今回はストーリーは面白いのに脚本のせいか、
全体的に惜しいと感じてしまったカナダ映画を紹介します。


レベル16


主演:ケイティ・ダグラス


出演:セリーナ・マーティン/サラ・カニング/ピーター・アウターブリッジ


予告編




・あらすじ(ネタバレ)

寒々と照らされた蛍光灯の光、窓の無い無機質な廊下、そして壁に設置された警報ランプと監視カメラ、地下の寄宿学校に身寄りのない少女たちが暮らしていました。


レベル10

友達同士だったソフィアとヴィヴィアンが話をしていました。ソフィアが「新しい家で何をする?」と聞くと、ヴィヴィアンは「私が選ばれたらソフィアも一緒に連れていく。」と言いますが、ソフィアは「いい家族じゃないかも。」と心配します。それでもヴィヴィアンは「まさか、私が最初に選ばれるわ。」と自信を持って言いました。

洗顔の時間になり、レベル10の少女たちはタオルと石鹸を持って一人ずつ洗顔しました。洗面台の正面には監視カメラが付けられており、少女たちの様子を何者かが確認します。

そんななか、弱視だったソフィアは石鹸を床に落としてしまいます。ヴィヴィアンは彼女の石鹸を拾い、洗顔しようとしますが、順番が来てもカメラに映らなかったので罰を受けることになってしまいます。ヴィヴィアンは「本当のことを言って!」とソフィアに求めますが、ソフィアは黙秘し、守衛に連れて行かれます。





レベル15

寄宿学校は「女性の7つの美徳」として、従順・清潔・忍耐・謙遜・純潔・温厚・節度を掲げています。

現在、ヴィヴィアンは友達のエヴァと行動を共にしていました。レベル10でのあの時からなのか、彼女は学校での言いつけをしっかりと守り、寄宿学校での生活を過ごすようになっていました。

授業ではレベル15の生徒たちがブラウン管テレビに流れる映像を観て学んでいましたが、突然映像が乱れてしまいます。室長であるヴィヴィアンは皆に「終業のベルを待つ。」と言い、映像が戻ったことで授業が再開されます。

夜、ヴィヴィアンは寝室の二段ベッドで寝ていると、下にいるエヴァから同級生のグレタを監視するよう頼みまれますが、彼女はエヴァに寝るよう促しました。ヴィヴィアンはベッドの板を取り外すと、月日が確認できるよう毎日髪止めで板に線を引きました。


ある日、少女たちのもとに担任の教授が現れます。教授は彼女たち全員が当校の最終学年であるレベル16に進めると伝えたうえ、彼女たちに部屋分けを執り行いました。レベル16になると、少女たちは優しい家族に里子にもらわれていくと教えられており、彼女たちはそれを望んでいました。

ヴィヴィアン、エヴァ、同級生のリタはローズ・ホールというホールに行くことになり、上の階にあるその部屋に向かいました。ローズ・ホールにはクララやヘディといった面々が3人を歓迎するなか、フロアにいたソフィアがヴィヴィアンと再会します。しかし彼女は顔色を変えず、自分が室長になると名乗り上げます。

レベル16では一人ずつビタミン剤を飲む時間があり、洗面台の正面には監視カメラが付けられていました。生徒たちは疑うことなくそれを飲みますが、ヴィヴィアンはソフィアのことをまだ許さないでいました。

その後ヴィヴィアンとエヴァは2人揃って給食を食べていましたが、ヴィヴィアンはトイレに向かいます。その際、彼女はソフィアが他の部屋の施錠を確認したりカメラを覗いたりしているところを目撃します。

ヴィヴィアンがトイレを出ると、ソフィアは話をしようと彼女の前に立っていました。彼女はヴィヴィアンにレベル10での事件を詫びますが、ヴィヴィアンは「絶対に言わないで。私が『不潔』であることを。」と罵倒します。ソフィアが謝ろうとするもチャイムが鳴ったため、集会に集まります。




教授は「まもなく学校の後援者が養子を選びます。」と言い、生徒たちの前で純白のドレスを見せました。そのドレスを同級生のグレイスに配布し、他の生徒にもドレスを配布すると告げます。

ドレスの帯には英語で自分の名前が記されていましたが、文字を勉強していなかったのか、ヴィヴィアンは自分の名前を読むのが困難でした。彼女は「外に出たら澄んだ空気の中で月を見てみたい。」と期待します。就寝の時間になり、ヴィヴィアンたちが寝静まるなか、ソフィアは独りで起き、行動を開始します。

