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法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

役に立つ裁判例の紹介、法律の本の書評です。弁護士経験32年。第二東京弁護士会所属21770

賃借権の譲渡と賃貸人の承諾をえる義務

 

 

              売買代金返還請求事件

【事件番号】      最高裁判所第1小法廷判決/昭和32年(オ)第571号

【判決日付】      昭和34年9月17日

【判示事項】      1、賃借権の譲渡と賃貸人の承諾をえる義務

             2、履行不能と責に帰すべき事由の挙証責任

【判決要旨】      1、賃借権の譲渡人は、特別の事情のないかぎり、譲受人に対し、譲渡につき遅滞なく賃貸人の承諾をえる義務を負うものと解すべきである。

             2、債務が履行不能となつたときは、債務者は右履行不能が自己の責に帰すべからざる事由によつて生じたことを証明するのでなければ、債務不履行の責を免れることはできない。

【参照条文】      民法612

             民法415

【掲載誌】        最高裁判所民事判例集13巻11号1412頁

 

民法

(賃借権の譲渡及び転貸の制限)

第六百十二条 賃借人は、賃貸人の承諾を得なければ、その賃借権を譲り渡し、又は賃借物を転貸することができない。

2 賃借人が前項の規定に違反して第三者に賃借物の使用又は収益をさせたときは、賃貸人は、契約の解除をすることができる。

 

契約当事者が普通保険約款を誤解して損害保険契約を締結した場合において、普通保険約款どおりの契約の成立を認めた事例

 

 

              保険金請求事件

【事件番号】      札幌地方裁判所判決/昭和63年(ワ)第1810号

【判決日付】      平成2年3月29日

【判示事項】      契約当事者が普通保険約款を誤解して損害保険契約を締結した場合において、普通保険約款どおりの契約の成立を認めた事例

【参照条文】      普通保険約款

【掲載誌】        判例タイムズ730号224頁

 

事案の概要

 一、Xは、Yとの間において店舗総合保険契約を締結したが、Yの代理店の担当者は本件契約に適用される店舗総合保険普通保険約款を誤って認識し、保険の目的である商品の盗難被害にも保険金が支払われるものと誤解していたため、Xに対し盗難被害には保険金が支払われない旨の説明をせず、したがって、Xも盗難被害に保険金が支払われるものと誤解して本件契約を締結したものであった。

本件は、対象店舗内の商品について盗難被害にあったXが、Yに対し保険金の支払を請求した事案である。

 二、本判決は、普通保険約款を適用する保険契約を締結する際に、契約当事者がその保険契約に適用される普通保険約款をたまたま誤解していて、その誤解に基づく内容の意思の合致があったように見える場合でも、そのような意思の合致と見えるものは、締結しようとする保険契約に適用される普通保険約款の内容が説明を受けたとおりのものであるならば、これを適用する保険契約を締結しようという保険契約締結の動機を形成したにすぎず、当該保険契約に適用される普通保険約款とは異なる特約をする合意であるとか普通保険約款自体を変更する合意であるとみることもできないというべきであるとした。

また、そのような意思の合致と見えるものに保険契約の内容を構成するような合意としての効力を認めるとすると、多数の加入者を前提としてその多数の加入者についての危険の分散を図ろうとする保険制度の団体性に反して一部の加入者に特別の有利な契約条件を認めることにもつながるから、そのような意思の合致と見えるものが保険契約の内容になることはないと解すべきであるとし、Xの請求を棄却した。

 

有価証券の信用取引における保証金代用の有価証券の売却処分と業務上横領罪の成否

 

最高裁判所第3小法廷決定/昭和40年(あ)第1027号

昭和41年9月6日

証券取引法違反、業務上横領、詐欺被告事件

【判示事項】    有価証券の信用取引における保証金代用の有価証券の売却処分と業務上横領罪の成否

【判決要旨】    有価証券の信用取引において、証券業者が、顧客から保証金の代用として預託を受けた有価証券につき、顧客の同意の範囲外である売却処分をしたときは、業務上横領罪が成立する。

【参照条文】    刑法253

          証券取引法49

          証券取引法51

【掲載誌】     最高裁判所刑事判例集20巻7号759頁

 

刑法

(業務上横領)

第二百五十三条 業務上自己の占有する他人の物を横領した者は、十年以下の懲役に処する。

 

金融商品取引法

(業務に関する帳簿書類)

第四十八条 登録金融機関は、内閣府令で定めるところにより、その業務に関する帳簿書類を作成し、これを保存しなければならない。

 

(金融商品取引業者に対する業務改善命令)

第五十一条 内閣総理大臣は、金融商品取引業者の業務の運営又は財産の状況に関し、公益又は投資者保護のため必要かつ適当であると認めるときは、その必要の限度において、当該金融商品取引業者に対し、業務の方法の変更その他業務の運営又は財産の状況の改善に必要な措置をとるべきことを命ずることができる。

 

       主   文

 

 本件上告を棄却する。

 当審における訴訟費用は被告人の負担とする。

 

       理   由

 

