今回はぶっちゃけ傑作とは言い難いんだけど、登場人物もモンスターも魅力的で、VFXのクオリティが高く、個人的にはなんだかんだ言ってなかなか楽しめた『名探偵ピカチュウ』のロブ・レターマン監督の過去作をご紹介します。
グースバンプス モンスターと秘密の書
主演:ジャック・ブラック
出演:ディラン・ミネット/オディア・ラッシュ/ライアン・リー/ハルストン・レイジ/ジリアン・ベル/ケン・マリーノ/ティモシー・シモンズ/アマンダ・ランド/スティーヴン・クルーガー/カレブ・エメリー/カラン・ソーニ/エイミー・ライアン
・あらすじ(ネタバレ)
デラウェア州マディソン、高校生のザック・クーパーとその母親、ゲイル・クーパーはニューヨークから引っ越すに車でマディソンに向かっていました。教員のゲイルは教頭として地元のマディソン高校に赴任する予定で、その道中、ザックは「他に教頭を募集してる学校無かったの?」と言いますが、どうやら他の学校から断られていたようでした。
マディソンの新居に到着すると、家は閑静な住宅街にある一軒家で、大きな庭がありました。ゲイルは新居での生活が嬉しそうで、ゲイルが玄関を開けている間、ザックは庭にいましたが、ザックは隣の家の住人の視線に気づき、隣家の2階の窓に目をやります。ザックは家の中に入ると、ゲイルは台所にいて、ニューヨークの自宅と比べると、カウンターが広かったために大喜びしていました。閑静な住宅街に建てられているため、騒音で困ることはありません。ほどなくしてそこへ叔母のロレインがコメディ番組の司会者の真似をしながら家の中にやって来ます。お喋りで明るい性格のロレインは久々に会った甥のザックを見て、「会うたびにハンサムになっちゃって。」と言い、引っ越し祝いとして人気ブランドの限定品であるヤンキースのロゴが入った青いキャップ帽をザックにプレゼントすると、ザックは試着しますが、ザックは似合ってるとベタ褒めしている2人に辟易していました。
帽子を着けたザックは車にあった自分の荷物を自宅に運ぼうとしますが、荷物が段ボールから落ちてしまいます。そんな時、隣家の1階の窓から様子を見ていた同年代の少女、ハンナに声をかけられます。ザックは家と家を仕切っているフェンスの前に近づき、挨拶すると、ハンナはザックの青いキャップ帽を見て、彼がニューヨークから引っ越したことを見抜き、帽子が似合ってないことを指摘します。2人はお互いに自分の名前を名乗りますが、李ハンナは家主である男性に声をかけられると、ザックに別れを告げて窓際から去っていきます。その直後、隣家の家主で、ハンナの父親と思われる男性が隣家の窓際から姿を現します。ザックは挨拶しますが、男性は「フェンスが見えるか?」と聞いたうえ、「私の娘に近づくな。私にもだ。いいな?面倒なことになるぞ。」と警戒心丸出しで注意し、窓際から去っていきました。
その後、なんとか自分の荷物を運んだザックは隣家の住人に会ったことを報告すると、ロレインは隣家の住人の名字はシヴァーズらしく、2年前にここに引っ越している変人だと言います。ロレインは直接交流はないものの、自分と同じぽっちゃり体型のシヴァーズ氏に好意を抱いてるようでした。するとその直後、ゲイルは段ボールから1年前のザックと父親の写真を見つけますが、ザックは写真を見て表情を曇らせていました。心配したゲイルが声をかけると、ザックは「先に自分の部屋片付けてくる。」と言って自分の荷物を持ち、2階の自分の部屋へと向かっていきました。ゲイルは1年前の父親の死から心を閉ざしているザックを立ち直らせ、心機一転を図るためにマディソンで新しい生活を始めようと考えていました。その夜、ザックはビデオカメラで父親からボールの投げ方を教わっている自分の映像を見ていました。ゲイルは常にザックを気にかけていて、ザックの部屋の前で声をかけると、ザックは「赤ん坊の時の写真を見てた。」と言って慌てて取り繕います。
翌日、ゲイルは車でザックをマディソン高校まで送りますが、ゲイルは教頭に赴任するためにザックと同じタイミングで学校に向かうつもりでいました。これから初めて登校するザックは「俺、新入生なんだよ。ただでさえ色々言われる。母親が教頭だなんて知られたら…。」と実の母親が教頭になったことを周りに知られたくないと嫌がり、自分が登校した60秒後に出るようゲイルに頼みます。仕方なくゲイルはザックを先に学校に行かせることにし、ザックはゲイルが60まで数えてる間に登校しました。
その後、高校の体育館で全校集会が開かれます。ザックが集会が始まるのを静かに待っていると、そこへザックの噂を聞いていたクラスメイトのチャンプ(チャンピオン)が彼の隣にやって来ます。チャンプは馴れ馴れしい態度でザックに話しかけたあと、クラスメイトのテイラーに挨拶しますが、テイラーからは「チョップ」という名前だと認識されていて、テイラーは「やぁ、チョップ!」とチャンプに返します。ザックから「君、チョップって言うの?」と聞かれると、チャンプは「本当はチャンプなんだけど、挨拶を返してくれるだけで大進歩だよ。」と言います。全校集会が始まり、ギャリソン校長は教頭のゲイル先生を紹介すると、ゲイル先生は笑いを誘おうと「金曜日のダンスパーティーを凄く楽しみにしてます。先生もシェイクしちゃおっかしら。」と全校生徒に向けてスピーチしますが、体育館に気まずいな空気が流れます。ザックは教頭先生が実の母親であることにチャンプに教えます。ゲイルが面白くないスピーチをし続けている間、チャンプはダンスパーティーで一緒に踊る相手がいないか確認したうえで、「良かったぁ〜。実を言うと僕もひとりなんだよね。良かったら一緒に行く?」とザックをパーティーに誘います。全校集会が終わったあと、チャンプは自分で作った名刺をザックに配りました。