翌日、ソフィアは洗濯をしているヴィヴィアンに話しかけました。彼女はヴィヴィアンの秘密を守ると約束したうえ、「ビタミン剤は摂らないで。飲んだフリをして……」とヴィヴィアンに忠告します。そこへエヴァがヴィヴィアンに仕事を持ちかけようと訪ねて来ました。エヴァは「ソフィアって不潔?」と尋ねますが、機嫌を損ねたヴィヴィアンは「2度と言わないで。あなたは友達じゃない。ここには友達はいないから。」とエヴァを突き放しました。


薬を飲む時間になり、ヴィヴィアンはいつものように薬を口に入れました。しかし、ソフィアの話を信じていた彼女は薬をトイレに流します。その日の薬は青色のビタミン剤であり、彼女は従順を破ったことで泣きそうになります。




就寝の時間になり、ヴィヴィアンはエヴァに「おやすみなさい。」と言いましたが、エヴァは目覚めようとはしません。暫くして起きていたソフィアが「ビタミン剤のせいで誰も起きない。」と彼女に告げ、守衛が来るので寝たフリをするよう頼みます。

間もなくして教授と守衛ふたりが部屋に現れました。教授はオリヴィアと寝たフリをしていたヴィヴィアンを指名し、守衛が彼女たちを運びます。2人は上の階の別室の寝椅子に寝かされました。






その部屋に教授と1組の夫婦がやって来ました。教授は2人にオリヴィアとヴィヴィアンを紹介しますが、妻は部屋にあった鏡に映る自分を見続けていました。夫は「これは完璧だ。日光による損傷が全くない。」と2人の肌を見て言いました。夫婦は妻の希望でこの場所に来ていて、妻はオリヴィアを指名してからあとを去っていきました。夫は教授と一緒に別室で手続きを行います。


ヴィヴィアンがローズ・ホールに戻されると、教授たちはリタを別室に連れていきました。教授たちが寝室を去ると、ソフィアがヴィヴィアンに話を伺いました。ヴィヴィアンは別室で後援者が自分たちを買おうとしていたと報告します。ソフィアは彼女に脱出しようと提案しますが、彼女は教授から外は空気が汚れていると言われていたために受け入れませんでした。

ほどなくして、教授たちは寝たフリをしていたソフィアを別室に連れていきました。彼女がいない間、ヴィヴィアンは部屋を出ると、バレない向かいのランドリー室に身を隠しました。廊下にいた教授は何者かに携帯で通話をしていて、教授が廊下を出ると、彼女は階下に続く扉を開けますが、鍵がかかっているようでした。監視カメラは反応しておらず、監視している人物は部屋にはいません。




その後ソフィアが部屋に戻ってきましたが、部屋の鍵がしまったことで彼女は「チャンスを逃した。」とヴィヴィアンの前で呟きます。


翌朝、ヴィヴィアンはソフィアに話を伺うと、ソフィアはレベル13の時にビタミン剤をやめたようでヴィヴィアン以外にはこの事を話してないとのことでした。ヴィヴィアンは教授には何か理由があって自分たちにビタミン剤を与えたと考えるもソフィアは「酷いことをされても奴らに従うの?」と問いかけます。


その日、一部の生徒たちは一人ずつ学校の専属医ミロのもとを訪ねていました。ミロが診断するのはレベル16の少女だけであり、彼は診断中にヴィヴィアンに「ヴィヴィアンは私の好きな女優の名前なんだ。」と口にします。他のホールでは熱病が流行っているらしく、ヴィヴィアンはミロからワクチンを注射されます。

診断中、ヴィヴィアンはミロに背中の床擦れを
見せました。ミロは優しく接し、彼女の背中の傷口を手当てします。

その後、『動く絵の夜』(映画)の時間になり、生徒たちはテレビで白黒映画を視聴しました。リタ・エヴァ・ヘディは何度も同じ映画を観て覚えていたため、登場人物の台詞に合わせて口パクをしていました。

夜、エヴァたちが寝ている間、ヴィヴィアンは寝室の鍵が開いてたのは先日だけなのかをソフィアに尋ねると、ソフィアは鍵が開いてたのは先日だけだったと明かします。ソフィアは皆が寝ている間は他のホールの音を確認していて、この階にはローズ、リリー、デイジー、アイリスと全部で4部屋ありました。つまりヴィヴィアンたちが1日を過ごしたあと、今度はリリー・ールにいる生徒たちがこの階を利用し、また彼女たちが寝静まると、今度はデイジー・ホールの生徒たちがこの階を利用することになっていたのです。