 弁護人松井正道の上告趣意第1点、第二点は、判例違反をいうが、所論引用の大審院判例は、当時所論の如き商慣習が存在した旨の事実判断を示しているにすぎず、その事案における証券の処分行為も質権を設定した場合である等本件第1審判決が第二(1)に判示する事案とは趣を異にするものであるから、結局、右判例は本件に適切なものとはいいがたく、同第三点は、事実誤認、単なる法令違反、量刑不当の主張に帰し、以上すべて刑訴法四〇5条の上告理由に当らない。(原判決が、第1審判決判示第二(1)の事実につき、有価証券の信用取引において顧客から証券業者に保証金の代用として有価証券を預託する行為は、根担保質権の設定てあると解し、この有価証券につき、顧客の同意の範囲外である売却処分をした行為をもつて、業務上横領罪にあたるとした判断は正当と認められる。記録によれば、所論Aの検察官に対する供述調書は、被告人に対する関係で証拠調を経ていないことが認められ、これを判断の資料に供した原判決に法令違反が存することは所論のとおりであるが、右書証に対応する第1審判決判示第二(2)の事実は、右書証を除外しても、被告人の供述調書およびこれを補強するに足りる他の証拠をもつて十分認めることができるので、右の違法は判決に影響を及ぼすべきものとはいえない。)

 また、記録を調べても同四11条を適用すべきものとは認められない。

 よつて、同414条、386条1項3号、181条1項本文により、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり決定する。

  昭和四1年九月六日

     最高裁判所第三小法廷

第10章 電気通信役務とは

①電気通信設備を用いて、他人の通信を媒介すること

②その他、電気通信設備を他人の通信ために提供すること

 

電気通信事業に当たり得る事業の例

・電話転送

・フリーメール

・メーリングリスト

・決済代行

・マンションインターネット

・クローズドチャット

・MVNO

・ポータルサイト運営

・SNS

など

 

一方、他人同士の電気通信を媒介する設備を自ら設置・提供するのでなければ、電気通信事業には該当しません。

 

ただし、サービスが電気通信事業に該当するかどうかは、具体的なサービス内容を検討した上で判断する必要があります。

 

電気通信事業に当たらないことが多い事業の例

・ネット通販

・メールマガジンの発行

・ソフトウェアのオンライン提供

・電子ショッピングモール

・インターネットオークション

・インターネットゲーム(クローズドチャット機能を含まないもの)

・ネット証券

・検索サービス

・電子掲示板、オープンチャット

など

 

賃借家屋明渡債務と敷金返還債務との間の同時履行関係の有無

 

 

家屋明渡請求事件

【事件番号】      最高裁判所第1小法廷判決/昭和48年(オ)第30号

【判決日付】      昭和49年9月2日

【判示事項】      賃借家屋明渡債務と敷金返還債務との間の同時履行関係の有無

【判決要旨】      家屋の賃貸借終了に伴う賃借人の家屋明渡債務と賃貸人の敷金返還債務とは、特別の約定のないかぎり、同時履行の関係に立たない。

【参照条文】      民法533

             民法619-2

【掲載誌】        最高裁判所民事判例集28巻6号1152頁

 

民法

(同時履行の抗弁)

第五百三十三条  双務契約の当事者の一方は、相手方がその債務の履行(債務の履行に代わる損害賠償の債務の履行を含む。)を提供するまでは、自己の債務の履行を拒むことができる。 ただし、相手方の債務が弁済期にないときは、この限りでない。

 

(賃貸借の更新の推定等)

第六百十九条  賃貸借の期間が満了した後賃借人が賃借物の使用又は収益を継続する場合において、賃貸人がこれを知りながら異議を述べないときは、従前の賃貸借と同一の条件で更に賃貸借をしたものと推定する。 この場合において、各当事者は、第六百十七条の規定により解約の申入れをすることができる。

2  従前の賃貸借について当事者が担保を供していたときは、その担保は、期間の満了によって消滅する。 ただし、第六百二十二条の二第一項に規定する敷金については、この限りでない。

 

第四款 敷金

第六百二十二条の二  賃貸人は、敷金(いかなる名目によるかを問わず、賃料債務その他の賃貸借に基づいて生ずる賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務を担保する目的で、賃借人が賃貸人に交付する金銭をいう。以下この条において同じ。)を受け取っている場合において、次に掲げるときは、賃借人に対し、その受け取った敷金の額から賃貸借に基づいて生じた賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務の額を控除した残額を返還しなければならない。

一  賃貸借が終了し、かつ、賃貸物の返還を受けたとき。

二  賃借人が適法に賃借権を譲り渡したとき。

2  賃貸人は、賃借人が賃貸借に基づいて生じた金銭の給付を目的とする債務を履行しないときは、敷金をその債務の弁済に充てることができる。 この場合において、賃借人は、賃貸人に対し、敷金をその債務の弁済に充てることを請求することができない。

 

 

事案の概要

 家屋賃貸借が期間満了によつて終了した場合の明渡請求に対し、賃借人が敷金返還請求権をもつて同時履行の抗弁、留置権を主張して家屋の明渡を拒みうるかが本件で問われたものである。

 敷金とは停止条件付返還債務を伴う金銭所有権の移転であるとするのが通説的見解であるが、右の停止条件の成就時については、賃貸借終了時説と賃貸借終了後明渡時説がある(学説の詳細は、石外「敷金と権利金」契約法大系III129頁参照)。