その日の夕方、ザックはゴミ出しをしていると、何者かに見られていることに気づき、「誰だ?」と呼びかけると、ハンナがフェンスの前から顔を出していました。それを見たザックはハンナの前で驚きます。ザックは家の敷地内に入ったハンナと言葉を交わしつつ、「そういや、今日学校にいなかったよね?」と質問すると、ハンナは「私、自宅学習なの。」と複雑な表情で答えます。ザックはハンナの父親の印象を話すと、ハンナは「ごめんね、この間。パパは基本、人嫌いなの。」と教えます。ザックはこの町のオススメスポットを教えてくれるよう頼むと、ハンナは「だったら気に入ってる場所がある。一緒に来て。」と言ってザックをオススメスポットへと案内しました。ザックはハンナのあとをついていきますが、ハンナが向かったのは森の中で、ザックはビビりながら森の中を歩きますが、傍にあった木の後ろからカラスが現れると、ザックは驚き、ハンナは「早く来てよ。弱虫くん。」と言って案内を続けます。そして、ハンナは森の奥に立ち止まり、戸惑うザックは「ここは一体どこなんだ?」と問いかけますが、ハンナが傍にあったレバーを引くと、アトラクションや木々に飾り付けられた電飾が明るく灯ります。森の中にあったのは廃墟と化した遊園地だったのです。ハンナはビビっているザックをよそにひとりで観覧車の鉄骨に登り始め、ザックは渋々ハンナのあとについていきました。やがて、登りきったハンナは観覧車のゴンドラの上に座り、ザックはビビりながらハンナの隣に座りました。ゴンドラの前にはマディソンの美しい景色が広がっていて、ハンナはこの景色を気に入っていました。ハンナがマディソンに来た理由をザックに聞くと、ザックは1年前の父親の死をきっかけにここに引っ越したのではないかと答えます。ザックは逆にこの町に住んでいる理由をハンナに聞きますが、ハンナは「私はママを知らないの。それに、引っ越しならしょっちゅうよ。」と父親から母親の存在を聞かされておらず、引っ越しを繰り返していると言います。ザックは内心ハンナに惹かれていました。しかし、ザックは真面目な顔で「どうやって降りるんだ?」とハンナに問いかけると、ハンナは「あなたには無理。ずっとここね。」とビビリのザックをからかいます。
なんとかハンナと共に家に戻ったザックは別れ際、「俺、火曜と木曜はゴミを出しに行くから、誰かを脅かしたくなったから、ここで待ってる。」とハンナに言いますが、家の庭にいたシヴァーズ氏はハンナを家の中に入るよう促すと、フェンスから顔を出し、「これが最後の警告だ。私たちに関わるな。出なきゃ酷い目に遭うぞ。」とザックに警告しました。
その後、ザックは自分の部屋で数学の勉強をしていましたが、隣家からハンナとシヴァーズ氏の話し声が聞こえてきました。どうやらハンナは自由な生活をさせてくれない父親に不満を持ち、父親と口論を繰り広げているようで、2階の窓際のカーテンに2人の影が映り込んでいました。やがて、父親は暴力を振るってるのか、ハンナの悲鳴と共に2階の電気が消え、その様子を見ていたザックは慌てて慌てて隣家に行こうとフェンスへと向かいますが、フェンスの隙間はハンナの父親によって角材で塞がれていました。ザックはゴミ箱の上に乗ってフェンスを飛び越えると、シヴァーズ家の自宅の扉をノックしました。しかし、ザックが「今の悲鳴は何だ?」と対応したハンナの父親に聞くと、ハンナの父親は知らないフリをしたうえ、「とっとと帰れ。さもないと自分が悲鳴をあげることになる。」と言ってザックを追い返します。仕方なくザックは家に戻り、ゲイルに事情を伝えると、隣家で揉め事が起きていると地元警察に通報しました。駆けつけたのは保安官のスティーヴンスと見習い保安官のブルックスで、4人はシヴァーズ家の自宅の玄関に向かうと、ふたりの保安官は家族間のいざこざで通報があったことを対応したハンナの父親に話しますが、シヴァーズ氏は「おかしいなぁ。ひとりで家にいましたけど、静かでしたよ。」とシラを切ります。ザックは「ハンナを出せ!俺は悲鳴を聞いたんだ!」と訴えますが、ハンナの父親は「確かに娘のハンナはここにいましたよ。でも母親が揉めててねぇ。新しい旦那と。昨日の朝、ロンドンに戻りました。」と嘘をつきます。しかし、玄関の奥からハンナと思われる若い女性の悲鳴が聞こえてきますが、シヴァーズ氏は4人を家にあがらせると、「サラウンドシステムです。音マニアが罪だとは初耳です。」と言ってハンナの悲鳴の正体はテレビの音声だと主張します。その言葉を聞いたブルックスは取り乱しますが、スティーヴンスは彼の主張に納得したうえ、ブルックスをなだめます。ゲイルはハンナの父親に挨拶すると、ゲイルとふたりの保安官はうっかり誤解していたことを謝りますが、ザックはシヴァーズ氏の表情を見て、2階の部屋に隠れていることに気づき、2階に行こうとしますが、ふたりの保安官に取り押さえられてしまいます。4人はシヴァーズ家の家をあとにすると、ザックは「奴の話を信じたの?」とゲイルに訴えかけますが、ゲイルは「いい加減にして!家に入って!」と息子を一喝しました。玄関でハンナの父親がザックを嘲笑います。