ヴィヴィアンは誰も起きていない『闇の時間』に脱出しようと提言したうえ、先日カメラの前を通っても何も起きなかったとソフィアに伝えます。そして、彼女は階段に続く扉を開けるにはカードキーが必要だと話し、まだエヴァたちに口外しないよう求めました。


翌日、ヴィヴィアンはミロのもとを訪ねました。彼女は「私の名前の由来は有名な女優?」と尋ねると、ミロは彼女の笑顔がヴィヴィアン・リーという女優に似ていると応え、自分が映画を選んでいると明かします。

ヴィヴィアンは同じ映画しか見せないので別の作品を流すよう求めると、ミロはヴィヴィアン・リーの顔をなんとかテレビに流せるよう彼女に伝えます。


休み時間、生徒たちが遊んでいると、同級生のヴェロニカが突然苦しんでしまいます。熱病を移されたくないと嫌がるエヴァをよそにヴィヴィアンはヴェロニカを医務室に行かせました。ヴェロニカは無事でしたが、彼女の腕は赤く腫れていました。




ソフィアがヴィヴィアンの腕を確認すると、彼女の腕も赤く腫れていて、改めて彼女にエヴァたちに話すよう求めますが、ヴィヴィアンは「皆は信じてくれない。」と言います。ソフィアは守衛のアレックスが皆が寝静まっている間に皆の身体を触っていると打ち明けます。彼は教授の目を盗んでその行為を楽しんでいたのです。

授業に入り、生徒たちはテレビで『体の手入れと身だしなみ』という映像を観て学んでいましたが、肝心なところで映像が乱れてしまいます。その直後、テレビはヴィヴィアン・リーの映画が映し出され、ヴィヴィアンたちは笑みを浮かべます。





その後、ヴィヴィアンは診断を受けた際、ミロに授業での一幕でヴィヴィアン・リーを見た感想を嬉しそうに語りました。ミロがワクチンを打とうとしていると、ヴィヴィアンは注射後に体調不良を起こした子がいると言い熱病にかかった子は守衛に連れていかれると報告しました。しかし、ミロは反抗的な彼女の態度を見てビタミン剤の注射に変え、「君はやり直しが効く子だろ?」と問いかけます。ヴィヴィアンはビタミン剤の注射を受けましたが、注射後は授業を受けても休み時間になっても思考が上手く働かないようになっていました。





ソフィアはランドリー室でシーツの手入れをしていたヴィヴィアンに話しかけました。彼女は
頭が重いと訴えるヴィヴィアンに「すぐ治る。私は薬をやめて初めて頭が働くのを感じた。」と言います。ヴィヴィアンはカレンダー代わりに毎日ベッドの板に線をつけてると明かします。

ソフィアはヴィヴィアンに守衛が持ってるカードキーを奪おうと提案しますが、ヴィヴィアンが大声を出して嫌がったために部屋にいたエヴァとヘディが話を聞いていました。ヘディは密告するエヴァを説得しようとしますが、エヴァは「いい家族は規則に従う子を欲しがる。規則に従えば安全な環境が手に入る。」とヘディに言い聞かせ、教授に密告するのでした。

掃除をしていたヴィヴィアンとソフィアは守衛のアレックスを倒す計画を話し合っていましたが、教授から集合させられます。教授はヴィヴィアンを医務室の傍の小さな檻の前に連れていくと、「女性の美徳について考えて。」と彼女を檻の中に入れさせました。







教授は上の階にある応接室に行き、ミロと一緒に酒を飲みました。ミロは教授に上役から寄宿学校を続行する要求されたことを告げ、年齢を上げて12歳から始めるよう提言します。教授は反対するもミロは「仕方ない、彼らは危険なんだ。」と言い聞かせます。

ミロは「人工呼吸も栄養補給も大変だ。1日5時間起こして自力で手入れと食事をしないと。」と言うものの、教授は「授業の準備に時間をかけ過ぎよ。」と苦言します。教授がレベル16のヴィヴィアンを隔離したと報告すると、ミロは「あの子は特別な子なんだ。」と言います。

(恐らくミロを操っている人間は反社会的勢力のような組織が動いているっぽい?)




