損益分岐点
英語で書くと Break Even Point
日商2級レベル以上の勉強をした方はご存知でしょう。
工業簿記・原価計算のテキストによれば、
「損益分岐点の売上高とは、営業利益がゼロになる売上高であり、
最低目標の売上高といえる。これは次の式によって計算することができる
損益分岐点の売上高=固定費÷貢献利益率」
この詳細な内容の解説は割愛させていただきます。
簡単に言うと、売上が増えるにしたがって増える費用は変動費、
売上の多寡にかかわらず一定額発生するのが固定費。
最低でも、固定費分は回収できる売上高が
損益分岐点、という考え方です。
ところで、変動費と固定費はどのようにして区別するのか?
簿記のテキストには、高低点法だの最少自乗法だの出てきます。
制度としての原価計算で認められているのは、
費目別精査法だけ、などとも習いました。
しかし、いざ現実問題となると、この固変分解はそんなに
客観的にできるものではない、と思います。
給料・賃金は、現実的にも固定費でしょう。
減価償却もまあ固定費でしょう。
電気代は、季節的な変動要因もあるので準固定費なのか・・・?
ここでもう一度立ち止まって考えてみます。
正社員は基本給が定額です。
したがって固定費でいいでしょう。
しかし、時間給で働く非正規雇用の人たちの給料賃金は、
労働時間に比例して発生します。
生産調整で工場のラインを止めると激減します。
2008年のリーマンショック後に派遣切りの嵐が日本全国蔓延しました。
変動費の最たるもののように思います。
固変分解というのは、それほど教科書通りにはできない!
と私は考えています。
そうであるならば、原価計算だって教科書通りにはいかないのです。
経営者の方たちが見ている数字上の原価計算が正しい、
という保証はどこにもないのです。
経営者の方たちは、是非そういうことを頭の片隅に置いて、
表面的な数字を眺めて経営判断をするのではなく、
現場に足を運び、たまには一緒に汗を流して働き、
現場の意見に耳を傾けるべきだと思います。
そういう地道な努力をすることこそが、
本当の意味でも利益向上、売上増大につながっていくと思いますよ。
ここまで読んでいただきありがとうございました。