そして、本問の同時履行関係を認めるか否かは、終了時説=肯定、明渡時説=否定と結びつくと説明されることがあり(石外・前掲131頁)、事実、終了時説ととつている学者は一致して同時履行関係を肯定している(戒能・地借家法126頁、星野・借地借家法266頁、幾代・総合判例民法1162頁等)が、明渡時説は、肯定説(広中・判例評論39・11・なお、東地判昭36・3・31下民集12・3・703)と否定説(我妻・債権各論中巻1・472頁)にわかれている。

 最小二判昭48・2・2民集27・1・80は、明渡時説をとつているが、右のように、明渡時説が当然に本問の結論を導くものではないから、本問につき最高裁がどちらの説をとるかが注目されていた。

 本問は、結局は、公平の原則、賃借人の保護の要請をどのように評価するかによつて結論がわかれるものといえるが、最高裁は、否定説をとつた。

 

 

金銭の貸付行為が所得税法上の事業に該当するか否かは、社会通念に照らして、その営利性、継続性及び独立性の有無によつて判断すべきものと解するのが相当であり、具体的には、利息の収受の有無及びその多寡、貸付の口数、貸付の相手方との関係、貸付の頻度、金額の大小、担保権設定の有無、人的及び物的設備の有無、規模、貸付宣伝広告の状況等諸般の事情を総合的に勘案して、右の点を判断すべきものと考えられる。

 

 

 

更正処分等取消請求控訴事件

【事件番号】      東京高等裁判所判決/平成3年(行コ)第55号

【判決日付】      平成4年1月30日

【判示事項】      (1) 金銭の貸付行為が所得税法上の事業に該当するか否かの判断基準(原審判決引用)

             (2) 納税者が金銭の貸付行為を事業として行っていたとは認められないとして、課税庁による貸倒引当金の否認が適法であるとされた事例(原審判決引用)

             (3) 納税者の貸金業が創業期にあることから、貸付先が限定され、貸付条件も納税者に有利なものにできず、十分な利潤が上げられないのは当然であって、むしろ納税者の主観を重視すれば、金銭の貸付は事業として行われたものと解すべきであるとの納税者の主張が排斥された事例(原審判決引用)

             (4) 金銭貸付に係る所得を毎年事業所得として申告してきたのに対し、課税庁は一度も更正したことがないにもかかわらず、本件各年度分について突然これを事業所得に当たらないとして、更正処分を行うのは禁反言の原則に照らし許されない、との納税者の主張に対し、そのことだけでは、課税庁が納税者に対し、同人の金銭貸付が事業として行われていることを認めたことにはならないとされた事例(原審判決引用)

             (5) 納税者の利息収入が、事業所得ではなく雑所得に当たるとされた事例(原審判決引用)

【判決要旨】      (1) 金銭の貸付行為が所得税法上の事業に該当するか否かは、社会通念に照らして、その営利性、継続性及び独立性の有無によって判断すべきものと解するのが相当であり、具体的には利息の収受の有無及びその多寡、貸付の口数、貸付の相手方との関係、貸付の頻度、金額の大小、担保権設定の有無、人的及び物的設備の有無、規模、貸付の宣伝広告の状況等諸般の事情を総合的に勘案して、判断すべきものと考えられる。

             (2) 納税者の貸付の大半が、自らがいわばその経営者の立場にある会社に対する運転資金又は事業資金の融資であり、その他の貸付は友人又は知人の四名に対するものだけであること、これらの貸付の多くについて、利息を定期的に収受しておらず、事前に債権の回収確保のための十分な措置を講ずることもせず、その結果、右会社以外の貸付先四名のうち三名については貸付金の相当額を最終的に貸倒れとして処理せざるを得ないという状態になっていること、更にまた、その事務所についてもそれが、貸金業のための事業所として利用されていたとまでいえるような外形的事実が存在していなかったこと等からすれば、納税者が正規の貸金業の登録を行っていたこと等を考慮に入れても、なお納税者が右金銭の貸付行為を事業として行っていたものと評価することは困難なものというべきである。

             (3)~(5) 省略

【掲載誌】        税務訴訟資料188号191頁

 

所得税法

(事業所得)

第二十七条  事業所得とは、農業、漁業、製造業、卸売業、小売業、サービス業その他の事業で政令で定めるものから生ずる所得(山林所得又は譲渡所得に該当するものを除く。)をいう。

2  事業所得の金額は、その年中の事業所得に係る総収入金額から必要経費を控除した金額とする。

 

 

禁治産者の後見人がその就職前にした無権代理による訴えの提起及び弁護士に対する訴訟委任の行為の効力を再審の訴えにおいて否定することが信義則に反して許されないとはいえないとされた事例

 

 

損害賠償請求再審事件

【事件番号】      最高裁判所第1小法廷判決/平成4年(オ)第735号

【判決日付】      平成7年11月9日

【判示事項】      禁治産者の後見人がその就職前にした無権代理による訴えの提起及び弁護士に対する訴訟委任の行為の効力を再審の訴えにおいて否定することが信義則に反して許されないとはいえないとされた事例