就寝の時間、ヴィヴィアンがいない間にソフィアは寝室に来る守衛のアレックスを倒そうと考えていました。アレックスが来ると、ソフィアは背後からロープで襲い掛かります。しかし、ソフィアはアレックスにランドリー室で追い詰められてしまいますが、彼女は側にあったアイロンでアレックスを殴ります。

その後ソフィアは檻にいたヴィヴィアンにカードキーで解放しようとしますが、警報が鳴ったことで危険を感じ、彼女を見捨ててしまいます。ヴィヴィアンは「また私を裏切るつもりなの?」と訴え、檻の中で泣きました。

あれから檻の中にいたヴィヴィアンは夢の中で10歳のソフィアに起こされ、目を覚ましました。その直後、彼女は教授に集会に連れていかれます。集会には守衛のアイヴァンとミロが生徒たちと一緒に立っていました。

教授はある生徒が不良行為を行ったとして、職員の大事なものを誰かに渡したと伝え、その生徒と手を組んでるのは誰かを名乗り出れば許すと提案しますが、ヴィヴィアンは名乗り出ません。そこへミロが前に出て、その生徒はソフィアであると発表すると、「家族として大事にしてきたのにこの仕打ちは何だ。もう時間切れのようだ。」と言いました。彼はアイヴァンにリタを別室に連れ込むよう命じると、カードキーが戻らない限りは1日1人ずつ罰を与えると宣言します。


寝室に戻ろうとしたヴィヴィアンが後ろを振り返ると、扉の前でミロが教授に薬を渡している姿を目撃します。その直後、教授は生徒たちに一人ずつ薬を手渡しして飲ませていきました。
当然、ヴィヴィアンは飲むフリをすることが出来ません。


就寝の時間になり、ヴィヴィアンは薬の効果で眠らないよう耐えていました。彼女はソフィアのベッドに行ってカードキーを探しますが、見つかりません。やがて探すのに夢中になったヴィヴィアンは髪止めを無くしてしまいますが、ベッドの板の隙間にカードキーが挟まっていることに気づきました。発見した彼女は「ありがとう、ソフィア…」と呟きます。

ヴィヴィアンはカードキーで寝室の扉を開けようとしますが、何故か開く気配がありません。彼女は深く悲しんでいましたが、カードキーで扉の蝶番のネジを外そうと試みます。結果、扉を外すことに成功したヴィヴィアンは寝室を出ると、睡魔に耐えつつも医務室に向かいます。




一方、上の階にいた教授は鏡に映る自分の肌を見ると、うなじを触りながら医務室に向かいました。医務室には誰もおらず、教授は机の引き出しにあったタブレット端末で自分の肌が誰のものなのかを調べます。

そこへヴィヴィアンがやって来たため、教授は注射器を引き出しに隠し、彼女に応対します。ヴィヴィアンはソフィアがどこにいるかを教授に問い詰めると、教授は注射器を突きつけながら「下にいる。彼女は無事よ。私は誰も傷つけたくないの。今夜ここを出ていくわ。」と話しました。教授は薬を注射してからソフィアに会わせると告げましたが、ヴィヴィアンは卓上電気スタンドで教授を殴り、注射器を刺すと、教授をロープで拘束します。

教授からカードキーを奪ったヴィヴィアンは階段に行くと、出入口の扉の窓に映る三日月を眺めました。彼女は一番下の階に行き、職員しか入れなかった部屋に踏み入れます。

部屋に入ると、守衛の目を潜り抜けながらソフィアを捜しました。その部屋はまるで監獄のような作りになっていて、生徒が入るための舎房が数部屋ほどありました。その舎房のなかにソフィアの姿がありました。


ヴィヴィアンはソフィアを助けると、直ぐにソフィアを抱き締めました。ソフィアは「来てくれた。」と涙を流し、ヴィヴィアンは「当たり前でしょ。友達だもの。」と言いました。舎房に出ると、2人は手術室のような部屋に入ります。

ヴィヴィアンがソフィアの拘束を解いたあと、彼女はビニールに被せられている3人の遺体が台に並べられていることに気づきます。ヴィヴィアンはリタがミロにより連れていかれたことをソフィアに報告し、中央にある遺体のビニールをめくりますが、そこには顔から首元の皮膚が剥ぎ取られているリタの遺体がありました。




ソフィアは顔の皮膚がないことに疑問に感じつつ、ヴィヴィアンは一刻も早く逃げようと持ちかけます。しかし、ソフィアはエヴァたちが奴等に殺されるのではないかと心配したうえ、エヴァたちを助けようと決心します。