真夜中になり、ダンスパーティーの時間が近づいていました。ダンスパーティーに参加するゲイルはロレインを呼び出したうえ、ダンスパーティーで生徒の監視をしないといけなくなったため、外出禁止にさせているザックの面倒を見るよう頼み、ロレインは快くそれを引き受けます。暫くして、ザックは1階のダイニングでロレインの恋バナに付き合ってあげていましたが、ふと隣家に目をやると、ハンナと父親が再び2階の部屋で口論を繰り広げていました。それを知ったザックは月曜にテストがあると誤魔化し、保安官を装って電話でシヴァーズ氏を家から追い出したうえ、こっそり家から抜け出すと、チャンプをフェンスの前に呼び出します。ザックは隣家のハンナがイカれた父親に監禁されてると彼がダンスパーティーに行くと思っていたチャンプに話します。その直後、2人は連絡を受けたハンナの父親が車で外出する姿を目撃します。2人はハンナの父親が出かけている隙にフェンスを飛び越えると、ザックは裏口の扉の南京錠をピッキングでこじ開け、チャンプに裏口の前で見張りをするよう頼んだうえで地下室の中へと入ります。ザックがライトで辺りを照らしながら進むと、地下室の床には熊用の罠があり、大きな柱時計も置かれていました。すると何者かに肩を叩かれたザックは思わず後ろを振り返りますが、そこにいたのはビビって裏口の見張りをやめたチャンプでした。ザックは外で見張りをするよう求めますが、チャンプは「僕は生まれもっての怖がりなんだよ。4歳でブランコに乗ってて思った。死にたくないって。」と自分は怖がりだと説明します。仕方なくザックはチャンプを連れて地下室に進むことにし、1階に向かうと、ザックは2階から大きな物音がすることに気づきます。ザックは物音を頼りにチャンプを連れて2階の部屋に入ると、そこはハンナの父親が使う書斎らしく、部屋の奥には本棚がありました。どうやら物音を出しているのは本棚に並べられた本のようでした。チャンプが本棚の電気をつけると、本棚に並べられていた本はR・L・スタインという作家が書いた『グースバンプス』シリーズの原稿で、『グースバンプス』は『禁じられたまじない』や『腹話術人形スラッピー』など、毎話あらゆるモンスターが登場する子供向けのホラー小説でした。チャンプは保管された原稿の数々を見て興味を持ちます。興味を持たなかったザックはここから立ち去ろうとしますが、チャンプは『パサデナの雪男』という小説の原稿を見て興奮すると、本に鍵がかけられていることに気づき、呆れたザックは渋々チャンプに本を読ませようと机の上に保管されていた鍵を使って鍵を開けました。しかし、そこへ事態に気づいたハンナが現れ、ザックは家に入った理由を説明しますが、ハンナは2人を家から追い出そうとしました。チャンプがハンナをダンスパーティーに誘おうとするなか、ハンナは本の鍵を開けたことに気づき、ザックが本に手を伸ばしますが、『パサデナの雪男』を開けてしまいます。開いた本のページは発光して竜巻を巻き起こすと、タイプライターで打たれた文字は液状化し、やがて小説に出てきた雪男を実体化させました。雪男は天井の照明に顔をぶつけ、壁に飾られた鹿の剥製を見つめていました。ハンナは小声で「お願い、音を立てないで。」と戸惑う2人に注意しますが、チャンプが机にあった電気スタンドを落とした挙げ句、音に気づいた雪男を見て悲鳴をあげたため、雪男は本棚を壊し、外に飛び出してしまいます。ハンナは「パパに殺されちゃう。」と言って本を持って家を飛び出し、ザックは彼女を追いかけますが、あとを追っていたチャンプが「僕らの手には負えない。」と言って止めようとします。それでもザックは彼の制止を振り切ってハンナを追いかけ、チャンプも2人のあとを追いました。この時、3人は混乱に乗じて『腹話術人形スラッピー』の本の鍵が開いていることに気づいていませんでした。
ザックとチャンプはハンナを追って町のスケート場に行き着きました。中に入ると、スケートリンク隣のゲームセンターは荒らされていて、壁には雪男の爪跡が刻まれていました。スケートリンクに向かうと、ハンナはリンクの中央で雪男を待ち伏せしていました。何も知らない2人はハンナに話しかけますが、ハンナに静かにするよう言われます。するとその直後、リンクの中央に沢山のお菓子が落ちてきました。3人が上を見ると、天井からお菓子の自販機と共に雪男が現れ、雪男は自販機の上に乗ってスニッカーズを頬張ります。何も知らないザックとチャンプはハンナを連れて逃げ出しますが、ハンナは逃げる素振りを見せず、「やっつけたければ本に閉じ込めるしかないんだってば!近づかないと無理。」と言い、本を開けて雪男を閉じ込めようとします。しかし、本が開く音に気づいた雪男はハンナに迫り、彼女が持っていた本を振り払います。ハンナはゴールの前にある本を手に取ろうとしますが、雪男の妨害に遭い、彼女は「本を守って。」とザックに言い、ザックはスティックを投げたうえ、本をリンクの外へと滑らせます。するとチャンプは側にあった整氷車に乗り込むよう2人に促しますが、整氷車はカメのようにノロノロと走行するため、2人は乗るのを拒否します。2人は整氷車の後ろの隠れますが、すぐに見つかってしまい、チャンプが2人をリンクの外へと誘導させます。3人は出入口のガラス扉を閉めて避難することができ、雪男はガラス扉に当たって気絶しますが、意識を取り戻し、扉を破壊して3人に襲いかかろうとします。しかし、そこへハンナの父親がリンクに現れます。スタインは自らの能力で本を開き、雪男を本の中に閉じ込めると、「3人とも車に乗れ!」と切り気味に告げました。
