高齢者の死に関連する疾患として誤嚥性肺炎が挙げられます。
誤嚥性肺炎は食べ物が気道に入る事や睡眠中に唾液が気道に入って起こるとされています。
誤嚥性肺炎になり易い状態として口腔内の細菌の繁殖・口腔機能の低下(舌の筋力低下など)などが挙げられます。
また不良姿勢も関連している場合があります。
口腔機能の低下はオーラルフレイルと呼ばれています。
オーラルフレイルでは嚥下障害のため低栄養になり易く、それがフレイルを更に増悪させるという悪循環になりがちです。
オーラルフレイルに対して、口腔機能と不良姿勢の改善が重要と考えています。
今人生100年時代を迎えようとしています。
しかし、問題点も多く抱えています。
健康寿命を低下させる大きな要因として、寝たきりの原因疾患と認知症があります。
寝たきりの原因疾患は第1位脳卒中、第2位認知症、第3位老衰、第4位骨折・転倒、第5位関節疾患となっています。
最近は要介護の前段階であるフレイルという状態に注目されています。
フレイルの症状として、体重減少・疲労感・筋力低下・歩行速度低下などがあります。
また、フレイルは筋力低下が主体のサルコペニアと密接な関係があります。
更に老化や低栄養との関連も指摘されています。
フレイルの状態は正常と要介護の状態の中間に位置します。
フレイルから要介護・寝たきりになる場合もあれば、正常な状態に戻る場合もあります。
寝たきりの前段階であるフレイルの治療は今後益々重要になって来ると考えられます。
症状の多い患者さんをどう対処したら良いでしょうか?
2022年9月17日のメールマガジンで取り上げた時には1つの経穴で多くの効果をもたらすように治療するとお伝えしました。
今回は別の方法をお伝えします。
例えば、めまい・頭痛・気分が落ち込む・手がしびれるといった症状はすべて首のコリを改善することで軽減する可能性があります。
めまいは頚性めまい、頭痛は緊張型、手のしびれは胸郭出口症候群の場合効果が出ると思います。
この様に1つの身体症状が多くの症状の原因となっている状況を見つけることは重要です。
自律神経失調症は症状が多い疾患の一つですが。このような対処法で軽減する場合もあります。
こんな患者さんはいらっしゃいませんか?
うつ病というほど行動が抑制されておらず、気分の落ち込みもひどくない。
神経症性障害というほど強い不安や恐怖もない。
そして身体症状が結構多い。
この様な方につく病名は「自律神経失調症」が多いと思います。
「自律神経失調症」では自律神経の状態・体質傾向・精神状態・更年期障害などの問題がミックスされ、明確に1つの問題を指摘できない状態ともいえます。
したがって現代医学的に治療することは困難になっていると考えられます。
この様な状態の自律神経失調症に対して鍼灸は非常に優れたアプローチが出来ると考えています。
しかし、何となく症状に対して治療したり、何となく反応点に施術したりといったものでは対応できません。
まず自律神経の状態を調整します。
次に体質傾向の調整が必要です。
更に精神症状に対するアプローチも行います。
また更年期障害がある場合はその治療も行います。
したがって自律神経失調症の治療は「何となく、反応点に施術」といった行き当たりばったりの治療では良くならない一方、習得すると他院と差別化できるものになります。
鍼灸治療をすることにより、痛みが楽になったり、体調が良くなったりすることは患者さんにとってありがたいことだと思います。
更に鍼灸治療により薬を服用しなくても良くなり、副作用に悩まされることがなくなれば、もっと嬉しいのではないでしょうか。
その候補の疾患の1つが「頭痛」です。
慢性の頭痛の患者さんの中は頻繁に鎮痛薬服用している方もいらっしゃいます。
1ヶ月に10日以上(トリプタン系)~15日以上(NSAIDs)薬を服用している場合、薬剤使用過多による頭痛が起こっている可能性もあります。
また、そこまでではないけれども、常に胃の不調がある方も薬による副作用の可能性があります。
したがって鍼灸によって薬の量が減るだけでも喜ばれます。
前回のメルマガで肩こりの方に頭痛の治療を勧めることを提案しました。
更に鎮痛薬を減らせることも提案できると思います。
一般的な治療のパターンは患者さんから「○○の症状で治療をお願いします。」と言われて引き受けるというものだと思います。
しかし、それだけでは治療院の経営はうまくいきません。
また患者さん側にとっても、もっと体の状態が良くなる機会を失うことになります。
したがってこちらから「こういう治療も出来ます。」という提案をして行くことが重要だと思っております。
例えば首肩こりは非常に多い症状ですが、その中にかなりの割合で頭痛の患者さんが含まれています。
その時肩こりだけの治療をするのは「普通の鍼灸師」です。
ここで頭痛の治療を提案できるのが「差別化できる鍼灸師」です。
「差別化できる鍼灸師」を目指す方、すでに目指している方はこのまま読み進めて下さい。
3/19(日)に頭痛の鍼灸治療のセミナーを行います。
緊張型頭痛の局所治療を習得していきます。
直後効果・再現性のある治療ポイントをお伝えします。
詳細は以下をご覧下さい。
患者さんとは親しければ親しい方が良いと思いますか?