【判決要旨】      甲が禁治産者乙の後見人に就職する前に乙のために無権限で訴えを提起した上弁護士に対する訴訟委任をし、これに基づいて判決がされた場合には、甲が乙の姉であって後見人に就職する前から事実上後見人の立場で乙の面倒を見てきたものであり、このような甲の態度について家族の他の者が意義を差し挟んでおらず、甲と乙の利害が相反する状況もなかったなど原判示の事情があったとしても、後見人に就職した甲が自己の無権代理行為の効力を再審の訴えにおいて否定することは、信義則に反して許されないとはいえない。

【参照条文】      民事訴訟法1編第4章第1節

             民事訴訟法420-1

             民法1-2

             民法859

【掲載誌】        家庭裁判月報48巻7号41頁

             最高裁判所裁判集民事177号107頁

             裁判所時報1158号279頁

             判例タイムズ901号131頁

             判例時報1557号74頁

             金融法務事情1452号39頁

 

民法

(基本原則)

第一条  私権は、公共の福祉に適合しなければならない。

2  権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならない。

3  権利の濫用は、これを許さない。

 

第八百五十九条  後見人は、被後見人の財産を管理し、かつ、その財産に関する法律行為について被後見人を代表する。

2  第八百二十四条ただし書の規定は、前項の場合について準用する。

 

(親権喪失の審判)

第八百三十四条  父又は母による虐待又は悪意の遺棄があるときその他父又は母による親権の行使が著しく困難又は不適当であることにより子の利益を著しく害するときは、家庭裁判所は、子、その親族、未成年後見人、未成年後見監督人又は検察官の請求により、その父又は母について、親権喪失の審判をすることができる。 ただし、二年以内にその原因が消滅する見込みがあるときは、この限りでない。

 

民事訴訟法

(再審の事由)

第三百三十八条  次に掲げる事由がある場合には、確定した終局判決に対し、再審の訴えをもって、不服を申し立てることができる。 ただし、当事者が控訴若しくは上告によりその事由を主張したとき、又はこれを知りながら主張しなかったときは、この限りでない。

一  法律に従って判決裁判所を構成しなかったこと。

二  法律により判決に関与することができない裁判官が判決に関与したこと。

三  法定代理権、訴訟代理権又は代理人が訴訟行為をするのに必要な授権を欠いたこと。

四  判決に関与した裁判官が事件について職務に関する罪を犯したこと。

五  刑事上罰すべき他人の行為により、自白をするに至ったこと又は判決に影響を及ぼすべき攻撃若しくは防御の方法を提出することを妨げられたこと。

六  判決の証拠となった文書その他の物件が偽造又は変造されたものであったこと。

七  証人、鑑定人、通訳人又は宣誓した当事者若しくは法定代理人の虚偽の陳述が判決の証拠となったこと。

八  判決の基礎となった民事若しくは刑事の判決その他の裁判又は行政処分が後の裁判又は行政処分により変更されたこと。

九  判決に影響を及ぼすべき重要な事項について判断の遺脱があったこと。

十  不服の申立てに係る判決が前に確定した判決と抵触すること。

2  前項第四号から第七号までに掲げる事由がある場合においては、罰すべき行為について、有罪の判決若しくは過料の裁判が確定したとき、又は証拠がないという理由以外の理由により有罪の確定判決若しくは過料の確定裁判を得ることができないときに限り、再審の訴えを提起することができる。

3  控訴審において事件につき本案判決をしたときは、第一審の判決に対し再審の訴えを提起することができない。

 

事案の概要

 一 本件は、姉甲が弟乙のために損害賠償請求訴訟(前訴)を提起し、一審で敗訴判決を受けた後、禁治産宣告手続をとって乙の後見人に就職し、民訴法420条1項3号を理由に再審の訴えを提起したという事件である。

事実上の後見人として行動していた者が後に適式に後見人に選任された後に、自己の無権代理による訴訟行為の効力を再審の訴えで否定することが信義則に反して許されないかどうかが問題になった。

再審提起までの経緯等については判決を見ていただきたい。

 原審は、前訴の提起及び弁護士への訴訟委任は、甲の無権代理であると認めたが、甲は乙の後見人に就職する以前においても、乙が精神分裂病の諸症状を呈するようになって以来、事実上後見人の立場で乙の面倒を見てきており、家族と相談の上で乙のために丙らを相手に調停の申立てや訴訟の提起をしていること、このような甲の態度には家族の他の者が異議を差し挟んでいたとか、甲と乙とが利害の相反する状況があったなどの事情はないこと、丙らは、2度にわたる訴えに対してその都度弁護士に依頼して応訴してきたこと等の事情の下では、甲が後見人に就職し、法定代理人の資格を取得した以上、前に乙のために行った自己の無権代理行為の効力を否定することは、丙らとの関係において訴訟上の信義則に著しく反し許されず、甲のした前訴の訴え提起行為及び弁護士への訴訟委任行為の効力は、甲が後見人に就職するとともに乙に有効に帰属したものというべきであるとして、再審の訴えを却下した一審判決を維持したため、乙が上告した。

 本判決は、たとえ原判決が指摘するような事情があったとしても、後見人に就職した甲が就職前の自己の無権代理行為の効力を再審の訴えで否定することは信義則に反し許されないとはいえないとし、前訴には民訴法420条1項3号の再審事由があるとして前訴確定判決を取り消し、前訴の訴えを却下する旨の自判判決をした。