その後、スタインは3人を車に乗せて町中を走っていました。スタインは文句を言いまくっていましたが、ザックはハンナの父親がR・L・スタインであることに気づき、ハンナの父親がとぼけだすと、ザックはスタインをディスり始め、挙げ句には「スティーヴン・キングにはなれない。」と言い出しますが、ハンナの父親は「言っとくが、スティーヴとは知ってる仲だ!彼の目標は何を隠そうこの私!売上も実力私が上!世間じゃ知られてないよな!」と激昂します。ハンナの父親がスタインだと知ったチャンプは喜んで記念写真を撮りたいと言い出し、勝手に彼と2ショット写真を撮りますが、スタインは嫌がり、チャンプが「ごめんなさい、インスタで自慢したくて。」と言うと、スタインは彼の携帯を外に投げ捨てました。
4人は家に戻ると、スタインはザックとチャンプに家に帰るよう促したうえ、荷物をまとめて引っ越しするとハンナに言い、家の中に戻っていきます。しかし、引き下がりたくないザックはチャンプを連れてスタインの自宅へと向かいました。怒ったスタインはハンナと再び口論を繰り広げたあと、物を投げつけますが、目の前にはザックとチャンプがいました。ザックが「あれは何だったんだ?」と事情を説明するよう求めると、スタインは渋々2人に事情を説明しました。スタインは幼い頃、アレルギーのせいで引き籠もりになり、近隣の子から石を投げつられるほどいじめられていました。そんな時、彼は空想上の友達を作り上げたうえ、悪魔やゾンビがいじめっ子を襲う物語を書くようになり、物語を作ることを無我夢中で楽しみます。しかしある日、物語上のモンスターが原稿から飛び出して実体化するようになり、彼は原稿から飛び出ないように厳重に保管していたのです。話を聞いた2人はアレルギー仲間として同情し、話すのを後悔したスタインはハンナを連れて書斎に向かいますが、『腹話術人形スラッピー』の本が開いてることに気づきます。ソファーには実体化したスラッピーがいました。スラッピーはスタインを弄んだうえで本の鍵を奪うと、スタインはスラッピーと会話している隙に『腹話術人形スラッピー』を取り返そうとしますが、彼がスラッピーを"人形"と呼んだせいで気を悪くしてしまい、本を奪われてしまいます。スラッピーは「スラッピーはもう二度と本棚には戻らない。」と言って原稿を燃やし、他の本を奪って彼らの前から消えました。スラッピーは実体化した呪いの車を運転すると、数冊の原稿を燃やしてスタインの自宅から立ち去ります。
ザックたちは家を出ようとしますが、玄関から鍵がかかっていて、スタインは台所から出るよう言いました。台所に向かうと、台所からノーム(小人)の群れが現れますが、ノームは敵意剥き出しで4人に襲いかかります。ザックたち3人は陶器でできたノームを次々と倒しますが、スタインはノームによってコンセントで拘束され、オーブンに入れられそうになります。ザックは2人と一緒にノームたちをオーブンに閉じ込めて倒し、スタインを救出させます。しかし、ノームは破壊されてもすぐに蘇り、4人はザックの提案で地下室から逃げ出します。4人は熊用の罠を避けて外に抜け出し、罠がノームを足止めしたものの、残りのノームが外に出ようとしてきたため、ザックが慌てて鍵をかけます。ザックが「なんでユニコーンとか出てくる楽しい話にしとかないんだよ?」と責めると、スタインは「そんなんだったら4億部も売れないだろ?」と答えます。しかし、4人は外で燃やされたスタインの原稿を見つけ、スタインはスラッピーが自分に復讐しようとしていると察します。
その頃、スラッピーは呪いの車を走らせながら本を開けてモンスターを解放させ、燃やした本を町中に投げ捨てていました。マディソンは実体化したモンスターによって大混乱に陥っていました。同じ頃、危機感がないスティーヴンスとブルックスが警察署で映画の話をしていると、停電と共にスラッピーが2人の前に現れます。警戒した2人は拳銃を構えますが、スラッピーはスティーヴンスから「人形」と呼ばれたからか、宇宙人を呼び出すと、宇宙人は光線銃で2人を凍らせました。その頃、玄関の物音を聞いたロレインが玄関の扉を開けると、白いトイプードルがいました。ロレインは迷子の犬だと思い、水を取りに行きますが、玄関に戻ると、トイプードルは宙に浮いていて、ロレインの前で狂暴化します。
一方、4人がスタインの車で町に向かうと、町は荒らされていて、住民は直立したまま凍らされていました。スタインはモンスターたちを止める方法がないと諦めていましたが、ザックは「空想が現実になるんなら、今度は本を戻す話を書けばいいんじゃない?」「1話でいい。1話で一気に捕まえよう。」と提案します。チャンプとハンナはその案に納得し、ザックはパソコンを取りに行こうとしますが、スタインは「タイプライターが要る。あの魔法のタイプライターを使ってなかったら、『グースバンプス』は生まれてない。」と言い出し、タイプライターがマディソン高校に寄贈されてることを3人に伝えます。同じ頃、マディソン高校の体育館では何も知らない生徒や教職員がダンスパーティーを楽しんでいました。体育館の外に出たゲイルは携帯の電波が繋がらないことに苛立ちますが、そこへゲイルに好意を抱いていたカー先生が現れ、背後から彼女を驚かせます。カーの携帯も電波が繋がらないとのことでした。
一方、車でマディソン高校に向かっていた4人も携帯の電波が繋がらないことを知り、スタインは携帯の基地局を破壊し、町を孤立させようとしていると3人に知らせます。そこへ透明人間が車体に現れ、車の中に手を突っ込み、後部座席にいたチャンプに襲いかかります。スタインは車の速度を上げ、透明人間を車から振り落としますが、車は巨大カマキリの足にぶつかってしまい、4人は思わず悲鳴をあげます。スタインは車をバックさせると、巨大カマキリから逃れようと来た道を逆走し、スーパーの駐車場へと逃げ込みますが、車を横転させてしまい、慌てて店内に避難しました。巨大カマキリがやって来ると、両手の鎌でスタインの車を破壊します。ハンナの提案で徒歩で近くの墓地を突っ切って学校に行くと決めますが、ハンナが夜中に町中を探検していたと知ったスタインは「外出禁止だ。」と厳しく叱りつけます。ザック2人をなだめさせると、ザックとハンナ、スタインとチャンプの2人はニ手に分かれます。