私はそうは思いません。
その理由の1つ目は緊張感がなくなるからです。
親し過ぎると「絶対に治さなければいけない。」という緊張感が薄れる傾向があります。
2つ目は甘えが出るためです。
治療効果が出なくても許される。
本来だったらもっと強く非難されるべき時にも見逃してもらえる。
3つ目は治療モードからお友達モードになってしまいがちなことです。
つい雑談ばかりしたりして肝腎の治療がおろそかになってしまうこともありがちです。
治療には程良い緊張感が必要です。
多少厳しい患者さんの方が実力アップ出来ます。
ですから家族・親戚・友人の治療は難しいのです。
もしそのような時にはあらかじめ親しい人の治療は難しいのだと思って臨んで下さい。
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*五枢会治療セミナー
再現性の高い治療・有効率の高い治療をマニュアル化し、治療セミナーを行なっています。
興味がある先生・学生の方は下のホームページをご覧になって下さい。
http://5su.muto-shinkyu.com/
以前のメールマガジンで治療の実力をアップするためには実際に治療することが最も重要と書きました。
更に加えると、「治療費を安くしない」ことも重要です。
良く治療費が2,000円未満であったり、鍼1本100円で治療しているという話を聞きます。
特に鍼灸整骨院で多いような気がします。
そのように安い治療費だと治療効果が出なくても「許してもらえる」のです。
治療費というより「鍼や艾の実費」、若しくは治療してもらったという「ご苦労さん代」という範疇に入ってしまいます。
ある程度の治療費を設定すると、「効果が出ないとまずい」という断崖絶壁に立たされることになります。
そのプレッシャーをバネに実力をつけていくのです。
ですから治療費は地方であっても最低4,000円以上にはした方が良いです。
しかしあまりにも高く設定し過ぎるとプレッシャーに押し潰される可能性があります。
その価格にあった価値を提供できないと、クレーム・ドロップアウトにつながります。
ご自分で納得のいく金額に設定してみて下さい。
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現在重症の疾患を幾つも併せ持つ患者さんを治療しています。
課題が多いものの、歩行障害が改善しているのでお伝えします。
◇脳性麻痺・頸部脊柱管狭窄症・腰部脊柱管狭窄症・小脳梗塞・側弯症を合併している症例
81才女性
1才の時に脳性麻痺に罹患し、それ以来手足の痙性麻痺・構音障害が続いています。
73才で小脳梗塞になり、失調歩行があります。
脳性麻痺により、側弯がひどい状態です。
その他股関節が硬い・扁平足・首下がりなども見られます。
主訴は腰痛・頚肩部痛・大腿部痛・歩行困難などです。
いったいどこから手をつけたら良いのか悩む症例です。
今まで色々なアプローチをしてきましたが、現在はとにかく脊柱のアライメントを改善し、側弯症を改善する治療を中心に行っています。
その他痛みの治療や股関節の可動域改善・扁平足・首下がりの治療も行っています。
側弯症は改善してきております。
歩幅は5cm程度が20cmまでになりました。
痛みは部位によりますが、軽減が見られています。
首下がりはまだ改善に至っていません。
この様な重篤で多症状の患者さんは治療方針を立てるのが難しく、評価も困難です。
歩幅・可動域などを測定や理学テストを行い、改善の目安としています。
弟さん夫婦がこの患者さんのケアをしているのですが、「とにかく車イスや寝たきりにならないで欲しい。」との要望です。
出来るだけ自立歩行が続けられるよう鍼灸治療を続けていただいています。
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今回は症例報告です。
50代女性
初診 2022年6月X日
元来便秘症で2-3日に1回の排便とのことでした。
10年前に乳癌の既往があります。
来院2週間前に腹痛・嘔吐・下痢・血便が出現して来院しました。
初診時に病院で検査をすることを勧めました。
鍼灸治療を6回継続した結果症状はほとんど消失しました。
その間に病院で検査をすることを何度も勧めましたが応じない状態でした。
6回治療後の8月に、「病院で検査をしていただかないとこれ以上鍼灸治療は出来ません。」と言うと来院しなくなりました。
その後の経過は通院中の妹さんから聞きました。
10月に腸閉塞になり、検査をしたところ、S字結腸癌(ステージⅡ)という診断が下ったとのことです。
腸管内にはかなり前の便がたまっていたとの事です。」
12月に腹腔鏡で手術をしたとのことです。
この症例を通して感じたことが2点あります。
1. 鍼灸治療で腸閉塞の症状を緩和することが出来る可能性がある。
そのために病気を見逃す可能性がある。
鍼灸治療で腹痛が軽減したからと言って器質的疾患がないとは言い切れない。
過去にも慢性腹痛の患者を長期間にわたって治療して結局原因が腸閉塞だった症例が報告されています。
2. ほとんど毎日排便があっても便が腸管内にたまっていることもある。
この症例以外に現在腸閉塞になりかかった患者さんを診ていますが、ほとんど毎日排便があったとのことです。
ある時ひどい腹痛が出現して検査をしたところ、かなり便が溜まっていたとのことです。
原因は近日中に検査する予定となっています。
別のケースでは腹部膨満感がひどく、検査したところ便がかなりたまっていたというものもあります。この方もほぼ毎日排便がありました。
脊柱管狭窄症がありました。
原因不明の腹痛には注意する必要があると痛感しています。
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