前にも書いたとおり、資産除去債務はたいしたもんではない。
だが、有害物質だけではなくて、理論的に厳密に考えて、
「賃借契約で原状回復が契約で要求されているもの」まで入れちゃってる。
どっちにしろ、そんなもん見積もり不能だから関係ないんだけど、注記がいる。
ところがなんとも感動的なことに、見積もり不能の注記事例を書いてくれている。
実務的には大変ありがたい。謝意を表し、全文ここに書き写しておく。


[設例8]


当社は、本社オフィスの不動産賃借契約に基づき、
オフィスの退去時における原状回復に係る債務を有しているが、
当該債務に関連する賃借資産の使用期間が明確でなく、
将来本社を移転する予定もないことから、
資産除去債務を合理的に見積もることができない。
そのため、当該債務に見合う資産除去債務を計上していない。


拍手。

減損基準を読んでたら意外と忘れていることがあったので、備忘記録。


1.休止固定資産の減価償却費は営業外費用。
  遊休資産も減損後、減価償却を行い、営業外費用として処理する。
  (基本だけどなんか忘れてた。)


2.遊休資産について、
  「現在の遊休状態が、資産をほとんど利用しなくなってから
   間もない場合であって、将来の用途を定めるために必要と
   考えられる期間にある場合には、減損の兆候に該当しない」
  指針85。


3.減損の兆候の把握には、営業活動から生ずる損益が適切。
  営業キャッシュ・フローはあまりオススメではないらしい。
  営業CFだけを用いている場合には使用可能というニュアンス。


減損基準は、全体的にカタくて読みにくいなあ。

開示例を見ていると、なかなかうっとおしそう金融商品の時価開示。
「現金及び預金」とか「受取手形及び売掛金」とか書いているが、
やはりメインは有価証券とデリバティブだろう。


【有価証券】


よくわかっていないのだが、気になっているのは、
『時価のない有価証券については実質価額を注記するのか?』ということ。
ややこしいので整理する。


時価には2種類ある。
「市場価格に基づく価額」と「合理的に算定された価額」である。
          ↓
さて、ここで「実質価額」は時価に該当するのか否かが問題となる。
          ↓
時価を把握することが極めて困難な株式については、
「実質価額」が著しく下落したときには減損を行う必要がある。
          ↓
「実質価額」は時価のない有価証券の評価に使用するものである。
ということは、「実質価額」は時価に該当しないと考えられているようである。
よって、金融商品の時価開示の対象からは外れるのでは?


以上、私見です。まだちゃんと調べてないですが。



【デリバティブ】


こっちは明快。


①ヘッジ対象のデリバティブと、
②特例処理の金利スワップと、
③振当処理の為替予約、


の時価を開示せなあかん、ということだけ。

細かいところを見ているとマクロの視点を見失う。
連結納税を鳥瞰する意味で、メリット・デメリットのまとめ。


【メリット】
①グループ内での赤字と黒字を相殺できる。節税効果大。
②上記に伴い、繰越欠損金の期限切れが起こりにくい。


【デメリット】
①連結納税適用前の子会社の繰越欠損金を引き継げない!!
②中小法人の軽減税率を適用できない。


他にも色々あるが、細かいのでパス。

工事契約に関する会計基準について。


世界の流れが完成基準に向かう中での全面進行基準適用。
会計方針の変更に注記が必要なのは言うまでもないが、
建設業などの場合、多くが重要なレベルの変更になるだろうから、
監査報告書の追記情報に記載しなければならないので要注意。