チャンプがスタインに言われて炭酸飲料を万引きしていた頃、ハンナは額を怪我していることを指摘しつつ、嬉しそうにザックをからかいます。しかし、イチャつく暇もなく、2人は精肉売場で狼男が冷凍された牛を口にしている様子を目にしました。スタインとチャンプは2人と合流しますが、チャンプが炭酸飲料を開けたせいで気づかれてしまい、4人は再びニ手に分かれて行動します。ザックたち3人は無事に合流しますが、スタインはモンスターが自分の体臭を知っているため、身を隠しても狼男に気づかれてしまいます。近くで隠れていたザックがチキンの形をした犬のおもちゃを投げ入れ、狼男がおもちゃに気を取られてる間に逃げるよう求めますが、匂いでバレてしまい、4人は狼男に追われます。なんとか店の従業員用通用口から外に出た4人は扉を閉めますが、狼男は扉を破壊すると、4人を裏口まで追い詰めます。4人が狼男に襲われそうになったその時、横から1台の車が突っ込み、轢かれた狼男はゴミ箱の中へと突き飛ばされます。車に乗っていたのは家にいたはずのロレインで、行く宛が無かったために職場であるスーパーの裏口に来たと言います。スタインとは初対面だったロレインは初めて彼と挨拶を交わし、ロレインに惚れていたスタインは彼女に礼を言います。ザックは保安官に知らせるために警察署に向かうようロレインに頼み、4人は先に進みます。
その後、ザックたちは高校に行こうと墓地を通っていました。チャンプはビビりながら歩いている際、スタインから名前の由来を聞かれ、父親は1992年のオリンピックの銅メダリスト、母親は陸上選手で、ディベート大会の世界チャンピオンだから両親にチャンピオンと名付けられたのだとスタインに教えます。その一方、ザックとハンナの間にいい雰囲気が流れていたものの、ハンナは身に着けていたパーカーのフードが天使の女性像の手に引っ掛かってしまい、驚きのあまり思わず悲鳴をあげます。ザックは彼女のフードを取り外すと、お互いに見つめ合い、キスをしようとしますが、2人のいる場所に月の光が差し込みます。月の光を浴びたハンナは青白く光りだし、体は半透明に透けていて、それを見たザックは驚きます。しかし、ザックが考えている暇もなく、ザックの足元から1体のゾンビが湧いて出てきました。実体化したゾンビが墓地に潜んでいたのです。4人はゾンビから逃げ出し、3人は鎖で閉ざされた墓地門を潜り抜けますが、ぽっちゃり体型のスタインは門に挟まってしまい、墓地の外にいたザックとハンナがスタインを引っ張ったことで、なんとか潜り抜けることができました。その頃、保安官がいると思ったロレインは警察署に向かいますが、警察署にはこの場所を乗っ取っていたスラッピーがいました。ロレインもスラッピーを"人形"と呼んでしまい、待ち伏せしていた宇宙人が光線銃で彼女を凍らせます。
一方、高校に着いたザックとスタイン、ハンナとチャンプはニ手に分かれて行動します。そこでザックはスタインを理科室に連れ込むと、「ハンナは知らないのか?この世のものじゃないってことを?」と作者であるスタインに問いかけます。ハンナはスタインにより生み出された空想上の存在だったのです。ザックは「信じてるんだぞ?彼女は自分が本当の人間だって思ってる。」と責めると、ザックは「彼女は呪われた孤独を癒やしてくれた。彼女は特別なんだ。私はあの子に自分は本物の人間だと思わせた。私にとっても人間なんだ。分かって貰えるとは思ってない。」と自分がモンスターとは違う特別な存在だと教えます。スタインは「あの子を失いたくない。独りになるのが怖いんだ。君ぐらいの時に人と関わるのをやめたから。」と話すと、彼が抱える孤独に理解を示したザックは「父さんが死んでから俺もそうだった。でもこのままじゃダメだ。お互いに明日も生きてたら…。」と自分と向き合い、やり直すよう言います。ハンナが2人を捜しにやって来ると、2人をタイプライターが寄贈されてる場所へと連れて行きます。スタインはタイプライターを手にすると、体育館に行って生徒たちに伝えるよう3人に伝えたうえ、ひとりでモンスターを本に閉じ込めるために講堂に向かいます。
一方、体育館では事態に気づいていない生徒や教職員たちが踊り続けていました。ハンナが音楽に乗せて踊る生徒たちに興味を示すなか、ザックたちは人混みをかけ分けてステージに向かいます。ザックは母親のゲイルと再会すると、玄関口にバリケードを作って守るようお願いしますが、聞き入れてくれず、その隙にチャンプがステージに立ち、DJブースのマイクを奪って喋りだしました。ザックもステージにあがり、緊張したチャンプはザックにマイクを渡すと、ザックは「この町はモンスターに占領された。町から出る道は全部塞がれていて、携帯の基地局も破壊された。俺らのこの町は外の世界から完全に孤立してる。」と訴えますが、皆信じようとはせず、お調子者の男子生徒が壁際に現れ、「ホントだ!怪物が来た!鼻クソほじってやがる!」と茶化し、皆を笑わせます。しかし、ボイド先生は外に巨大カマキリがいることを皆に知らせ、生徒のデイビッドソンが「面白くねぇぞ!」