その直前、ヴィヴィアンはカードキーをソフィアに渡し、ソフィアは逃げる前に出入口で待つよう彼女に頼むと「昔はあなたを裏切った。ここでの暮らしは私に恐怖を植えつけた。でももう怖くないから。」と言い、リリー・ホールに向かいます。

ソフィアは授業を受けていたリリー・ホールの生徒たちに授業が終わったと強引に告げると、同じレベルの生徒を全員起こすよう指示を出しました。


一方、出入口の前で待機していたヴィヴィアンは守衛の目を盗み、職員しか入れない階に入りました。なかには会議室のような場所があり、
そこにあったプロジェクターが点灯していました。ヴィヴィアンがプロジェクターに触れると、ミロと教授が画面に映し出されます。




「当クリニックは独自の美容技術を提供します。個室で適切なモデルを選択できるため顧客の特徴を際立たせる施術が可能です。大事な女性が若返りを考えていたら当院の美容技術をお勧めください。顔の若返りにより永遠に続く若さを手に入れることができます。当院では最先端の人工ゲノム療法を用いて提供された皮膚と顧客のDNAを適合させます。施術後の違和感もなく…」

2人の話を聞いたヴィヴィアンは「やめて!」と慟哭します。






その頃、レベル16の生徒全員を集めたソフィアは一緒に逃げようと持ちかけますが、皆は聞き入れてくれません。そこにヴィヴィアンが拘束された教授を連れてくると、「ここは学校ではない。牢屋でもない。飼育場よ。生徒は羊と同じよ。」と言い、後援者の目的は自分たちの肌だと明言します。エヴァが反論するもソフィアはリタが下の階で殺されたいたことを伝えます。

ヴィヴィアンは教授に殺された子のことを尋ねると、教授は「私は殺してない。」と否定しますが、ヴィヴィアンは「直接手を下してなくてもあなたが殺したのよ。何人の少女が殺されたの?」と問い詰めます。すると彼女は教授のうなじに縫い目があることに気づきました。驚くヴィヴィアンたちに教授はミロに利用されただけだと言います。




生徒全員は檻の中に教授を閉じ込めました。ヴィヴィアンは「女性の美徳についてよく考えてください。」と教授に不敵な笑みを浮かべます。




ヴィヴィアンはソフィアに下のレベルの子を解放するよう指示しますが、エヴァが先に出入口の扉を開けたことで警報が鳴ってしまいます。レベル16の生徒全員が逃げ惑うなか、守衛のアレックスが屋上でエヴァたちの様子を見守るソフィアとヴィヴィアンに襲いかかります。アレックスはメスでソフィアの右肩を刺し、首を絞めようとしますが、ヴィヴィアンがアレックスを屋上から突き落とします。

エヴァたちは外の空気が綺麗だと知り、ヴィヴィアンとソフィアは皆を連れて逃亡しますが、別の守衛が彼女たちを追い詰めます。やがて2人は逃げ遅れ、2人の前に銃を持った男性2人がやって来ます。

彼女たちが倉庫の中に立てこもり、追い詰める男性2人の前にミロが現れます。ミロは立て籠っているヴィヴィアンに学校に戻るよう促し、と説得しますが、ヴィヴィアンは学校の裏の顔を知っているうえ、「私を殺すつもりでしょ?私たちを監禁し、薬漬けにした。考える力を奪った。」と訴えます。説得は続き、ミロはヴィヴィアンだけを助けるうえ、彼女に残りの生徒の居場所を教えるよう求めました。しかしヴィヴィアンは怪我をしたソフィアを置いてはおけず、その要求を受け入れませんでした。

ミロは男性2人に強引に扉を開けるよう求めていると、ヴィヴィアンは「私の値段はいくら?この顔の価値は?」と問いかけました。ミロが「16年という月日をかけて注いだ顔だ。手放せないよ。」と答えたあと、彼女は泣きそうな顔でメスで顔を傷つけました。ミロが説得やめて振り返ると、険悪な顔をした男性2人がいました。怯えるミロは男性2人に連れていかれ、外には一発の銃声が響き渡ります。

(ミロが銃殺されたか?男性2人が銃殺されたのかは不明。)





翌朝、寝ている2人の前にロシア警察?が保護しにやって来ました。2人が倉庫から出ると、眩い朝日と小粒の雨が彼女たちを出迎えます。2人は手を繋ぎ、ヴィヴィアンはソフィアに優しく微笑みかけます。