去年、早期適用している会社があるのだが、
新日本のHPが何ともありがたいのでリンクを貼っておきます。


http://www.shinnihon.or.jp/knowledge/account_co/account/opinion/12/story/01.html


これの平成22年度版は要注目ですな。

ずっと前に書いた補修所の講義のまとめ。


ポイントは主に5つ。

1、インコタームズ(Incoterms)とは。
国際商業会議所が制定した国際取引のルール。
国によって商取引の法や慣行が異なるなか、異国間取引においては
双方が自国の法・慣習に基づいて取引を行えば齟齬が生じ、問題となる。
そこで、一国の法・慣習を超えた世界ルールを作り、国際取引においては
これにならうように取り決めた。
すなわち、かようなルールが制定されたのは交通手段・移送手段の発達による
国際化の流れの、ごく自然な成り行きから。
ただし、初めて制定されたのが1936年であることには多少驚き、それから妙に納得した。

2、インコタームズの基本ルール。
取引を行うに際しては、以下の5つの条件を必ず決める。
①品質条件
②価格条件
③数量条件
④受渡条件
⑤決済条件
遠隔地間取引では意思疎通が困難、取引対象物を直接確認できない、運送費用が膨大になる、運送リスクが高くそれゆえ保険をしばしば利用する、多国間取引なので通貨が異なる、などの様々な問題が生じるため上記の条件をがちっと決めてしまって取引の円滑化を図っているのである。

3、FOB、CFR、CIFとは。
それぞれ、以下の略語。
FOB(Free On Board)
CFR(Cost and Freight)
CIF(Cost,Insurance and Freight)
価格条件の決定の際に、運送費および保険料を負担するのが
輸入者か、輸出者か、の契約。
FOBでは輸入者が運送費および保険料を負担。
CFRでは輸入者が保険料のみ負担。
CIFでは輸入者はどちらもふたんしない。

4、輸入金融について。
貿易においてはあまり知らない取引先と取引を行うことが多く、
信用取引(掛取引)を行うことが困難。
かといって現金取引を行うのは輸入者にとっては難しく、
できれば仕入れた商品を売った金で支払を行いたい。
このような要望から生まれたのが支払猶予(ユーザンス)制度であり、
銀行をはさんだりいろいろな方法で支払猶予期間を獲得できる仕組みになっている。

5、クレームの処理。
貿易においてはやはり「間違い」が起こってしまい、品質不良・品質相違、破損、契約不履行など、様々なリスクがある。これに対し輸入者がクレームを提起した場合の会計処理は、ひとまず仕入れを取り消して未決算勘定をたて、保険会社に請求し、保険金が下りた場合に現金計上とともに未決算勘定を取り消す。

6、貿易取引の会計。
輸出売上の計上基準は原則的には出荷基準であり、すなわち輸出取引においては「船積時」ということになる。あるいは、船積み時を表す船荷証券発行日(B/L Date)を使う。
外貨換算は法人税法上はTTM(仲値)を使う。

とりあえず以上。

ヘッジ会計の用件は以下の通り(金融商品に関する会計基準31)。


1、ヘッジ取引が企業のリスク管理方針にしたがったものであることが、
  ①文書により確認できるか、②内部規定に従って処理されるか、
  によって客観的に認められること。(事前テスト)
2、ヘッジ対象とヘッジ手段の損益が高い程度で相殺される状態 or
  キャッシュフローが固定される状態が引き続き認められることによって、
  ヘッジ手段の効果が定期的に確認されていること。(事後テスト)


事前テストの時点でひっかかる場合は話にならないが、
ヘッジは規模の小さい会社でもやっていたりするから、
リスク管理方針があるかどうか、注意は必要だろう。


問題は事後テストの理屈付け。実務指針146~より。
決算日には必ず、少なくとも6ヶ月に一回程度、
ヘッジ有効性の評価を行うとされている(定期健診みたいなもん)。


ヘッジ有効性の評価方法についてはは実務指針155~より。
ヘッジ対象の変動累計とヘッジ手段の変動累計とを比較して、
両者の変動額の比率がおおむね80%~125%の範囲内にあればOK。
カタクルシイ文章でわかりにくいが、要するにヘッジとは、
『あるものの動きと釣り合いをとるための逆の動き』であって、
それが『ちゃんと逆に動けていないと、釣り合いなんてとれない』。
この場合の『ちゃんと』は大体80%~125%だろうと、そういうこと。


