「電柱くん、おはよう。さわやかで気持ちの良い、正月の朝だね」

 

『しょうがつぅ〜? 関係ないね。俺はいつも、いつだって、仕事さ』
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『おまえはのんびりしてるかもしれんが、俺はしっかり働いてるんだぞ』
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「あ、こりゃ失礼しました。仕事でお忙しいところ、お邪魔して申し訳ない」





 



 



 



 


 

「いつもご苦労様です。我われ、君のお陰で快適に暮らしているんだよね」


 


 


 

 

「ふーん。じっくりよく見ると、君はなかなか凛々しいね?」


 


 

 

「いやぁ、それにしても気持ちいい朝だなぁ」

 

 

『むぅ。まあな』

 

「おぉ?、空の雲なんて、フワフワしてあったかい布団みたいじゃない?」

 

『ふんっ! ノンキなこと言いやがる。俺は寝てる暇なんか無いんだよ』

 

「そうだよなぁ。君は、いつもいつも、立ちっぱなし、さぞかし疲れてるんだろうなぁ。いや、呑気なこと言って、すまなかったね」

 

『うむ。いや、謝るこたぁない。わかってくれりゃあ、いいんだよ。』


 


 

 

『まあ俺だってさ、木石じゃあないんだ。空くらいは眺めることもある

 

(いや、あんた、立派に木石(☆)だがな。ふふふ)

 

「うん、そりゃそうだろうなぁ」

 

『今日なんか、柔らかそうな雲だな。うん、確かに、ちょ〜と横になりたい、って気もしてくるなぁ』

 

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「お疲れさん。ゆっくりおやすみよ。そして、これからも、この町をよろしくね。」




 


 

[お節介な脚注]
☆木石(ぼくせき)とは、文字通り木や石。そこから転じて、非情なもの、人間としての情を解さないもののたとえ。木竹とも。
(参考:コトバンク)