THE END







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感想

この映画はダニスカ・エスターハジー監督が撮ったカナダ産のディストピア・スリラー。情報は少ないものの、数多くの映画祭に出品されております。

個人的に2019年の上半期にリリースされた劇場未公開映画のなかではかなり気になっていたスリラー映画で、当たり映画なんじゃないかなと期待大きめで観賞したのですが、可もなく不可もなくといった感じの作品でした。

内容は学校で少女たちが利用されるところは韓国映画『京城学校:消えた少女たち』に似てるし、こういうディストピア系の話だと『アイランド』に似ているような気はしました。ただ最初から寄宿学校にいる少女が秘密を知り、問題を解決するところでは『京城学校:消えた少女たち』と違うストーリーテリングになっていました。

全指定の映画なので暴力描写や性描写はかなりマイルドであり、後半は少しグロテスクな描写はあるものの、全体的に万人には観れる内容になっていました。要はヴィヴィアンとソフィアが再び友達になり、施設から脱出する様子をメインにやや芸術路線で描いています。

個人的にはこの映画の世界観が好きで、『グッドナイト・マミー』や『黒い箱のアリス』のようないかにも異質で奇妙な感じに惹かれました。冒頭部分で廊下であやとりをしたり一人ずつ洗顔する生徒の姿を観るだけでも満足でした。

オチは中盤から少し読めるようになっていて、物分かりが早い人には前半で老夫婦が生徒を買うシーンでオチが分かるかもしれません。例えが悪いかもしれませんが、よくよく考えると、生徒たちが人間により毛皮を剥ぎ取られて殺される動物たちを連想してしまい、1ミロたちによって16年間洗脳された末に白い素肌のために殺されるというのは非常に残酷であり、あのビタミン剤やワクチンを彼女たちに与える本当の理由が分かると結構怖いです。

ラストは冒頭でヴィヴィアンが言ってた満月の夜ではないけど、ヴィヴィアンとソフィアの2人が朝日に照らされて手を繋ぐ姿は感動的で余韻が残るものとなっていました。優しい家族に引き取られるのかどうかは分からないのですが、2人にとって一筋の希望を感じさせる救いのあるシーンでした。

キャスティングが良く、ヴィヴィアン役のケイティ・ダグラスも最初の冷徹で無愛想気な感じがハマっていいと思ったのですが、事実上の汚れ役だったエヴァ役のAlexs Whelanさんは非常に憎たらしい顔をしていて、観てていい意味で腹が立ちそうになりました。特に密告後、ヴィヴィアンが教授に連れていかれた様子を見た時の反応が印象深かったです。


ただそもそも元々レベル15ぐらいからヴィヴィアンと友達だったエヴァが悪役的な立ち位置で活躍していたのに最終的にクライマックスになるとエヴァではなく、同級生のグレイスの描写が目立つように描かれていたのはちょっと惜しいです。もちろんグレイスの描写も必要だったと思うのですが、せっかくエヴァがヴィヴィアンとソフィアの訴えを聞いて反論しようとしていたのだから彼女が外に出てどうなったかをきちんと提示したうえで彼女の心の変化を見せてほしかったですね。

加えてラストでは医師のミロがどのような去就を遂げたのかを描いてくれてないのも非常にモヤモヤが残りましたし、ラストシーンでの編集の仕方も納得できませんでした。ミロが運営する寄宿学校を裏で操っている人をはっきり明確にしないにしろ、ミロが仮に死んでないにしろ、責めてラストシーンの前に出た銃声がどのような経緯で出た音なのかを説明して欲しかったです。ラストシーンの2人の姿が良かっただけにとても惜しいです。

あとは後半でヴィヴィアンが寝室に出るシーンで扉の蝶番のネジをカードキーで外すというのはあまりにも無理がありました。恐らく監督はこれ以外に扉を開ける方法が思いつかなかったのかもしれませんが、いくらなんでもおかしいですね。

ということで内容に既視感はあったんだけど、カナダ映画のスリラー映画としては結構面白く、主人公2人の複雑な友情を通してどのように寄宿学校から脱出するのかを丁寧に描き出してはいたのは良かったです。しかし、所々説明が物足りない感じもあり、どうも惜しい作りになっていたスリラー映画になっていたのではないかと思っております。それでも個人的には嫌いになれなかった映画なので気になるかたは是非ともレンタルや配信で観てみてください。