と野次を入れますが、巨大カマキリは体育館の壁を突き破ってボイド先生を連れ去り、一同は巨大カマキリを見て悲鳴をあげます。ようやく皆が信じたところで、ザックは「解決策はある。だが、俺一人じゃどうにもならない。」「さっきのモンスターは作家のR・L・スタインが生んだモンスターだ。奴には奴らを倒すために新しい物語を書いてる。」と皆に呼びかけます。スタインが執筆している間、ザックたちはモンスターの侵入を防ぐために皆で玄関口にバリケードを作ります。同じ頃、巨大カマキリの様子を見ていたスラッピーは「これで他の友人たちも招待しよう。」と言って側にいたノームの群れに鍵を渡し、残った本を開けて他のモンスターを実体化させていました。スラッピーは「我々は再会を果たした。記念すべき日を迎えたのだ。この喜びが永遠に続くよう。成すべきことは一つ。R・L・スタインをこの世から抹殺する!」と皆に呼びかけます。スラッピーは現実世界で自由を手にするためにスタインの抹殺を考えていて、雪男や狼男、ミイラ男、食虫植物などが高校に押し寄せてきました。
その後、雪男と実体化したロボットの群れによって高校の玄関口のバリケードは突破されてしまい、モンスターたちが一気になだれ込んできました。そんななか、テイラーは男友達のデイビッドソンと共に逃げていましたが、狼男に遭遇すると、デイビッドソンはテイラーを置いて逃げてしまい、狼男に襲われそうになります。その光景を目標したチャンプは背後から狼男に飛びかかると、銀歯で狼男の首筋に噛みつき、狼男はその場から逃げ去りました。チャンプに助けられたテイラーは彼に駆け寄ると、チャンプは10歳の時から銀歯だと教え、テイラーは助けてくれた礼としてチャンプにハグとキスをしました。
一方、スタインは講堂のステージで執筆を続けていましたが、そこへスラッピーが突然姿を現します。スラッピーは完全途中の原稿を読み上げると、スタインはタイプライターを奪われると思って手にしようとしますが、スラッピーは足でケースを蹴り上げ、彼の両手の指を挟ませました。ザックとハンナが講堂に駆けつけてスタインを手当てしますが、ギャリソン校長が放送室で「我々はモンスターに包囲された。用具室に避難しなさい。」というアナウンスをしました。食虫植物が校内を占拠しようとしていたのです。3人はタイプライターと完全途中の原稿を持って食虫植物から逃げますが、チャンプがテイラーを連れて3人と合流したその時、ハンナは月の光を浴びてしまいます。それでもザックは彼女が空想上の存在だと受け入れていました。やがて、ミイラ男やピエロなども彼らを追いかけ、一同は用具室の中に避難しました。生徒や教職員がパニックに陥るなか、スタインは「奴の狙いは私なんだ。私が囮になってバスに乗る。奴らを誘い出す隙に逃げろ。」と3人に言い出し、ハンナは自分も囮になると言いますが、スタインは「私一人でやる。」と言い、「私はずっと人嫌いだった。現実世界への怒りがこのような怪物を生み出してしまったんだ。だがもう乗り越えた。だからお前は悪くない。全て私のせいだ。」と語りかけます。しかし、ザックは用具室に爆発物があることを知り、別の方法があるとスタインに提案します。
マディソン高校の周辺で見張っていたスラッピーはスタインが運転しているとされる1台のスクールバスを見つけると、スタインを捕まえるよう高校にいた他のモンスターに指示を送りました。そのうち巨大カマキリがスクールバスを横転させ、雪男と狼男が車の中を覗き込みますが、車内にいたのは1体のマネキンと爆発物でした。ザックたち4人は爆発物を乗せたスクールバスを囮にし、誘い出している間に別のスクールバスで逃げていたのです。2人がバスの扉を開けると、スクールバスは爆発し、モンスターたちは一度消滅しました。別のスクールバスで様子を見ていた4人、用具室に隠れていたゲイルらは作戦が成功したために大喜びします。
ザックたちは廃墟と化した遊園地に向かうと、スタインの提案でビックリハウスに逃げ込みます。モンスターたちが4人を捜索している間、ザックは両手が使えないスタインの代わりにタイプライターで彼の言葉を聞きながら執筆に励みます。しかし、そこへ4人を見つけたスラッピーがビックリハウスの中に現れ、ザックたちは逃げようとしますが、スラッピーは「パパ、サヨナラもなしなんてひどいよ。俺から逃げられるとでも?自分自身から逃げるってことだぞ?俺たち親友同士だったのに?お前はこの俺を冷たく見捨てたんだ。紙玉の中にこの俺を閉じ込めて、鍵をかけて出られないようにした。そして何年も本棚に放置した。鍵はすぐ傍にあったのに使おうとはしなかった。」とスタインに語りかけます。それに対しスタインは「お前はこの世のものじゃない。物語を書いて現実から消してやる。」と中指を立てて言い返したものの、スラッピーは残しておいた本を1冊開け、4人はその場から逃げ出します。スラッピーが実体化させたのはスライムモンスターで、3人は観覧車の上に避難しようとします。スタインは「今、私の書いてる物語が現実になってる。この続きを書け、終わらせろ!」とザックに頼み、スライムモンスターに立ち向かいました。スタインはスライムに呑み込まれたものの、辛うじて顔を出して息をしていました。外にいたスラッピーは「本に閉じ込められた者の気持ちが分かるだろ?」と問いかけますが、スタインが本を持ってないことに気づきます。
