「サッカーには認知症のリスクがある」という研究報告が出されています。
これはサッカープレイヤー・ファンにとってはショッキングな内容です。

イギリスのNottingham大学のShima Espahbodi氏らはサッカーにおけるヘディングの頻度と将来の認知機能障害のリスクとの関連を研究しています。
イギリスの元プロサッカー選手468名を調査したところ、認知機能障害の有病率は、ヘディングの頻度が1試合当たり0~5回の群では9.78%、6~15回の群では14.78%、16回以上の群では15.20%と頻度が高くなるほどリスクが上昇しました。
ヘディングの回数が多いほど将来認知症になるリスクが高まるという事です。

頭部に繰り返し衝撃が加わり発症するのが慢性外傷性脳症です。
慢性外傷性脳症では脳にタウ蛋白が蓄積することが研究で明らかになっています。
サッカー以外ではボクシング・レスリング・アメリカンフットボール・柔道などでも起こるとされています。
したがって過去にこれらのスポーツの経歴が長く、繰り返し頭部に衝撃を受けたことがある場合は、認知症のリスクを考える必要があります。

また慢性外傷性脳症では認知症以外にパーキンソニズム・構音障害・抑うつ・易怒性・衝動性・慢性頭痛・平衡障害などの症状が出現する場合もあります。
認知症に対して現在βアミロイドを取り除くレカネマブが話題となっています。
鍼灸治療でもMCI(軽度認知障害)に対して効果的という印象を持っています。
薬にしても、鍼灸にしても、軽症の時(脳の血流低下はあるが、脳の萎縮は見られない状態)に対策をすれば効果を発揮できるのではないかと思っております。
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過敏性腸症候群というと腸の機能失調、自律神経の失調ととらえられてきました。
しかし最近は腸内細菌の要素がかなり大きな役割を果たしていることが分かってきています。

腸内細菌は約1000種類で、腸内には約100兆個も生息していることが知られています。
善玉菌では乳酸菌・ビフィズス菌、悪玉菌としてはウェルシュ菌、中間に属する菌ではバクテロイデス・大腸菌などが挙げられます。

加齢により悪玉菌のウェルシュ菌が増加することが明らかになっています。
腸の調子を整えるためには善玉菌を増やし、悪玉菌を減らすことが重要です。

そのために一般的には食事に気をつけるという事をしますが、鍼灸でも影響を与えることが可能なのか今後の課題だと思います。
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急性腰痛の中でもひどい状態―痛みが強い、動きが悪い、体位変換不能等―の鍼灸治療は難しい部類に入ると思います。

そのような急性腰痛において重要な3つのポイントをお伝えします。
1)局所治療は極力避ける。
 特に暖めたり、強くマッサージをしたりすると悪化する可能性大です。
2)病態を説明する。
なぜか患者さんは急性腰痛が1回で治ると思っていることが多く、病態によって予後が違うことが分かっていません。
筋肉の問題なのか、椎間関節に問題があるのか、椎間板に問題があるのかなどを説明します。
模型や図があると良いです。

3)50%の改善で良しとする。
50~80%改善出来れば大丈夫です。
更に良くしようと思って局所治療を増やしたりすると、悪化の原因となることがあります。

急性腰痛は、「焦らず、あわてず、無理をしない」気持ちで臨んでみて下さい。

 

急性腰痛の中でもいわゆるギックリ腰と言われる状態は、全く起き上がることも歩くことも出来ないというひどいもの、自発痛があるもの、わずかな動作で痛むものなど様々です。

これらをすべて筋・筋膜性腰痛と診断するのは誤りです。
急性腰痛の中には椎間関節型腰痛・腰椎椎間板ヘルニアが含まれています。

急性腰痛で来院した患者さんは痛みのために理学テストや筋力テストを行えないことが多いです。
その中でどのように病態をとらえるのかがポイントとなります。

疼痛部位・痛み出現の条件・筋緊張・脊柱アライメントなどのチェックにより確認していきます。

病態が異なると、治療法・予後も異なります。
したがって病態をとらえることは重要です。

患者さんにとって「手のしびれ」は非常に怖い症状の様です。
「脳の病気ではないでしょうか?」という質問を良く受けます。
脳の病気によるしびれの特徴を話し、脳よりも整形外科疾患(胸郭出口症候群・手根管症候群など)の方が多いという話をすると安心する方が多いです。

整形外科疾患による手のしびれはエントラップメントによるものが多いと思います。
持続的筋緊張・骨と靭帯で囲まれた部位の間隙が狭くなるなどの理由により神経が圧迫されることが原因です。
鍼灸治療で症状が改善できるかどうかは可逆性か非可逆性かどうかによります。
骨棘や靭帯の肥厚などは改善するのが難しい(非可逆性)ですが、筋緊張や圧迫が起こっている部位での浮腫の改善(可逆性)は可能です。
改善の余地があるところを見つけていくのがポイントとなります。

手のこわばりというと関節リウマチを疑います。
しかしほとんどの例では手指の変形性関節症によるものが多いです。
変形性関節症の場合手指の関節に変形があっても手関節には問題がないのに対し、関節リウマチでは手指だけではなく、手関節の痛み・可動域制限がある事が多いです。