 

 

1の商標から2つの称呼が生ずると認定することの可否

 

最高裁判所第2小法廷判決/昭和34年(オ)第856号

昭和36年6月23日

審決取消請求事件

【判示事項】    1の商標から2つの称呼が生ずると認定することの可否

【判決要旨】    1の商標から2つの称呼を生ずるものと認定しても差支えない。

【参照条文】    商標法(大正10年法律第99号)2-1

【掲載誌】     最高裁判所民事判例集15巻6号1689頁

【評釈論文】    法曹時報13巻8号116頁

          民商法雑誌46巻1号156頁

 

商標法

(定義等)

第二条  この法律で「商標」とは、人の知覚によつて認識することができるもののうち、文字、図形、記号、立体的形状若しくは色彩又はこれらの結合、音その他政令で定めるもの(以下「標章」という。)であつて、次に掲げるものをいう。

一  業として商品を生産し、証明し、又は譲渡する者がその商品について使用をするもの

二  業として役務を提供し、又は証明する者がその役務について使用をするもの(前号に掲げるものを除く。)

2  前項第二号の役務には、小売及び卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供が含まれるものとする。

3  この法律で標章について「使用」とは、次に掲げる行為をいう。

一  商品又は商品の包装に標章を付する行為

二  商品又は商品の包装に標章を付したものを譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、又は電気通信回線を通じて提供する行為

三  役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物(譲渡し、又は貸し渡す物を含む。以下同じ。)に標章を付する行為

四  役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物に標章を付したものを用いて役務を提供する行為

五  役務の提供の用に供する物(役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物を含む。以下同じ。)に標章を付したものを役務の提供のために展示する行為

六  役務の提供に当たりその提供を受ける者の当該役務の提供に係る物に標章を付する行為

七  電磁的方法(電子的方法、磁気的方法その他の人の知覚によつて認識することができない方法をいう。次号及び第二十六条第三項第三号において同じ。)により行う映像面を介した役務の提供に当たりその映像面に標章を表示して役務を提供する行為

八  商品若しくは役務に関する広告、価格表若しくは取引書類に標章を付して展示し、若しくは頒布し、又はこれらを内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為

九  音の標章にあつては、前各号に掲げるもののほか、商品の譲渡若しくは引渡し又は役務の提供のために音の標章を発する行為

十  前各号に掲げるもののほか、政令で定める行為

4  前項において、商品その他の物に標章を付することには、次の各号に掲げる各標章については、それぞれ当該各号に掲げることが含まれるものとする。

一  文字、図形、記号若しくは立体的形状若しくはこれらの結合又はこれらと色彩との結合の標章  商品若しくは商品の包装、役務の提供の用に供する物又は商品若しくは役務に関する広告を標章の形状とすること。 

二  音の標章  商品、役務の提供の用に供する物又は商品若しくは役務に関する広告に記録媒体が取り付けられている場合(商品、役務の提供の用に供する物又は商品若しくは役務に関する広告自体が記録媒体である場合を含む。)において、当該記録媒体に標章を記録すること。 

5  この法律で「登録商標」とは、商標登録を受けている商標をいう。

6  この法律において、商品に類似するものの範囲には役務が含まれることがあるものとし、役務に類似するものの範囲には商品が含まれることがあるものとする。

7  この法律において、輸入する行為には、外国にある者が外国から日本国内に他人をして持ち込ませる行為が含まれるものとする。

第二章 商標登録及び商標登録出願

(商標登録の要件)

第三条  自己の業務に係る商品又は役務について使用をする商標については、次に掲げる商標を除き、商標登録を受けることができる。

一  その商品又は役務の普通名称を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標

二  その商品又は役務について慣用されている商標

三  その商品の産地、販売地、品質、原材料、効能、用途、形状(包装の形状を含む。第二十六条第一項第二号及び第三号において同じ。)、生産若しくは使用の方法若しくは時期その他の特徴、数量若しくは価格又はその役務の提供の場所、質、提供の用に供する物、効能、用途、態様、提供の方法若しくは時期その他の特徴、数量若しくは価格を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標

四  ありふれた氏又は名称を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標

五  極めて簡単で、かつ、ありふれた標章のみからなる商標

六  前各号に掲げるもののほか、需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができない商標

2  前項第三号から第五号までに該当する商標であつても、使用をされた結果需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができるものについては、同項の規定にかかわらず、商標登録を受けることができる。

(商標登録を受けることができない商標)

第四条  次に掲げる商標については、前条の規定にかかわらず、商標登録を受けることができない。

一  国旗、菊花紋章、勲章、褒章又は外国の国旗と同一又は類似の商標

二  パリ条約(千九百年十二月十四日にブラッセルで、千九百十一年六月二日にワシントンで、千九百二十五年十一月六日にヘーグで、千九百三十四年六月二日にロンドンで、千九百五十八年十月三十一日にリスボンで及び千九百六十七年七月十四日にストックホルムで改正された工業所有権の保護に関する千八百八十三年三月二十日のパリ条約をいう。以下同じ。)の同盟国、世界貿易機関の加盟国又は商標法条約の締約国の国の紋章その他の記章(パリ条約の同盟国、世界貿易機関の加盟国又は商標法条約の締約国の国旗を除く。)であつて、経済産業大臣が指定するものと同一又は類似の商標