ザックたちは観覧車のゴンドラに乗ると、ザックはタイプライターを開き、"モンスターたちに取り囲まれ、ザックが目を閉じたその瞬間、モンスターたちは紙とインクの世界へ呑み込まれたていった。"と執筆しますが、他のモンスターたちが続々と観覧車の下にやって来ます。ザックは"モンスターは次から次へと本の中に吸い込まれていった。二度と現れなかった。"と書き上げ、原稿を本にして閉じました。しかしその直後、巨大カマキリが観覧車にのしかかったことで観覧車は車軸が壊れてしまい、観覧車は下り坂へと転げ落ちていきます。ようやく観覧車が止まり、3人はゴンドラに降りると、ハンナは「それじゃあ、急ごう。怪物が全員揃う。」とザックに言いますが、ザックはハンナも本の中に戻ることに気づき、空想上の存在だと彼女本人に伝えようとします。しかし、ハンナは自分が何者であるかを知っていて、「何回16歳のお祝いをしてくれたと思う?このままじゃダメなの。さぁ、本を開けて、弱虫くん。」とザックに告げます。ザックは本を開けるのに躊躇いますが、ハンナは躊躇いなく本を開き、本は竜巻を巻き起こすと、モンスターたちを吸い込み始めました。雪男、狼男、ミイラ男、ノーム、ゾンビ、ピエロ、スライムモンスターなどが吸い込まれ、スタインはようやくスライムから解放されます。巨大カマキリも吸い込まれ、スラッピーはスタインに飛びかかりますが、スタインに振り払われ、本の中に吸い込まれていきます。しかし、ザックはハンナと離れたくないと青白く光る彼女を引き止めていました。ハンナは「大丈夫、いつもそばにいるから。でもダンスはしてみたかったな。」と励ましたうえ、ザックにキスをしました。彼女はザックから手を離し、本の中へと吸い込まれていきます。様子を見たチャンプが慌てて本を閉じたことで事態は終息し、ザックとスタインはチャンプの元に集まると、3人はハンナとの別れを惜しみました。
後日、マディソン高校は被害に遭ったものの、通常授業を再開させました。クーパー親子が学校に着くと、ゲイルはカウントダウンしようとしますが、ザックは「いいよ、お母さん。一緒に行こう。」と笑顔で言い、2人は仲良く学校に向かいます。同じ頃、スタインはロレインと親密な関係になり、彼を送っていたロレインが「何の匂い?」と尋ねると、スタインはパクチーの匂いだと答えます。ロレインはスタインに投げキッスをすると、職場に行くためにその場から立ち去ります。その後、スタインはザックとチャンプのいるクラスに向かいます。スタインは昆虫エイリアンに襲われ、重傷しているボイド先生の代理として国語の臨時教師に赴任するようで、「どんな物語も全て、大きく分けると3つのパートにまとめられます。まず"始まり"、そして"広がり"、最後に"捻り"。」と話を切り出します。
授業のあと、ザックとスタインが廊下を歩いていると、スタインは演劇の先生、ブラック先生に挨拶をしますが、ザックはブラック先生とまだ面識がないようでした。ザックはハンナと別れて寂しくないかとスタインに訊ねると、スタインは「1日だって思い出さない日はないよ。だが、いつだってここにいる。」と言って自分とザックの頭と胸を指差します。しかし、スタインは「そしてあっちにも。」と言って誰もいない廊下のほうを指差しますが、不思議に思ったザックが振り向くと、そこにはハンナがいました。スタインは「あのあともう1冊書き上げたんだよ。」と言ってハンナの本をザックに見せます。ザックはハンナと抱き合い、「こっちに戻ったの?」と聞くと、ハンナは「だってまだダンスしてないし。」と笑顔で答えます。スタインはその隙にハンナの本を燃やし、ゴミ箱に捨てます。
スタインはザックとハンナを見送ったあと、廊下を歩きますが、寄贈されたタイプライターの前を通りかかると、棚のほうからカタカタと音がすることに気づきます。彼がタイプライターを確認すると、タイプライターがひとりでに動いていて、原稿には『透明人間の復讐』というタイトルが書かれていました。透明人間は「僕を忘れてない?」と言って窓に手形をつけると、スタインは透明人間の存在を忘れていたことに気がつき、思わず悲鳴をあげました。
THE END
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感想
この映画は『名探偵ピカチュウ』『ガリバー旅行記』でお馴染みのロブ・レターマン監督によるジュブナイルもののファンタジー映画。本作のラストでカメオ出演しているR・L・スタインさん著作の児童向けホラー小説『グースバンプス』シリーズを1つの物語として実写映画化した作品です。
2017年当時、『未体験ゾーンの映画たち2017』で限定上映されていた作品で、次回作の『名探偵ピカチュウ』は観てたんだけど、『グースバンプス』は観ていなかったのでレンタルで鑑賞しました。結論から言うと、あとから考えると、物凄く物足りなさは残るんだけど、観てる間は気にならなかったのでなかなか面白かったです。正直言って、こんな大作がなんで『未体験ゾーンの映画たち2017』で限定上映されたのか、無茶苦茶もったいないです。
物語は表向きは明るい性格だが、父親の死をきっかけに心を閉ざしていたザックが隣家に住んでいるハンナに恋をしたが、ひょんなことからハンナの父親が書いた本を開けてしまったことで騒動に巻き込まれる様子が描かれています。
同名の原作小説は未見なんだけど、青春ジュブナイルものに恋愛ドラマやホラーの要素が織り込まれていて、序盤の前置きが長いと感じる人はいるかもしれないけど、全体的にテンポ感が良く、コメディー色が強いので娯楽映画としては非常に観やすかったです。割りと予算がかかっているからか、VFXのクオリティが高く、雪男の毛のモフモフ感はリアルで実在感があったし、ノーム(小人)の群れは陶器の材質を絶妙に表現されていて素晴らしいです。個人的にはこの映画を見て、VFXの再現度といい、ホラー表現といい、『名探偵ピカチュウ』の監督に抜擢された理由が分かったような気がしますね。
