福島は安達太良山の山腹にある山小屋へ来た。11月以来半年ぶりの訪問だ。()
 
 
子どもの頃、到着して雨戸を開けた途端に、軒下にあった巣から黄色スズメバチの大群が襲いかかってきて、頭と腕と指を刺されてしまったことがあった。
 
 
以来、着いたらまず外回りを確認するようにしている。スズメバチに2度目に刺されると命に関わるらしいから、かなり真剣なチェックだ。
 
 
今回は幸い、まだ初夏だということもあってか、巣は見当たらなかった。
 
 
だが。
 

 

 

雨戸の人の胸くらいの高さのところに、黒い手形が2つ付いているのが、はっきりと見て取れた。

 

 

近づくと。

 

 

 
うわぁ! これ絶対、クマでしょ!?
 
 
昨冬ここに来た時にも、近隣でクマが出没して怪我人も出たという恐ろしい話を聞き、以来、旅行で都心を離れる時には熊鈴を常時身につけ、周囲の警戒を怠らないようにしている。
 
 
山小屋の場所は道のどん詰まり、一番近い農家も200mほど下ったところにあるので、鳥や虫の鳴き声、雨音や木々のさやぎよりほかには喧噪もなく、静寂そのもの。
 
 
しかし静寂は今、危険を孕んでいるのが現実だ。
 
 
やむを得ず、ラジオやテレビをつけて音を立て、夜には雨戸をしっかり立てて身を守るしかない。
 
 
さいわい、木々に囲まれて熱暑が和らげられているので、十分に換気をしてから閉め切れば、私が苦手なエアコンなどに頼らずに済む。
 
 
地元の人達とも話をしたが、このあたりは元々山林であって、戦後に引き揚げ者などが開拓した場所なのだから、本来は熊を含む動物たちの居場所だったわけで、人間の方が侵入者、仕方がないよ、ということなのだろう。
 
 
 
 
 
 
() 冬に来た時にも、冬眠しない熊が出没しているという話を聞いたので、初雪の写真を夢中になって撮っている間も、熊鈴は肌身離さず、「森のくまさん」を口笛で吹いたり歌ったりしていたものだ。