中学受験と課金ゲーム①-『二月の勝者』に寄せて | 2022中学受験(息子)と2027中学受験(姪) -A stitch in time saves nine-

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2022中学受験を終了した男子を持つ父のブログ
淡々と息子の学習(主にテスト)の記録をつけていたブログです。
息子は開成・筑駒をはじめ受験校全てに合格しました。
現在は2027年組の姪っこの中学受験アドバイザーです。

ドラマ『二月の勝者』は相変わらず見ていないのだが、前回は中学受験を課金ゲームになぞらえるエピソードだったようだ。なおマンガでは読了済み。

 

それについてちょっと考えてみたい。

 

(注:以下ネタバレ含む)

 

 

 

 

テーマとなる一家は、受験に熱心な母親に対して、夫がその塾代に難癖をつけるのだが、自分はソシャゲに毎月のように課金している、という家庭。その母親が夫に対し、百歩譲って中学受験が課金ゲームだとしても、そんなソシャゲに課金するくらいなら自分の子供の将来のために課金して、子供を最強キャラに育てろ、とブチ切れる。その言葉で目が覚めた夫は、塾の特別講座を申し込む、という話だ。

 
私はソシャゲ反対派でも賛成派でもなんでもないのだが、確かにソシャゲの課金費用が出なくなるから子供の塾代をケチる、というのは価値判断を誤っていると思う。
 
ただ、ソシャゲの課金と中学受験の課金を同一視することはできない。

順を追って考えてみよう。

まず、この話の夫はもうワンターン妻に反論することができると思う。
 
ソシャゲの課金をよくご存じない方のために少し説明する。ソシャゲにおいて課金する方法は色々なやり方があるが、典型的なのは、所謂「ガチャ」と呼ばれる、強いアイテムが得られるくじ引き的なものを有料で引かせる、というようなものだ。
 
この「ガチャ」はくじ引き的なものなので、必ず最強アイテムが手に入るとは限らず、運に左右される。自分の欲しい最強アイテムを手に入れるためには、課金しまくって何回もこの「ガチャ」を引かなければならなかったりする訳だ。
 
ソシャゲ黎明期はこの「ガチャ」についてかなり野放しだったのだが、子供が大金を課金したり、実は「当たり」の確率が極端に低かったりすることが予め表記されていない、などの問題が発生して、自主規制が進んでいる。そして今では、「ガチャ」においては、明確な確率表記が必要になっている。つまり、課金する前に、その「ガチャ」からどのようなアイテムが出るか、そしてそのアイテムが出る確率がどの程度なのかがユーザーには分かる仕組みになっているのだ。
 
他方、ソシャゲ運営元も、あまりにも確率の低い「ガチャ」では誰も引いてくれないことは理解している。ある程度課金に見合うアイテムを手に入られるようにバランスを構築することが、長期に亘りユーザーに課金させて収益を上げるには重要だと分かっているのだ。従って、最近のソシャゲでは、最低限課金に見合うだけのアイテムが出るようになっているのである。
 
つまり現代の課金ゲームは、課金すれば確実にある程度は自分のキャラが強くなることが予め分かっているのである。
 
一方、中学受験の塾代、家庭教師代はどうだろうか。皆さんもお分かりのように、課金したから必ず成績が上がるという訳ではない。この講座を受講すれば○○中学に必ず合格できますよ、偏差値60は必ず越えますよ、ということは言えないのだ。そんなことを言っている塾があったら、むしろ誰も信用しないだろう。
 
塾が親に課金させるために宣伝で使わうのは過去の合格実績である。それはあくまで過去に、その塾に通塾していた、ある講座を受講していた生徒が残した実績であって、自分の子供がそうなることは約束されないし(そのように誤認させようという宣伝をしている塾も中にはあるが)、そうなる確率が事前にわかるわけではない。そして、自分の子供がそのような実績を残せるかどうかは、実際にやってみなければわからないのだ。予め「この講座受講生は、○○中学に○%の確率で合格します。」という確率表記ができる世界ではない課金したから自分の子供が強くなる(=成績があがる、志望校に合格できる)とは限らないのだ。
 
そうすると、『二月の勝者』の夫の立場で妻に反論するのであれば、「そんなこと言っても、ソシャゲでは月2万課金すれば確実にオレのキャラは強くなるけど、塾に月2万課金しても息子が強くなるとは限らないじゃないか!そんな不確かなものにカネを使うのはもったいない!」

というものが考えられることになる。
 
そういう意味で、中学受験における課金は、ソシャゲの課金よりもよりシビアで、ハイリスクなものと言えるかも知れない。
 
もちろん、私は中学受験の課金よりソシャゲに課金した方がマシといいたい訳ではない。
 
上記の夫の反論に対する妻の再反論としては以下のようなものになるだろう。
 
「あんたのゲーム中のキャラが強くなったらどうなるっていうのよ!それであんたはお金が稼げるの?会社で出世できるの?人生に成功できるの?そうじゃないでしょ!中学受験への課金は確実に結果が出るとは決まってないけど、成功したら私たちの子供の将来の選択肢が広がるのよ!」
 
こうなるとかわいそうな夫としてはもう反論できないだろう。笑
 
私が言いたいのは、(ソシャゲ課金と異なり)課金の結果が必ず伴うものではないため、事前の塾選び、講座選びは多くの情報を集めて、自分の子供に合うものを選ばなければならないこと、そして、不確かな結果に対する課金はややもすると無制限になりやすいので、その課金が適切なものか常にチェックしなければならないこと、を認識するべきということである。

不確かな成果をエサにした、ソシャゲどころではないシビアな課金システムの世界といってもいい。カモは身ぐるみ剥がされる可能性がある、と言ったら言い過ぎだろうか。

そんな偉そうなことを言いつつ、私自身もカモかもしれないのだ。
 
ソシャゲへの課金と塾代への課金について、次の記事でもうちょっと考察したい。
 

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5年生で取り組んだ問題集 算数編

 

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5年生で取り組んだ問題集 国語編

 

【レビュー】「中学受験国語 選択肢問題の徹底攻略」

 

5年生で取り組んだ問題集 理科・社会編

 

低学年時に使った問題集 算数編

 

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