三  国際連合その他の国際機関(ロにおいて「国際機関」という。)を表示する標章であつて経済産業大臣が指定するものと同一又は類似の商標(次に掲げるものを除く。)

イ  自己の業務に係る商品若しくは役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標又はこれに類似するものであつて、その商品若しくは役務又はこれらに類似する商品若しくは役務について使用をするもの

ロ  国際機関の略称を表示する標章と同一又は類似の標章からなる商標であつて、その国際機関と関係があるとの誤認を生ずるおそれがない商品又は役務について使用をするもの

四  赤十字の標章及び名称等の使用の制限に関する法律(昭和二十二年法律第百五十九号)第一条の標章若しくは名称又は武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律(平成十六年法律第百十二号)第百五十八条第一項の特殊標章と同一又は類似の商標

五  日本国又はパリ条約の同盟国、世界貿易機関の加盟国若しくは商標法条約の締約国の政府又は地方公共団体の監督用又は証明用の印章又は記号のうち経済産業大臣が指定するものと同一又は類似の標章を有する商標であつて、その印章又は記号が用いられている商品又は役務と同一又は類似の商品又は役務について使用をするもの

六  国若しくは地方公共団体若しくはこれらの機関、公益に関する団体であつて営利を目的としないもの又は公益に関する事業であつて営利を目的としないものを表示する標章であつて著名なものと同一又は類似の商標

七  公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標

八  他人の肖像又は他人の氏名若しくは名称若しくは著名な雅号、芸名若しくは筆名若しくはこれらの著名な略称を含む商標(その他人の承諾を得ているものを除く。)

九  政府若しくは地方公共団体(以下「政府等」という。)が開設する博覧会若しくは政府等以外の者が開設する博覧会であつて特許庁長官の定める基準に適合するもの又は外国でその政府等若しくはその許可を受けた者が開設する国際的な博覧会の賞と同一又は類似の標章を有する商標(その賞を受けた者が商標の一部としてその標章の使用をするものを除く。)

十  他人の業務に係る商品若しくは役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標又はこれに類似する商標であつて、その商品若しくは役務又はこれらに類似する商品若しくは役務について使用をするもの

十一  当該商標登録出願の日前の商標登録出願に係る他人の登録商標又はこれに類似する商標であつて、その商標登録に係る指定商品若しくは指定役務(第六条第一項(第六十八条第一項において準用する場合を含む。)の規定により指定した商品又は役務をいう。以下同じ。)又はこれらに類似する商品若しくは役務について使用をするもの

十二  他人の登録防護標章(防護標章登録を受けている標章をいう。以下同じ。)と同一の商標であつて、その防護標章登録に係る指定商品又は指定役務について使用をするもの

十三  削除

十四  種苗法(平成十年法律第八十三号)第十八条第一項の規定による品種登録を受けた品種の名称と同一又は類似の商標であつて、その品種の種苗又はこれに類似する商品若しくは役務について使用をするもの

十五  他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標(第十号から前号までに掲げるものを除く。)

十六  商品の品質又は役務の質の誤認を生ずるおそれがある商標

十七  日本国のぶどう酒若しくは蒸留酒の産地のうち特許庁長官が指定するものを表示する標章又は世界貿易機関の加盟国のぶどう酒若しくは蒸留酒の産地を表示する標章のうち当該加盟国において当該産地以外の地域を産地とするぶどう酒若しくは蒸留酒について使用をすることが禁止されているものを有する商標であつて、当該産地以外の地域を産地とするぶどう酒又は蒸留酒について使用をするもの

十八  商品等(商品若しくは商品の包装又は役務をいう。第二十六条第一項第五号において同じ。)が当然に備える特徴のうち政令で定めるもののみからなる商標

十九  他人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標と同一又は類似の商標であつて、不正の目的(不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的をいう。以下同じ。)をもつて使用をするもの(前各号に掲げるものを除く。)

2  国若しくは地方公共団体若しくはこれらの機関、公益に関する団体であつて営利を目的としないもの又は公益に関する事業であつて営利を目的としないものを行つている者が前項第六号の商標について商標登録出願をするときは、同号の規定は、適用しない。

3  第一項第八号、第十号、第十五号、第十七号又は第十九号に該当する商標であつても、商標登録出願の時に当該各号に該当しないものについては、これらの規定は、適用しない。

(商標登録出願)

第五条  商標登録を受けようとする者は、次に掲げる事項を記載した願書に必要な書面を添付して特許庁長官に提出しなければならない。

一  商標登録出願人の氏名又は名称及び住所又は居所

二  商標登録を受けようとする商標

三  指定商品又は指定役務並びに第六条第二項の政令で定める商品及び役務の区分

2  次に掲げる商標について商標登録を受けようとするときは、その旨を願書に記載しなければならない。

一  商標に係る文字、図形、記号、立体的形状又は色彩が変化するものであつて、その変化の前後にわたるその文字、図形、記号、立体的形状若しくは色彩又はこれらの結合からなる商標

二  立体的形状(文字、図形、記号若しくは色彩又はこれらの結合との結合を含む。)からなる商標(前号に掲げるものを除く。)