ただし、この有効性の評価は省略できる場合がある。実務指針158より。
一般的にヘッジ手段とヘッジ対象の資産・負債又は予定取引に関する
重要な条件が同一である場合には、ヘッジ開始時及びその後も継続して、
相場変動又はキャッシュ・フロー変動を完全に相殺するものと想定することができる。
わりと省略できる場合は多いと思われるので、
その判定さえちゃんとやっておけばあとがラクチン。


余談。
繰延ヘッジ損益には『必ず』繰延税金負債を見なくちゃいけない。
普通なら忘れるわけはないが、④になってしまった会社などで、
繰延税金資産を取り崩した会社の場合は忘れる危険がある。
(税資産がなくなったのだから税負債もなくなるという思い込み)
ないとは思うけど、一応、注意が必要だろう。

経団連の計算書類のひな型が、どうも妙である。
以下、ヘンな部分を引用。


(3)棚卸資産の評価基準及び評価方法
製品、原材料、仕掛品・・・移動平均法による原価法
(貸借対照表価額は収益性の低下による簿価切下げの方法により算定)
貯蔵品・・・最終仕入原価法


????????
貯蔵品には、

(貸借対照表価額は収益性の低下による簿価切下げの方法により算定)
はいらないのか??


企業会計基準第9号「棚卸資産の評価に関する会計基準」には、
・すべての企業における棚卸資産に本会計基準を適用する、
・従来から棚卸資産に含められてきた販売活動及び一般管理活動

 において短期間に消費される事務用消耗品等も棚卸資産に含めている、
とあることから、貯蔵品も明らかに低価法の対象となる。


ということで、やはり経団連のひな型は間違っていると思われる。
もしくは、丁寧でない表現と言ったほうがいいだろうか。
何か理由があってあえて消しているのだろうか。
どうも妙である。

何かと話題の資産除去債務。
実はたいしたことはない。
これに該当するようなもんはほとんどないのだから。


企業会計基準第18号 資産除去債務に関する会計基準より。
「資産除去債務」とは、(中略)有形固定資産の除去に関して
法令又は契約で要求される法律上の義務及びそれに準ずるものをいう。


結論の背景には以下のような記述がある。
本会計基準における法律上の義務に準ずるものとは、
債務の履行を免れることがほぼ不可能な義務を指し、
法令又は契約で要求される法律上の義務とほぼ同等の
不可避的な義務が該当する。
具体的には、法律上の解釈により当事者間での清算が
要請される債務に加え、過去の判例や行政当局の通達等のうち、
法律上の義務とほぼ同等の不可避的な支出が義務付けられるものが

該当すると考えられる。


要するに、資産除去債務の対象は、有害物質などの除去費用に限られる。
だが、これは新しいものでもなんでもなく、
結論の背景にあるように原発などはこれまでも解体引当金を積んでいたし、
一般事業会社でもPCB処理にかかる引当金は積んでいた。
原則は変わらない。当たり前の処理である。
当たり前の処理を明確にしただけ、という解釈でよいだろう。

今更ながら、というはなしだが、
リース取引には不動産賃貸借契約も含まれる。
「建物」と「土地」を賃借している場合は、これが
ファイナンス・リースに該当するかを考慮する必要がある。


「建物」の場合は判定基準はまるきり同じ。
ノンキャンセラブル+フルペイアウト、である。


が、「土地」の場合は用件が緩くなっている。
(土地には耐用年数がないためと思われる)
すなわち、
 ①借手に所有権が移転する条項が含まれている、
 ②借手に割安購入選択権が与えられている、
という2つの場合である。


要するに、実質的に借手の資産と思われるものは、
ちゃんと資産としてBSに計上しろ、という、
それだけの当たり前の話。