それに加えて、各登場人物、或いはモンスターたちが魅力的に描かれていたことでしょうか。特に登場人物のなかだとジャック・ブラック演じるR・L・スタインで、ぽっちゃり体型と黒縁メガネ姿なのでとろサーモン久保田に似てると思っちゃったんだけど、ジャック・ブラックさんのコメディ演技と相まって、ふてぶてしさがあるけどどこか憎めないキャラクターになっていましたね。或いはザックのクラスメイト、チャンプは明らかに場の空気を壊す行動を取ったりザックとハンナの役に立とうと思ったら裏目に出たりと他人から反感を買いそうな個性的なキャラクターなんだけど、後半でクラスメイトの女の子を助けたりと準主人公的な立ち位置として大活躍していくあたりは好感が持てました。
対するモンスターも魅力的で、雪男が天井の照明に頭をぶつけたりお菓子の自販機からスニッカーズとされるチョコ菓子を食べてるところはユーモアに溢れてたし、ちゃんとした名前があるんだろうけど、光線銃を持った宇宙人がスラッピーの指示でいちいち保安官やロレインを凍らせるところなんかは出番がそれだけしかないのに大きなインパクトを残してくれています。
一方で、ストーリーは人生経験上、他者を避けてきたホラー小説家のR・L・スタインが過去に負の感情で生み出したモンスターと対峙し、自分自身を変えるエピソードと父親の死を引きづっているザックが隣家に住むハンナに恋心を抱くエピソードの2つがメインとなっていて、ザックが父親の死を引きづっているあたりは『名探偵ピカチュウ』のティムの背景と少し似ていますね。正直、後者のザックのエピソードはザックの父親のことが重要な伏線にもなってないどころか、後半以降はザックとハンナの恋愛ドラマに振り切ってるので何のためにザックの背景を出してるのかよく分からなかったんだけど、ストーリー展開は良くも悪くも王道で、前者のスタインのエピソードは他者と関わっていく人生の豊かさを手に入れ、内面を成長させていくあたりは割りと良くできていたような印象を受けましたね。
ただ、この作品、『名探偵ピカチュウ』と同じように脚本は大いに難がある作品なんじゃないかと感じましたね。最大の問題点は前半で雪男、狼男、巨大カマキリとポスターに載ってるモンスターが大活躍する割りには後半で大きな爪跡を残してくれるモンスターが少なかったことでしょう。雪男や狼男、巨大カマキリが活躍するのは別にいいんだけど、せっかくスラッピーがモンスターを全員集合させたのに後半以降に出てきたモンスターは全く活躍しておらず、特にペニーワイズ風のピエロなんかは扉の前で窓越しに睨みつけるだけなので単なる記号的な扱いになってるし、かと言ってクライマックスはモンスターたちが集団で襲いかかる訳でもないので物凄く物足りなさを感じてしまいましたね。或いはラストでその後のザックとスタインの姿は多少描かれてはいたんだけど、ここはなくなくカットしちゃったのか、チャンプのその後を描いた描写は無くて、細かいところを見ると、チャンプはテイラーの右隣の席に座ってるから会話ぐらいはしてると思われるんだけど、彼のその後の描写がカットされてるとしたら蛇足でもいいから追加させてほしかったですね。
或いは、物語のテンポ感が重視されているからか、ストーリーが全体的に薄味になってましたね。後半以降はスタインが自分が負の感情で生み出したモンスターたちとの対峙、或いはザックが空想上の存在だったハンナと恋愛ドラマを深く掘り下げられてはいたので少なくともドラマ部分は濃かったんだけど、個人的には序盤でハンナがザックを廃墟と化した遊園地に連れて行くくだりは2人で観覧車に乗るだけでなく、ビックリハウスやメリーゴーラウンドで遊ぶ描写も入れておいたほうが後者の青春恋愛ドラマとしては深みが出ていたんじゃないかと思いました。
あとはラストの着地はよくよく考えると、非常に問題があると思いましたね。ラストではスタインがハンナの本を書いて燃やし、ハンナを実際に実在する人間にさせているんだけど、そもそも現実的なことを言えば、そんなことをすれば、ギャリソン校長やゲイルが何事も無かったのようにハンナがマディソン高校の女子生徒として受け入れてくれるのかを描いてくれないので非常にモヤモヤさせられるし、青春恋愛ドラマとしての視点で考えると、少なくともいい着地なんだろうけど、ザックが父親の死を乗り越えるカタルシスが欠けていて、主人公である彼の成長がぼんやりしているので根本的に納得しづらいです。だったらザックが父親の死を乗り越え、なおかつ空想上の存在だったハンナと別れるエピソードと気弱そうなチャンプが気になったテイラーをピンチから救い、距離を縮めていく小さなエピソードの2つを1つにまとめるか、もしくは敢えてハンナを復活させるのではなく、ザックがチャンプとテイラーと一緒に学校生活を過ごす描写にして彼自身の成長を提示させたことがほうが上手くまとまってたんじゃないかなと思いました。
ということで、脚本が良くないなぁと思うところはあるのですが、ぶっちゃけ金曜ロードショーや土曜プレミアムで地上波初放送されててもおかしくないレベルの大作映画でした。主要人物やモンスターがそれぞれ魅力的で、VFXのクオリティが高く、笑いどころはしっかり笑えるものとなっているので子供から大人まで楽しめる作品だと思います。是非ともレンタルや配信で鑑賞してみてください。