ざっくりタックス・ヘイブン。


1、
特定外国子会社等の留保所得のうち、
保有割合部分を収益とみなして益金に算入する制度。
低税率国で所得留保されたら税金とれないから。


2、
タックス・ヘイブンの要件。
 ①親会社(当社)が5%以上保有。
 ②外国子会社の資本の50%超が、日本の法人などに保有されている。
  (→租税回避を意図しているとみなされる。)
 ③タックス・ヘイブン国(低税率国=税率25%以下の国)
 ④ペーパーカンパニー


3、
益金算入額の計算。
『適用対象金額 × 保有割合(%)= 課税対象金額』
   ↑
 適用対象金額 = 基準所得 - 7年内繰欠 - 納期到来外国法人税額


4、
直接税額控除 ⇒ 二重課税部分を税額控除。

ざっくり過少資本税制。


1、
資本が小さく負債が大きい会社は、
支払利子を損金算入して不当に税負担が軽くなる。
親会社が外国会社の場合、受取利子に課税できないため、
国としてはこの分だけ税金を取り損ねることになる。
よって、過少資本会社に対しては一部支払利子を損金不算入とした。


2、
過少資本会社の判定。
 ①外国親会社に対する負債が、外国親会社の持分資本の3倍を超える。 
     かつ、
 ②総負債が総資本の3倍を超える。
ような会社。


3、
損金不算入額の計算。
支払利子のうち、通常でないと考えられる範囲のもの(=3倍を超えたもの)を損金不算入。

ざっくり移転価格税制。


1、
適正な取引価格(=独立企業間価格)と実際の取引価格に差がある場合、加算。


2、
国外関連者とは、外国法人で、
 ①親子会社
 ②兄弟会社
 ③実質支配会社
であるもの。


3、
加算は3パターン。
 ①低額譲渡
 ②高価買入(実現)
 ③高価買入(未実現)


4、
国外関連者への寄付金は、全額損金不算入。

退職給付制度の移行についてのまとめ。


ポイントは、「退職給付制度が終了したとみなすか否か」だけ。


終了したとみなすなら、終了の時点ですべて特別損益計上。
すべてというのは、退職給付債務と支払額の差額、未認識項目のこと。
①引当額と、②遅延認識を予定していた金額を損益計上しなければならない。


ここでの問題は、どのような事象を「終了」とするかだ。


(1)退職給付制度が廃止される場合、

    ①退職金規定の廃止、
    ②厚生年金基金の解散、
    ③税制適格退職年金制度の全部解除、

(2)退職給付制度間の移行又は制度の改訂により退職給付債務が
   その減少分相当額の支払等を伴って減少する場合、

    ①年金資産からの支給又は分配、
    ②事業主からの支払又は現金拠出額の確定、
    ③確定拠出年金制度への資産の移換


その他の注意事項。
■確定給付型→確定給付型の場合、原則として終了とはみなさない。
■大量退職は一部終了に該当する。



まあ、これから起きることはほとんど「終了」のパターンでしょう。
未認識項目も含めて、特別損益処理が原則だということだけは覚えておく必要がある。

消費税の免税について。


Q1.
基準期間における課税売上高が1,000万円以下なら、
免税事業者となって消費税が免税になる。
それでは、設立第1期・第2期の場合、
基準期間が存在しないが、どう扱えばよいか?


A1.
新設法人については、設立第1期・第2期ともに、
基準期間が存在しなくても、納税義務は免除されない。
答えは、免税不可。


Q2.
次に、会計処理のはなし。
免税事業者が「税抜方式」を採用することは可能か?


A2.
実は、可能。
消費税がかからないんだから「税抜」も何もない気がするが、
会計上、消費税がかかったように扱って税抜処理できる。
この場合、未収消費税と仮払消費税の差額を、
営業外収益(費用)として計上することになると思われる。
考え方としては、以下のイメージでよいだろう。
「たまたま免税事業者だったから、消費税を払わなくてすんだ。
 よって、差額を営業利益下の損益として認識する。」