三  色彩のみからなる商標(第一号に掲げるものを除く。)

四  音からなる商標

五  前各号に掲げるもののほか、経済産業省令で定める商標

3  商標登録を受けようとする商標について、特許庁長官の指定する文字(以下「標準文字」という。)のみによつて商標登録を受けようとするときは、その旨を願書に記載しなければならない。

4  経済産業省令で定める商標について商標登録を受けようとするときは、経済産業省令で定めるところにより、その商標の詳細な説明を願書に記載し、又は経済産業省令で定める物件を願書に添付しなければならない。

5  前項の記載及び物件は、商標登録を受けようとする商標を特定するものでなければならない。

6  商標登録を受けようとする商標を記載した部分のうち商標登録を受けようとする商標を記載する欄の色彩と同一の色彩である部分は、その商標の一部でないものとみなす。 ただし、色彩を付すべき範囲を明らかにしてその欄の色彩と同一の色彩を付すべき旨を表示した部分については、この限りでない。

 

 

       主   文

 

 本件上告を棄却する。

 上告費用は上告人の負担とする。

 

       理   由

 

 上告代理人弁護士兼子一の上告理由第1について。

 論旨は、原判決が本件出願商標及び引用商標から「3桝」なる称呼、観念が生ずる旨を判示したのを非難するのであるが、現在、紋章等に関する知識が世人一般に薄くなつたことが所論のとおりであっても、なお、右商標の図形を3桝を表わすものと認める者も相当あるべく、右の原判示が所論のように経験則に反するものとはいえない。論旨は理由がない。

 同第2について。

 しかし、商標の一部が圧倒的に重要であり他の部分が附加されているに過ぎないような場合は格別、本件出願商標のような図形においては、2つの称呼が出ることも考えられないことではない。原判決が、右商標について、「亀甲」の称呼、観念を生ずるとともに、「三桝」の称呼、観念を生ずる旨を認定したことをもって違法とすべき理由はない。

 同第3について。

 同じ称呼または観念を生ずる商標を類似商標とするのは商品の出所について誤認、混同を生ずる虞があることによることは論旨のとおりである。論旨は、本件の場合、右の誤認、混同を生ずる危険は全く予想されない旨を主張するのであるが、原判決はこの点について、誤認、混同を生じないのは、両家の競業の事情に通暁しているものの間において、しかも現物取引の場合においてのみ言い得ることである旨を判示しており、この判示は首肯することができる。論旨は理由がない。

 同第4について。

 しかし、原判決は所論のように出願商標の主要部を単にその大きさや面積のみによって決定しているのではなく、全体的観察においても、三桝絞章表示の立方体の図形を看過することができず、結局、「3桝」なる称呼、観念をも生ずる旨を判示しているのであって、右判示は当審においても是認することができる。論旨は理由がない。

 上告代理人弁護士細谷啓次郎、同川上隆の上告理由第1点について。

 商標の類否を判断するについては、それぞれの商標を全体として観察しなければならないことは所論のとおりである。本件出願商標と引用商標とは、その図形において同じではなく、ことに本件商標の中央部に亀甲の図形があり、3桝の図形は右亀甲によって一部覆われその全部をあらわしていないのであるが、そのことによって出願商標から3桝の称呼、観念を生じないものとは断定し難く、原判決が出願商標は引用商標とその称呼、観念において同じである旨を判示したのは正当であり、論旨は理由がない。

 同第2点について。

 論旨は、原判決は、出願商標が商標法(大正10年法律第99号)2条1項9号に該当するかどうかについての判断の基準時を誤つた違法があるというのである。原判決が右の基準時を出願時においていることは判文上明らかであるが、かりに所論のように、その当時予測し得べきことは右の判断の資料とすべきものとしても、その後審決時までに生じた事実をもって直ちに予測可能な事実として右2条1項9号に該当するかどうかを論議すべきものではない。のみならず、称呼、観念が同じであるかどうかについて、出願時と審決時とで判断が異るようなことは通例考えられないばかりではなく、原判決によれば、誤認、混同の事例がないというのは、両家の競業の事情に通暁しているものの間において、しかも現物取引の場合においてのみ言い得るというのであって、かかる事実も、基準時を何時とするかによって異るものとは考えられない。論旨は理由がない。

 同第3点について。

 論旨は多くの先例を援用して、原判決は商標の称呼、観念類否決定の基準を誤解している旨を主張するのであるが、商標の類否判断は具体的場合に応じて判断せられるべき問題であるから、原判決が本件出願商標と引用商標とを類似するものと判断したからといって、所論の先例に反するものとはいえないのみならず、原判決が右の判断の基準を誤つたものということもできない。論旨は理由がない。

 同第4点について。

 論旨は、原判決は重要な事項について理由を附せず、理由に齟齬があり、審理不尽の違法があるというのである。よって所論の点について按ずるに、

 1、原判決は、出願商標の中央部の亀甲形図形を考えなかつたのではなく、その図形を十分に観察した上で、なお「3桝」の称呼、観念を生ずるとしているのであって、所論のように図形の一部を抽出分析して判断をしているのではない。

