿勢の人の意見を聞くと、

 

『フォース〜』には話を先に進める意欲があり、新しく何かを生み出す意気込みがあったが、

『ローグ・ワン』にはそれがない。

『エピソード3』と『4』の間を埋める作品なんてスキマ埋めじゃ、

今後もいくらだって作品を作り続けられるし、そんなのにずっとつきあい続けるなんて、

考えるだけでウンザリ。

 

という主旨だった。

 

実際には『エピソード7』は『エピソード4』の焼き直しで、
yoio

主人公が男性から女性に交代しただけ。

 

新しい話に移行したのは『エピソード8 最後のジェダイ』からだったし、

『ローグ・ワン』はピンポイントで一撃必殺、考え抜いた必然(=これしかない)の、
まいが

「既存エピソード間の橋渡しドラマ」だったが、

『ハン・ソロ』をみたところ、

「こんな中継ぎ話でいいんなら、それこそ月に1本でもバカスカ作れんじゃんか」

とウンザリして、私は今さら上述の話を思い出した。

 

結局、『フォースの覚醒』でSW最人気キャラのハン・ソロを殺し、

誰でも殺せばいいと思ってるのかと反感を買ってしまったので、

「では、そのヒーローの若い頃を描きましょう」という補償作が『ハン・ソロ』である。

 

JJエイブラムズが、マイケル・アーントの丹精込めた脚本を破棄して、

短期間ででっちあげたにわか作りの『エピソード7 フォースの覚醒』脚本は、

過去作との辻褄が合わないため、

旧作をカノン(正史)からレジェンド(あてにならない伝承)に格下げし、

小説やコミックスで拡張したEU(エクスパンデッド・ユニバース)も無視されて、

これまた多くのEUファンの怒りを買った。

 

だから映画『ハン・ソロ』は、EUを拾い直すことにして、

ケヴィン・J・アンダーソンの小説設定をていねいに拾ったわけ。

 

ところがファンの視点はもはやそこにあらず。

じゃあ、どこにあったのかといえば、

くしくもスピンオフ(スター・ウォーズ・ストーリー)前作『ローグ・ワン』で、

モフ・ターキン(ピーター・“クッシング” ※独自表記)や

レイア(キャリー・フィッシャー)をCG復活させた経緯から、

当然、同じ配慮が若きハン・ソロにも適用されると勘違いした人が多く、

「こいつ(オルデン・エアレンライク ※独自表記)のどこが、若いハリソン・フォードやねん?」

と言う不満が噴出。

 

ここにもまた、『最後のジェダイ』同様に、

作り手側(プロデューサー)と受け手(ファン)との意識のズレがある。

 

KKはとにかくSW映画の公開ペースを加速化したく、

質や内容は二の次で、

まずはなにしろ、予定どおりに公開できることだけを望んだ。

 

『ローグ・ワン』と同じ緻密な突き詰め(CG加工によるオルデンのハリソン化)なんかやっていたら、

絶対に公開日には間に合わない。

 

KKは、ひたすら期日どおりに作品が完成することを望み、

その点で不安のあるフィル・ロードとクリストファー・ミラーをクビに。

そして期日内に確実に仕上げるベテラン、

ロン・ハワードに監督をすげかえた。

 

ハワードは全体の7〜8割を撮り直し。

 

交代劇の真相を知らされていないため、

きっと同じ撮り方じゃダメなんだろうと、

前任(ロード&ミラー)がていねいにコツコツと撮り重ねた撮影プランまでガラリと変更。

 

そのため画面はずっと暗く、被写体はハッキリクッキリとは映し出されなくなってしまった。

ドライデン・ヴォス役のポール・ベタニーは、

MCUの“ヴィジョン”つながりと思われてるが、

それよりも、ロン・ハワード監督作『ビューティフル・マインド』(2001)つながりだろう。

ここらへんの経緯は、このブログ記事に詳しい

 

さて今回、

『ハン・ソロ』を酷評するのは、ファンとしてどうなのかという意見もあった。

 

【以下引用・編集】

  • 酷評している方に、作品内容がどうあれ、私達ファンは受け止める立場なのだと言っておきたい。
  • いかにも私は古くからのファンでSWを愛し、熟知しているみたいな方に限って、あそこは違う、こうするべきだとか言いがち。
  • どんな内容、どんなストーリーであれ、作品が製作されなければ決して観る事が出来なかった、若きハン・ソロやチューイなんだと良く考えてほしい。
  • 作品を受け入れ、向き合い、良い所を見つけ出しSWを楽しむのが本物のSWファンだと考える。
  • 新しい作品が生まれたこと、観る事が出来ることに感謝して、生活のかてにする事が大切。
  • 全国のSWファンの皆様、共に楽しみましょう。

 

こんな「とにかくできあがったものは無批判、無条件に受け止める」姿勢じゃ、

まさにKKの思うツボ。

 

もしもアメリカのSWファンがこんな絶対服従型だったら、

『ハン・ソロ』はまたまた大ヒットし、

そのうちひと月に1本、「なくてはならないSW」ではなく、

「観ても観なくてもどうでもいいSW」に埋め尽くされて、

とても現在のルーカスフィルムの体制劇変=事態改善にはつながっていない。

 

※社内事情については、後日別記事で取りあげます。

 

オルデン・エアレンライクとランド役のドナルド・グローヴァーは、

それぞれ3本ぶんの出演契約を交わしているので、

『ハン・ソロ三部作』だけでなく、『ランド・カルリジアン三部作』まで計画されていたが、

そんな引っ張りまくった水増し(かみつくして味のないガムみたいな)映画、

誰が見たいんだよ!

 

いつまでも金儲けの思惑に乗っかり続ける、

成長しないファンでいて、誰が得するのかと問いたい。

 

こんな雑で乱暴な作り、やっつけ仕事で吟味推敲ゼロのSW映画に、

なんで毎回、律儀につきあい、

褒め続けなけりゃならんのか。

 

作品の質と価値を向上させるのは、

圧倒的な無条件絶対肯定ではなく、

「いつまでもカモにできると思うなよ」

というファンの反乱である。

反乱軍の始祖エンフィス・ネスト。