ニガテ分野、退職給付会計。


Q.
従業員数が増えたことに伴い、
簡便法から原則法へ変更した場合の、
退職給付の差額はどうやって処理するか?


A.
一括費用処理する。(遅延認識できない)
なぜなら、過去勤務債務でも数理計算上の差異でもないから。
これが会計基準変更に伴うものであれば、
会計基準変更時差異として遅延認識できるが、
まあ今からは生じない議論ですな。

なお、当該変更は「見積もりの変更」として取り扱う。
ので、金額的重要性が高ければ、追加情報として注記する。

賃貸等不動産の時価開示の論点は、
それを回避する理屈づけだけだろう。


賃貸等不動産の範囲はやたらと広いため、
けっこう対象には該当してしまうと思われる。
つまり、賃貸等不動産には該当するが時価開示の対象には当たらない、
といちいち判定しなければならない。
なんとも面倒な基準だ。



まず、一部でも賃貸している場合は賃貸等不動産に該当するが、
「賃貸等不動産として使用される部分の割合が低い」場合は、
賃貸等不動産に該当しない、としてもよいとされている。
ただし、この具体的な量的基準は示されていない。



賃貸等不動産の総額に重要性が乏しい場合は注記省略可能。
ただし、重要性の具体的な量的基準は示されていない。
この判断は、賃貸等不動産の時価と、総資産の時価を比較して行うため、
おそらく実務的には、総資産の1%などになるのでは?



建物等の償却資産については、適正な帳簿価額を時価とみなすことができる。



この基準、なんか下手なんだよなあ。
実務的じゃないし、好きじゃない。
投資不動産だけでいいじゃん、って思ってしまう。

国を挙げての粉飾決算と言われる「土地再評価」。
そもそもの本音の立法趣旨は、金融機関のBIS規制対応。
金融機関の自己資本を厚くするための国策粉飾である。


が、これは取得原価主義にとらわれた考え方。
取得原価主義が絶対的に正しいという前提であれば粉飾だが、
個人的には、取得原価主義には理論的な根拠が薄いと思っている。
買ったときの金額に何の意味がある?
例えば、明治時代に買った土地が1円で評価されるのは正しいとは思えない。
その資産の価値が買ったときの金額より低ければ、価値を下げるべきだし、
その資産の価値が買ったときの金額より高ければ、価値を上げるべきだろう。
減損が入って、マイナスのほうはいくらかマシになったんだろうけど。


で、IFRS(というか、IAS:国際会計基準)になったら、
土地再評価差額金の処理はどうなっちゃうんだろう、と思って調べてみた。
出典は、国際財務報告基準の適用ハンドブック(第3版)。


資産評価は、再評価モデルと原価モデルの選択適用。(IAS第16号第29号)
この選択は、すべての資産種類ごとに行う。
         ↓
つまり、土地再評価差額金は計上OKである。
         ↓
資産種類ごとに評価モデルを選択できるので、
土地だけ再評価モデルを使うのもあり。
         ↓
ただし、毎期評価し直さなければならない。これが今の処理と違うところ。
(時限立法だったので、今は再評価できないが、IASでは毎期評価する)



というわけで、基本的にIFRSではOKということらしいです。
それにしても、評価モデル選択適用って、いいのかなあ?

企業結合の際に生じた付随費用はどう処理するか。
適用指針48を参照。



企業結合に直接要した支出額のうち、
取得の対価性が認められるものは取得原価に含め、
それ以外の支出額は発生時の事業年度の費用として処理する。

取得原価に含める支出額とは、次の①及び②を満たしたもの。

①企業結合に直接要した支出額。
  企業結合を成立させるためのアドバイザリー費用など。
②取得の対価性が認められるもの
  現実に契約に至った企業結合に関連する支出額。


すなわち、「取得」でない場合は、取得原価には当然含めず、
発生時の事業年度の費用として処理することになる。
企業結合のほとんどは「共通支配下の取引」だと思われるが、
この場合に発生した付随費用はすべて発生時費用処理である。
なお、「共通支配下の取引」でも付随費用は出る可能性が高い。
組織再編コストとか、どこでもわりと多額になってるし、
外部のアドバイザーを使用することも結構あるだろうから。

情けないことに、意外に盲点だったこと。


「当期に株式併合又は株式分割が行われた場合、普通株式の期中平均株式数は、
 当期首に当該株式併合又は株式分割が行われたと仮定して算定する。」


要するに、日割りしないってこと。
まあ、当たり前ですよねえ。
日割りした株式数なんて、何の意味もないんだから。