 2、原判決は商標の特別顕著性は同法1条の問題であって商標の2条1項9号に該当するかどうかに関係がない旨を判示しており、右2条1項9号に該当する以上特別顕著の有無の判断は必要がない。

 3、原判決は商標の類否を上告人の主観的意図を考慮に入れて判断しているのではない。所論のように、原判決の理由に前後矛盾するところはない。

 4、原判決が出願商標について「亀甲型元祖」なる称呼、観念を認めるとともに「3桝」なる称呼、観念を認めたからといって、元来1箇の商標から2つの称呼、観念が生ずることがないとはいえないのであるから、所論のような矛盾はない。

 5、上述第2点説明のとおりであって理由がない。

 6、掛紙の相違は商標の類否とは別の問題であって、掛紙による商品の識別についてまで判示する必要はない。

 以上、要するに、原判決に、所論のような理由不備、理由齟齬、審理不尽、判断遺脱等の違法はなく、論旨は理由がない。

 同第5点について。

 上告人と引用商標の権利者との関係が所論のとおりであっても、すでに引用商標の登録があり、上告人の出願商標が右引用商標と類似するものと判断される以上、上告人の出願が拒否されてもやむを得ないのであって、論旨は採用することができない。よって、民訴401条、95条、89条に従い、裁判官全員の1致で、主文のとおり判決する。

     最高裁判所第2小法廷

第9章 電気通信事業者の義務

「電気通信事業を営む者(法2条)」のうち、電気通信回線設備を設置する、または他人の通信を媒介する事業者や個人は、登録(法9条)、1届出(法16条)で定められる登録・届出が必要な「電気通信事業者(法2条5号)」に該当します。

 

電気通信事業者に該当する事業者は、事故が発生したときはすみやかに報告するといった義務が課されており、義務に違反した場合は必要に応じて罰則が課せられます。

 

検閲の禁止(法3条)・通信の秘密の保護(法4条)

利用の公平(法6条)

登録・届出

提供条件の説明などの消費者保護

 

 

一方で、登録・届出が不要な「電気通信事業者(法2条5号)」の具体例は、

SNS

検索サービス

オンラインでの情報提供サービス

オンラインストレージ

電子掲示板

オンラインのショッピングモール

などです。

 

なお、上記のサービスであっても、「電気通信回線設備の設置」しているかや「他社の通信を媒介しているか」によって、登録・届出を要する可能性があります。

 

上記、登録、届出の不要な電気通信事業者を改正法では「第三号事業者」と呼びます。 改正前までの第三号事業者には、検閲の禁止(法3条)や通信の秘密の保護(法4条)などの義務が課されているだけでした。

 

本改正法では、この「第三号事業者」でも一部の指定を受けた利用者の利益へ与える影響の大きい事業者は、届出の対象となりました。こちらは後に詳しく解説します。

 

 

改正法27条の12で、電気通信事業者、または第三号事業を営む「電気通信事業者」のうち、総務省令で定める事業者や個人に対して、外部送信規律(新たに利用者情報の送信に関する規律)を定めました。

 

 登録または届出が不要な電気通信事業のうち、法164条1項3号を根拠とするものは第三号事業と呼ばれています。第三号事業については、電気通信事業法の規制を受けないと誤解されがちですが、現行法上も、通信の秘密の保護等一部の規定の適用があることに加え、本改正により、第三号事業を営む者に対する規制が強化されている点に注意が必要です(後編で解説するとおり、第三号事業を営む者のうち一定の者に対しては、利用者に関する情報の外部送信規制が適用され、クッキーの利用等に関し一定の規律を受けることになります)。

 

ウェブサイトやアプリの利用者の情報が、広告プラットフォーム運営事業者などのウェブサイトやアプリ運営事業者以外の第三者に外部送信される場合、所定の事項の通知または公表などが求められます。

 

具体的には、外部送信される情報の内容・送信先に関する情報・利用目的などについての情報が記載されたページを自社サイト内で公表するといったことが求められます。

中間省略登記の合意がなわれた場合と中間者の前者に対する登記請求権

 

 

 

行政処分無効確認等請求事件

【事件番号】      最高裁判所第3小法廷判決/昭和43年(行ツ)第68号

【判決日付】      昭和46年11月30日

【判示事項】      中間省略登記の合意がなわれた場合と中間者の前者に対する登記請求権

【判決要旨】      中間省略登記の合意がなされた場合においても、中間者の前者に対する所有権移転登記請求権が当然に失われるものではなく、中間省略登記の合意をした当時者以外の中間者の債権者である第三者が中間者の前者に対する所有権移転登記請求権を代位行使してなした代位登記は有効である。

【参照条文】      民法423

             不動産登記法46の2

【掲載誌】        最高裁判所民事判例集25巻8号1422頁

 

民法

(債権者代位権の要件)

第四百二十三条  債権者は、自己の債権を保全するため必要があるときは、債務者に属する権利(以下「被代位権利」という。)を行使することができる。 ただし、債務者の一身に専属する権利及び差押えを禁じられた権利は、この限りでない。

2  債権者は、その債権の期限が到来しない間は、被代位権利を行使することができない。 ただし、保存行為は、この限りでない。

3  債権者は、その債権が強制執行により実現することのできないものであるときは、被代位権利を行使することができない。