手指の変形性関節症による手のこわばりに対しては手指の関節の血流を改善する治療が有効です。
ヘバーデン結節・ブシャール結節では関節の動きだけではなく、関節の腫れも軽減可能です。
 

腱鞘炎の治療として良く行われているのが腱上の取穴もしくは腱の延長線にある筋肉へのアプローチかと思います。
この方法で良くなる場合もありますが、さほど効果がない場合もあります。

私が注目していることは腱が通っている関節の動きです。
関節の動きが改善することにより、腱の動きも良くなり、腱鞘炎が改善していきます。

したがってヘバーデン結節・ブシャール結節も同時に改善する場合もあります。
改善というのは関節の動きと関節の腫脹の事です。

また、バネ指は治らないと思っている鍼灸師・患者さんがいらっしゃいますが、動きが良くなり、バネ現象がなくなります。
ただ、1-2回で良くはなりません。
しかし、整形外科で腱鞘を切開するより鍼灸治療をした方が良いと思っています。
 

超高齢化社会で問題となっている認知症について第2弾の報告です。
今回はアルツハイマー病の新薬レカネマブについてです。
アルツハイマー病では脳にアミロイドβが沈着し、それが神経細胞の破壊を招くと考えられています。
レカネマブはアミロイドβが塊を作る前段階、「プロトフィブリル」という集合体に人工的に作った抗体を結合させて取り除くという画期的なものになっています。

日本で50歳から90歳までの早期のアルツハイマー病1,795人に対して治験が行われ、半数にレカネマブ、残り半数にプラシーボの治療が行われました。
その結果レカネマブはプラシーボに対し27%悪化が抑えられたという事です。
また脳内にたまったアミロイドβの量も大幅に減少したとのことです。
この事により、早期のアルツハイマー病が重症になるのを2-3年遅らせることが出来るという事です。
この内容は2022年11月29日、アメリカの医学雑誌「ニュー・イングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」に発表されました。

アミロイドβは症状が出る20年以上も前から脳に蓄積し、神経細胞の死滅は発症の10年以上前から始まっているとのことです。
したがってレカネマブは発症前に投与すべきだということです。
副作用としては、脳の出血・脳内の浮腫・めまい・頭痛などで、17.3%の人で脳の出血が、12.6%の人で脳の浮腫が報告されています。
費用は現在治療が行われているアメリカでは350万円位です。
日本では近日中に実用化される予定で金額は未定ですが、アメリカと同等かもしれません。

超高齢化社会で問題となっている認知症。
認知症の前段階のMCI(軽度認知障害)は、その時に対策をすれば正常に戻り、対策を怠ると認知症になるというグレーゾーンの状態です。
海馬に萎縮が見られたり、体験全体を忘れてしまうのが認知症に対し、海馬の萎縮が見られず、体験の一部を忘れてしまうのがMCIとされています。

MCIと年齢相応の物忘れとの違いを鑑別するのが難しいと思っていたところ、MCIのスクリーニング検査というものがある事が分かりました。
アルツハイマー型認知症では脳にアミロイドβが沈着することが分かっています。
認知症ではアミロイドβの排除や毒性を弱める3つのタンパク質(アポリポタンパク、トランスサイレチン、補体タンパク質)が減少していることも明らかになっています。
したがって3つのタンパク質を調べることで、MCIかどうかがわかるということです。

鍼灸治療でどこまで認知症の改善に貢献できるかは未知数ですが、客観的な検査を行うことで改善度が分かるというのは心強いと思っております。
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今回は我々の健康と密接な関連のある腸内細菌がテーマです。
腸内細菌は約1,000種類あり腸内には100兆個住み着いているとされています。
ある疾患では特定の腸内細菌が多かったり、別の腸内細菌が少なくなっていたりするという事です。

大腸癌と関連している腸内細菌としては京都府立大学教授の内藤裕二先生によるとフソバクテリウムというものだそうです。
認知機能の低下と関連している腸内細菌としては、国立長寿医療研究センターの研究があります。
バクテロイデスという腸内細菌や、腸内細菌がつくる乳酸が少ないほど認知機能が低下している傾向にあるとのことです。
長寿と腸内細菌の関連としては、京都府京丹後市の研究があります。
京丹後市は100歳以上の人の割合が全国平均の3倍以上の地域です。
京丹後市の高齢者の腸内細菌では酪酸菌の割合が高いことが分かっています。

腸内の善玉菌の割合を増やす方法には、大きく分けて二通りあります。
1つめは生きた善玉菌である「プロバイオティクス」を直接摂取する方法です。
ヨーグルト・乳酸菌飲料・納豆・漬物など、ビフィズス菌や乳酸菌を含むものです。
2つめは、腸内にもともと存在する善玉菌を増やす作用のある「プレバイオティクス」を摂取する方法です。
食品成分としてはオリゴ糖や食物繊維で、これらの成分は野菜類・果物類・豆類などに多く含まれています。

鍼灸の効果を高めるために、腸内細菌を整えることも治療の一環として考えても良いのではないでしょうか。